破竹の勢いとそれに伴った確かな実力で勝ち上がってきた成田に、レガシー界の大きな壁がぶつかる。
夏目拓哉である。
根っからのレガシープレイヤーでもあり、昨年のALMCにもベスト8に入賞している関東の強豪だ。そして今回も土つかずのままプレイオフ進出を決め、準々決勝では優勝候補と言われていた高橋優太のANTに勝利しての準決勝。勢いならば負けてはいない。
使用デッキは成田が先にお伝えした通りナヤカラーのオーソドックスなZoo。一方夏目は、《相殺》《師範の占い独楽》 《タルモゴイフ》というCTGの面々に、《自然の秩序》と《大祖始》コンボを搭載し、高速化を図ったデッキ、CounterTopProgenitusことCTPである。
成田が勢いに乗ったまま決勝への階段をひた走るか、夏目が豪腕でねじ伏せるか。激闘必至の戦いの火蓋が切って落とされた。
Game 1
貴重な先手を得た成田は与えられた七枚に満足するも、夏目はすぐにそれらをシャッフルし、ライブラリーとも混ぜていく。一枚減った手札にはゴーサイン。
キープの基準となった《野生のナカティル》は、一度も殴ることなく《剣を鍬に》によって農場送りにされてしまうが、二ターン目のドローが何と《野生のナカティル》。これには夏目も苦笑いを浮かべるが、成田にとって悩みの種になるであろう《相殺》をしっかりと設置する。
とりあえず《野生のナカティル》で攻撃しつつ、成田は手札を埋め尽くす火力と除去を一瞥してターンエンド。《タルモゴイフ》だろうとなんだろうと怖くはないが、目の前に置いてある青いカードだけが厳しい。
夏目は土地が止まってしまったものの、《タルモゴイフ》でターンを返す。
このタルモゴイフは2/3であるため、成田は手札にある《稲妻》で除去を試みるのだが、夏目がライブラリートップからめくったのは《貴族の教主》。土地が止まっている夏目にとっては、土地がめくれてほしいというのが本音だろうが、ここで最悪なのはカウンターもできず土地でもないということだ。
成田にとってはもちろん喜べるはずもなく、手札にあるもう一枚の三点火力、《稲妻のらせん》で《タルモゴイフ》を除去することに。無人の荒野を《野生のナカティル》がひた走る。
夏目は焼かれる運命にある《貴族の教主》を仕方なくプレイ。
これをお伺いを立てるように稲妻をそっと開示すると、《相殺》が公開したのは《Tropical Island》で、ひとまず除去に成功。更にチャンスとばかりに手札から三枚目の《野生のナカティル》を。
だが三枚目の土地を手に入れてしまえば、夏目にとっては3/3の動物程度、気にするほどのことではなかった。これまで自由なランニングをしていた《野生のナカティル》の前に、《ロウクスの戦修道士》が立ちはだかったのだ。
それでも成田は解答策は用意していた。《クァーサルの群れ魔道士》を場に出し、即《相殺》を破壊しに掛かったのだ。まさしく《相殺》は2/2と相殺となり、更に《流刑への道》を《ロウクスの戦修道士》に打ち込んでみるが、ここには《目くらまし》が突き刺さる。
一気に戦況をひっくり返した夏目は、まず《ロウクスの戦修道士》で攻撃し、手札からおかわりを追加。一体も除去することのできない成田は、《渋面の溶岩使い》を出すことしかできずに、二体の《ロウクスの戦修道士》によって攻撃を受けてしまう。
ここで《聖遺の騎士》を引き込んだ成田だが、それすらも《Force of Will》によってカウンター。《野生のナカティル》と《ロウクスの戦修道士》二体の殴り合いはさすがにありえないと、成田は攻撃を自重する。
一方夏目は即フルパンを敢行した。《野生のナカティル》によるチャンプブロックと、《渋面の溶岩使い》の合わせ技によって《ロウクスの戦修道士》を一体失うも、夏目は三枚目すら引き込んでいた。さすが豪腕というべきか。
が、夏目のライフが例え初期値を超えても、成田は諦めない。三枚目の《ロウクスの戦修道士》には《流刑への道》を打ち、更にトップデッキの《火炎破》でついにすべての《ロウクスの戦修道士》を場から追いやった。
クロックを失った夏目だったが別段慌てる様子も無かった。それもそのはずで、ライフにはまだ大きく余裕があり、こちらには独楽がある。勝ちはほぼ揺るがないと言って良い。夏目は未来の薄い三枚を《思案》によってリフレッシュさせ、再び独楽による占いを始める。が、そこには二枚目の独楽と土地のみ。
先にクリーチャーを引き当てたのは成田だった。ライブラリートップから降ってきた《クァーサルの群れ魔道士》が、コツコツとクロックを刻んでいく。
一回、二回……三回。夏目は三枚目の《師範の占い独楽》と土地しか引けず、しかもそれらの土地はライブラリーに干渉のできない土地たち。
四回……五回。ライブラリーには、土地が増えるのみ。
結局夏目の場にクリーチャーが出ることはなく、《クァーサルの群れ魔道士》と《渋面の溶岩使い》が、30近くあった夏目のライフを、あっという間に削りきってしまった。
成田 1-0 夏目
Game 2
後手の成田が《野生のナカティル》をプレイし、対抗する形で《相殺》を夏目が貼る、一本目のような展開でゲームは開始した。この《相殺》が、成田の《タルモゴイフ》をカウンターしたことで、夏目は余裕を持って三ターン目を迎えた。
そして《台所の嫌がらせ屋》をプレイしたのだ。
手札に《流刑への道》はあるものの、場には《相殺》。仕方なく成田は《相殺》に引っかかりにくい二マナの《稲妻のらせん》でサイズをひとつ小さくし、《野生のナカティル》で攻撃する。夏目は当然これを受ける。
そして《台所の嫌がらせ屋》で攻撃した後、《貴族の教主》《タルモゴイフ》と並べ、一気に成田へプレッシャーを掛けた。負けじと《密林の猿人》と《渋面の溶岩使い》と連続でプレイし、《流刑への道》を《タルモゴイフ》に打ち込み、なんとか数で勝ってみるものの、二枚目の《タルモゴイフ》と《渋面の溶岩使い》に打ち込まれる《剣を鍬に》によってまたすぐに場の優位がひっくり返る。
だがここに来て成田はドローが芳しくない。土地をセットするのみ。《貴族の教主》によって強化された《台所の嫌がらせ屋》に、《野生のナカティル》のブロックを強いられてしまう。
一方の夏目は先ほどのゲームの反動か、三枚目の《タルモゴイフ》をプレイ。
成田が逆転するには、ライフも手札もすべてが足りなかった。
成田 1-1 夏目
Game 3
オープンハンドでのスタートを宣言する夏目の目の前で、成田はマリガンすること、一回、二回…そして三回。結局、四枚でのゲームスタートを余儀なくされる。
だがその勢いはまだ衰えてなく、《Taiga》から《密林の猿人》、二ターン目には二枚目の《密林の猿人》と好スタート。
これがすぐに対処される展開なら成田に勝機は薄いのだが、夏目は《渦まく知識》から二ターン目相殺と、初動はあまり早くない。更に引いたばかりの《野生のナカティル》も場に出ることが許可され、まさかの逆転勝利の光が僅かに隙間から差し込む。
が、豪腕夏目が、一度ならず二度までもこんな逆転劇を許すはずがなかった。無情にも夏目は《仕組まれた爆薬》をX=1で設置する。そして即起動。
諦めない成田のドローは《渋面の溶岩使い》だったが、《相殺》がめくったカードは一マナの《渦まく知識》。
《ロウクスの戦修道士》はなんとか引いてきた白マナからの《流刑への道》で除去するものの、夏目は今度は増えたマナで《ロウクスの戦修道士》《タルモゴイフ》と並べて掛かる。
毎ターン増えていく夏目の《タルモゴイフ》は気づけばまたしても三枚。いかに勢いのある成田といえど、三体のタルモゴイフを操る豪腕夏目の前では、対抗策を引く時間すらなかった。
成田 1-2 夏目
夏目Win!