松原 一郎のGP千葉2015 ☆トップ8☆レポート

松原 一郎



0.自己紹介


初めまして。5/30~5/31に開催された【グランプリ・千葉2015】で初めてトップ8に入賞し、記事を執筆させていただくことになりました松原 一郎と申します。



一応自己紹介させていただきますと、【チーム豚小屋】の一員として、PTを目指しつつ各地を回るグラインダーとして活動をしております。また、普段から晴れる屋の大会にはよく参加しています。

初めての記事で、至らない部分も多いかと思いますが、読んでいただければ幸いです。よろしくお願い致します。


1.準備編

普段の自分であれば、GPなどの大会前であれば可能な限り練習して挑むのですが、今回はあまり時間が取れず、発売日にシールドとドラフト1回ずつやり、その翌日にシールド1回というかなり準備不足な状況でした。しかも2回のシールドとも白緑に偏ったプールで、「白緑トークン」については大部分把握したものの、他の人のプールを借りていくつかのアーキタイプには触れましたが、全く把握出来てないアーキタイプもあるという状態でした。

ただ、瀧村(※)をはじめ他のメンバーが平日も練習しており、そのフィードバックを受けつつ自身の経験も踏まえ、環境についてなんとなく把握したところ、


1: 2マナ域が重要
2: 結構テンポ環境
3: そのため土地は16がセオリー
4: 確定除去があまり強くなく、ボムが結構止まらない
5: デッキにアーティファクトが大体入るので《解呪》系はメインからとっていい
6: 飛行は正義


といった感じで、かなり大雑把な感じで大会に臨みました。


※ 編注: 瀧村 和幸。「チーム豚小屋」所属のシルバーレベル・プロプレイヤー。


2.GP初日 ~シールド~

大会当日。2byeを持っているのですが、デッキを検討する時間が欲しかったので、1byeの集合時間に現地入りしてデッキ構築をすることに。

もらったプールのレア6枚をまず確認すると……


大修道士、エリシュ・ノーン蟻の女王軋み森のしもべ

磁石のゴーレム欠片の双子容赦無い潮流




環境トップレア《大修道士、エリシュ・ノーン》に続けて緑のボムレアが2枚!!!

さらにアンコモンながらレアと比較して遜色ない《セレズニアのギルド魔道士》もあり、1枚で容易にゲームに勝利できるカードが「白緑」に4枚寄っているという非常に恵まれたプールでした。

そこで試しに「白緑」でカードをざっと並べてみたところ枚数も十分で(念のため他の色のカードも確認しましたが、タッチで使う程のカードもなく)、「白緑」というカラーの決定までは一直線でした。


メインカラーはあっさりと決まりましたが、細部については「《野生の末裔》《軋み森のしもべ》とあるから《森》9:《平地》7かな」、「でも《幽体の行列》もあるし、《空狩人の散兵》は装備品がついたらそれだけで勝てたりもするので入れたいな」、などと散々悩んで、構築時間内で組み上げたデッキがこちらになります。



松原 一郎「白緑」
グランプリ・千葉2015 シールド

8 《平地》
8 《森》

-土地(16)-

1 《古の法の神》
1 《太陽の槍のシカール》
1 《水辺の蜘蛛》
1 《セレズニアのギルド魔道士》
2 《野生の末裔》
1 《空狩人の散兵》
1 《合金のマイア》
1 《陰極器》
1 《タージ=ナールの剣鍛冶》
1 《カヴーの上等王》
1 《軋み森のしもべ》
1 《議事会の密集軍》
1 《蟻の女王》
1 《大修道士、エリシュ・ノーン》

-クリーチャー(15)-
1 《太陽の槍》
1 《巨森の蔦》
1 《天羅至の掌握》
1 《幽体の行列》
1 《隔離する活力》
1 《拘引》
1 《忘却の輪》
1 《ダークスティールの斧》
1 《帆凧》

-呪文(9)-
hareruya




セレズニアのギルド魔道士蟻の女王大修道士、エリシュ・ノーン


デッキリスト提出後は「チーム豚小屋」の皆と合流し各自デッキを確認し、フリープレイを行いました。

そして何度かフリープレイや一人回しで試した結果、都合良く回れば勝てますが、マナベースがやはり厳しく、カラートラブルによって負けることがあり、何枚かカードを入れ替える必要があると感じました。そこでデッキの中身を瀧村に見てもらい、数枚入れ替え候補となるカードを挙げてもらいました。

3ラウンド開始前までの残り時間、色々検討しましたが、結局サイド後のデッキの形を確定するまでには至らず、そのままラウンド開始となってしまいました。


Round 3 「ドメイン(5CG)」 ×○×

1本目
《森》《平地》《野生の末裔》2枚・《軋み森のしもべ》《平地》を引き、手札のカードを全く使えないまま《マトカの暴動者》《空に届くマンタ》のクロックにあっさり押しつぶされてしまいました。

2本目
相手の動きが芳しくないところに、こちらは順調に展開して《大修道士、エリシュ・ノーン》で勝ち3本目へ。


3本目
《平地》2枚・《拘引》《忘却の輪》《野生の末裔》《軋み森のしもべ》・あと何かもう1枚、という1本目とよく似たハンドに不安を感じつつもキープ。相手が《マトカの暴動者》から《刻まれた巫女》×2とブン回りを見せるなか、3枚目に引いた土地は《平地》《マトカの暴動者》《拘引》し、カード3枚引かれるのでほぼ意味をなしませんが2枚目の《刻まれた巫女》《忘却の輪》をプレイします。しかしその後、チャンプブロッカーすら用意できずあえなく敗北となってしまいました。


デッキ構築時は、『9-0も本気であり得る』と正直かなり意気込んでいましたが、初戦で負けてしまいました

4ラウンド2本目以降のため、気持ちを切り替えラウンドの残り時間を利用してデッキを検討します。
最初の瀧村のアドバイスを元にデッキを整理し、マナベースを調整しました。


in
2 《森》
1 《根の血族の同盟者》
1 《不屈の自然》

out
1 《平地》
1 《空狩人の散兵》
1 《タージ=ナールの剣鍛冶》
1 《ダークスティールの斧》



また相手のデッキに合わせて《古の法の神》を抜いて《磁石のゴーレム》《天羅至の掌握》を入れる、というところまで決め、次のラウンドに向かいます。結果は……


ラウンド 勝敗
Round 4 ×〇〇
Round 5 ×〇〇
Round 6 〇〇
Round 7 〇〇
Round 8 〇×〇
Round 9 〇〇



Round 4・5と続けて1本目カラートラブルで負けてしまいましたが、サイド後の組み替えたデッキでは順調に回って勝てました。

Round8・9の相手も勝ち上がってきているだけあってデッキが強く、激しいボムの叩きつけ合いになりましたがなんとか1敗で留まり、8-1で2日目に進めました



3.GP二日目 ~ドラフト~


■1stドラフト

1-1《ブリン・アーゴルの白鳥》から青・白を狙いつつ、流れの良い青へ。


ブリン・アーゴルの白鳥


《大気の召使い》などのカードや、緑の《細胞質の根の血族》《野生の末裔》などを順次ピックし、2-2では下家から《謎めいた命令》(Foil)が!その後も順当に青緑の路線で次々とカードが取れ、次へ。
今度は3パック目辺りで上家から《ヴェンディリオン三人衆》。途中で《シミックの成長室》2枚もピックすることができ、マナベースも安定させられました。

ドラフト中《大気の召使い》が合計5枚流れてきたことからも、卓内は青がガラ空きだったようで、結果的にパワーカードがかなり集まったデッキとなりました



松原 一郎「青緑」
グランプリ・千葉2015 1stドラフト

7 《島》
7 《森》
2 《シミックの成長室》

-土地(16)-

1 《水辺の蜘蛛》
1 《ナーリッドの群れ》
1 《突風掬い》
1 《ルーンの苦役者》
2 《雲の精霊》
2 《野生の末裔》
1 《ヴェンディリオン三人衆》
3 《細胞質の根の血族》
1 《ブリン・アーゴルの白鳥》
3 《大気の召使い》
1 《根の血族の同盟者》

-クリーチャー(17)-
1 《マナ漏出》
1 《不屈の自然》
1 《隔離する活力》
1 《謎めいた命令》
1 《睡眠発作》
1 《旅人のガラクタ》
1 《帆凧》

-呪文(7)-
hareruya




大気の召使い大気の召使い大気の召使い


Round 10 「ドメイン」 ○○
1本目《水辺の蜘蛛》から《細胞質の根の血族》を2連続でキャストし、6/6が2体で《空に届くマンタ》をサイズで越えて殴りきって勝ち
2本目は《水辺の蜘蛛》《野生の末裔》とこちらが動いている間に相手は《不屈の自然》から《空に届くマンタ》、さらに次のターンも《空に届くマンタ》とキャストしたところで《謎めいた命令》をカウンター&バウンスモードで相手の盤面が空になって勝ち。


Round 11 「白黒スピリット」(津村 健志さん) ○○
1本目は《不敬の命令》《謎めいた命令》でカウンター&タップモードで勝ち。
2本目はフルパンプした《安息無き亡霊》《謎めいた命令》でバウンスして勝ちました。


Round 12 「白緑トークン」 ○○
1本目《ブリン・アーゴルの白鳥》《大気の召使い》の飛行4点ビートで殴って勝ち。2本目は相手が2ランドでストップしてしまい勝ちました。


3-0!

トータル11-1で2ndドラフトへ進みます。




■2ndドラフト

1-1《セレズニアのギルド魔道士》ピックからスタート。緑軸でピックを進め《水辺の蜘蛛》《印章の祝福》など緑白路線を押し進めますが、その後《粘体投げの小蛙》《粘体投げの小蛙》と流れてきたため、一気に「青緑」の流れへ寄せてピックしていきました


粘体投げの小蛙粘体投げの小蛙


その後2パック目も「青緑」の流れを引き継ぎつつ、3パック目で《まばゆい魂喰い》が流れてきたことで、《合金のマイア》《探検の地図》《セレズニアの聖域》で白をタッチすることにし「青緑タッチ白」となり、できたデッキがこちらになります。



松原 一郎「青緑+白」
グランプリ・千葉2015 1stドラフト

7 《島》
7 《森》
1 《シミックの成長室》
1 《セレズニアの聖域》

-土地(16)-

3 《水辺の蜘蛛》
2 《かき鳴らし鳥》
1 《ナーリッドの群れ》
1 《セレズニアのギルド魔道士》
2 《粘体投げの小蛙》
1 《野生の末裔》
1 《合金のマイア》
1 《まばゆい魂喰い》
1 《陰極器》
2 《神秘の蛇》
1 《カヴーの上等王》
1 《藻のガリアル》
1 《カープルーザンの徘徊者》
1 《ヘリウム噴射獣》
1 《ペラッカのワーム》

-クリーチャー(20)-
1 《印章の祝福》
1 《冷静な反論》
1 《隔離する活力》
1 《探検の地図》

-呪文(4)-
hareruya




水辺の蜘蛛粘体投げの小蛙かき鳴らし鳥


Round 13 「黒赤狂喜」 ×○○

1本目は後手になり、《水辺の蜘蛛》《噴出の稲妻》されつつ「狂喜」クリーチャーを次々と展開されるという、相手のブン回りにより押し込まれて負け。以下のようにサイドカードを取り、2本目へ。


in
1 《平地》
1 《議事会の密集軍》
1 《瞬間凍結》
1 《旅人のガラクタ》

out
1 《島》
1 《ヘリウム噴射獣》
1 《印章の祝福》
1 《冷静な反論》




2本目は1マリガンし、《水辺の蜘蛛》を再び《噴出の稲妻》されスタート。《神秘の蛇》でテンポを取りつつ「お帰りランド」のおかげで《ペラッカのワーム》までつながり、ライフを10→17に巻き返して、クロック勝負をひっくり返して勝ち。

3本目は相手の序盤の攻勢が厳しく、ライフ6まで押されましたが、《ペラッカのワーム》まで何とか耐え、再びライフを引き戻しそこから殴りきって勝ちました。

こちらの相手への干渉手段が、タッパーとカウンターしかなくかなり厳しいマッチでした。サイドボーディングについては、何とか序盤を耐え、中盤以降は緑のサイズで盤面を押し切って勝つという意識でプランを考えました。結果的に2、3本目とも《ペラッカのワーム》を引き込め何とか勝てたという感じでした。



Round 14 白赤二段攻撃 ○○

1本目《水辺の蜘蛛》《粘体投げの小蛙》《かき鳴らし鳥》の「増殖」コンビが触られずクロックで押し込み勝ち。

再び相手は赤系速攻デッキだった為、先程と同様のサイドボーディングを行い、2本目へ。

2本目は序盤に《太陽打ちの槌》を装備したクリーチャーに殴られ一気にライフ8まで落ち込むも、《まばゆい魂喰い》と追加した《平地》を引き込み、相手のクロックを抑え、《カヴーの上等王》など緑の大型クリーチャーで盤面を支えて《かき鳴らし鳥》による飛行クロックで勝ちました。

2ndドラフトを2-0で終えここまでトータル13-1。この時点でプロツアー権利及び最終戦ID出来ればトップ8というところです。そして・・・


Round 15 「白青親和」(松本 友樹さん) ID
僕の下家でピックしていた松本さんが、流した「白青親和」のパーツを全て取り2-0で同じくトータル13-1となっていました。

お互いにすぐに合意しID成立となり、無事トップ8が確定しました







4.GP二日目 ~決勝ドラフト~


そして、決勝ドラフトです。

1-1《セレズニアのギルド魔道士》という絶好のスタート


セレズニアのギルド魔道士



練習の時も含め、この2日間で一番使ってきた「白緑」、出来れば緑軸で組みたいと思ってピックを進めますが、緑の流れは今一つという感じでした。

逆に流れが良かったのは赤のカードで、どうしたものかと思いつつも、数枚赤いカードを拾っていた所に《カヴーの上等王》が一周して回ってきたりして、まだ緑でやれるかもしれない……と非常にフラフラしたピックをしてしまいました

2-1では自パックから《ペラッカのワーム》が出てそれをピック。流石に下家は緑をやっていないため、緑の返しは良く、ここから緑軸のピックを進めました。途中《グルールの芝地》が流れてきて、これと《探検の地図》と合わせて赤をタッチで使うことも検討しましたが、結局「白緑」で何とかまとめていこうとし、最終的にデッキは以下のようになりました。



松原 一郎「白緑」
グランプリ・千葉2015 決勝ドラフト

8 《森》
7 《平地》
1 《セレズニアの聖域》

-土地(16)-

1 《貴族の教主》
2 《水辺の蜘蛛》
2 《ナーリッドの群れ》
1 《セレズニアのギルド魔道士》
1 《太陽の槍のシカール》
2 《空狩人の散兵》
1 《陰極器》
1 《カヴーの上等王》
1 《コジレックの捕食者》
2 《議事会の密集軍》
1 《黄昏の守護者、秘加理》
1 《根の血族の同盟者》
1 《ペラッカのワーム》

-クリーチャー(17)-
2 《巨森の蔦》
1 《力強い跳躍》
1 《急報》
2 《補強》
1 《帆凧》

-呪文(7)-
hareruya




貴族の教主空狩人の散兵ペラッカのワーム


【公式カバレージ】に書いていただきましたが、決勝ドラフトの結果は2本目でミスプレイし負け、3本目は土地が詰まってしまい、残念ながら敗北となってしまいました。




【観戦記事】準々決勝:森 勝洋(東京) vs. 松原 一郎(東京)




4.最後に

この2日間を振り返ってみると、まず初日のシールドでは非常に強いプールを引き当てる僥倖に恵まれました。組み間違いによるミスで危うくそれを逃してしまうところでしたが、サイドボード後のデッキでは深刻なフラッドやスクリュー、マリガントラブルといった事故にも遭遇せず何とか切り抜けられました。

2日目もマリガンを1回しかおらず、ドラフトでも一番経験値のあった緑絡みのデッキを使用することができるという、ツイていた状態に何とか乗り切って、GPで初のトップ8という結果を収めることができました


大会を終えてから、この1年間のことをしばらく反芻していました。去年の1月のPTQで初めて優勝し【プロツアー『ニクスへの旅』】に出場することが出来たのですが、本戦では振るわず初日落ちしてしまいました。

その後は、「もう一度絶対PTに出よう」と断固たる決意をし、国内各地のPTQやGPに同じく競技志向の強いメンバーと同行し、可能な限り参加し続ける日々。遠征先のPTQではチーム内から突破者が続々と出て、その度に皆で喜び祝うとともに、『自分も頑張るぞ』と奮起して来ました。  



この一年間でPTに参加した「豚小屋」メンバー。
左から河浜 貴和、瀧村 和幸、田中 陽


ですが、【GP名古屋】でのバブルマッチやPTQでのトップ8など、あと少しで手が届きそうな所までは何度か行ったものの、最終的に全て勝ちきれず、

「あんなに練習したのに……」

という、非常に悔しい結果ばかりが残っていました。


そして今回は、参加人数も過去最大でトップ8へのハードルはいつもより確実に高く、さらに準備もあまりできていないという、「勝つべくして勝つ」という状態とは正反対のGPでした。

それでも結果が残せた要因を考えてみると、初日のシールドプールでの組み間違いを的確に指摘してくれた瀧村を始め、2日目の試合中も後ろで見てコンバット時のプレイ、クリーチャーのキャスト順など細かく一緒に検討してくれた仲間の存在が非常に大きかったと思います。

初日のRound 3終了後や、準々決勝など、負けた試合であれば「本当に勝ち筋はなかったか」と、反省することは誰しもできると思います。ですが、勝った試合においてミスがなかったかを検証するのは、勝利の安堵感も相まってなかなか難しいことです

それが出来る信頼関係をお互いに築いてきたこと、それが今回の結果に繋がったのではないかと思っています



【グランプリ・台北2014】にて。
「チーム豚小屋」初のGPトップ8に入った瀧村を祝って記念撮影。


長々と最後に思いの丈を綴ってしまい、読み辛い部分もあったかとは思いますが、最後までお読みいただいてありがとうございました!



※編注:記事内の画像は、以下のサイトより引用させていただきました。
『マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト』
http://mtg-jp.com/
『Twitter @_Hanoi』
https://twitter.com/_Hanoi/status/493631450558631938


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