新環境ドラフト徹底解析!!

大澤 拓也


前回の記事にコメントしてくださった方々ありがとうございます。

これからも皆さんが議論し、切磋琢磨できる機会を増やせるように頑張っていきますのでこれからもよろしくお願いします。
さて、前回の記事「Osawa Limited Fanatic!!:最強のアーキタイプは感染。」でご指摘のあった【3-5】のピックですが、解説の際に《カルドーサの鍛冶場主》に全く触れずに申し訳ありませんでした。
改めて《カルドーサの鍛冶場主》に視点を当てて解説していきたいと思います。
まずコメントにもあったように5マナ以降のカードがバースト気味だったという点が一つ。
筆者の持論としてカードパワーが高いデッキほど「マナ域」特に低マナ域のカードをしっかり確保することを気をつけるというのがあります。
特にこの環境では『感染』を仮想敵として強く意識しなければいけないので低マナ域のカードの重要性が非常に高いです。
続いて《カルドーサの鍛冶場主》自体のパフォーマンスですが、よく見て頂くとわかるのですが、ピック時の段階でも実際のデッキレシピでもアーティファクトがそこまで多くなく、取り合えず並べている《恐慌の呪文爆弾》もこのデッキに必要なパーツには見えないので、デッキの完成系を考えると最終的にデッキから抜けることが容易に想像できると思います。
更に先程も言った通り『感染』を仮想敵として意識しているため3マナ域の3/1達は場に残ることを想定していなく、6~7マナ域の強力カードに繋げるためのサポートカードに過ぎません。
《マイアの戦闘球》のトークンを生贄に捧げて《イシュ・サーの背骨》を出したり、《イシュ・サーの背骨》と使い終わった《転倒の磁石》を生贄に捧げて《マイアの戦闘球》を出すというパターンは非常に強力ですが、逆に言うとそのパターン以外はあまり現実的でないと思います。
その一瞬の輝きと《絡み線の壁》の安定したパフォーマンスを比べた結果、筆者は後者を選択します。
今回のように疑問に思った点、筆者の意見を聞いてみたい点などがあった場合は遠慮なくコメント欄を活用してみてください。

それでは今回の本題に入ります。
発売直前「新たなるファイレクシア」のカードレビューをしていこうと思います。
まだまだ実戦経験は少ないですがプレリリース、8人ドラフトに触れてみての感想も踏まえて解説していきます。

MTG-JP.comでも、渡辺雄也さんが新たなるファイレクシアを徹底分析していますね。
個人的には、現役プレイヤーでリミテッドが一番強いのは渡辺さんだと思っています。彼の記事でセット全体についてのレビューがされているので、少し重複してしまう部分もあるのですが、方向性を少しかえて個別のカードとピック時の戦略に触れながらいきたいと思います。



1.見たら取る。説明不要の初手級カード達

ということで、まずはドラフトの方向性の指針となることの多い、説明不要な強力レア・アンコモンをピックアップしてみました。
新たなるファイレクシアは1パック目に開封するので、色やデッキの方向性を決める要素になる可能性が非常に高いです。これからあげるカード達は、基本的には”1~3手目”位に取るべきカードなので、よっぽどの事が無い限り、見かけたらピックして良いでしょう。個人的には、まだ色も決まっていない段階なので、前のピックの色に関係なくピックしてもいいレベルのカード達だと思います。

【無色】
解放された者、カーン


[R]《解放された者、カーン》










【白】
大修道士、エリシュ・ノーン


[R]《刃の接合者》
[R]《大修道士、エリシュ・ノーン》

[U]《練達の接合者》
[U]《砕けた天使》






【青】
核の占い師、ジン=ギタクシアス


[R]《尖塔の大長》
[R]《ファイレクシアの摂取者》
[R]《ファイレクシアの変形者》

[U]《詐欺師の総督》
[U]《精神間引き》
[U]《テゼレットの計略》
[U]《病毒のドレイク》
[U]《翼の接合者》


【黒】
生命の終焉


[R]《ドロスの大長》
[R]《生命の終焉》
[R]《ファイレクシアの抹消者》
[R]《囁く者、シェオルドレッド》

[U]《四肢切断》
[U]《隷属》
[U]《納墓の総督》
[U]《シェオルドレッドの刈り取るもの》


【赤】
溶鉄鋼のドラゴン


[R]《溶鉱炉の大長》
[R]《溶鉄鋼のドラゴン》
[R]《隠れしウラブラスク》

[U]《攻撃的な行動》
[U]《堕ちたる鉄術士》
[U]《責め苦の総督》




【緑】
絡み森の大長


[R]《ファイレクシアの群れの王》

[U]《内にいる獣》
[U]《非道の総督》
[U]《生命の接合者》






【マルチカラー】
覇者、ジョー・カディーン


[R]《覇者、ジョー・カディーン》










【アーティファクト】
殴打頭蓋


[R]《殴打頭蓋》
[R]《戦争と平和の剣》

[U]《合金のマイア》
[U]《変換室》
[U]《屍襲い》
[U]《燃え上がる憤怒の祭殿》
[U]《忠実な軍勢の祭殿》
[U]《鎌切り》



2.ひと癖有。使えば使うほど味が出る!

個人的には、初手でとってもいいようなカードだと思っているのですが、能力的にクセのあるカードを特にピックアップしてみました。

純鋼の聖騎士ぎらつく油刻まれた大怪物呪文滑り


《純鋼の聖騎士》
見た目はなんとなく派手に見えますがパフォーマンスは意外と地味。
2マナ2/2が活きるデッキに仕上げるのが理想ですね。
でもそうなるとクリーチャーを多めにする必要があるので装備品とその他のスペルのバランスがなかなか難しいです。
生態武器と出会えたらとってもハッピー!

《ぎらつく油》
一転、こちらは見た目は地味な感じに見えますが、なかなかやりおります。
普通にタフネス1の対象には困らない環境ですし、増殖が実用レベルのカードに搭載されたおかげで相手の場を壊滅させることもそんなに難しいことじゃないですね。

《刻まれた大怪物》
ここまで見返りがでかければ5色にチャレンジしてみてもいいかな?と思えるカード。
まあ普通に5マナ5/5なんでそんなこと関係なく取るんですけどねー。

《呪文滑り》
マナを支払わずに対戦相手のクリーチャーサポートスペル、3点以下の除去を全て完封。
その上防衛ではないので装備品があればアタックだっていけちゃいます。

ファイレクシアの愛撫大軍の功績限界無き力の祭殿


《ファイレクシアの愛撫》
このカードは感染の時に真価を発揮します。
元々息切れが課題だったり、クリーチャーで殴るだけではキツイ時代になってきた感染に本体火力としても使えるドローは待望の1枚と言えるでしょう。
逆に感染デッキ以外が使うにはちょっとデメリットが大きいかもしれません。
相手が感染デッキの場合はサイドアウトすることも多いでしょう。

《大軍の功績》
感染デッキで使うにはちょっと物足りない印象がありますが、赤緑の非感染デッキなどで使うと非常に強力かつ奇襲性がある1枚です。

《限界無き力の祭殿》
3ターン目に置ければ問題なく強いですし、相手のドロー後に使えることから損することはまずありません。
バウンス等と組み合わせれば効果絶大です。



3.環境の方向性を占う。コモン徹底解析!!

今までご紹介してきたのは、ゲームを決める事が出来る強力なカード達。ですが、いつでもお目にかかれるわけでは無く、大体の場合は早々にピックされてしまうので、引ければラッキーというだけの話。
枚数が多いコモンこそが、どのような環境なのかを決定します。ということで、コモンに関しては細かく解説していこうと思います。


【白】

■クリーチャー
敗残のレオニン金切り声の猛禽磁器の軍団兵


探知の接合者縫合の僧侶

《敗残のレオニン》
《金切り声の猛禽》
白のコモンで使用に耐え得るレベルの感染クリーチャーが追加され、白絡みの感染デッキも現実味を帯びてきました。
ただ接合者シリーズを始めとしてクリーチャーの質が上がってるので、感染の低マナ域からのビート戦略はあまり好ましくないというのが筆者の見解ですね。

《磁器の軍団兵》
2マナで召喚できるクリーチャーもここまできたかって感じです。
ただのこの環境は-1-1や1点除去が非常に豊富なので過度の期待は禁物です。

《探知の接合者》
接合者シリーズ唯一のコモン。
コモンなだけに他の接合者と比べるとあまりコストパフォーマンスが良く見えませんが5マナで3/3と1/1。十分です。
《微光角の鹿》やバウンスと相性抜群です。

《縫合の僧侶》
ファイレクシアマナの関係で以前よりもライフの重要性が増したと言われてる中でこのカードのパフォーマンスは凄い。
戦闘能力の低さも装備品が充実しているこの環境では全く問題ないですね。

■スペル
使徒の祝福倒れし者の記憶強制された崇拝

《使徒の祝福》
個人的にアドバンテージの取れないリアクションカードは好きじゃないんですが、NPHはコントロール色の強いカードが多くなり、環境の速度が更に緩やかになったので、デッキの中のエースをこのカードで守れるか守れないかで勝負が決まるなんてことも珍しくないと思います。しかしどのデッキからも1マナで打たれるなんて頭痛いですね。
ただだからと言って何も情報がない状態から警戒し過ぎたら何もできなくなってしまうので、対戦相手が不自然な行動取った時に思いだせるくらいの気持ちで頭の片隅に入れておきましょう。

《倒れし者の記憶》
もはや説明不要ですね。アドバンテージの塊。
このカードのせいで《虚無の呪文爆弾》の価値が上がったなんて話もチラホラ。

《強制された崇拝》
どっかで見た事あるなーって感じのデザインですね。
往年の飛行ビートのお供的な使われ方から、今回は接合者シリーズや《倒れし者の記憶》の関係でタッチ白という戦略が取られることが多くなると思うので、早い順目で姿を消すカードだと思います。
《拘引》と違ってブロックはされてしまうのでご注意を。


【青】

■クリーチャー
荒廃の工作員つながれた喉首追い突き刺しモズ尖塔の監視者


《荒廃の工作員》
《つながれた喉首追い》
非常に強力な2種類が追加されました。能力的にもなんとなくこの2種類で完結してる感もあります(笑)
特に《つながれた喉首追い》のほうは対感染の時にとても頼りになりますし、時がくれば1枚で勝負を決めれるポテンシャルを秘めてると思います。
白とは違い、ビート戦略に寄せなくても使いやすいと思うので、個人的に青黒の感染+増殖コントロールが一番の注目アーキタイプです。

《突き刺しモズ》
なんとなく「いつサクるの?」感が否めないカードではありますが、4マナ3/1飛行にオマケがついてると思えば十分ですね。
ただ先程も言った通りタフネス1が活躍しづらい環境というのを常に念頭に置いてピックしましょう。

《尖塔の監視者》
ついにこの環境にも現れました。
手札があるのに5マナ立ててエンドには気をつけろシリーズ。
この手のカードの怖さは一回喰らって痛みと共に覚える物だと思うので皆さんレッツアタック!(笑)

■スペル
心理の障壁蒸気の絡みつき

《心理の障壁》
《霊魂放逐》と言ったら聞こえは良いですが、ライフを1点失わせるという能力が今の青にそこまでの利点になっていないのと、コントロールで組む際には3色になることが多いので、単純に打ちにくくなった《霊魂放逐》という印象です。サイドボードに控えてることが多そうです。

《蒸気の絡みつき》
マナコストも一緒なので一見《送還》の上位互換に見えなくもないですが、意外と自分のカードを戻すことが多いんです。
ただこっちの利点が少ないように、デメリットとしても大した事はないので《送還》と同じ感覚でピックして問題ないでしょう。


【黒】

■クリーチャー
死の犬髄掘り

《死の犬》
見た目はちょっと重いかな?と思いましたが使われてみると意外とプレッシャーが凄い。
装備品やスペルでサポートできたら相手のライフは一気に致死圏内です。

《髄掘り》
実質無色4マナ2/4でこの能力はどのデッキにも喜んで投入したい1枚。
本当にただのアーティファクトだと思ってピックしても問題ないです。
感染ビートの最大の敵と言っていいでしょう。

■スペル
ゲスの評決不気味な苦悩寄生的移植

《ゲスの評決》
-1-1除去が多く、細かいクリーチャーを除去するのに長けている黒では大物狩りも期待できます!

《不気味な苦悩》
《着実な進歩》とはなんだったんでしょうか…。
優秀な除去であり、コンセプトの核になるカードです。

《寄生的移植》
重く、かわされやすいですが、それでも数少ない完全除去。
申し訳なさそうに出てくるマイアが可愛いです。

【赤】

■クリーチャー
オーガの使用人剃刀の豚

《オーガの使用人》
いまいち活躍するデッキタイプが思いつかないですが、一体でゲームを終わらせれる実力は持ち合わせております!

《剃刀の豚》
感染+先制攻撃という最強コラボがこの1枚で実現!
戦闘では向かうところ敵なしです。
こんなやつがコモンにウロウロしてると思うと、どんなデッキでも《骨髄の破片》や《はらわた撃ち/GutShot》は積極的に確保しておきたいですね。

■スペル
石弾化電位の負荷

《石弾化》
インスタントでこのコストならほとんど撃つことに困ることはないでしょう。
コモンとなると2枚で一瞬で本体を焼ききるなんてこともありそうですね。
《マイコシンスの水源》《胆液の水源》とお手軽コンボも魅力。

《電位の負荷》
《着実な進歩》とは…。
色的にそんなに増殖の恩恵を受けれなそうですが、本体にも撃てるのはかなりのハイスペック。
《石弾化》《震盪の稲妻》と合わせてバーンデッキも夢じゃない!

【緑】

■クリーチャー
死の頭巾のコブラ大槌の接合者とどろくタナドン

《死の頭巾のコブラ》
ちょっと起動コストが重いかな?という印象がありますが、2マナクリーチャーに付いてる能力としては十分。
どの道に進むにしても緑なら抑えておいて損がないカードです。

《大槌の接合者》
一瞬アンコモンなんじゃないかと思ってしまう程のハイスペック。
コントロールがタッチでフィニッシャーとして採用することも多そうです。

《とどろくタナドン》
マイア経由で3ターン目に出てきたらさすがに笑えないですね。
白赤のビートなんかで是非使ってみたい。

■スペル
変異原性の成長血吸いの噛み付き

《変異原性の成長》
ついに白青からも黒赤からもジャイグロを撃たれる時代になってしまったんですね。
環境にこのカードがあるせいで全てのプレイヤーにジャイグロを持ってるフリをする権利が与えられ、プレイングの幅が相当広がったと思います。

《血吸いの噛み付き》
個人的には《変異原性の成長》より好きなカードです。
戦闘で役に立たなくても、この環境では-1-1除去の対象には困らないので、手札に腐ることがないのが嬉しいですね。

【アーティファクト】

■クリーチャー
まばゆい魂喰い

《まばゆい魂喰い》
白マナが出なくても問題ない働きをしてくれます。
生きてる《転倒の磁石》!!!

■スペル
グレムリン地雷マイコシンスの水源清純のタリスマン

《グレムリン地雷》
上の能力は言わずもがな。下の能力も《転倒の磁石》や各種護符シリーズをいきなり無効化しちゃったりします。
ただ、1マナアーティファクトを置いておけるということにメリットがないデッキだと寂しい時間が長いこともしばしば。

《マイコシンスの水源》
《天球儀》を彷彿とさせるアドバンテージ。
このカードがコモンにあるおかげで重いカードの価値も上がり、多色化もだいぶ許容されたと思います。

《清純のタリスマン》
このカードをなめたらいけません。
先程から何度も触れてるように、環境自体の速度が遅くなりゲームのターン数も増えているので、10点くらいは平気でゲインしてくれます。
ファイレクシアマナを多用するデッキでは抑えておきたいカードですね。
NPHで一番見た目と強さにギャップがあったカードかもしれません。



4.スピード重視の環境からコントロールが強い環境へ!?

記事の中でも再三言いましたがNPHではコントロール要素の強いカードが増え、黒緑感染ビートの低マナ域のクリーチャーが減り、接合者シリーズのような感染クリーチャーに耐性の高いクリーチャーが増えたりして、環境がコントロール寄りになり、ゲーム展開が全体的に遅くなったと思います。
白はNPHに《倒れし者の記憶》《強制された崇拝》や接合者、SOMでは《拘引》《存在の破棄》が期待できるため非常にタッチされやすい色になりました。環境がコントロール寄りになったことで、3色目のタッチも聞許容しやすくなりました。3色デッキをイメージしながらピックする事も意識していったほうがいいと思います。

また、イチオシの青黒感染+増殖というアーキタイプですが、環境の低速化とコントロール向けのカードの増加により、Tier1と言っても過言ではない強さを持っていると思います。まだ数回しか行っていませんが、ドラフトで3-0することが出来たので、参考までにサンプルレシピを載せておきます。


Takuya Osawa / 「UB_Infect-Prolirerate」 3-0

9《沼》
8《島》

-土地()-

1《煙霧吐き》
1《疫病のとげ刺し》
1《かき鳴らし鳥》
1《絡み線の壁》
1《荒廃の工作員》
1《敗血のネズミ》
1《伝染病の屍賊》
1《ヴィダルケンの解剖学者》
1《核をうろつくもの》
1《病毒のドレイク》
1《髄掘り》
1《黒死病の魂喰い》
2《つながれた喉首追い》

-クリーチャー(14)-
1《悪性の傷》
1《不気味な苦悩》
1《病的な略取》
1《鋼の妨害》
1《転倒の磁石》
1《感染の賦活》
1《目的のための燃料》
1《水銀の噴出》
1《ファイレクシアの愛撫》

-呪文(9)-
-サイドボード(0)-
hareruya



筆者もまだまだ経験不足なので皆さんが見つけたコンボや「こんなアーキタイプで3-0したよ!」なんていう3-0報告なんかもコメント欄にてお待ちしております!
次回はまた実戦に近い形でお送りできればと思っています。

それでは、今週はこの辺で!