みなさん、こんにちは!
これが僕の晴れる屋での初めての記事になります。初めてなので何について書けば良いのか分からなかったのですが、今週末にスタンダードのRPTQ (プロツアー予選) があるのに気付きました。そこで、スタンダードに関する記事が読者のみなさんにとって今一番役に立つだろう、という考えに至りました。
(※編注:この記事は2016年8月19日に書き上げられたものです。翻訳の都合で掲載が遅れてしまったことを深くお詫びいたします。)
先週末の【グランプリ・リミニ2016】では、僕がスタンダードで圧倒的に強いと信じている「バントカンパニー」で出場して、2位で終えることができました。こちらが僕の使用したリストです。
4 《森》 4 《平地》 1 《島》 4 《大草原の川》 3 《梢の眺望》 4 《進化する未開地》 3 《ヤヴィマヤの沿岸》 2 《伐採地の滝》 -土地 (25)- 4 《薄暮見の徴募兵》 4 《森の代言者》 3 《無私の霊魂》 2 《ヴリンの神童、ジェイス》 4 《反射魔道士》 4 《呪文捕らえ》 3 《不屈の追跡者》 2 《巨森の予見者、ニッサ》 -クリーチャー (26)- |
3 《ドロモカの命令》 4 《集合した中隊》 2 《オジュタイの命令》 -呪文 (9)- |
2 《節くれ木のドライアド》 2 《意思の激突》 2 《石の宣告》 2 《即時却下》 2 《悲劇的な傲慢》 1 《ヴリンの神童、ジェイス》 1 《無私の霊魂》 1 《不屈の追跡者》 1 《否認》 1 《ドロモカの命令》 -サイドボード (15)- |
これまでに一度も「バントカンパニー」を使ったことがないにも関わらず、【プロツアー『異界月』】のあとすぐにオーストラリアに住んでいるおじさんに会いに行ったので、プレイテストをする時間がまったくなかったのですが、僕にとって最良の選択だと思っていました。
このデッキは本当に強く、「バント人間」を使うことには以前のスタンダードで慣れていました。「バント人間」と「バントカンパニー」はとても良く似たデッキであり、クリーチャー主体のデッキでリソースを正確に管理する必要があります。
そして、あらゆるカードを考慮しながらプレイしたり、ゲームの中で自分の置かれた立場を把握することは僕の最大の長所だと思っているので、このデッキに決定しました。
前述のとおり、プレイテストをする時間がなかったので、いくつかの記事を読んだり、ここ最近の「バントカンパニー」のデッキリストをじっくりと眺めるだけでしたが、そこから着想を得て最終的な自分のデッキを思い付きました。
僕がグランプリで使用した「バントカンパニー」は、デッキ自体は素晴らしかったものの、いくつか変更したいところがあったので、今現在ならばこのようなリストを使用します。
5 《森》 4 《平地》 1 《島》 4 《大草原の川》 4 《進化する未開地》 3 《要塞化した村》 3 《ヤヴィマヤの沿岸》 2 《伐採地の滝》 -土地 (26)- 4 《森の代言者》 3 《薄暮見の徴募兵》 3 《無私の霊魂》 2 《ヴリンの神童、ジェイス》 4 《反射魔道士》 4 《不屈の追跡者》 3 《呪文捕らえ》 2 《巨森の予見者、ニッサ》 -クリーチャー (25)- |
3 《ドロモカの命令》 4 《集合した中隊》 2 《オジュタイの命令》 -呪文 (9)- |
3 《石の宣告》 3 《即時却下》 2 《意思の激突》 2 《悲劇的な傲慢》 1 《ヴリンの神童、ジェイス》 1 《無私の霊魂》 1 《呪文捕らえ》 1 《否認》 1 《ドロモカの命令》 -サイドボード (15)- |
カードの選択について進める前に、ここ最近のスタンダードのメタゲームの中で、「バントカンパニー」の発展について感じたことを説明したいと思います。
■ 「バントカンパニー」の立ち位置
プロツアーでは「バントカンパニー」は明確にメタゲームの標的とされるデッキでした。プロプレイヤーたちが「バントカンパニー」を完全に打ちのめすようなデッキを組んできたら……と恐れを抱いていたため、それにより多くのプレイヤーが「バントカンパニー」を避けることになりました。
何人かは更に掘り進めて、「バントカンパニー」に強いとされるデッキに対して優位に立てるデッキを持ち込むプレイヤーもいました。
この結果、プロツアーでは《約束された終末、エムラクール》デッキが支配的で、《集合した中隊》を使うデッキは、ほんの少しでした。信じられないかもしれませんが、信じてほしいのです。プロツアーのあらゆる場所に、《約束された終末、エムラクール》がいました。
Luis Scott-Vargas選手と高橋 優太選手は実際のメタゲームが分からず、予想外に《約束された終末、エムラクール》がたくさんいる状態でもトップ8に残りました。
「バントカンパニー」は特定のデッキに勝つように適応させるのが容易なデッキであり、なおかつ《約束された終末、エムラクール》が入った遅いデッキに打ち勝つために生まれてきた「青赤バーン」などのメタデッキに対して総じて相性が良いデッキです。
ここで僕がお伝えしたいのは、「バントカンパニー」がここ最近のスタンダードで圧倒的なベストデッキだということです。もしも大会で良い結果を残したいなら、避けては通れないミラーマッチの練習を始めるべきでしょう。
唯一懸念されるマッチアップは、Team EUrekaがプロツアーで使用していた「ジャンド昂揚」デッキです。
このデッキは豊富な除去を所有していて、それらは《約束された終末、エムラクール》であなたに引導を渡すに十分な時間を与えるでしょう。
しかしながら、幸いにも「ジャンド」デッキは、他のアーキタイプに対して決して相性が良いとは言いづらく、それゆえにポピュラーなデッキにはなっていません。それに、もしあなたが上手くプレイし、妥当な引きをすることができれば打ち勝つことができるでしょう。
■ 各カードの採用理由・メインボード編
僕のリストの中で、何枚かのカード選択について不思議に思う人もいるでしょう。ここでは、そういった確定ではないスロットについて解説していきたいと思います。
● 《ヴリンの神童、ジェイス》2枚
《ヴリンの神童、ジェイス》を採用しない人もいるようですが、これには同意しかねます。このカードは本当に強力で、《集合した中隊》で出すクリーチャーとしても最上級のカードだからです。
メインデッキに2枚しか採用していない唯一の理由は、多くのマッチアップでは積極的に攻める必要があり、サイドボード前のゲームはサイドボード後のゲームよりも展開が速いため、この意味で《ヴリンの神童、ジェイス》はあまり良くないというだけです。
また、もしも多くの伝説のカードを採用してしまうと、《集合した中隊》で伝説のクリーチャーが重なってしまう危険性が高くなってしまいます。以上の理由から、メインデッキに3枚目の《ヴリンの神童、ジェイス》を採用するに十分な利点があるとは思いません。
● 《無私の霊魂》3枚
《無私の霊魂》は素晴らしいカードです。あなたの重要なクリーチャーを守ることができ、《コジレックの帰還》を使うデッキに対するキーカードの1枚です。そうはいっても、《最後の望み、リリアナ》に本当に弱く、更に枚数を上乗せするには、インパクトの弱いカードなので、3枚が好ましいです。
● 《薄暮見の徴募兵》3枚
《薄暮見の徴募兵》も同様に素晴らしく、3枚のままか4枚にすべきか確信が持てません。しかし、僕の経験では、ライブラリーを掘り進めるカードはすでに十分すぎるほどにありますし、マナはタイトになりやすく、《手掛かり・トークン》を起動したり呪文をプレイしたり、もちろん《薄暮見の徴募兵》を起動したりする余裕もなくなりがちです。
そういった状況下で《薄暮見の徴募兵》はとても弱く、特に複数枚引いてしまった際にはそれが顕著になります。
また、このデッキは盤面の優位を確立し、リソースでも圧倒的な大差を付けて、あとは予想外の角度からの何かで死なないように決定的なカードや回答を引くだけといった状況になることが多々あります。
「バントカンパニー」デッキにとって特定のカードを探す行為自体はそんなに難しいことではありませんが、ゲームを決定付けるカードはデッキに入れておく必要があります。さもなければ、延々と「カードを探すためのカード」を引き続けるだけで、ゲームを終わらせることが難しくなってしまいます。
そうならないためには何かをあきらめなければなりませんが、その観点で4枚目の《薄暮見の徴募兵》は最も弱いカードだと思います。
● 《呪文捕らえ》3枚
おそらく多くの方が驚かれるでしょうが、《呪文捕らえ》は過大評価されています。もし対戦相手をテンポ良く打ち倒すことが叶わず、なおかつ対戦相手が《呪文捕らえ》への回答を持っていた場合、《呪文捕らえ》は《巨森の予見者、ニッサ》や《不屈の追跡者》と比べてかなり弱いカードです。
とは言え、多くのマッチアップでこのカードが壊れた強さであることに疑いの余地はありませんし、ときにはただ単に強すぎると感じるほどです。そのため、このカードを不採用にすることはありませんが、考えなしに採用される類のカードではなく、4枚目の《呪文捕らえ》よりも4枚目の《不屈の追跡者》を優先したいです。
● 《不屈の追跡者》4枚、《巨森の予見者、ニッサ》2枚
この2種類のカードは尋常でない強さで、なぜ「バントカンパニー」に打ち勝つのが難しいのかという理由そのものです。ぜひとも採用しましょう!
● 《オジュタイの命令》2枚
ほとんどの人は、《大天使アヴァシン》を採用している枠で、《大天使アヴァシン》が (特に《無私の霊魂》と組み合わさることで) 素晴らしいカードであることには賛同します。そして、ミラーマッチに関してはおそらく《大天使アヴァシン》の方が良い選択でしょう。
しかし、それでも僕は《オジュタイの命令》を提唱します。《オジュタイの命令》はありとあらゆる場面で素晴らしく、黒系のコントロール、《約束された終末、エムラクール》デッキ、《熱病の幻視》デッキなど、ミラーマッチ以外のアーキタイプに対しては《大天使アヴァシン》とは比べものにならないほどの強さを発揮するからです。
特に《墓後家蜘蛛、イシュカナ》、《大天使アヴァシン》、《ゲトの裏切り者、カリタス》といったカードに対して、とても強力な回答になります。
● 土地26枚
グランプリでは土地を25枚しか採用していませんでしたが、トーナメントの間ずっと後悔していました。実際のところ、このデッキでは土地が詰まるくらいなら土地を引きすぎる方が遥かにマシです。
《巨森の予見者、ニッサ》、《不屈の追跡者》、《薄暮見の徴募兵》を擁するこのデッキにとってマナフラッドに陥ることは非常に難しいですが、不運なマナスクリューによる敗北を喫することは簡単だからです。
【「グランプリ・リミニ2016」のトップ8インタビュー】の中で、八十岡 翔太選手が「デッキの中でもっとも重要なカードは?」という質問に「土地」と答えていましたが、それには同意見です。《巨森の予見者、ニッサ》の有無に関わらず、土地は26枚入れましょう!
■ 各カードの採用理由・サイドボード編
● 《意思の激突》2枚、《否認》1枚
結果を残したあらゆる「バントカンパニー」のリストは、サイドボードにカウンター呪文を採用しています。これらのカードは「白緑トークン」や「黒系コントロール」デッキのような戦略に対抗するうえで非常に強力です。
より多くのカウンター呪文を採用することも可能ですが、その枠を見つけるのは非常に難しいですし、カウンター呪文は初手にあると自身の動きがもたつく要因にもなってしまいます。
また、サイドボード後のゲームは1本目よりもとても長く、《ヴリンの神童、ジェイス》や《不屈の追跡者》による追加のドローもあるため、枚数を増やさずとも、基本的に必要なタイミングまでにカウンター呪文を手に入れることができるはずです。
● 《石の宣告》3枚
一般論に反して、《石の宣告》はコントロールデッキとのマッチアップでサイドインします。《墓後家蜘蛛、イシュカナ》や《ゲトの裏切り者、カリタス》などのカードに対して回答が必要ですし、除去が豊富に含まれるデッキに対しては《ドロモカの命令》に頼るわけにはいきません。
《石の宣告》は「現出」デッキに対しても素晴らしい働きをします。「現出」デッキに対しては、「現出」の種となるクリーチャーを除去することが非常に重要ですからね。
● 《ドロモカの命令》1枚
「白単人間」や「青赤」用のカードです。
● 《ヴリンの神童、ジェイス》1枚
《ヴリンの神童、ジェイス》は主にミラーマッチやコントロールとのマッチアップで、《無私の霊魂》をサイドアウトしたいときや、追加の2マナ域がほしいときに役立ちます。適切なマッチアップにおける《ヴリンの神童、ジェイス》の強さはみなさんがご存知の通りで、《集合した中隊》から導くことができる点も非常に重要です。
サイドボード後には4枚目の採用を検討してもいいですが、先ほど述べたように伝説のクリーチャーを多めに採用することにはリスクも伴うので、3枚が適正な枚数だと思います。
● 《無私の霊魂》1枚、《呪文捕らえ》1枚
適切なマッチアップでは最強のカードのひとつであり、サイドボードに入れない理由が見当たりません。
● 《即時却下》3枚
パッと見では3枚は多いですが、これにはいくつかの理由があります。まずひとつ目に、僕は数枚の《集合した中隊》を頻繁にサイドアウトするということです。そのため、おそらくみなさんが懸念されているであろう4マナのカードばかり引いてしまうといった事案は少なくなります。
サイドボーディングのためにはクリーチャーを削る必要がありますが、その際に4枚の《集合した中隊》を維持したままだとクリーチャーの数が必要な枚数を割ってしまいますし、それに加え対戦相手はサイドボード後に《神聖なる月光》、《払拭》や《強迫》など、《集合した中隊》対策のカードを用意していますしね。
僕の経験上、《約束された終末、エムラクール》の入ったデッキに対しては、《ヴリンの神童、ジェイス》、《薄暮見の徴募兵》、《不屈の追跡者》、《巨森の予見者、ニッサ》といったアドバンテージを獲得できるクリーチャーをもってして対戦相手に打ち勝つことになります。
その際に《衰滅》や《墓後家蜘蛛、イシュカナ》といった脅威に対しては回答がありますが、《約束された終末、エムラクール》だけは例外です。対戦相手はかろうじて生き延びることにさえ成功してしまえば、《約束された終末、エムラクール》を解決してゲームに勝利してしまうのです。
しかしながら、《即時却下》を増量すれば、それだけで簡単に《約束された終末、エムラクール》による理不尽な敗北を防ぐことができます。《即時却下》は確かに重いものの、対戦相手が《約束された終末、エムラクール》をキャストできる場合にのみマナを構えておけばいいですし、そういった状況下では4マナという重さも問題にはなりません。
● 《悲劇的な傲慢》2枚
理解に苦しむものの、多くのプレイヤーはいくつかの理由から《悲劇的な傲慢》を不採用としています。しかしながら、《悲劇的な傲慢》はミラーマッチで素晴らしいカードであり、間違いなく採用すべき1枚です。
この枠に《支配の天使》を採用している人もいますが、これには賛同しかねます。
《支配の天使》はいつでも万能というわけではありませんし、状況によっては本当に何もしないこともあります。一方で《悲劇的な傲慢》は、ゲームに終止符を打つ素晴らしいカードです。
《支配の天使》は《薄暮見の徴募兵》で探すことができる、という主張もありますが、個人的に《支配の天使》が輝くゲームは膠着したゲームであり、そういったゲームでは無数の《手掛かり・トークン》を擁しているはずです。僕は《薄暮見の徴募兵》の能力を起動するよりも《手掛かり・トークン》を生け贄に捧げる方が良いと考えているので、その主張はさして重要ではないと考えています。
今回の記事は以上です!この記事を楽しんでいただけたら幸いです。僕のリストを選んでくれた全てのプレイヤーの幸運を祈っています!
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
Petr Sochurek
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