津村健志の『テーロス』ブロック・『マジック基本セット2015』思い出10選

津村 健志


 こんにちは!

 暑い日が続いていたと思いきや、あっという間に涼しくなってきましたね。

 マジック界の”秋”と言えば、新セットの加入とローテーション!スタンダード的には、環境が大激変する1番面白い時期です。

 新しいカードの登場に胸を躍らせるのも一興ですが、残念ながら『戦乱のゼンディカー』の加入と同時に『テーロス』ブロックと『マジック基本セット2015』のカードはスタンダードを去ってしまいます。

 今回はスタンダードを去ってしまうカードをピックアップし、当時の環境も簡単に振り返ってみたいと思います。

 それでは、思い出の『テーロス』ブロック・『マジック基本セット2015』10選をご覧ください。



■ 10位.《波使い》《アスフォデルの灰色商人》



波使いアスフォデルの灰色商人


 『テーロス』ブロックを象徴する「信心」システム。近頃では【白単信心】の登場も記憶に新しいですが、「信心」の恐ろしさを世に知らしめたデッキは、【青単信心】【黒単信心】です。



Jeremy Dezani「青単信心」
プロツアー『テーロス』 (優勝)

21 《島》
3 《変わり谷》

-土地(24)-

4 《雲ヒレの猛禽》
4 《審判官の使い魔》
4 《凍結燃焼の奇魔》
4 《潮縛りの魔道士》
2 《前兆語り》
4 《夜帷の死霊》
4 《海の神、タッサ》
4 《波使い》

-クリーチャー(30)-
2 《サイクロンの裂け目》
1 《分散》
1 《タッサの二叉槍》
2 《思考を築く者、ジェイス》

-呪文(6)-
3 《霜の壁》
3 《否認》
2 《霊異種》
2 《漸増爆弾》
2 《思考を築く者、ジェイス》
1 《トリトンの戦術》
1 《真髄の針》
1 《変わり谷》

-サイドボード(15)-
hareruya






渡辺 雄也「黒単信心」
グランプリ・北京2014 (優勝)

19 《沼》
4 《変わり谷》
1 《欺瞞の神殿》
1 《静寂の神殿》

-土地(25)-

4 《群れネズミ》
4 《生命散らしのゾンビ》
4 《冒涜の悪魔》
4 《アスフォデルの灰色商人》

-クリーチャー(16)-
4 《思考囲い》
1 《強迫》
4 《肉貪り》
1 《胆汁病》
1 《究極の価格》
4 《英雄の破滅》
4 《地下世界の人脈》

-呪文(19)-
4 《死の大魔術師の杖》
3 《強迫》
3 《破滅の刃》
2 《死者の神、エレボス》
2 《骨読み》
1 《胆汁病》

-サイドボード(15)-
hareruya



 端的に言って、このふたつのデッキは強すぎました。グランプリの優勝デッキが「青単信心」と「黒単信心」に埋め尽くされる時期もあったと記憶していますし、それだけにその主力であった《波使い》《アスフォデルの灰色商人》の存在感は際立っていました。

 「混成カード」が満載だった、『ラヴニカへの回帰』ブロックのローテーションとともに勢力を弱めた両デッキですが、間違いなく『テーロス』ブロックを代表するデッキでした。



■ 9位.《アーティファクトの魂込め》



アーティファクトの魂込め


 《ダークスティールの城塞》とのコンボが極悪だったこのカード。【プロツアー『マジック・オリジン』】でも【青赤アーティファクトの魂込め】デッキで大活躍を見せましたが、個人的に最も感銘を受けたデッキはこのデッキでした。



Okada Yoshikazu「青赤白ハサミバーン」
WMCQ2014 大阪予選 (4位)

3 《聖なる鋳造所》
2 《蒸気孔》
4 《天啓の神殿》
2 《啓蒙の神殿》
4 《戦場の鍛冶場》
2 《シヴの浅瀬》
4 《変わり谷》
4 《ダークスティールの城塞》

-土地(25)-


-クリーチャー(0)-
4 《マグマの噴流》
4 《爆片破》
3 《変化+点火》
2 《否認》
3 《スフィンクスの啓示》
4 《戦導者のらせん》
4 《至高の評決》
4 《アーティファクトの魂込め》
4 《予言のプリズム》
3 《ダークスティールの鋳塊》

-呪文(35)-
3 《マグマのしぶき》
2 《嵐の息吹のドラゴン》
2 《不死の霊薬》
2 《払拭》
2 《神討ち》
2 《宿命的報復》
1 《ファイレクシアの破棄者》
1 《嵐の神、ケラノス》

-サイドボード(15)-
hareruya



 環境末期に突如として現れた「青赤白ハサミバーン」。完全なるオリジナルデッキだと思われますが、このデッキの強さと楽しさは本物でした。

 環境末期だったゆえに、使える期間が非常に短かったことだけが心残りですが、《アーティファクトの魂込め》とオリジナルデッキの可能性を追求した素晴らしき意欲作。



■ 8位.《歓楽者ゼナゴス》



歓楽者ゼナゴス


 このカードには大変苦しめられました。【緑信心】が現環境で一線級だったのは、このカードの力が大きいです。『タルキール覇王譚』が出る前はかなりお世話になっていたこともあり、今回ローテーションで去ってしまう「プレインズウォーカー」の中では2位にランクイン。



津村 健志「ジャンド・プレインズウォーカーズ」
WMCQ2014 大阪予選 (8位)

3 《森》
4 《踏み鳴らされる地》
2 《血の墓所》
2 《草むした墓》
4 《奔放の神殿》
4 《悪意の神殿》
4 《ラノワールの荒原》
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》

-土地(24)-

4 《エルフの神秘家》
4 《森の女人像》
4 《クルフィックスの狩猟者》

-クリーチャー(12)-
4 《ミジウムの迫撃砲》
3 《戦慄掘り》
1 《ゴルガリの魔除け》
2 《骨読み》
2 《英雄の破滅》
1 《ラクドスの復活》
4 《歓楽者ゼナゴス》
2 《紅蓮の達人チャンドラ》
3 《世界を目覚めさせる者、ニッサ》
1 《リリアナ・ヴェス》
1 《見えざる者、ヴラスカ》

-呪文(24)-
4 《霧裂きのハイドラ》
4 《強迫》
4 《マグマのしぶき》
1 《破滅の刃》
1 《ナイレアの弓》
1 《ラクドスの復活》

-サイドボード(15)-
hareruya



 改めて見直してみても、「プレインズウォーカー」満載で楽しそうなリストですね。《歓楽者ゼナゴス》は基本的にクリーチャーを出す係だったものの、「+1」能力で何度となく《ミジウムの迫撃砲》を「超過」したのを覚えています。



■ 7位.《森の女人像》



森の女人像


 一時期は緑のデッキであれば、ほとんどのデッキに採用されていた《森の女人像》。僕の大好きな「アブザン・コントロール」はもちろんのこと、Shahar Shenharが使用し、【世界選手権2014】を制したこのデッキでも使用されていました。



Shahar Shenhar「シディシ・ウィップ」
世界選手権2014 (優勝)

3 《森》
2 《沼》
1 《島》
2 《汚染された三角州》
1 《進化する未開地》
4 《華やかな宮殿》
2 《疾病の神殿》
1 《神秘の神殿》
4 《ラノワールの荒原》
2 《ヤヴィマヤの沿岸》
1 《マナの合流点》

-土地(23)-

4 《サテュロスの道探し》
4 《森の女人像》
4 《クルフィックスの狩猟者》
4 《血の暴君、シディシ》
2 《破滅喚起の巨人》
1 《イニストラードの魂》
3 《女王スズメバチ》

-クリーチャー(22)-
3 《思考囲い》
3 《英雄の破滅》
4 《残忍な切断》
3 《エレボスの鞭》
2 《悪夢の織り手、アショク》

-呪文(15)-
3 《軽蔑的な一撃》
3 《胆汁病》
2 《再利用の賢者》
2 《スゥルタイの魔除け》
1 《苦悶の神、ファリカ》
1 《イニストラードの魂》
1 《悲哀まみれ》
1 《悪夢の織り手、アショク》
1 《時を越えた探索》

-サイドボード(15)-
hareruya



 「アブザン・コントロール」に《対立の終結》が採用されるようになったり、コントロール系のデッキの増加により以前ほど見かけなくなりましたが、依然として【緑信心】では不動のマナ加速として活躍を続けています。

 後述の《クルフィックスの狩猟者》とともに、この1年間多くの緑のデッキを支えた縁の下の力持ち。



■ 6位.《悲哀まみれ》



悲哀まみれ


 鉄板のサイドボードカードとして君臨した《悲哀まみれ》。主に【赤単】系のデッキ対策として活躍してくれ、特に《ドラゴンの餌》《軍族童の突発》が多かったときには重宝しました。



■ 5位.《クルフィックスの狩猟者》



クルフィックスの狩猟者


 《ムル・ダヤの巫女》好きにはたまらない一品。《踏査》能力こそ付いていないものの、その代わりに付随された「ライフ回復」能力が、そしてタフネス4という屈強な肉体が、ビートダウンデッキにとって悪夢そのものでした。



津村 健志「アブザン・コントロール」
プロツアー『タルキール龍紀伝』 (8-2)

2 《森》
2 《平地》
4 《吹きさらしの荒野》
4 《砂草原の城塞》
4 《疾病の神殿》
4 《静寂の神殿》
3 《ラノワールの荒原》
2 《コイロスの洞窟》
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》

-土地(26)-

4 《羊毛鬣のライオン》
4 《クルフィックスの狩猟者》
4 《包囲サイ》
2 《黄金牙、タシグル》

-クリーチャー(14)-
4 《思考囲い》
2 《胆汁病》
1 《ドロモカの命令》
1 《究極の価格》
4 《アブザンの魔除け》
4 《英雄の破滅》
1 《真面目な訪問者、ソリン》
3 《太陽の勇者、エルズペス》

-呪文(20)-
4 《悲哀まみれ》
3 《強迫》
2 《骨読み》
2 《対立の終結》
1 《ドロモカの命令》
1 《真面目な訪問者、ソリン》
1 《世界を目覚めさせる者、ニッサ》
1 《精霊龍、ウギン》

-サイドボード(15)-
hareruya



 《ドロモカの命令》が登場したために、以前よりもしょうもない死に方をすることが増えてしまいましたが、それを差し引いても優秀なクリーチャーでした。

 このクリーチャーに回復してもらったライフを合計すると、余裕で1000点は超えていると思います(笑)



■ 4位.《思考囲い》




思考囲い


 言わずとしれた万能手札破壊呪文。その強力な効果は、スタンダードどころかモダン環境でもレギュラーとして申し分のないほど。

 【黒単ビートダウン】から【エスパー・ドラゴン】まで、黒いデッキであれば、必ずや採用を検討される1枚でした。



■ 3位.《英雄の破滅》



英雄の破滅


 《思考囲い》が万能手札破壊呪文なら、《英雄の破滅》は万能除去呪文です。「黒でないクリーチャー」などの制限らしい制限がないどころか、クリーチャーのみならず「プレインズウォーカー」まで対処できる優れもの。

 《払拭の光》のような弱点もありませんし、このカードの存在ゆえに、黒は「最高の除去色」の名を欲しいままにしていました。



■ 2位.《太陽の勇者、エルズペス》




太陽の勇者、エルズペス


 『テーロス』ブロックで最も光り輝いた「プレインズウォーカー」と言えば、彼女をおいて他にいないでしょう。

 圧倒的な制圧力を武器に多くのデッキで使用され、それこそ『テーロス』ブロック構築では禁止でも良かったのではないかと思ってしまうほど。近頃では【青白コントロール】での活躍が印象的でした。

 白いデッキの天敵である《嵐の息吹のドラゴン》を対処できる点も秀逸でしたし、適当にトークンを出して「-7」するだけで勝ててしまうその雑さには世界が仰天。文字通り1枚でゲームを終わらせてくれる完璧超人。



■ 1位.占術ランド



欺瞞の神殿天啓の神殿啓蒙の神殿神秘の神殿
悪意の神殿凱旋の神殿奔放の神殿豊潤の神殿
疾病の神殿静寂の神殿


 信じられません。これからは要らない土地を下に送ることも、トップを見て安心することもできないなんて……。これら「占術ランド」が、どれだけの事故を未然に防いでいてくれていたことか。

 「『占術ランド』があるから土地1枚でもキープキープ」と言って死んでしまったこともたくさんありましたが、それは完全に自己責任ですね(笑)

 スタンダード環境に限って言えば、これ以上強い土地はしばらく出ないのではないかと思ってしまうほど。これまで本当にありがとうございました。






 「最後の方デッキリストなかったけど手抜き?」と思ったそこのあなた!決して、断じてそんなことはありません!

 実はトップ4に入ったカードを組み合わせると……?



津村 健志「ハンガーバック・アブザン」
WMCQ2015 名古屋予選 (優勝)

3 《森》
2 《平地》
4 《吹きさらしの荒野》
4 《砂草原の城塞》
4 《疾病の神殿》
2 《静寂の神殿》
3 《ラノワールの荒原》
3 《コイロスの洞窟》
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》

-土地(26)-

4 《棲み家の防御者》
4 《羊毛鬣のライオン》
3 《搭載歩行機械》
3 《先頭に立つもの、アナフェンザ》
1 《巨森の予見者、ニッサ》
4 《包囲サイ》
1 《黄金牙、タシグル》

-クリーチャー(20)-
2 《思考囲い》
3 《ドロモカの命令》
1 《究極の価格》
3 《アブザンの魔除け》
2 《英雄の破滅》
1 《真面目な訪問者、ソリン》
1 《英雄の導師、アジャニ》
1 《太陽の勇者、エルズペス》

-呪文(14)-
2 《アラシンの僧侶》
2 《思考囲い》
2 《異端の輝き》
2 《究極の価格》
2 《悲劇的な傲慢》
1 《自傷疵》
1 《正義のうねり》
1 《霊気のほころび》
1 《ドロモカの命令》
1 《太陽の勇者、エルズペス》

-サイドボード(15)-
hareruya



 先週使用した【ハンガーバック・アブザン】の完成です!

 使用期間としては、《クルフィックスの狩猟者》が入った「アブザン・コントロール」の方が長かったのですが、いずれにせよ上位のカードには大変お世話になりました。

 残念ながら、この記事でご紹介したカードはローテーションで去ってしまいますが、《包囲サイ》《アブザンの魔除け》はまだまだ健在!僕の「アブザン道」は続きます。 


包囲サイアブザンの魔除け






 以上が僕の選んだ思い出の10選になります。『テーロス』が発売された頃は、まだ学生だったのが信じられません。

 『テーロス』ブロックはプロシーンに復帰したという意味でとても印象に残っていますが、その後の成績がダメダメだったので、『タルキール覇王譚』ブロックは良い思い出ができるようにがんばりたいと思います!

 みなさんもぜひ思い出のカードをつぶやいてみてくださいね!それでは、また次回の連載で!



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