「……というわけで、【グランプリ・シドニー2016】の公式カバレージを書くことになりました」 |
「じゃあもう一週間滞在してついでに【プロツアー『異界月』】に出場する【Hareruya Pros】の現地取材みたいなのやってよ」 |
「ふぁ!?」 |
というわけで現在、オーストラリアのシドニーに来ています!
ここではプロツアーを戦う【Hareruya Pros】の戦いぶりを追いつつ、プロツアーの模様をお伝えしていきます。
少しでも現地の雰囲気をお届けできるよう頑張ります。
■ 開催地
まずは開催地について、簡単な前情報をおさらいしておきます。
当たり前の話ですが、オーストラリアは南半球にあるので、8月現在シドニーは真冬です。寒い。超寒い。
プレイヤーの多くはアメリカ/ヨーロッパ/日本など北半球から来ているので、体調管理はかなり大変そうでした。
会場は【グランプリ・シドニー2016】と同じく、オリンピックパーク内にあるSydney Showgroundという施設。
交通や食事処などの周辺事情が引き継げるので、これはグランプリから連戦しているプレイヤーにとってはありがたいと思います。
■ プロツアー初日・ドラフトラウンド
さて、いよいよプロツアーが開幕です!初日はドラフト3回戦とスタンダード5回戦で行われます。
ポッドはランダムなので、殿堂プレイヤーやプラチナ・レベルのプレイヤーばかりの卓に入るかもしれないのがプロツアーの怖いところです。
『異界月』+『イニストラードを覆う影』ドラフトについては、【晴れるーむ合宿】の結果や各3-0プレイヤーの感想 (「総合成績&まとめ」はすみません、帰国後にあげます) を見てもわかるように、以下のような特徴があります。
◆ 『異界月』+『イニストラードを覆う影』ドラフトの特徴
・コモン同士が形成するシナジーの力が弱く、強力なレアやアンコモンが持つ単体のカードパワーに対しコモンだけのシナジーでは太刀打ちしにくい環境である。
・『異界月』のコモンの質は白が突出して高く、卓の人数的にも人気が集まりやすいカラーである。
・他方で緑は圧倒的に人気がない。
・コモン同士が形成するシナジーの力が弱く、強力なレアやアンコモンが持つ単体のカードパワーに対しコモンだけのシナジーでは太刀打ちしにくい環境である。
・『異界月』のコモンの質は白が突出して高く、卓の人数的にも人気が集まりやすいカラーである。
・他方で緑は圧倒的に人気がない。
したがって、いかにしてより多くのアンコモンやレアを確保できるポジションに座り、それらをスムーズにデッキに組み込めるかがカギとなるわけですが、それを見事実践したこちらのプレイヤーが3-0。
【PTシドニー】齋藤 友晴選手、ファーストドラフト3-0!スタンダードラウンドに期待がかかります!(伊藤敦) #PTEMN #HareruyaPros pic.twitter.com/asWoqAycFH
— 晴れる屋 (@hareruya_mtg) 2016年8月5日
《不屈の追跡者》《優雅な鷺の勇者》《爪の群れのウルリッチ》と豪華な緑のレアをこれでもかと搭載した白緑ビートダウンです。
ほか、津村 健志選手も初手《残忍な剥ぎ取り》Foilから黒緑『昂揚』一直線でかなり強力なデッキを作り上げて惜しくも2勝1敗にとどまるなど、今回Hareruya Prosから参加している9名のうち6名が勝ち越し、うち1名が3-0ということで、Hareruya Pros全体としてはファーストドラフトはまずまず上出来なスタートとなりました。
また、スタンダードラウンドとの合間に2016年のマジック・プロツアー殿堂の発表が行われ、日本の渡辺 雄也選手が見事殿堂プレイヤーに選出されました。おめでとうございます!
Congrats to the 2016 Magic Pro Tour Hall of Fame class! Yuuya Watanabe and Owen Turtenwald! #mtg #mtghof pic.twitter.com/8L9M0NvZcg
— Magic Pro Tour (@magicprotour) 2016年8月5日
■ プロツアー初日・スタンダードラウンド
ドラフトが終わると、注目の『異界月』入り新環境スタンダードが始まります。
SCGの結果から「バントカンパニー一色になるのでは?」などと予想されていたプロツアーでしたが、蓋を開けてみるとそんな心配は全くの杞憂でした。
【アーキタイプ分析】を見てもわかるとおり、「バントカンパニー」は最大勢力を誇っているとはいえ20%弱、対してその他の70~80%は《集合した中隊》の「ち」の字もない、『異界月』の新カードをふんだんに使用した全く新しいアーキタイプたちで埋まっていたのです。
特に会場で話題をさらっていたのは《老いたる深海鬼》《残忍な剥ぎ取り》《約束された終末、エムラクール》の3枚でした。
会場では「タコ (《老いたる深海鬼》) と当たったわ」「また緑黒『昂揚』だった」といった会話が当たり前のように交わされており、あれだけ《集合した中隊》まみれだった環境がこうも容易く塗り替わるのかと驚嘆しきりでした。
また『異界月』のカード以外では、《ウルヴェンワルド横断》はおそらく会場内で最も多く使われているカードのうちの1枚だと思います。《老いたる深海鬼》や《約束された終末、エムラクール》《墓後家蜘蛛、イシュカナ》をサーチしたり、《ヴリンの神童、ジェイス》や《ゴブリンの闇住まい》で使いまわしたりと、『昂揚』さえ達成していればシチュエーションに応じて適切なクリーチャーを探してこれる効果はまるで1マナの《Demonic Tutor》のようで、あちこちで活躍していました。
肝心のHareruya Prosの成績はというと、勝ち越しが4名、2勝2敗1分でイーブンが1名、負け越しが4名と、若干伸び悩んでしまいました。
そんな中で高橋 優太選手がスタンダードラウンド5-0を達成!ドラフト1-2スタートながら2敗ラインでHareruya Pros内のトップ成績に並びました。
ちなみにHareruya Pros各人のデッキについては、トーナメントが進行中の関係でまだ明かすことはできないのですが、2日目の全ラウンド終了後に何らかの形でお届けできればと思いますので、今しばらくお待ちください。
■ Hareruya Pros初日の成績まとめ
プレイヤー\ラウンド | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 成績 |
Jeremy Dezani | × | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | × | 〇 | 6-2 |
高橋 優太 | 〇 | × | × | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 6-2 |
齋藤 友晴 | 〇 | 〇 | 〇 | × | × | 〇 | 〇 | × | 5-3 |
森 勝洋 | 〇 | × | 〇 | × | 〇 | × | 〇 | 〇 | 5-3 |
Petr Sochurek | 〇 | × | 〇 | 〇 | 〇 | △ | × | × | 4-3-1 |
津村 健志 | × | 〇 | 〇 | 〇 | × | 〇 | × | × | 4-4 |
八十岡 翔太 | 〇 | × | 〇 | × | 〇 | × | × | 〇 | 4-4 |
井川 良彦 | × | 〇 | × | 〇 | × | × | 〇 | 〇 | 4-4 |
Michael Bonde | 〇 | × | × | 〇 | × | △ | × | × | 2-5-1 (初日敗退) |
先日【加入を発表】したMichael Bonde選手のみ残念ながら初日落ちとなってしまいましたが、8名が2日目進出、うち2名が2敗ラインにつけています。
先月に【加入発表】した森 勝洋選手は前回の【プロツアー『イニストラードを覆う影』】で5敗以内に入り今回のプロツアーの権利を獲得しましたが、
2敗で好ポジションにつけているJeremy Dezani選手は今回のプロツアー参加でゴールド・レベルを確定させましたが、トップ4入賞以上で一気にプラチナ・レベルに昇格できますので、明日の成績に期待です。
Michael Bonde選手と同じく【新加入】のPetr Sochurek選手は2日目はトップ8までは全勝縛りですが、マネーフィニッシュは十分狙えるラインなので堅実な戦いぶりに注目です。
4勝4敗ラインにつけている津村 健志選手、井川 良彦選手は2日目7勝1敗でプロポイント10点を獲得しゴールド・レベルとなります。プロツアーは2日目の方がレベルが高く、過酷な戦いとなりますが奮闘に期待です。
同じく4勝4敗ラインの八十岡 翔太選手はワールド・マジック・カップの日本代表の権利を渡辺 雄也選手と争っています。渡辺選手が初日7勝1敗でトップ8に入る可能性が高いため厳しいところではありますが、八十岡ジャパンを見てみたいという方はぜひ応援よろしくお願いします。
初日のレポートはこれでおしまいです。いよいよ今日は2日目、トップ8が決まります!
はたしてHareruya Prosの面々はトップ8まで勝ち上がることができるのか!?皆さま、応援よろしくお願いします!
それでは2日目編でお会いしましょう!
■ おまけ
全然関係ないですが、【グランプリ・シドニー2016】が終わってプロツアーまでちょっと暇だったので今話題の「ポケモンGO」を始めたらドハマリして大変でした。
ガルーラを探して早速3時間も歩いてしまった。Rhodes駅の近くでスマホ見ながら歩いてたら黒人のあんちゃんに「Hey, guy?」と話しかけられたときは(あ、死んだ)と思ったが「Did you see Lapras?(ラプラス見なかった?)」で事なきをえた。優しい世界
— Atsushi Ito (@matsugan) 2016年8月1日
プロツアーに参加するプレイヤーやジャッジで「ポケモンGO」を遊んでいる人にとっては裏目標として「(オセアニアでしか出現しない) ガルーラを捕まえる」があるようで、会場では「ガルーラ全然見つからないんだけど!」「~~のあたりに出るらしいぞ」といった言葉が飛び交っていました。
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