神インタビュー: 砂田 翔吾 ~予測を裏切る男のマジック哲学~

晴れる屋

By Atsushi Ito


 砂田 翔吾(神奈川)

 【第2期モダン神挑戦者決定戦】では【バーンでバーンを倒した決勝】からバーン殺しの異名を獲得し、【第2期モダン神決定戦】でも(【脇に《神討ち》《神送り》を置きながら】)神の意表を突く「ソウルシスターズ」できっちりとバーンを殺して見せたエンターテイナー。

 だが、飄々とした言動で思考を読ませず、必要とあらば自分が勝ったアーキタイプでもあっさりと切って捨てるデッキ選択の器用さは、ともすれば「自分がない」とも評されかねないところだ。

 とはいえ、150人規模の大会であれだけ見事にメタゲームを読み切って優勝できる男が、何らの一貫性も持たないはずがない。

 では一体、砂田という人物はいかなる思想の持ち主なのか。

 そこで今回は予測を裏切る男・砂田のマジック哲学についてインタビューを試みた。






確かに私はひねくれてると思います

--「いきなりすごい失礼なこと聞きますけど、砂田さんってもしかしてものすごい『ひねくれ屋』だったりしませんか?」

砂田 「wwwww まあでも、確かに私はひねくれてると思います。トップメタのデッキはまず使わないですしねw 逆に環境覇者以外のデッキは何でも使いますよ」

--「砂田さんのデッキ選択には個人的にかなり共感を覚えるんですよね。当たる対戦相手の予想を裏切りたい、マイノリティで主流に抵抗したいみたいな、レジスタンス精神を感じるので」

砂田 「それはありますね。相手と同じデッキを使って運ゲーしたくないというのもありますが、何より『デッキ構築の段階から勝負は既に始まっている!』ということをわからせたいんですよねw」

--「わかりますw 渡辺(雄也)プロとか八十岡(翔太)プロなら『同じデッキなら上手い方が勝つから普通に強いデッキ使うよ』とか言うところなんでしょうけどね」

砂田 「私は自分があまり上手いプレイヤーだと思っていないので、『デッキ選択の時点でアドを取っていかないと勝てないよ!』って感じです」



正直、モダンは全フォーマットで一番私に向いていない気がします

--「そんな砂田さんからすると、デッキ間の相性差が顕著に出そうなモダンは一番やりやすいフォーマットということになるんでしょうか?」

砂田 「あー、微妙ですね。というか正直、モダンは全フォーマットで一番私に向いていない気がします

--「え、どうしてです?」

砂田 「というのも、モダンには支配的なデッキが存在しないんですよね。しかもデッキが多いせいでサイドカードが散っちゃって、たとえトーナメントで必ず当たると読んだ相手に対しても劇的なメタ勝ちをしにくいという」

--「なるほど、倒すべき支配者がいない、と。でもじゃあどうして【第2期モダン神挑戦者決定戦】で砂田さんが優勝できたんでしょうか?」

砂田 「あのときは《宝船の巡航》が禁止される前で、青赤デルバーっていう支配者がいましたから。それに強いバーンを持っていけば、デッキ選択の時点で有利なのは自明でした」

--「そういえばそうでしたね。ということは逆に今のモダン環境は支配者がいない上に多様性が確保されていて、モダン初心者にとってはやりやすい環境ということになりますか?」

砂田 「ですね。今のモダンはカードの値段が高いことを除けば参入の敷居は低いフォーマットだと思います」



相手の裏をかいて、『ぐぬぬ』って言わせたいんですよw

--「狙い撃ちができないからモダン環境は苦手ということですが、だったら逆にこの『神』の舞台においては、対戦相手が『挑戦者』1人に限られている時点で、砂田さんの特性は最大限発揮されるということになりませんかね」

砂田 「そういえばそうですね。相手の使ってきそうなデッキを予想して、それをメタればいいわけですからね」

--「【バーンに対するソウルシスターズ】みたいに?w」

砂田 【あのときの動画】を見た友人いわく、『1ターン目の《ゴブリンの先達》を見てウキウキしだした』らしいですからねw とにかく相手の裏をかいて、『ぐぬぬ』って言わせたいんですよw

--「いやまあお気持ちは非常によくわかりますけどねw 私も裏をかきたがる方ですしw」

砂田 「ただそのためには事前調査が欠かせませんから、対戦相手が過去に使っていたデッキを知るために、ちょちょっと【晴れる屋のデッキ検索】に相手の名前を打ちこんで……

--「うわあ、せこっ!w こんなにせこい神もいないだろうなぁw」

砂田 せこくない!w 勝ちに貪欲なだけ!!w」

--「ありがとうございましたw」





 気が合いすぎて思わず草が生えてしまったが、砂田という人間は『デッキ選択で差をつけたい』という信念を持ってマジックに臨んでいることがわかった。

 矜持に殉ずる男の生き様を、是非見届けて欲しい。