井川 「名前聞かなくていいよ。まつがんでいいよ」
今シーズン好調な井川 良彦(東京)の盟友であり、大人気ブログだらだらMTGを執筆する「まつがん」こと伊藤 敦。最近レガシーを始めたばかりだというが、ここまで1敗ラインで踏みとどまっている。
一方の栗原 伸豪。レベル6のプロプレイヤーは、朝「今日自分で使うデッキがなんなのか知らない」と言いながらも、プレイヤーとしてのさすがの地力でベスト8の目を残している。
開始前は周りの知り合いたちと和やかな会話を行っていた二人だが、試合開始とともに空気は一変。会話はなくなり、熱いとも冷たいとも言えない雰囲気となる。
『マーフォーク』同士のミラーマッチ。運も大きく絡むが、1つのミスが大きく生死を分ける試合となりそうだ。
Game 1
先手の栗原は《霊気の薬瓶》からスタートを切ろうとするが、これは伊藤の《Force of Will》が弾き、逆に後手伊藤の《霊気の薬瓶》が通ってしまう。
そのうえ栗原の土地が《不毛の大地》2枚で止まってしまい、青マナが出ない状態に。
青マナを引きこめた栗原は3マナから《メロウの騎兵》。《目くらまし》をお互い撃ち合ったのち、伊藤の《呪い捕らえ》が生贄に捧げられることでこの《メロウの騎兵》は打ち消される。
伊藤の《珊瑚兜の司令官》はレベル4となり、一気に栗原のライフが減ってゆく。
栗原は再びの《メロウの騎兵》で何とか耐えようとするのだが、伊藤は《不毛の大地》で《Underground Sea》を割り、《霊気の薬瓶》から《メロウの騎兵》を送り込んで一気に試合を終わらせた。
伊藤 1-0 栗原
Game 2
後手の伊藤が1マリガンして試合が開始。栗原の《呪い捕らえ》伊藤《霊気の薬瓶》がそれぞれの1ターン目のアクション。だが、2ターン目に栗原が通したスペルが強烈だった。
《梅澤の十手》。
歴代でも最強の一角を占めるであろう装備品を前に2ターン目の伊藤は長考。最終的に《不毛の大地》で栗原の《変わり谷》を破壊し、マナがそろわないことに賭ける。
返す栗原も長考。ハンドには《Underground Sea》があるが、現状手元にある土地はこれが最後。もし伊藤がもう1枚《不毛の大地》を持っていた場合、最悪クリーチャーも《梅澤の十手》も使えない可能性が出てくる。
最終的な判断は《アトランティスの王》をプレイして、《呪い捕らえ》で2点のアタック。
伊藤は2枚目の《不毛の大地》はなく、《変わり谷》を置き、《霊気の薬瓶》から《珊瑚兜の司令官》を場に出し、これをレベル2にしてターンを返す。
3マナを立ててターンを返してきた伊藤に対して、栗原は《珊瑚兜の司令官》を《メロウの騎兵》の能力で実質1マナでプレイし、《梅澤の十手》を《呪い捕らえ》に装備してアタック。伊藤は《変わり谷》をクリーチャー化し、《霊気の薬瓶》から《メロウの騎兵》の能力で一方的に打ち取ることに成功する。
伊藤のアップキープ、《霊気の薬瓶》のカウンターは……4?《メロウの騎兵》をプレイするだけターンを終える。
明らかに伊藤の動きがおかしい。栗原は一口お茶を飲み、集中する。《銀エラの達人》を実質1マナでプレイし、4枚目の土地として《Underground Sea》を置き、《メロウの騎兵》をプレイ、能力で《霊気の薬瓶》をタップさせようとするが、伊藤は予定調和的に《霊気の薬瓶》から《誘惑蒔き》を場に出し、栗原の《メロウの騎兵》の片割れを奪う。
返しのターンで再び伊藤長考。悩んだ結果、栗原から奪った《メロウの騎兵》と《誘惑蒔き》でアタックし、これを栗原両方とも通す。
栗原は《銀エラの達人》に《梅澤の十手》を装備してアタック。これを伊藤はブロックできない。伊藤のアップキープに《梅澤の十手》の能力で《誘惑蒔き》を撃ち殺すと、盤面を掌握され切ってしまった伊藤は次のゲームへと気持ちを切り替えた。
伊藤 1-1 栗原
栗原「《メロウの騎兵》プレイされた時、《目くらまし》があったのに撃ち忘れた。《梅澤の十手》が通って油断してた」
Game 3
伊藤は先手1ターン目の最高の動きと言える《霊気の薬瓶》!「毎回持ってるじゃん」と栗原ぼやき節。
さらに伊藤は《行き詰まり》。栗原はこれを《呪文貫き》。伊藤は《目くらまし》するが、栗原も《目くらまし》で、なんとか最悪の状態は避ける。
実はこの時、伊藤は《Force of Will》と青い《アトランティスの王》をハンドに持っていたが、まだ撃つタイミングではないと許可。これが、このマッチの分水嶺となる。
《呪い捕らえ》をプレイするだけの栗原に対し、伊藤はトップデッキした2枚目の《行き詰まり》をキャスト。双方《Force of Will》を撃ち合ったのち、栗原は《呪い捕らえ》を起動して何とか耐える。
栗原は祈るようにドロー。これが求めていた2枚目の土地で、勢いよく《銀エラの達人》をプレイする。
ハンドに残された《梅澤の十手》がプレイされ、これで栗原はかなりきつくなってしまう。伊藤が4マナ目を引くと、《変わり谷》に装備でアタックという動きが出来てしまうからだ。《珊瑚兜の司令官》を出してエンドする。
伊藤は《メロウの騎兵》をドロー、1ターン待つかどうか思案したのち、思い切ってプレイするが、栗原はこのマッチ3枚目となる《目くらまし》で弾き、ギリギリのところで耐える。
ここから攻めに転ずるべく、栗原は《珊瑚兜の司令官》をレベル4にしてアタック。《銀エラの達人》は《変わり谷》へのブロッカーとして残す。
ここで伊藤、《銀エラの達人》から《呪い捕らえ》と引き込み、この銀エラには《梅澤の十手》が装備される。「理想的な2枚を引かれた。きつい」とこぼす栗原。《珊瑚兜の司令官》だけでアタックしてターンを返す。
《銀エラの達人》がレッドゾーンに送り込まれ、栗原はこれを《変わり谷》で討ち取る。伊藤は《梅澤の十手》でこの《変わり谷》を除去し、《呪い捕らえ》に《梅澤の十手》を装備し直す。
だが栗原の引きは強く、ここにきて《メロウの騎兵》をトップデッキ。《珊瑚兜の司令官》が5/5となり、一気に伊藤のライフは苦しくなる。
アップキープに《霊気の薬瓶》のカウンターをどうするかというところで伊藤長考。結局《銀エラの達人》から繋がらないと話にならないと結論付け、2のままでドロー。クリーチャーの追加はなく、《呪い捕らえ》でアタック。《梅澤の十手》でパンプアップし、《銀エラの達人》と相討ちになる。《不毛の大地》で栗原の《変わり谷》を割り、自分の《変わり谷》を最後のブロッカーとして残す。
しかし、栗原のライブラリートップから降ってきた《珊瑚兜の司令官》が《変わり谷》を寝かすと、伊藤の身を守るクリーチャーは何もないのだった。
伊藤 1-2 栗原