松田 幸雄(東京)。
【第3期スタンダード神挑戦者決定戦】経験を持ち、神シリーズ史上初の“2回挑戦権を獲得したプレイヤー”となった松田。しかもスタンダードに続いてモダンでも勝利を収めるという、フォーマットの枠にとらわれないマジックの技量の高さが伺える。
今回はそんな「中野の最終兵器」と呼ばれた男……もとい、現モダン神・市川 ユウキへと挑む松田にインタビューを行った。
中野の最終兵器
--「松田さんはいつごろからマジックをプレイされていたんでしょうか?」
松田「中学生の頃、友達と一緒に始めました。当時は『アポカリプス』の頃で、緑単とかを組んで友達同士でカジュアルに遊んでました。それから友達が辞めていったりして、僕もマジックと離れていたんですが、『アラーラの断片』くらいの頃から復帰してカードショップにも出入りするようになりました。中野勢と仲良くなったのもその頃ですね」
--「中野勢といえばEDHという印象が強いのですが、やはり松田さんもEDHはよくプレイされていたんですか?」
松田「そうですね。むしろ3~4年前くらい前まではほとんどEDHしかプレイしてませんでした。あ、前に晴れる屋さんでも取り扱っていただいていた『BOOK OF EDH』という同人誌の制作とかもやってましたね」
--「あっ、それは僕も持ってます! あの本って松田さんが制作していらっしゃったんですね!」
松田「もちろん僕一人で作っていたわけではありませんけどね(笑) 先ほど“中野勢といえばEDH”と仰っていたと思うんですが、たしかに中野はEDHが異様に発展していたので『中野勢のみんなでEDH本作ろう!』みたいなノリで」
--「みなさん仲がいいんですね。ちなみに松田さんといえば【第3期スタンダード神決定戦】で『中野の最終兵器』などと禍々しい通り名(?)で呼ばれてましたが、この通り名はどういった経緯でついたものなのでしょうか?」
松田「あー……これ、すごい内輪ネタなんですけど、僕の高校時代の親友が【『三国志大戦』】っていうアーケードゲームやってるんですよ。で、そいつが悪ノリしてゲーム内の名前を“松田V幸雄”って登録したんですよね。言うまでもなくそいつの本名は全然『松田 幸雄』じゃないんですけど(笑) で、そのゲーム内で《最終兵器》っていう戦略を使ってるから、そいつと僕の共通の知り合いがなぜか僕のことを『中野の最終兵器』とか呼び始めて……」
--「ああ、気の置けない友達同士のノリですね(笑) なんとなく松田さんの人となり、コミュニティを大事にする弄られキャラ、みたいな部分は伝わってきました」
“神挑戦者決定戦”に特化?
--「さて、【第3期スタンダード神挑戦者決定戦】でも優勝経験があり、今回も見事にモダン神への挑戦権を獲得されましたが、その強さの秘訣は何でしょうか?」
松田「強さの秘訣……と言われても、僕あんまりトーナメントで勝った経験ってないんですよ(笑) 身内からは『挑戦者決定戦だけ勝ってる奴』って煽られるくらいで。そもそもモダンは大きなイベントの前しかやらないので、今回勝てたのはたまたまだと思います」
--「スタンダードのみならずモダンでも勝利を収めていらっしゃいますし、やはりマジックの地力が高いのかなという印象なのですが……普段はどんなふうに練習されているんでしょうか?」
松田「普段は友達と集まってメタゲームの流れを追ったりデッキを回したり……といっても、勝つために特別なことをしている、という感覚ではないです。中野勢とはしょっちゅう遊んでるので、お互いに意見が言いやすいんですよね。そういう環境のおかげなのかも」
--「コミュニティが活発なのは素敵ですね。松田さんはグランプリなどにも参加されたりするんでしょうか?」
松田「ええ。一度マネーフィニッシュもしたことがありますが、上の方にはなかなか行けないですね。緊張しちゃって夜寝れなかったり遅くまで調整したりで、どうしても体調管理が疎かになっちゃうんですよねぇ……今回も緊張しますが、モダンだから何使っても結局は力のぶつかり合いで、運の要素も大きいから逆に気楽になれますね」
--「お好きなカードなどはありますか?」
松田「わりとなんでも使いますが……あ、“4マナ域の強いクリーチャー”が好きかもしれません。スタンダードの頃の《ムル・ダヤの巫女》とか《高原の狩りの達人》とか《波使い》が好きだったんですよね。トークン出したりアドバンテージに直結しているクリーチャーが好きみたいです。スタンダード神のときも《血の暴君、シディシ》が好きすぎてシディシウィップで出てましたし」
--「たしかに松田さんといえばシディシウィップ、みたいなイメージがありますね」
松田「当時は《血の暴君、シディシ》にこだわりすぎて《包囲サイ》使わなかったんですよ。今考えるともったいねー(笑)」
予想を裏切りたい
--「松田さんが挑戦者として神決定戦に出場されるのは2回目ですが、この少し特殊なルールについてはどういった印象をお持ちでしょうか?」
松田「読み合いが本当に大事ですよね。【前回瀬尾さんと対戦したとき】は完全に読みを外しちゃったのでキツかったです。あのときは『絶対アブザンだけは倒す!』って意気込んでたので、まさか瀬尾さんがエスパードラゴンを使ってくるなんて思ってもみなくて。ミラーマッチは1回も練習してなかったので、2ゲーム目が終わるくらいまでは対戦しながら練習してるような感じでした(笑) 今回はどうなることやら……」
--「市川さんへの印象はいかがですか?」
松田「本当にうまい方ですよね。コンスタントに勝ってて、よくあんなにいろんなフォーマットで勝てるなー、と思います。スタンダードとかモダンももちろんですけど、レガシーも強いじゃないですか。すごいです」
--「たしかに凄まじいですよね。そんな市川さんを打倒する秘策などはおありでしょうか?」
松田「いやー、いろいろ練習はしてるんですけど、めちゃくちゃにされる未来しか見えないんですよねぇ(笑) ただ、これまで市川さんってほとんど読みを外したことがない方じゃないですか? だから今回は予想を裏切っていきたいです」
--「最後に意気込みをお願いします」
松田「勝ちたいけど自信はないです。まぁ、楽しみたいですね」
--「ありがとうございます。当日の試合もがんばってください!」
2度目の決戦の舞台へとたどり着いた松田。コミュニティの中で切磋琢磨してきたその力で打倒・神を果たすことができるか?
来る第6期モダン神決定戦で、市川はどのようなプレイを我々に魅せてくれるのか? 今から期待が高まる。