■ プロツアー『タルキール龍紀伝』
4/10-12
ベルギーで開催された、【プロツアー『タルキール龍紀伝』】に参加。
・1stドラフト
9《島》
8《沼》 -土地(17)- 1《スゥルタイの頭蓋守り》 1《スゥルタイの使者》 1《シルムガルの魔術師》 1《上昇気流の精霊》 1《微風の写字官》 1《マラング川をうろつくもの》 1《宝物庫の守衛》 1《オジュタイの介入者》 1《若年の識者》 1《霧炎の達人》 1《オークの必中弾》 1《グルマグの溺れさせるもの》 1《屍術使いのドラゴン》 1《吐酸ドラゴン》 1《湿地の大男》 -クリーチャー(15)- |
1《忌呪の発動》
1《解体者の歓び》 1《実在への書き込み》 1《オジュタイの召喚》 1《強化された知覚》 1《体躯の縮小》 1《龍火の薬瓶》 1《シルムガルの碑》 -呪文(8)- |
1-1《屍術使いのドラゴン》から、中村 修平流の青黒コントロールをドラフト。
安いカードの集合体で組めて、《宝物庫の守衛》《放浪する墓甲羅》などの通常では使いにくい壁クリーチャーが活躍する。
壁で耐えてドロースペルの差で後半巻き返すデッキで、3-0しにくいが2-1する確率が高いドラフト。
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
Round 1 | 白緑 | ×× |
Round 2 | 赤緑 | 〇〇 |
Round 3 | 白緑 | 〇×〇 |
相手の《龍王ドロモカ》に《体躯の縮小》をつけたり、安いカードで強いクリーチャーを対処することが出来た。
・スタンダード
ここからスタンダードに移行。
デッキはアブザンアグロ。
3《森》
1《平地》 4《吹きさらしの荒野》 4《砂草原の城塞》 3《静寂の神殿》 3《疾病の神殿》 3《コイロスの洞窟》 3《ラノワールの荒原》 1《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地(25)- 4《ラクシャーサの死与え》 4《羊毛鬣のライオン》 4《先頭に立つもの、アナフェンザ》 4《包囲サイ》 4《囁きの森の精霊》 -クリーチャー(20)- |
2《思考囲い》
2《究極の価格》 3《ドロモカの命令》 3《アブザンの魔除け》 2《英雄の破滅》 3《真面目な訪問者、ソリン》 -呪文(15)- |
2《強迫》
2《思考囲い》 2《究極の価格》 2《胆汁病》 2《悲哀まみれ》 2《太陽の勇者、エルズペス》 1《勇敢な姿勢》 1《残忍な切断》 1《世界を目覚めさせる者、ニッサ》 -サイドボード(15)- |
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
Round 4 | マルドゥビートダウン | 〇×× |
Round 5 | 赤単 | ×〇× |
Round 6 | ジェスカイウィンズ | ×× |
Round 7 | ジェスカイウィンズ | 〇〇 |
Round 8 | 赤緑ドラゴン | ×× |
ドラフト2-1、スタンダード1-4で初日落ち。
◎プロツアーまでの思考過程
直前のSCGオープンで赤緑ドラゴンや赤単タッチ緑が増加。
→本戦ではそれに強い緑信心やアブザンコン、青黒などの中速デッキが増えるだろう。
→ならばそれらに強い、中速メタ(少し重めにして、《思考囲い》入れる)のアブザンアグロを使おう。緑信心や赤緑ドラゴンを意識するなら、《究極の価格》は合計4枚取ろう。
→メインの除去が多すぎると青黒コントロールへの敗因になりやすいから、除去は7枚に抑えよう。
しかし実際には赤緑ドラゴンや赤単タッチ緑などの早いデッキが多く、結果として《思考囲い》が弱いフィールドだった。
実際早いデッキとばかり当たっているし、メタゲームの読み間違えが敗因だ。
■ グランプリ京都
4/17-4/19
◎グランプリまでのレガシー思考過程
各地の大会結果やデッキリストを見て、グランプリ本戦の主要なデッキは以下の5つに分類されると判断。
・UWr奇跡
・オムニテル
・ANT
・デルバー系
・エルフ
・オムニテル
・ANT
・デルバー系
・エルフ
私自身コンボ好きということもあって、まずは【ANT】や【オムニテル】を試した。
異なるコンボデッキを回したことでそれぞれの長所・短所がわかり、レガシーに対する考えをまとめることが出来たのでそれを述べていく。
1. 相手の除去が有効にならないデッキ構築。
レガシーは《秘密を掘り下げる者》《死儀礼のシャーマン》といった軽くて優秀なクリーチャーで溢れているため、多くのデッキに除去が入っている。
コンボデッキの長所は除去を無視できるところだ。ANTもオムニも《ギタクシア派の調査》を使うが、相手の手札に《稲妻》《剣を鍬に》《突然の衰微》があると安心してコンボをスタートすることが出来た。
デッキ構築の時点で相手を強制的にマリガン状態にすることが出来るのがコンボデッキの強みだ。UWr奇跡も《突然の衰微》には弱いがその他の除去はほとんど効かない。
相手に除去が有効になってしまうという理由で、まずはデルバー系とエルフが候補から外れた。
2. このデッキが勝つのに必要な合計マナと枚数は?
勝つのに必要なカードは、マナと枚数が少なければ少ないほど良い。
それぞれのデッキが勝つのに必要なリソースを考えた。
オムニテル: 3マナと2.5枚→《実物提示教育》+《全知》+ドロースペル連鎖(ドロースペルはなんでも良いので、ここは2.5枚と表記する。《引き裂かれし永劫、エムラクール》の場合は2枚だが、そのターン中に勝つことが出来ない)
ANT: 2マナと3枚→マナ加速2枚+《冥府の教示者》
UWr奇跡: 3マナと2枚→《師範の占い独楽》+《相殺》(+盤面捌くカード)
ANT: 2マナと3枚→マナ加速2枚+《冥府の教示者》
UWr奇跡: 3マナと2枚→《師範の占い独楽》+《相殺》(+盤面捌くカード)
ANTは序盤の3ターンまでは最強デッキだが、その後ターンを経るとどんどん弱体化する。
逆にオムニと奇跡は序盤の防御力が低いが、ターンを経るごとに《時を越えた探索》で逆転する力が強まる。
この前提は相手が何もしてこなかった場合のもので、実際は相手の《Force of Will》などの妨害を乗り越えるためにもう1種類カードが必要になる(こちらの《Force of Will》や《強迫》など)。
補足だが、エルフが候補から外れたのは相手への妨害力が低いからだ。
《Force of Will》はレガシーを代表するカードで、コンボデッキがコンボを成立させるために最低1回は相手の《Force of Will》を乗り越えなければいけない。
ならば、相手が《Force of Will》を撃ちたくなるようなカードは何か。それを考えることにした。
3.相手が《Force of Will》を撃ちたいカードを多く入れる。
《Force of Will》は強力なカードだが、強力である理由は「後手番の安心感」にあると思う。
言うまでもなく、レガシーは先手が圧倒的に有利だ。コンボデッキは妨害されなければ2キルが可能だし、デルバー系は《もみ消し》《目くらまし》《不毛の大地》で先手の有利さをキープする戦略を取っている。
ANTとオムニを回して感じたことは、この《Force of Will》の差だ。《Force of Will》を使った方が、例え後手になったとしても初手をキープできる確率が上がるのではないか。そう考えた。
ただ、ここまで絶賛した《Force of Will》だが、ただ強いわけではなく手札が減るデメリットもある。連発が厳しいのだ。
ならば相手が《Force of Will》を使うか悩む、《Force of Will》を撃つ対象が多いようなデッキ構築をしたい。
相手が《Force of Will》を撃ちたくなるようなカード一覧
(UWr奇跡・オムニテル・ANT限定)
《暗黒の儀式》
《冥府の教示者》
《炎の中の過去》
《むかつき》
《実物提示教育》
《時を越えた探索》
《狡猾な願い》
《師範の占い独楽》
《相殺》
《ヴェンディリオン三人衆》
《Force of Will》
《精神を刻む者、ジェイス》
(UWr奇跡・オムニテル・ANT限定)
《暗黒の儀式》
《冥府の教示者》
《炎の中の過去》
《むかつき》
《実物提示教育》
《時を越えた探索》
《狡猾な願い》
《師範の占い独楽》
《相殺》
《ヴェンディリオン三人衆》
《Force of Will》
《精神を刻む者、ジェイス》
これらの中で、UWr奇跡が最もマナコストが軽く、かつ《Force of Will》したいカードが多いデッキだった。
UWr奇跡にデッキを決定。
4. 《実物提示教育》をノーリスクにしない。
《実物提示教育》は強力だが相応のリスクがあるカードだ。
以前オムニを使っているとき、こちらは《実物提示教育》《全知》だが相手が《エメリアの盾、イオナ》を出してきて負けたことがあった(相手は発掘)。
またオムニミラーマッチでは相手の《全知》を考えると《実物提示教育》はプレイしにくい。
「相手も出せる」という大きなデメリットを持ちながらもこのカードが強力なのは、レガシー全体がマナコストが軽く、出しても脅威となりえないものが多いからだ。
このデメリットを無視はしたくない。UWr奇跡を考えるにあたって、《実物提示教育》が通ってしまっても勝てるデッキ構築を目指した。
・《造物の学者、ヴェンセール》
インスタントで連鎖するパターンは防げないが、《全知》をバウンスすることでソーサリーのドローや《引き裂かれし永劫、エムラクール》を唱えるパターンを防ぐことが出来る。
・《エーテル宣誓会の法学者》
《実物提示教育》を通して《エーテル宣誓会の法学者》を場に出すことで相手はそのターン呪文を唱えられない(既に《実物提示教育》を唱えている)。
このとき赤マナを構えていれば、さらに相手のエンド時に安心して《紅蓮破》で《全知》を破壊することが可能だ。
・《Karakas》2枚
これによってデッキの青マナ枚数が本当にギリギリになってしまったので、土地を安定させるためにフェッチと《思案》を増量。
グランプリの仮想敵はオムニテル。
オムニテルに勝てるようにデッキの除去枚数を極力抑え、《実物提示教育》が通っても勝てるようにデッキを構想した。
以上を踏まえて、【グランプリ京都】に参加。
4 《島》 1 《平地》 2 《Tundra》 2 《Volcanic Island》 4 《溢れかえる岸辺》 2 《霧深い雨林》 1 《汚染された三角州》 2 《沸騰する小湖》 2 《Karakas》 2 《不毛の大地》 -土地(22)- 2 《ヴェンディリオン三人衆》 1 《造物の学者、ヴェンセール》 -クリーチャー(3)- |
4 《渦まく知識》 3 《思案》 3 《剣を鍬に》 1 《紅蓮破》 2 《対抗呪文》 2 《天使への願い》 4 《Force of Will》 3 《終末》 2 《時を越えた探索》 4 《師範の占い独楽》 4 《相殺》 3 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(35)- |
2 《狼狽の嵐》 2 《赤霊破》 2 《エーテル宣誓会の法学者》 1 《墓掘りの檻》 1 《紅蓮破》 1 《大祖始の遺産》 1 《剣を鍬に》 1 《摩耗+損耗》 1 《紅蓮地獄》 1 《安らかなる眠り》 1 《血染めの月》 1 《造物の学者、ヴェンセール》 -サイドボード(15)- |
初日。
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
Round 1 | BYE | |
Round 2 | BYE | |
Round 3 | UBRデルバー | 〇〇 |
Round 4 | ANT | 〇〇 |
Round 5 | スニークショー | ×〇〇 |
Round 6 | UWR石鍛冶 | ×〇〇 |
Round 7 | オムニテル | ×〇〇 |
Round 8 | ANT | 〇×〇 |
Round 9 | UWB石鍛冶 | ×× |
2日目。
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
Round 10 | オムニテル | 〇〇 |
Round 11 | デスタク | 〇×× |
Round 12 | オムニテル | 〇×〇 |
Round 13 | オムニテル | 〇〇 |
Round 14 | マーフォーク | 〇〇 |
Round 15 | マーフォーク | 〇〇 |
決勝。
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
準々決勝 | UWR石鍛冶 | 〇〇 |
準決勝 | オムニテル | 〇〇 |
決勝 | UWr奇跡 | ×〇〇 |
優勝。
スニークショーに先手で《騙し討ち》が通ってしまっても生物を引かれなかったり、ナチュラル「奇跡」《終末》が起きたり、全体的に幸運だった。
仮想敵のオムニテルには5戦すべて勝つことができ、自分の仮説が正しかったことを実感できた。
◎変更箇所
MUDやデスタクが思ったよりも厳しいので、サイドの《安らかなる眠り》を抜いて《ダク・フェイデン》を入れたい。
相手の《殴打頭蓋》や《ワームとぐろエンジン》を奪えたら勝利は目前だ。
今回述べた「勝つのに必要なマナと枚数」と「環境を定義するカード(《Force of Will》)」という考え方は、何もレガシーに限った話ではなく、スタンダードやモダン、更にはリミテッドでも流用できる。
是非自分のデッキを見直して、「勝つのに必要なマナと枚数」と「環境を定義するカードに対する耐性」を考えて欲しい。突き詰めていけば、きっとデッキ構築が上手くいくだろう。
ではまた。
※編注:記事内の画像は、以下のサイトより引用させて頂きました。
『マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト』
http://mtg-jp.com/
高橋優太