Round 2: 森田 雅彦(東京) vs. 八十岡 翔太(東京)

晴れる屋

晴れる屋

By Yusuke Osaka



 八十岡 翔太は昨年末に行われた世界選手権の裏番組、MagicOnlineチャンピオンシップにおいて、準優勝の成績を収めるプロプレイヤーである。MOチャンピオンシップに出場するために、昨年は日常のほぼすべてをMOに捧げ、毎日10時間を越えるプレイ時間の生活をしていたが、今年に入ってからは、まだMOを一度も起動していないらしい。世界選手権でも上位に入賞し、波に乗った状態で年を終えた八十岡 翔太である。
 八十岡が選択したデッキは、先日大阪で行われたエターナルパーティーで優勝した齋藤友晴から直接借りたANTだ。《暗黒の儀式》などのマナ加速から《むかつき》をキャストし、ストームを稼いだ上での《苦悶の触手》で勝利するデッキである。キルターンが早く、2~3ターン目には相手に20点以上のダメージを叩きだすコンボデッキである。約5%の確率で1ターンキルも発生する。
 森田雅彦はPTと同等のマスターズにおいて優勝を誇ったプレイヤーだが、一戦級を退いて故郷大阪を離れ、東京で就職し、PT参加こそしないものの、最近行われたPTQでの準優勝など、過去の強さはそのままである。
 森田雅彦の使用デッキは青の《Force of Will》などのカウンター呪文を軸に、《ファイレクシアン・ドレッドノート》の能力を《もみ消し》で打ち消して、12/12で相手を殴り倒す、コンボデッキのようなコントロールデッキだ。
 この対戦においては、八十岡に対するキラーカードである《もみ消し》が投入されている森田が有利である。


Game 1


 先攻は森田。
 《目くらまし》2枚があるものの、土地が1枚の森田が1回マリガンしてのゲームスタート。
 マリガンをした森田は、《Force of Will》《目くらまし》がある初手をキープ。
 対する八十岡は《裏切り者の都》《水蓮の花びら》《思案》《思考囲い》《暗黒の儀式》《陰謀団の儀式》《ライオンの瞳のダイアモンド》の7枚でスタート。
 森田は土地を置くだけのスタート。
 対する八十岡は《裏切り者の都》を持っているが、追加の土地により壊れてしまう事を恐れ、土地を置かずに、《水蓮の花びら》《ライオンの瞳のダイアモンド》のみを設置。
 3ターン目に《相殺》を場に出した森田だが、4ターンに4枚目の土地を引く事ができずに、手札に2枚抱える《粗石の魔道士》を出そうか悩んだ末に、結局マナを使ってしまう事が危険と判断し、3マナを立たせたままにターンを終える。
 返すターン、八十岡はまだ土地を引く事ができずに、ディスカードしてターンを終了する。
 3,4,5,6ターン目とディスカードを繰り返す八十岡に付き合うように4枚目の土地を引けない森田も7ターン目にはディスカード。
 森田が捨てた《ファイレクシアン・ドレッドノート》を見て、森田が「ばけもんだ」と呟き、笑い合う二人。
 レガシーの環境は互いに、やりたい事をやるデッキが多く、とても楽しいマジックなのだ。
 現在日本で、レガシーブームが起こり、スタンダードの参加者数を越えるレガシーイベントも存在するのは、そんな楽しいレガシーという環境ゆえのものなのだろう。
 《渦まく知識》を打ち合いながら、互いに動かないままに数ターンが経過し、ゲームが動いたのは、森田が5枚目の土地をドローしたターン。
 5枚目の土地を引いた森田は「待ってました」とばかりに、《粗石の魔道士》から《師範の占い独楽》を持ってきた上で場に出し、1マナを残してターンエンドを宣言する。
 ここで攻めないと、《相殺》《師範の占い独楽》のコンボの前にソフトロックをかけられてしまう八十岡は、森田のエンドステップに、《暗黒の儀式》をキャストし、森田は《目くらまし》を使ってカウンター。
 返す八十岡のメインターン。八十岡は《陰謀団の儀式》を最初に唱え、森田は《師範の占い独楽》を起動するが2マナのカードがなく、「これを《Force of Will》でカウンターしても美味しくないなー」と呟きながら通す。続く八十岡のアクション《思考囲い》にスタックして、森田が《師範の占い独楽》をライブラリーの上に置き《相殺》でカウンター。
 八十岡は《ライオンの瞳のダイアモンド》を場に出しておき、《陰謀団の儀式》のマナで《むかつき》を唱えるが、森田の《Force of Will》でカウンターされる。
 しかし、八十岡は《冥府の教示者》にスタックで《ライオンの瞳のダイアモンド》を起動し暴勇を達成する。《冥府の教示者》から持ってくるのは《むかつき》
 3マナを浮かせた状態でライフ18の《むかつき》




 20枚程度のカードがめくれた所で、ストーム10を越える《苦悶の触手》が打てるのを確認して森田が投了。

森田 0-1 八十岡


 八十岡のサイドボードは《ライオンの瞳のダイアモンド》《冥府の教示者》など、カウンターデッキに対して弱いカードをサイドアウトし、《闇の腹心》《クローサの掌握》などのカウンターデッキに強いカードをサイドイン。


Game 2


 森田は1ターン目に《師範の占い独楽》をキャストし、2ターン目のアップキープに起動するが、土地が見つからずに2枚目の土地を置けぬままターンを終える。
 対する八十岡は相手を倒せる程のコンボパーツはないが、《思案》で手札を整えつつ、《強迫》《思考囲い》《闇の腹心》を2体場に展開する。《闇の腹心》がスタンダードで使われていた頃に「《闇の腹心》は宇宙!(のように強い)」という言葉が流行したが、八十岡のデッキにおいては、ほとんどのカードが低コストのために、いつでもどんな時でも宇宙である。
 5ターン目に2枚目の土地に辿りついた森田は《闇の腹心》の攻撃を止めるために、《タルモゴイフ》を展開する。
 その森田ターン終了時、《闇の腹心》に殴られたために森田のライフが12まで落ち込んでいるのを見て、計算を始める八十岡。
 小考の後に、パズルの答えを見つけた八十岡は自分のターンに、《神秘の教示者》《苦悶の触手》をサーチ)、《水蓮の花びら》《師範の占い独楽》《陰謀団の儀式》《暗黒の儀式》を経由してストーム5の《苦悶の触手》で12点ぴったり。

森田 0-2 八十岡

 デュエル後の振り返りで、八十岡は「1デュエル目は森田が《粗石の魔道士》を展開しないで、ずっと待ってたら勝ってたよ」と言い、二人で検討を始め、待てば森田が勝っていたという結論を出す。
 二人ともがレガシーの大会出場3度目だと言う。
 いかにプロプレイヤーと言えども、環境の経験が少ない場所では、ゲームプランの選択を間違えてしまう事がある。
 20種類以上のデッキが存在するレガシーという環境においては、戦ったことのないデッキと当たることが頻発する。
 ゲームプランを考え、相手の手札を推測する作業を、大会中に行うことの多いレガシーという環境はマジックを楽しむのに最も適していると思う。