By Kenji Tsumura
300名もの参加者が集った【第6期レガシー神挑戦者決定戦】の【トップ8】には、驚くべきことにレガシーを代表する【青白奇跡】の姿がなかった。
そんな「青白奇跡」不在のトップ8には、「ジャンド」や「マーフォーク」に「土地単」といったレガシーでお馴染みのデッキから、今をときめく「エルドラージ」などバラエティ豊かなデッキが顔を揃えたが、そこで一際異彩を放っているデッキがあった。
今年に入ってモダンで禁止カードに指定された、《欠片の双子》コンボデッキだ。それを駆るのは、【第5期レガシー神挑戦者決定戦に引き続いてのトップ8】となる小笠原 翔。
【デッキテクでも紹介された双子デッキ】を手に、再びこの高みへとたどり着いた。
対する川畑 悠は、「ジャンド」を使用して予選ラウンドを8-0-1で堂々の首位通過。デッキ選択理由に記載された【これしか使えないから】というコメントからも、「ジャンド」デッキへの愛情と造詣の深さを垣間見ることができる。
この対戦は、モダンで幾度となく行われてきたマッチアップだが、《突然の衰微》で容易にコンボを阻害できるため、一般的に「ジャンド」側が有利だと言われている。
だがそこに膨大なカードプールが加わるレガシーでは、結果はどうなるのだろうか。レガシーでは珍しいとされるマッチアップの火ぶたが今、切って落とされる。
Game 1
【デッキの選択理由】に「わからん殺し」を挙げた小笠原。このゲームでも、ローグデッキの強みを存分に見せつけることになった。
ゲームが決着を迎えたのは、実質4ターン目だった。川畑が繰り出した《Hymn to Tourach》を《Force of Will》すると、小笠原が必殺の1枚を解き放つ。
この時点で川畑がコントロールしていたのは、大量の特殊地形と《漁る軟泥》のみ。火力呪文以外の全ての動きを封じられてしまった川畑に、小笠原は力強く次なる一手を提示する。
デッキの長所を遺憾なく発揮した小笠原が、まずは先勝。
川畑 0-1 小笠原
サイドボードの間に川畑が発した言葉が、1ゲーム目を体現していた。
川畑 「序盤の動きを見て、完全に【スニーク・ショー】だと勘違いしましたよ~。まさか《欠片の双子》とは……。」
小笠原 「予選ラウンドでもほとんどの人が『《欠片の双子》は想定外だ』って言ってましたね (笑)」
これまでに《欠片の双子》との対戦経験がほとんどないためか、時間いっぱいまでサイドボーディングを思案する川畑。対する小笠原は最小限の入れ替えで、素早くサイドボーディングを終えた。
Game 2
巻き返しを図りたい川畑は、《沼》から《死儀礼のシャーマン》でゲームを開始する。1本目の決まり手となった《血染めの月》対策を兼ねる理想的なスタートだ。
小笠原も負けじと《金属モックス》でマナ加速を果たすと、《イゼットの魔除け》で《死儀礼のシャーマン》を除去してゲームの主導権を渡さない。
小笠原 翔 |
さらに小笠原は2ターン目に動きがなかった川畑に対し、1本目の再現とばかりに《血染めの月》を叩きつける!
だが川畑はしっかりと《ゴルガリの魔除け》でこれを対処。《大渦の脈動》で《金属モックス》を破壊して、逆に小笠原の自由を奪っていく。
小笠原は残った土地でなんとか《ヴリンの神童、ジェイス》を展開するも、川畑は《闇の腹心》、《大歓楽の幻霊》と連打し息つく暇を与えない。
ついに手が止まってしまった小笠原は土地を置くのみでターンを返すが、このままでは《闇の腹心》で手札が増え続ける川畑とは差が開いていく一方だ。
虎の子の《詐欺師の総督》を送り込み、《欠片の双子》待ちの状態にしてみるものの、《闇の腹心》が《罰する火》、《突然の衰微》と次々と脅威を届けると、ゲームの行方は最終戦にもつれ込んだ。
川畑 1-1 小笠原
Game 3
泣いても笑っても最後の一戦は、川畑が《死儀礼のシャーマン》で先行するスタートとなった。小笠原は《ヴリンの神童、ジェイス》で追走する。
《誤った指図》の影がちらつき《ヴリンの神童、ジェイス》の対応に頭を抱える川畑だったが、意を決して《ヴリンの神童、ジェイス》に《罰する火》を。
小笠原から飛んできたのは《誤った指図》ではなく《Force of Will》で胸をなでおろすも、《ヴリンの神童、ジェイス》が残ってしまったことに変わりはない。
小笠原は《イゼットの魔除け》で《情け知らずのガラク》を打ち消し、「変身」した《束縛なきテレパス、ジェイス》で《イゼットの魔除け》を再利用して《死儀礼のシャーマン》をも葬り去る。
これで盤面には《束縛なきテレパス、ジェイス》だけが残り、小笠原が流れを掴んだかと思ったその刹那。「ジャンド」を象徴するカードがゲームを変えた。
「続唱」によって導かれた《赤霊破》が《束縛なきテレパス、ジェイス》を退け、《血編み髪のエルフ》が小笠原に襲いかかる。
一転して脅威にさらされる格好となった小笠原。ここまでの消耗戦にかなりのリソースを費やしてしまっていたため、コンボでの一発逆転にかける。
だが時間を稼ぐための《血染めの月》は即座に《突然の衰微》され、肝心要の《詐欺師の総督》も《燃え柳の木立ち》+《罰する火》のコンボであっという間に退場させられてしまう。
川畑 悠 |
川畑は《強迫》や《不毛の大地》で小笠原を追い詰め、ダメ押しに《殺戮遊戯》で万が一の逆転の目も摘み取ってみせた。
川畑 2-1 小笠原