こんにちは!
今日は昨日終わったばかりの【グランプリ・シャーロット2015】の【トップ32デッキリスト】の中から、上位デッキと面白いデッキを見ていきたいと思います。
【先々週の勝ち組は、間違いなく「土地絡みのコンボデッキ」でした】が、今週は意識されたせいか、全くといっていいほど結果が残せなかったのが印象的です。
今回は久しぶりの「モダン・グランプリ」ということもあってか、いつにも増して力作が多かったので、最後までお付き合いのほどよろしくお願いいたします!
まずは、先週末の主役となった《集合した中隊》を使ったデッキからご覧ください。
■ 「エルフ・カンパニー」
5 《森》 4 《魂の洞窟》 4 《剃刀境の茂み》 3 《ニクスの祭殿、ニクソス》 1 《先祖の院、翁神社》 1 《ペンデルヘイヴン》 -土地(18)- 4 《エルフの神秘家》 4 《遺産のドルイド》 4 《ラノワールのエルフ》 4 《イラクサの歩哨》 4 《エルフの幻想家》 1 《獣相のシャーマン》 1 《漁る軟泥》 1 《呪文滑り》 4 《エルフの大ドルイド》 3 《背教の主導者、エズーリ》 1 《エルフのチャンピオン》 1 《永遠の証人》 1 《再利用の賢者》 1 《スラーグ牙》 -クリーチャー(34)- |
4 《召喚の調べ》 4 《集合した中隊》 -呪文(8)- |
3 《台所の嫌がらせ屋》 3 《内にいる獣》 2 《四肢切断》 2 《引き裂く突風》 1 《ブレンタンの炉の世話人》 1 《呪文滑り》 1 《静翼のグリフ》 1 《再利用の賢者》 1 《ナイレアの弓》 -サイドボード(15)- |
2,870名ものプレイヤーが集った今大会を制したのは、《集合した中隊》を活用した「エルフ・カンパニー」でした。
デッキ自体は【コガモダン vol.9】でも紹介しておりますが、当時よりも「土地絡みのコンボデッキ」が増えたことを受け、《内にいる獣》が増量されていること、「黒緑」系のデッキに強い《スラーグ牙》が採用されていることには要注目です。
サイドボードの《ナイレアの弓》は用途が分かりづらいですが、《秘密を掘り下げる者》、《羽ばたき飛行機械》といった飛行クリーチャーや、「バーン」デッキ対策が主な役割です。
僕が「ジャンド」を使っているときに、《ナイレアの弓》をキャストされて《タルモゴイフ》が壁として機能しなくなってしまったこともあるので、大物クリーチャー対策という意味合いも兼ねているかもしれません。
今大会で最も成功を収めたのは、この「エルフ・カンパニー」を筆頭とした《集合した中隊》の入ったデッキでした。【トップ32デッキリスト】に実に8名を送り込む大躍進で、「エルフ・カンパニー」以外の形も結果を残しています。
■ 「アブザン・カンパニー」
1 《森》 1 《平地》 1 《沼》 2 《草むした墓》 2 《寺院の庭》 1 《神無き祭殿》 4 《新緑の地下墓地》 4 《吹きさらしの荒野》 2 《地平線の梢》 2 《剃刀境の茂み》 2 《ガヴォニーの居住区》 -土地(22)- 4 《極楽鳥》 3 《貴族の教主》 2 《臓物の予見者》 2 《族樹の精霊、アナフェンザ》 2 《シルヴォクののけ者、メリーラ》 2 《漁る軟泥》 2 《根の壁》 1 《クァーサルの群れ魔道士》 1 《呪文滑り》 4 《台所の嫌がらせ屋》 3 《永遠の証人》 1 《悪鬼の狩人》 1 《静寂の守り手、リンヴァーラ》 1 《残忍なレッドキャップ》 1 《目覚ましヒバリ》 -クリーチャー(30)- |
4 《召喚の調べ》 4 《集合した中隊》 -呪文(8)- |
4 《潮の虚ろの漕ぎ手》 4 《大爆発の魔道士》 2 《突然の衰微》 1 《ブレンタンの炉の世話人》 1 《戦争の報い、禍汰奇》 1 《コーの火歩き》 1 《弁論の幻霊》 1 《オルゾフの司教》 -サイドボード(15)- |
こちらも【コガモダン vol.9】で紹介していた「アブザン・カンパニー」。
当時との決定的な違いは、やはり「土地絡みのコンボデッキ」を意識して《大爆発の魔道士》が採用されたことでしょう。
この手の《集合した中隊》を使ったデッキは、とりわけ「土地絡みのコンボデッキ」を苦手としているため、これは納得の変更と言えます。
この2種類の《集合した中隊》を使ったデッキは、この手のアーキタイプの中でも前評判が高かったものですが、殿堂顕彰者であるPaul Rietzlたちは、よりアグレッシブなアプローチで結果を残しました。
■ 「ナヤ・カンパニー」
2 《森》 1 《山》 1 《平地》 2 《踏み鳴らされる地》 1 《聖なる鋳造所》 1 《寺院の庭》 4 《乾燥台地》 4 《吹きさらしの荒野》 4 《樹木茂る山麓》 1 《地平線の梢》 1 《ケッシグの狼の地》 -土地(22)- 4 《貴族の教主》 4 《野生のナカティル》 1 《極楽鳥》 4 《タルモゴイフ》 3 《クァーサルの群れ魔道士》 3 《漁る軟泥》 4 《聖遺の騎士》 4 《ロクソドンの強打者》 -クリーチャー(27)- |
4 《稲妻》 4 《流刑への道》 3 《集合した中隊》 -呪文(11)- |
3 《コーの火歩き》 2 《渋面の溶岩使い》 2 《スレイベンの守護者、サリア》 2 《月の大魔術師》 2 《石のような静寂》 1 《戦争の報い、禍汰奇》 1 《血染めの月》 1 《窒息》 1 《忌むべき者のかがり火》 -サイドボード(15)- |
《貴族の教主》、《野生のナカティル》、《聖遺の騎士》といった懐かしの面子が集うデッキが、こちらの「ナヤ・カンパニー」。
これぞ「ナヤ」と言わんばかりのオーソドックスな構成で、中速デッキに強い構成になっています。最近ではすっかり見かける機会が少なくなってしまいましたが、《ロクソドンの強打者》は「ジャンド」の《ヴェールのリリアナ》であったり、青いデッキ全般に強い優良カード。
サイドボードには《集合した中隊》用に《月の大魔術師》が採用されていたりと、苦手なデッキに対してもしっかりとした対策が施されています。
これらのデッキリストだけでも、いかに「土地絡みのコンボデッキ」へのマークがきつかったかを垣間見ることができますね。このような移り変わりの速さこそがモダン環境の怖さであり、デッキ選択がいかに重要かを物語っています。
さて、そんなわけで様々なバリエーションで結果を残した《集合した中隊》デッキですが、それに続く好成績を残したのは「《欠片の双子》コンボ」でした。
■ 「青赤《欠片の双子》コンボ」
4 《島》 1 《山》 3 《蒸気孔》 1 《踏み鳴らされる地》 4 《霧深い雨林》 4 《沸騰する小湖》 3 《硫黄の滝》 2 《僻地の灯台》 1 《魂の洞窟》 -土地(23)- 4 《瞬唱の魔道士》 4 《詐欺師の総督》 2 《やっかい児》 1 《ヴェンディリオン三人衆》 -クリーチャー(11)- |
4 《稲妻》 4 《血清の幻視》 2 《払拭》 1 《のぞき見》 1 《呪文貫き》 1 《呪文嵌め》 4 《差し戻し》 1 《焙り焼き》 2 《電解》 2 《謎めいた命令》 4 《欠片の双子》 -呪文(26)- |
2 《嵐の神、ケラノス》 2 《古えの遺恨》 2 《神々の憤怒》 2 《血染めの月》 1 《渋面の溶岩使い》 1 《呪文滑り》 1 《ザルファーの魔道士、テフェリー》 1 《引き裂く流弾》 1 《否認》 1 《焙り焼き》 1 《思考を築く者、ジェイス》 -サイドボード(15)- |
トップ8に2名を輩出したこのデッキ。近頃では《黄金牙、タシグル》や《コラガンの命令》の入った「タッチ黒」がポピュラーになっていましたが、今回結果を残したのは「青赤」2色のものでした。
これは【<突然の衰微>が最優先される環境ではなくなってきたこと】、【妨害手段に乏しいコンボデッキの増加】により、コンボ特化の方が結果が出やすい環境が整ったためではないかと思います。
特に《突然の衰微》の減量は、どのバージョンの「《欠片の双子》コンボデッキ」であれ歓迎すべき嬉しい変化ですね。
このリストは《魂の洞窟》や《ザルファーの魔道士、テフェリー》など、細部に微調整の行き届いた素晴らしい構成だと思います。
Magic Online上でも活躍の著しいSamuel Pardee。モダングランプリで毎回のようにトップ8に残っているプレイヤーですし、このリストに限らず、彼のデッキには要注目です。
ここまでは、これまでも第一線で活躍してきたデッキをご紹介させていただきましたが、今回のグランプリのすごさが分かるのはここからです。モダンの奥深さをとくとご覧あれ!
■ 「《むかつき》コンボ」
2 《平地》 4 《宝石鉱山》 4 《闇滑りの岸》 4 《金属海の沿岸》 4 《欺瞞の神殿》 1 《啓蒙の神殿》 2 《戦慄艦の浅瀬》 -土地(21)- 4 《猿人の指導霊》 -クリーチャー(4)- |
3 《否定の契約》 4 《天使の嗜み》 4 《血清の幻視》 4 《手練》 3 《大霊堂の戦利品》 2 《稲妻の嵐》 4 《むかつき》 3 《ファイレクシアの非生》 4 《睡蓮の花》 4 《五元のプリズム》 -呪文(35)- |
4 《神聖の力線》 3 《暗黒》 2 《エスパーの魔除け》 1 《研究室の偏執狂》 1 《否定の契約》 1 《殺戮の契約》 1 《万の眠り》 1 《撤廃》 1 《貴族階級の嘲笑》 -サイドボード(15)- |
こちらは《天使の嗜み》と《むかつき》のコンボを利用し、最終的にライブラリーを引き切ってから、巨大な《稲妻の嵐》で勝利するコンボデッキ。
このデッキは古くからモダンに存在するデッキですが、これまではあまり目立つことがありませんでした。
その主因は、キルターンの遅さです。《睡蓮の花》を採用していることからも分かるように、このデッキの平均キルターンは4ターン目以降です。
《否定の契約》か《天使の嗜み》、または両者の組み合わせで1ターンを稼いだりもできますが、他のコンボデッキと比べて単純なスピードが遅いことは致命的な問題です。
また、特定のカードに依存しているため、代替品がなく、手札破壊に弱いという欠点もありました。
ただし、このリストは《大霊堂の戦利品》を採用してコンボ成立の確率を高めてあります。
また、このアーキタイプにしかない強みがあることも確かで、それは(1)コンボデッキらしく有利なマッチアップがあること、(2)特定のコンボ対策カードが効かないことです。
ひとつめの(1)コンボデッキらしく有利なマッチアップがあること、の代表格は「バーン」デッキです。メインから《ファイレクシアの非生》が3枚入っているだけでも十分過ぎるほどですが、サイドボード後には《神聖の力線》が4枚入って、さらにその相性差に拍車がかかります。
「バーン」デッキという、モダンで非常にポピュラーなデッキに対して有利が付くことは、このデッキの強みのひとつです。
もうひとつの(2)特定のコンボ対策カードが効かないこと、で顕著な例は、「土地絡みのコンボデッキ」対策としてお馴染みの《大爆発の魔道士》と《血染めの月》です。
全ての土地に影響を及ぼす《血染めの月》はともかくとして、《大爆発の魔道士》はこのデッキにとって無害そのもの。世間の意識が「土地絡みのコンボデッキ」に向いていたため、これらのカードが増えたことは、「《むかつき》デッキ」にとってこれ以上ない追い風になったのではないかと思います。
もちろん、このデッキを使用したプレイヤーのカード選択やプレイングが最も重要であったことは言うまでもないことですが、こういった環境的な後押しもこのデッキの躍進を支えた理由のひとつだと思われます。
今回のトップ8で、もうひとつ異彩を放っていたデッキがあったので、続いてはそちらをご覧ください。
■ 「《御霊の復讐》デッキ」
5 《沼》 2 《山》 2 《血の墓所》 4 《血染めのぬかるみ》 4 《悪意の神殿》 2 《黒割れの崖》 -土地(19)- 4 《猿人の指導霊》 4 《グリセルブランド》 2 《怒れる腹音鳴らし》 4 《世界棘のワーム》 -クリーチャー(14)- |
4 《信仰無き物あさり》 1 《有毒の蘇生》 4 《御霊の復讐》 4 《夜の囁き》 4 《滋養の群れ》 2 《捨て身の儀式》 2 《魔力変》 2 《苦しめる声》 4 《裂け目の突破》 -呪文(27)- |
4 《血染めの月》 3 《否定の契約》 3 《紅蓮地獄》 2 《思考囲い》 1 《真髄の針》 1 《防御の光網》 1 《倦怠の宝珠》 -サイドボード(15)- |
《御霊の復讐》で《グリセルブランド》を釣り上げるコンボデッキ。
《御霊の復讐》と言えば、釣り上げるクリーチャーは《グリセルブランド》か《引き裂かれし永劫、エムラクール》と相場は決まっていたのですが、驚くべきことに、このリストに《引き裂かれし永劫、エムラクール》は含まれていません。その代わりに採用されているクリーチャーこそが、このデッキを革新的と呼ぶに至らしめた逸材です。
《世界棘のワーム》。【バトルワーム】で主役を担ったこのクリーチャーが、ついにモダンで活躍の機会を得ました。ただし、こいつは《引き裂かれし永劫、エムラクール》とは違って伝説のクリーチャーではないので、《御霊の復讐》で釣ることはできません。では、単純な性能で《引き裂かれし永劫、エムラクール》に劣るこのカードが優先されている理由は何でしょう?
それをひも解くカードは、【Super Crazy Zooでも採用されているこのカード】です。
そうなんです。このカードの代理コストのために、《引き裂かれし永劫、エムラクール》ではなく、緑のカードである《世界棘のワーム》が優先されているのです。
ここで思い浮かぶのは、なぜ《滋養の群れ》が採用されているのか、という疑問でしょう。
「バーン」やビートダウンデッキ対策?「連携(秘儀)」用の追加の「秘儀」呪文?確かにそういった要素も兼ねているとは思いますが、それはあくまでおまけ程度に過ぎません。
このカードを採用する最大のメリット。それは、インスタントタイミングで勝利することが可能になる点です。
具体的な手順は以下の通り。
1.《御霊の復讐》か《裂け目の突破》で《グリセルブランド》を戦場に出す
2.《グリセルブランド》の能力でカードを引く
3.《滋養の群れ》で《世界棘のワーム》をコストにライフを得て、《グリセルブランド》でさらにカードを引く
4.手札に《猿人の指導霊》と《捨て身の儀式》が計5枚、そして《怒れる腹音鳴らし》と《裂け目の突破》が揃ったら準備完了
5.《猿人の指導霊》などから捻り出したマナで、《裂け目の突破》で《怒れる腹音鳴らし》を戦場に
6.あとは《怒れる腹音鳴らし》で土地を投げまくって勝利
2.《グリセルブランド》の能力でカードを引く
3.《滋養の群れ》で《世界棘のワーム》をコストにライフを得て、《グリセルブランド》でさらにカードを引く
4.手札に《猿人の指導霊》と《捨て身の儀式》が計5枚、そして《怒れる腹音鳴らし》と《裂け目の突破》が揃ったら準備完了
5.《猿人の指導霊》などから捻り出したマナで、《裂け目の突破》で《怒れる腹音鳴らし》を戦場に
6.あとは《怒れる腹音鳴らし》で土地を投げまくって勝利
上記手順は、全てインスタントタイミングで行動できるカードばかりなので、対戦相手がこちらのエンド前などに動いてきた瞬間に勝つことができます。これは特に「青赤《欠片の双子》コンボ」デッキに対して有効で、どのタイミングであれタップアウトしたら負けてしまうコンボは強力です。
なお、墓地に《怒れる腹音鳴らし》がある場合には、「手順5」は《裂け目の突破》ではなく《御霊の復讐》でも代用できます。その際には《魔力変》が黒マナを捻出してくれるので、色マナもばっちりな安心設計になっております。
ただし、この「インスタントコンボ」は必要枚数が多いため、実現するためにはデッキ内に《滋養の群れ》が必要不可欠というわけですね。
従来の「《御霊の復讐》デッキ」は、《御霊の復讐》や《裂け目の突破》で出したクリーチャーを《やっかい児》や《詐欺師の総督》でタップされてしまうため、「青赤《欠片の双子》コンボ」デッキに相性が悪いという難点がありました。
しかし、「インスタントコンボ」を仕込んだこのリストならば、対戦相手も不用意にタップアウトできませんし、《滋養の群れ》の採用は実に画期的かつ実用的な素晴らしいアイディアですね。
《滋養の群れ》は「インスタントコンボ」以外でも、《御霊の復讐》や《裂け目の突破》の「連携(秘儀)」もとになってくれるので、カウンター呪文に耐性がついたりもします。これは《捨て身の儀式》にも同様のことが言えます。
というわけで、実に画期的な手法を組み込んだお洒落なリストに仕上がっております。惜しくも優勝とはいきませんでしたが、《御霊の復讐》好きのみなさまはインスタントタイミングで勝てるようになった「《御霊の復讐》デッキ」をぜひお試しください。
ここまででも、おそらく多くの方に満足いただけたのではないかと思いますが、今回のグランプリにはさらなる驚愕のデッキがありました。最後に、そちらをご覧いただいてお別れしましょう。
■ 「ランタン・コントロール」
4 《空僻地》 4 《ラノワールの荒原》 2 《黒割れの崖》 2 《銅線の地溝》 1 《氷の橋、天戸》 2 《アカデミーの廃墟》 2 《幽霊街》 -土地(17)- 3 《呪文滑り》 -クリーチャー(3)- |
4 《古きものの活性》 3 《ギタクシア派の調査》 3 《コジレックの審問》 2 《強迫》 2 《外科的摘出》 2 《突然の衰微》 3 《オパールのモックス》 4 《写本裁断機》 4 《グール呼びの鈴》 4 《洞察のランタン》 3 《真髄の針》 2 《黄鉄の呪文爆弾》 4 《罠の橋》 -呪文(40)- |
4 《太陽のしずく》 3 《自然の要求》 3 《紅蓮地獄》 2 《溶接の壺》 1 《墓掘りの檻》 1 《古えの遺恨》 1 《ナイレアの弓》 -サイドボード(15)- |
最後を飾るのは、世にも奇妙な「ランタン・コントロール」です。このデッキ名を聞いて、《彩色の灯籠》からパワーカードを連打するコントロールデッキを想像した方もいらっしゃるかと思いますが、このデッキで使用されている「ランタン」とは、《彩色の灯籠》ではなく《洞察のランタン》です。
「プレイヤーは、自分のライブラリーの一番上のカードを公開した状態でプレイする。」
この摩訶不思議な能力を一体どのように活用するのか。その答えは実にシンプルです。
この2種類のカードと《洞察のランタン》を併用すれば、対戦相手のライブラリーのトップから危険なカードを排除することができます。《写本裁断機》か《グール呼びの鈴》が1枚しかなければ、対戦相手を完全に封じ込めるには不十分ですが、これらが複数枚並べば、対戦相手は土地か不要牌しかドローできない一種のロック状態に陥ってしまいます。
一度その状態に持ち込んでさえしまえば、実質ゲームは終了しているようなものなので、あとは《写本裁断機》と《グール呼びの鈴》でライブラリーアウトを狙うのみです。
ただし、上記のカードは戦場に関与しないため、無事にライブラリーアウトを完遂するためには、生き残るための術が必要となります。そこで登場するのが、古の秘宝であるこのカード。
対戦相手のクリーチャーは、このカードだけで完全にシャットアウト。可能であれば、《コジレックの審問》か《強迫》で安全確認をしておいてから《罠の橋》を設置→《洞察のランタン》と《写本裁断機》で《解呪》系のカードを引かせない動きが理想ですね。
リストをご覧いただけると分かるように、このデッキは極度に《罠の橋》に依存しています。《罠の橋》は《古きものの活性》で探してくる他にも、《グール呼びの鈴》で墓地に落ちたものを《アカデミーの廃墟》で回収する小技もあります。
ライブラリーアウトを狙うデッキの性質上、《引き裂かれし永劫、エムラクール》のような「ライブラリー修復能力」を持つカードを克服する必要があるため、メインボードから《外科的摘出》が採用されています。
他に妨害手段として採用されているのは、《真髄の針》・《黄鉄の呪文爆弾》・《突然の衰微》の3種類。
これらのカードは、攻撃後にパワーが上がる《貴族の教主》や《羽ばたき飛行機械》のようなパワー0のクリーチャーであったり、《渋面の溶岩使い》や《大歓楽の幻霊》などの《罠の橋》の上からでもダメージを与えるカードの対策という意味合いが強いように思います。
《真髄の針》と《突然の衰微》は、このデッキにとって悪夢である《ヴェールのリリアナ》対策にもなりますね。
また、《真髄の針》は《ギタクシア派の調査》と合わせて、対戦相手の「フェッチランド」を封じ込めて動きを鈍らせることもできます。
このように実に様々なギミックが詰まった面白いデッキですが、それだけに使いこなすには相当な鍛錬が必要だと感じました。おそらくマリガンが最も重要かつ難しいのですが、可能であれば《洞察のランタン》・《写本裁断機》・《グール呼びの鈴》・《古きものの活性》が2枚以上ある初手をキープできるといいですね。
■ おわりに
「コガモダン vol.11」は以上になります。先週とは一転して、「土地絡みのコンボデッキ」がほとんどと言っていいほど勝てなかったこと、そして新しいデッキがたくさん成功を収めたことで、モダン環境の奥深さを改めて知らしめる結果となったのではないでしょうか。
今回の「《御霊の復讐》デッキ」であったり、「ランタン・コントロール」であったり、モダンにはまだまだ隠された可能性があるのかもしれませんね。
今週末の「グランプリ・コペンハーゲン2015」と【第4期モダン神挑戦者決定戦】でも、誰もが驚くようなデッキの登場に期待せずにはいられません!
それでは、また次回の記事でお会いしましょう。
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