Super Crazy Zooのまわし方

伊藤 敦

伊藤 敦



 【Super Crazy Zoo調整録】を書いて以降、私のもとには国内・国外を問わずたくさんのメッセージが寄せられた。

 その多くは私のデッキを気に入ってくれた人からの感謝や賞賛の言葉だったが、2番目に多かったのは、「どうやってプレイするのか教えて欲しい」「サイドボードのインアウトはどうすればいいのか」といったプレイング面での質問だった。

 そこで。

 私自身このデッキについては一人回しが主で、サイド後のゲームも含めた対戦をそう多くこなしたわけではないが、これから「Super Crazy Zoo」を使うという人のために製作者として簡単なTIPSを用意したので、役立ててみて欲しい。






■ 1. Super Crazy Zooの最新リスト

 まずは現状のリストをお届けしよう。



「Super Crazy Zoo(最新版)」

1 《血の墓所》
1 《草むした墓》
1 《聖なる鋳造所》
1 《寺院の庭》
4 《湿地の干潟》
4 《樹木茂る山麓》
2 《血染めのぬかるみ》
1 《乾燥台地》
2 《新緑の地下墓地》

-土地(17)-

4 《ステップのオオヤマネコ》
4 《野生のナカティル》
4 《死の影》
3 《僧院の速槍》
4 《通りの悪霊》

-クリーチャー(19)-
4 《ギタクシア派の調査》
4 《変異原性の成長》
4 《稲妻》
4 《ティムールの激闘》
4 《強大化》
4 《ミシュラのガラクタ》

-呪文(24)-
4 《わめき騒ぐマンドリル》
4 《思考囲い》
4 《滋養の群れ》
2 《否定の契約》
1 《古えの遺恨》

-サイドボード(15)-
hareruya



 変更点はサイドボードのみ(《乾燥台地》を1枚《新緑の地下墓地》に変えたが、《乾燥台地》のままでも特に問題はない)で、《滋養の群れ》《否定の契約》を採用した。


滋養の群れ否定の契約


 《ファイレクシアの非生》は一度見せると《破壊的な享楽》《摩耗+損耗》などをサイドインされて割られてしまうし、そもそも重いので後手だと置けるかどうかも怪しい。

 その点《滋養の群れ》はピッチスペルなので任意のタイミングで撃てるし、これに対して対戦相手の側に有効なサイドボードはほとんどない(《頭蓋割り》を合わせることも困難だ)ので、引けば引いただけ勝てる確率が上がる。《わめき騒ぐマンドリル》も同時にサイドインするので、0マナ6点ゲイン=0マナで火力2枚カウンターはほぼ確実だ。

 このカードを4枚採用したことによりバーンとの相性は劇的に改善した。


 《否定の契約》については、《流刑への道》《呪文嵌め》《突然の衰微》など軽量呪文で妨害してくる対戦相手に対して《強大化》《ティムールの激闘》コンボを完遂するのが困難なことから、サイドボードに(《思考囲い》に加えて)《使徒の祝福》《ドライアドの東屋》《オルゾフの魔除け》などを入れて試してみたのだが、いずれも良い感触が得られなかったという経緯があった。


使徒の祝福ドライアドの東屋オルゾフの魔除け


 そして結論として、これらの対戦相手に対してはフィニッシュターンに余分なマナが必要なスペル(《使徒の祝福》)やコンボの完遂のためにターンを要するカード(《ドライアドの東屋》《オルゾフの魔除け》)では結局意味がない、すなわちコンボターンに0マナで妨害手段をカウンターできるカードがベストという考えに至った。

 そのため、《否定の契約》に白羽の矢が立ったのだ。





■ 2. <ミシュラのガラクタ>の使い方

 このカードはただデッキの圧縮や「探査」の燃料のためだけに入っているのではない。


ミシュラのガラクタ樹木茂る山麓ギタクシア派の調査


 フェッチランドのようなシャッフル手段と組み合わせると、このカードは擬似的に「『占術1』をタダで行えるカード」に早変わりするのだ。


《ミシュラのガラクタ》による「占術1」のやり方

1. メインフェイズで《ミシュラのガラクタ》を自分に起動する。
2. 不要なカードならフェッチランドで土地をサーチ、ライブラリをシャッフルする。
3. 《ギタクシア派の調査》《通りの悪霊》で新鮮なライブラリトップを引く。


 もしライブラリトップが必要なカードだったなら、2.と3.の手順を逆にすれば良い。

 《ギタクシア派の調査》《通りの悪霊》がない場合でも、スロートリップで構わないならこの「占術1」のテクニックは有効だ。

 《血清の幻視》のような軽いドロー操作を撃つマナすらも惜しい「Super Crazy Zoo」だからこそ、「占術1」の有無はゲームの勝敗に直結してくる。

 手札状況によっては《僧院の速槍》による「果敢」の誘発より「占術1」の方を優先する局面も多い。

 もちろん「占術1」のオプションがない場合や、「占術1」をするためには1ターン待たなくてはいけない場合などは、対戦相手に起動してしまって構わない。

 なおその場合でも、《変異原性の成長》《稲妻》ドローによりインスタントのアクションが増える場合でない限りは、対戦相手のアップキープに起動することで、《ギタクシア派の調査》《思考囲い》による弊害を防ぐことができる(ちなみにこの場合自分のターンのアップキープにドローすることになるが、忘れやすいので気を付けよう)。

 《ミシュラのガラクタ》を使いこなし、是非3キル率を高めて欲しい。





■ 3. マリガン判断について

 一見ピーキーに見えるこのデッキだが、マリガン率は実はそれほど高くはない。


野生のナカティルギタクシア派の調査稲妻湿地の干潟


 15枚のクリーチャー、12枚の追加ドロー、16枚のスペル、17枚の土地。このデッキを役割ごとに分解するとこの4種類しかなく、それぞれの要素を少なくとも1枚ずつ引いていれば大抵はキープハンドになるからだ。

 では、どんなときにマリガンするのか?

 抽象的には、勝てないハンドはマリガンするべきということになる。

 そこで、どんな手札が「勝てないハンド」にあたるのか?

 基本的なマリガンパターンは4つに大別される。


・ SCZのマリガンパターン

1. 4枚以上の土地があり、対戦相手のライフを0にするヴィジョンがない
2. 土地がない or 1枚で、十分な追加ドローがない
3. クリーチャーがない or 直接引いてしまったギルランから出ない上に、十分な追加ドローがない
4. 《強大化》《ティムールの激闘》のいずれかが3枚以上重なっている



 1.については判断が容易な場合が多い。土地が4枚でもキープできるパターンは、他のアーキタイプよりも圧倒的に少ないからだ。





 これ以上1枚も土地ドローを許容できない上に、引いている3枚のスペルも打点が低いものばかり。マリガンした方が無難だろう。



 2.と3.は少し難しい判断になる。クリーチャーや土地が多少足りなくても、十分なキャントリップがあれば足りない部分のドローを期待していいパターンが存在するからだ。特に《強大化》《ティムールの激闘》コンボが揃っている場合や《ミシュラのガラクタ》がある場合、慎重にマリガンを検討する必要がある。





 これは先手でも後手でもマリガンする好例だ。キャントリップが1枚あるものの、後手でも1枚目の土地を引くチャンスが2回のドローしかなく、引けないと即負けである。






 一方、この手札は「占術1」を駆使すれば2ターン目までに最大4枚のカードを見ることができる。クリーチャードローを期待できるのでキープした方が良い。



 4.も即マリガンというわけではなく、あくまでスペルが有効活用できずに相手を倒しきれないと想定される場合にのみマリガンしよう。





 この手札はかなり限界事例に近いが、先手ならギリギリキープしうる。2枚目の《変異原性の成長》をトップすれば3キルも夢ではない。1枚目の《ティムールの激闘》は2ターン目にプレイすることになるだろう。



 これはSCZに限った話ではないが、マリガン基準を覚えたければ、デッキの上からひたすら上から7枚を引き続けて都度キープかマリガンかを判断していく手法がオススメだ。この方法はデッキの強度を測る指標にもなる。あまりにもマリガン率が高い場合、そのデッキにはどこかしら欠陥がある場合が多い。

 とはいえ、もちろん先手後手や対戦相手のデッキと自分のサイドボードによってマリガンの基準は変わってくるので、結局は実戦経験を積むのが一番ではある。








■ 4. 追加ドローするべきタイミング

 手札に来た《ギタクシア派の調査》《ミシュラのガラクタ》《通りの悪霊》をプレイ/サイクリングすべきタイミングはいつか?


ギタクシア派の調査ミシュラのガラクタ通りの悪霊


 手札に来たらすぐさま追加ドローすればいい、というものでもない。

 これについては、主に2通りのパターンがある。


・ 追加ドローするべきタイミング

1. 土地を引きたい場合、フェッチする前に追加ドローする。
2. スペルを引きたい場合、フェッチしてから追加ドローする。


 当たり前の話だが、土地をサーチする前と後とでは土地をドローする確率が変わる。その手札に土地が必要かそうでないかを判断した上で、それに沿った最適なアクションを追求するべきである。

 2.のケースのうち、特に「ほとんどのドローではそのターンのアクションが変わらない場合」などは、追加ドローを2ターン目のフェッチ起動後まで溜めた方が良い。「《ミシュラのガラクタ》をドローする」という裏目はあるが、それ以上に十分な土地がある状況では直接ギルドランドをドローするのが最悪の裏目なので、追加ドローはできる限りデッキを圧縮してからにしたい。

 スロートリップとなる《ミシュラのガラクタ》は即プレイ&起動した方が良いように思われるかもしれないが、必ずしもそうとは限らない。

 「占術1」が生きる場合も考えられるし、他には例えば1.と2.に含まれない特殊なケースとして、《僧院の速槍》《ギタクシア派の調査》《ミシュラのガラクタ》とのシナジーがある。《僧院の速槍》を2枚引いている場合などは、「果敢」1回分の誘発の影響力はかなり大きいので、あえて《ギタクシア派の調査》《ミシュラのガラクタ》をプレイしないことが正解になりうる。





■ 5. プレイについて

 気を付けるべき事項としては、フェッチの使用順&土地のサーチ順/クリーチャーの展開順/その他の3つに大別される。


・ フェッチの使用順&土地のサーチ順

1. 必ず「完全フェッチ」が手札に残るように、「不完全フェッチ」から使用していく。
2. 土地2枚で「緑白/赤黒」か「赤白/緑黒」を揃えるのが基本形。
3. しかし「不完全フェッチ」の噛み合いや手札状況によっては、1色欠けを許容せざるをえないこともある。
4. 1ターン目に《野生のナカティル》《変異原性の成長》が手札にあり、相手のデッキに《稲妻》が入っている可能性があるときは、(展開を阻害しない限り)《草むした墓》ではなく《寺院の庭》から《野生のナカティル》をプレイする。


 【Super Crazy Zoo調整録】で詳述した部分だが、フェッチの中にも強いものと弱いものがある。

 1枚目のギルランが「不完全フェッチ」で持ってこられない場合は別として、《樹木茂る山麓》《湿地の干潟》は他のフェッチと比べてなるべく後回しにしてセットしよう。

 また同一のクリーチャーやスペルを複数枚重ねて引いた場合など、打点の関係で赤緑黒白のうち1色を切り捨てる選択が正当化される場合が多々発生する。

 もちろん4色揃えられるにこしたことはないが、基本的にゲームに勝利するためには「そのときの手札を効率よく使いきること」が優先される。裏目は想像せずに強気に「1色欠け」を選択できるよう、どういったケースなら「1色欠け」でサーチするのか、一人回しを繰り返して体で覚えておいた方が良い。

 他には、当たり前の話だが《野生のナカティル》は2/2の状態で《変異原性の成長》を撃てば《稲妻》をかわせるので、《稲妻》を撃たれると困る場合は《寺院の庭》から展開した方が良い。



・ クリーチャーの展開順

1. 基本的には打点順に展開するので、《ステップのオオヤマネコ》《野生のナカティル》《僧院の速槍》である。
2. 《死の影》の展開順は、もし出せるならば(《稲妻》で除去されそう、次のターンにライフが減らせなさそうといった特殊な事情がない限り)全てのクリーチャーに優先する。
3. 特定のクリーチャーを2枚以上引くなど、基本を守ると展開を阻害して打点が下がりそうな場合、打点が高くなるように展開する。


 これについてはそんなに難しいことはないだろう。もちろんフェッチがないときには《ステップのオオヤマネコ》の展開順は《野生のナカティル》より下がるし、ときには《ステップのオオヤマネコ》の展開を諦める選択も必要になるが、基本的には《ステップのオオヤマネコ》が最強である。



 またその他のプレイングのTIPSとして、《死の影》がいる状況では《稲妻》を自分に対してプレイすることも多々あるということは覚えておこう。2回以上殴れる盤面だったり、《ティムールの激闘》が手札にあるならば、相手に撃つより自分に撃った方が2倍の打点が稼げる。





■ 6. 主要なマッチアップでのサイドボーディング


・ 対 アブザンジャンク





 《僧院の速槍》は相手の手札破壊でリソースを削られると「果敢」が誘発しにくくなるので、リソースが削れた後に強い《わめき騒ぐマンドリル》と交換する。

 相手のデッキに《稲妻》が入っていない場合、《変異原性の成長》はよくサイドアウトされる。

 またアブザンジャンクは《稲妻》で除去したいクリーチャーが《貴族の教主》くらいしか入っていないので枚数を減らす。ただ《わめき騒ぐマンドリル》の「探査」を駆使すると《タルモゴイフ》を除去できることもあるし、《ヴェールのリリアナ》でロックされないためにも数枚は残した方が良いだろう。

 手札破壊と《突然の衰微》があるデッキに対して《否定の契約》はあまり効果的ではない。

 ただし、Little Kid Junk(Jacob Wilsonの緑白タッチ黒)のように盤面を固めた上でピンポイントの《流刑への道》でのみ妨害してくるデッキに対しては、《否定の契約》までサイドインした方が良い。



・ 対 欠片の双子





 《呪文滑り》をプレイされるかどうか、基本的にはそれに尽きるマッチアップ。《呪文滑り》がいない状況で戦闘開始ステップに《詐欺師の総督》《やっかい児》をプレイされると大体勝てる。

 《稲妻》《神々の憤怒》などがあるデッキなので《変異原性の成長》はなるべく残したいが、防御的にカードを使ったらそれはそれで勝てなくなるので全部残すかと言われると難しいところだ。

 4/4以上のサイズの《死の影》をプレイして対戦相手の行動の選択肢を早めに狭めると楽になる。ただしライフを減らしすぎてうっかり《稲妻》《瞬唱の魔道士》で死なないように気を付けよう。



・ 対 バーン





 最も特殊なサイドボードをするのがこのマッチアップだ。

 《ステップのオオヤマネコ》はブロッカーにならない上に単体で相手のライフを削りきるパワーがなく、基本的に《焼尽の猛火》《灼熱の血》の的になるだけなのでサイドアウトする。

 「まともにやったら勝てない」ことを前提としているので、プレイング面でも通常のプランと大きく異なる。

 サイドボード後はギルドランドはできる限りタップインで処理し、《ミシュラのガラクタ》の「占術1」を駆使しながら《滋養の群れ》とリムーブ用の《わめき騒ぐマンドリル》《強大化》を探す。

 《ゴブリンの先達》《僧院の速槍》《大歓楽の幻霊》などの継続クロックは、《野生のナカティル》《わめき騒ぐマンドリル》《稲妻》で止める。

 《思考囲い》《わめき騒ぐマンドリル》のキャストに役立つほか、サイドインされることが多い《跳ね返す掌》を落とすのに役立つ。

 ライフがある程度減ったところで《死の影》を投入し、相手が「物理的に勝ちでしょ」とか思いながら本体火力連打で決めにきたところを《滋養の群れ》で華麗にかわして、返しで《ティムールの激闘》を叩き込もう。



・ 対 感染





 このマッチアップでは通常のZooと同じように振る舞う。すなわち、速やかにクロックを展開し、《稲妻》《思考囲い》で的確に妨害する。

 基本的に展開速度もキルターンもこちらの方が早いので、《呪文滑り》以外で苦戦することはほとんどない。

 《巨森の蔦》をこちらのクリーチャーに撃たれて《強大化》《ティムールの激闘》コンボを妨害されることと、《貴族の教主》《巨大化》系を連打されての通常ダメージ死には気を付けよう。





■ 7. 終わりに

 いかがだっただろうか。

 このデッキはモダンの主要なデッキと十分渡り合えるポテンシャルを持っている上に、まだまだ進化の余地は残されている。


墓忍び死後の一突き流刑への道


 「Super Crazy Zoo」で、是非3キルライフを満喫して欲しい。