0.はじめに
初めまして!【元(第2期)モダン神】の砂田 翔吾と申します。
晴れる屋様よりご依頼いただきましたので、【グランプリ・千葉2015】(以下GP千葉)のレポートを寄稿させて頂きます。
レポートという形で記事を書くのは初めてですので、読みづらい点などあるとは思いますが、その点ご容赦下さい。
1.『モダンマスターズ 2015年版』のリミテッド環境
先週末に行われましたGP千葉で、私はトップ4という好成績を収めることができました。
「初手キープ率が高い」「ボムのあるシールドパックを引けた」「相手の事故に助けられた」など複数の幸運に恵まれましたが、勝因の一つは『環境理解度』であったと考えています。
今回は発売直後だったこともあり、十分な練習ができた人は少なかったのではないかと思います。
私は幸運にもシールド・ドラフト含め複数回練習することができましたので、友人達と話し合い、いくつかの原則を見つけることができました。
▼1.シールドでは基本的に「5色」を目指す
この環境のシールドでは、恵まれたカードプール(例:《頭蓋囲い》が複数枚ある「親和」、《圧倒する暴走》のある「緑系トークンズ」など)でない限り、5色から強いカードを寄せ集めたデッキの方が強いデッキになる確率が高いようです。
『どのアーキタイプにもならない』プールは多く存在しますが、『強いカードがどの色にも全くない』『マナサポートが一枚もない』プールはほぼ存在しないため、この戦略は汎用性が高いと感じました。
▼2.《解呪》系は1枚はメインに入れる
コモンのアーティファクトが豊富かつ強力、白と青の除去がほぼエンチャントであるため、《天羅至の掌握》のような《解呪》系のスペルは1枚はメインに入れるのがオススメです。
赤には《粉々》もありますが、こちらもメインで問題ないカードです。
▼3.強いカードを使う
強いカードは強い。
当然のことですが、この環境はとんでもないカードがアンコモン以上大量に含まれています。(《ペラッカのワーム》《不敬の命令》《解放された者、カーン》など)
対処手段の少ない環境のため、ボムは必ず使うのが良いでしょう。
これらの原則に胸に、いいパックを引くことを祈りつついざGP本戦へ。
2.GP初日 ~シールド~
とんでもなく弱いチェックパックを他人に渡しつつ、手元に流れてきたのは《鏡の精体》、《鏡割りのキキジキ》、《オルゾヴァの幽霊議員》といったパワーカードが多く含まれたグッドパック。
練習時の原則に当てはめて、初日のプールから作ったデッキがこちらです。
7 《森》 6 《山》 1 《平地》 1 《島》 1 《進化する未開地》 1 《イゼットの煮沸場》 -土地(17)- 2 《水辺の蜘蛛》 1 《セレズニアのギルド魔道士》 1 《鏡の精体》 1 《合金のマイア》 1 《陰極器》 2 《血まみれ角のミノタウルス》 1 《コジレックの捕食者》 1 《熟考漂い》 1 《鏡割りのキキジキ》 1 《ペラッカのワーム》 1 《ウラモグの破壊者》 1 《コジレックの職工》 -クリーチャー(14)- |
1 《稲妻》 1 《噴出の稲妻》 1 《部族の炎》 1 《粉々》 1 《大竜巻》 2 《焦熱の落下》 1 《永遠溢れの杯》 1 《太陽の宝球》 -呪文(9)- |
コモン・アンコモンも充実しており、マナ基盤の安定した強めのデッキができました。
《鏡割りのキキジキ》が強いのか試合後に尋ねられることが多かったですが、一度場に出てしまえば無制限にアドバンテージとブロッカーを生成するカードなのでとても強力なカードだと思っています。
特に《大竜巻》での盤面一掃から『《コジレックの職工》→《鏡割りのキキジキ》をリアニメイト→《コジレックの職工》をコピー、速攻アタック!』は対戦相手も流石に苦笑いでしたね。
豊富なマナブーストから強力なボムを叩きつける、モダンマスターズらしい豪快なシールドデッキで初日は8-1で折り返すことができました。
3.GP二日目 ~ドラフト~
ドラフトについては、シールドほど十分な練習はできていませんでしたが、
1.基本的にはアーキタイプドラフト
2.カードの出方にある程度左右されるが、アーキタイプ毎の強さは
「緑系トークンズ」>「白青親和」、「赤黒狂喜」>「ドメイン(5色)」>その他
2.カードの出方にある程度左右されるが、アーキタイプ毎の強さは
「緑系トークンズ」>「白青親和」、「赤黒狂喜」>「ドメイン(5色)」>その他
この2つを原則として考えていました。
可能な限りトークンズを目指したい、しかし万が一の場合は他のアーキタイプに移れるように……
そんな考えをどちらも叶えてくれる優良コモンが《コジレックの捕食者》です。
コモンで出現率が高く、「4マナで3/3+トークン2体」というお得生物。強力なレア・アンコモンがなければこのカードが初手として最適です。
ということで、初手は《コジレックの捕食者》としました。
そんなことを考えながら作った1stドラフトのデッキがこちらです。
8 《沼》 7 《森》 1 《進化する未開地》 1 《ゴルガリの腐敗農場》 -土地(17)- 2 《病に倒れたルサルカ》 2 《ツカタンのサリッド》 1 《組み直しの骸骨》 1 《タルモゴイフ》 1 《巣の侵略者》 4 《短剣爪のインプ》 1 《野生の末裔》 2 《コジレックの捕食者》 1 《萎れ葉のしもべ》 1 《よだれ垂らしのグルーディオン》 -クリーチャー(16)- |
2 《生育》 1 《感染の賦活》 1 《病気の拡散》 1 《種のばら撒き》 1 《圧倒》 1 《屍からの発生》 -呪文(7)- |
おかしい……想定と違う……
《短剣爪のインプ》はアンコモンなのに異様に流れてきたので、順にピックしていった結果がこの始末。
「トークンズ」の予定が、いつの間にか4枚の《短剣爪のインプ》に《生育》を撃って勝つデッキになってしまいました。
「これは《タルモゴイフ》取りきりお通夜モードか?」と思っていましたが、想像以上に《短剣爪のインプ》が相手のライフを奪い、気付けば3-0。ありがとう、《短剣爪のインプ》!
そしてセカンドドラフト。
初手はパッとしないカードが多く、最も受けの広そうだった《不屈の自然》をピック。
以降、「ドメイン」関連のカードが大量に流れてきたのでありのままにすべてをピックした結果がこちらです。
7 《森》 5 《山》 1 《平地》 1 《島》 1 《沼》 1 《進化する未開地》 1 《イゼットの煮沸場》 -土地(17)- 2 《巣の侵略者》 1 《黙示録のハイドラ》 2 《合金のマイア》 1 《マトカの暴動者》 1 《まばゆい魂喰い》 1 《世界心のフェニックス》 1 《蟻の女王》 2 《概念の群れ》 1 《空に届くマンタ》 1 《ウラモグの破壊者》 -クリーチャー(13)- |
2 《不屈の自然》 2 《部族の炎》 1 《破壊の宴》 1 《病気の拡散》 2 《焦熱の落下》 1 《復讐に燃えた再誕》 1 《旅人のガラクタ》 -呪文(10)- |
「ドメイン」系のカードを大量にピックできたため、予想以上に強力なデッキに仕上がりました。
ドローソースが無いため通常ドローに頼らなければなりませんが、強力な高マナ域クリーチャーが5枚取れているため、どれか1枚引ければ何とかなる!という形のデッキになりました。
色マナは安定していましたが、5色のカードをプレイしつつ《まばゆい魂喰い》を起動するには白マナが足りず、2点支払う必要があったので、《平地》はもう1枚入れても良かったかもしれません。
いくつかの幸運のお陰で2勝、最終戦をIDすることでトップ8に進出することが確定しました。
3.GP二日目 ~決勝ドラフト~
基本方針はこれまでと変わらず、緑を基調としたアーキタイプを目指す方針です。
初手は《種のばら撒き》からスタートし、完成したデッキがこちら。
8 《沼》 6 《森》 1 《平地》 1 《進化する未開地》 1 《ゴルガリの腐敗農場》 -土地(17)- 2 《吸血鬼の裂断者》 2 《薄暮狩りのコウモリ》 2 《鎌の切り裂き魔》 1 《セレズニアのギルド魔道士》 2 《野生の末裔》 1 《幽霊の変わり身》 1 《屍滑り》 1 《コジレックの捕食者》 2 《戦慄の徒食者》 1 《蟻の女王》 -クリーチャー(15)- |
2 《骨の粉砕》 1 《生育》 1 《変異原性の成長》 1 《名も無き転置》 1 《不気味な苦悩》 1 《種のばら撒き》 1 《圧倒》 -呪文(8)- |
「緑黒アグロトークンズ」……!
こんな、アーキタイプは、ありません。
中盤になってから、上か上々が緑系のトークンデッキをやっている(=被っている)ことに気付きましたが、既に手遅れ。結果としては流れの良かった「赤黒狂喜」を目指すべきでした。
やむを得ずピックしていたアグロな低マナ域が幸いし、なんとかデッキとしての体を保つことはできましたが……。
準々決勝は「白青親和」の金 民守さん。
アグロ構成となっているのが功を奏し、事故に付け込んで無理やり勝利。
【観戦記事】準々決勝:砂田 翔吾(神奈川) vs. 金 民守(神奈川)
準決勝はデッキが完全に被ってしまった彌永さん。私のデッキの5倍くらい強そうな緑黒トークンズです。
初戦はデッキの強さを遺憾なく見せ付けられ、当然の負け。
サイドボード後に青を足して《霊気撃ち》《影魔道士の浸透者》などを投入し、デッキパワーを上げる悪あがきを試みるも、流石にベースの強さに差がありすぎて、押し潰され負けてしまいました。
【観戦記事】準決勝:彌永 淳也(東京) vs. 砂田 翔吾(東京)
4.総括
結果としてトップ4に入賞できましたが、ドラフトについてはなかなかままならず、思い通りにできたのは3回中1回のみでした。
・アーキタイプ参入のシグナルを読み間違えたこと
・自分の考えに固執し、柔軟に対応できなかったこと
この2点は今後別の環境になっても意識していかなければならない点だと思います。
いかがだったでしょうか。拙いところもあったかと思いますが、楽しんでいただけたなら幸いです。
今回の成績によりプロツアー『マジック・オリジン』の権利を獲得することができましたので、この反省を活かして、プロツアーでもレポートが書けるくらいの成績が残せるよう頑張りたいと思います!
それでは、またの機会にお会いしましょう!
※編注:記事内の画像は、以下のサイトより引用させていただきました。
『マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト』
http://mtg-jp.com/
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