これまでのあらすじ
【GP京都優勝】により、プロポイント14点となったタカハシ。
プロレベル・シルバー(20点)を目指すためにGP上海/GP千葉と続けて参加するものの、あえなく初日落ち。
プロツアー『マジック・オリジン』の権利は持っているため、プロポイントのノルマは3点。トップ16を目指して、モダンGP2連戦を決意したのだった。
(※編注:プロツアーに参加すると、成績に関わらず最低でも3点のプロポイントがもらえます)
■ 6/19-21 GPコペンハーゲン
モダン環境のメタゲームを考えるに当たって、まずデッキをカテゴライズすることにした。
1・緑黒+α
手札破壊+《タルモゴイフ》+《ヴェールのリリアナ》がメインの戦略。除去のために赤や白を足したものが一般的。
青赤に強く、妨害しにくい土地コンボと、アドバンテージ源の多い《集合した中隊》デッキに弱い。
2・青赤
《瞬唱の魔道士》+《血清の幻視》+《稲妻》がメインの戦略。《稲妻》連打というのがモダン環境定義であり、中途半端なタフネス3以下のクリーチャーデッキが存在できない。
瞬唱パッケージ以外のデッキの自由度が高く、《欠片の双子》/《秘密を掘り下げる者》/グリクシスなど様々なバージョンがある。
ハンデスも除去も刺さるデッキなため緑黒に弱い。こちらの妨害手段が多く、相手の妨害手段が少ないため、土地コンボとオールインに強い。
3・オールイン
デッキを1つの要素に特化させることで爆発的な展開力を持つ。親和/感染/バーン/オーラなど。コンボデッキに近く、メイン戦の勝率が高い。
しかし1つの要素に特化させているため、どのデッキも「対処できなければ負け」の致命的なサイドカードがあるのが特徴。(《石のような静寂》《呪文滑り》《神聖の力線》など)
土地コンボに強く、青赤に弱い。
4・土地コンボ
名前の通り、多くの土地を並べることがアドバンテージや勝ち手段になるデッキ。ウルザトロン/アミュレットブルーム/《風景の変容》など。
モダンの妨害はクリーチャー除去に寄っているため、そこを無視できるのが強み。
相手への妨害手段が乏しいため青赤とオールインに弱いが、緑黒と《集合した中隊》デッキには土地を妨害されにくいため強い。
5・《集合した中隊》デッキ
エルフ/アブザン/Zooなど、《集合した中隊》を軸にした、クリーチャー同士のシナジーでアドバンテージを生むデッキ。《集合した中隊》+《永遠の証人》で長期戦に強い。
緑黒と青赤に強く、オールインと土地コンボに弱い。
○○に強い/弱いはサイドボードの取り方で少し変動するが、基本的にはこの5種類でメタゲームが成り立っていると分析した。
最初は【ジャンドを使って大会に参加】。
環境はクリーチャー除去に寄っており、《稲妻》《電解》《コラガンの命令》でアドバンテージを取られてしまうようなデッキ構築はしたくないな、というのがジャンドの感想。
また《血染めの月》で負けたゲームもあった。《血染めの月》もモダンを定義する一枚であり、なるべく基本地形の多いデッキを使いたい。
クリーチャー除去に強く、《血染めの月》に強いデッキはないものか?
そう思い悩んでいた中で、【6/7のSCGオープンの青トロン】が目に留まる。
土地コンボなためジャンドに強く、カウンターのおかげで双子と赤緑トロンに強く、《血染めの月》を出されても青コンとして振る舞えるデッキ。
これだ!と思い、MOで調整。
揃える速さを上げるために《トレイリア西部》は4枚。《島》《島》トロンで3ターン目変成は遅いので、速度を上げるため+色マナ確保で《旅人のガラクタ》も採用。
《白金の天使》はオールイン用にサイドから追加、中隊用に《不気味な戯れ児》など、細部を変更した。
オールインデッキには弱いものの、他に対して非常に勝率が良かったので、GPコペンハーゲンに持って行くことを決意。
7 《島》 1 《雲の宮殿、朧宮》 4 《トレイリア西部》 4 《ウルザの塔》 4 《ウルザの鉱山》 4 《ウルザの魔力炉》 1 《ウギンの目》 -土地(25)- 1 《ワームとぐろエンジン》 1 《白金の天使》 1 《不気味な戯れ児》 1 《隔離するタイタン》 1 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 -クリーチャー(5)- |
4 《卑下》 3 《差し戻し》 4 《知識の渇望》 4 《探検の地図》 4 《旅人のガラクタ》 4 《忘却石》 4 《解放された者、カーン》 3 《精霊龍、ウギン》 -呪文(30)- |
3 《はらわた撃ち》 2 《呪文滑り》 2 《エレンドラ谷の大魔導師》 2 《白金の天使》 2 《虚空の杯》 2 《否認》 1 《不気味な戯れ児》 1 《大祖始の遺産》 -サイドボード(15)- |
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
Round 1 | BYE | |
Round 2 | BYE | |
Round 3 | 青白コントロール | 〇×〇 |
Round 4 | グリクシスデルバー | ×× |
Round 5 | バーン | 〇〇 |
Round 6 | 親和 | 〇×〇 |
Round 7 | アミュレットブルーム | ×× |
Round 8 | バーン | 〇〇 |
Round 9 | アブザン | 〇×× |
初日落ち。
グリクシスデルバーにはデルバーに12点受けてあっさり負け、アミュレットは相手の3ターン目《魂の洞窟》《原始のタイタン》により負け。
オールインには運よく先手でブン回ったため勝てたが、アブザンには相手が《聖遺の騎士》+《幽霊街》4枚の構成で全く揃えられずに負け。
回しながら、自分のデッキ構築に多くの疑問が残った。(デルバーに12点受けたり、《魂の洞窟》なんて想像できる範囲の負け方で、なぜ対抗手段を入れなかったのかと)
翌日もサイドイベントで青トロンを回したが、ジャンド/双子/トロンには圧勝、感染/親和に圧敗と、相性差の激しいデッキであることを再認識する結果となった。
色々なマッチアップの相性を改善するために、《併合》/《撤廃》/《精神隷属器》など思いつく限りのカードを試したが、どれもピンとこない。
《解放された者、カーン》も《精霊龍、ウギン》もオールインデッキに対しては滅法弱く、必殺技で勝つことができない相手がいるのはだめだ。
相性差ですべてが決まってしまうようなデッキではなく、プレイである程度相性差を緩和できるようなデッキを使うべきだ。
帰りの飛行機でデッキを悩んでいると、隣の席から天の声が……
天の声(井川): 「私のタルモツインを使いなさい。不利なのは緑黒だけで、あとは全てに5分以上の良いデッキだよ」 |
二度と使うことのないようにMOで青トロンパーツを売却し、早速タルモツインを作成。
天の声を頼りにデッキを微調整し、驚くほど勝率が良かったため、GPシンガポールに持って行くことを決意。
練習時間が全く足りなかったため、睡眠時間を削ってMOに費やした。
■ 6/26-28 GPシンガポール
4 《島》 1 《山》 1 《森》 2 《蒸気孔》 1 《繁殖池》 1 《踏み鳴らされる地》 4 《沸騰する小湖》 4 《霧深い雨林》 1 《樹木茂る山麓》 3 《硫黄の滝》 1 《僻地の灯台》 -土地(23)- 4 《瞬唱の魔道士》 4 《タルモゴイフ》 4 《詐欺師の総督》 2 《高原の狩りの達人》 -クリーチャー(14)- |
4 《血清の幻視》 4 《稲妻》 2 《呪文貫き》 2 《呪文嵌め》 4 《差し戻し》 1 《焙り焼き》 2 《謎めいた命令》 4 《欠片の双子》 -呪文(23)- |
2 《渋面の溶岩使い》 2 《嵐の神、ケラノス》 2 《払拭》 2 《否認》 2 《古えの遺恨》 2 《血染めの月》 1 《呪文滑り》 1 《スラーグ牙》 1 《焙り焼き》 -サイドボード(15)- |
■ 初日
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
Round 1 | BYE | |
Round 2 | BYE | |
Round 3 | グリクシスデルバー | 〇〇 |
Round 4 | グリクシスツイン | 〇×× |
Round 5 | 赤緑トロン | ×〇〇 |
Round 6 | アブザンカンパニー | 〇〇 |
Round 7 | グリクシスコントロール | 〇×〇 |
Round 8 | バーン | 〇〇 |
Round 9 | エルフカンパニー | 〇〇 |
8-1で初日を通過。
■ 2日目
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
Round 10 | 赤緑トロン | 〇〇 |
Round 11 | 親和 | 〇〇 |
Round 12 | 青赤ツイン | 〇×〇 |
Round 13 | ジャンド | ×〇〇 |
Round 14 | ID | |
Round 15 | ID |
4-0-2でトップ8確定。
13回戦目の対ジャンド(Reid Duke)が非常に熱いゲーム展開で、この大会で一番記憶に残るものだった。
あなた (タルモツイン) ライフ:10 手札:《否認》・《血染めの月》 場: 《島》 《森》 《硫黄の滝》 《踏み鳴らされる地》 《僻地の灯台》 《高原の荒廃者/Ravager of the Fells》(タップ) 《嵐の神、ケラノス》 |
現在は自分のターンの第2メインフェイズ。
この場面で自分の《血染めの月》に《否認》を撃つ。相手のアップキープに《高原の狩りの達人》に変身して狼が出る。(自ライフ10→12)
《タルモゴイフ》がアタック。相手が除去orクリーチャーでも《嵐の神、ケラノス》の3点本体で勝てるのでブロックせず。(自ライフ12→6)
第2メインで《黄金牙、タシグル》をプレイ。探査で墓地に残ったのは《殺戮の契約》と土地のみになる。
自分のターン、《嵐の神、ケラノス》の公開は《山》、追加ドローは《沸騰する小湖》。
《僻地の灯台》を起動するも引いたのは《呪文嵌め》だったのでターン終了。
相手はこちらのターン終了時に、意を決したようにフェッチから《踏み鳴らされる地》ショックイン。(相手ライフ5→2)
《黄金牙、タシグル》起動→ソーサリーかクリーチャーなら《高原の狩りの達人》変身で勝ちの予定→めくれたのは土地2枚で《殺戮の契約》が戻る!
相手のアップキープ、《高原の狩りの達人》変身誘発にスタックで《殺戮の契約》。メインで《黄金牙、タシグル》を起動すると、今度は《漁る軟泥》がめくれてそれを手札に。
《タルモゴイフ》《黄金牙、タシグル》でアタック→《タルモゴイフ》を狼でブロック。(自ライフ6→2)
ラストターン、《嵐の神、ケラノス》の公開は……
《稲妻》!
今までのマジック人生ベスト5に入る楽しい試合だった。
強い相手と戦うことが生き甲斐だ!
■ 決勝
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
【準々決勝】 | 親和 | ×× |
決勝は特にいいところもなく1没してしまったものの、6位でプロポイント4点ゲット。
プロツアー『戦乱のゼンディカー』の権利+プロクラブ・シルバー到達!
目標達成!!
デッキを教えてくれた井川さんに感謝。
次回は『マジック・オリジン』入りのスタンダードを考えて行こうと思う。
ではまた。
高橋優太
Twitterでつぶやく
Facebookでシェアする