齋藤友晴のGP広州レポート(デッキ解説付き)

齋藤 友晴


行ってきました【グランプリ・広州2016】

実は……広州って州じゃなくて市なんですって!!広東省広州市!!

結構あります行ってみて初めて知るその国その地域のいろんなこと。

いつもありがとうマジック☆


そんな広州市でグランプリが開催されたのは今回が初めて。

本戦ではいろんな国から集まった945人がモダンでわちゃわちゃしたりシリアスしたりしました^^

僕の成績から話すと……


1日目: 7-2
2日目: 4-2
通算: 11-4


33位フィニッシュでまあまあな感じでした~。

プロポイント2点入れば一応悪くはない感じ。

そのシーズンで最も高い6回分の成績のみを参照するグランプリキャップに、最後に残るかもしれない点数です。

使ったデッキは……これです!







そう、選択理由はこの日に冷蔵庫から出てきたのがたまたまこれだったから☆

(※カードは水分に弱いので、絶対マネしないでください)



齋藤 友晴「感染」
グランプリ・広州2016(33位)

2 《森》
2 《繁殖池》
4 《新緑の地下墓地》
4 《吹きさらしの荒野》
2 《樹木茂る山麓》
2 《ペンデルヘイヴン》
4 《墨蛾の生息地》

-土地 (20)-

4 《ぎらつかせのエルフ》
4 《貴族の教主》
4 《荒廃の工作員》
2 《呪文滑り》

-クリーチャー (14)-
4 《ギタクシア派の調査》
4 《古きクローサの力》
4 《変異原性の成長》
4 《巨森の蔦》
2 《使徒の祝福》
1 《森の占術》
3 《四肢切断》
4 《強大化》

-呪文 (26)-
4 《台所の嫌がらせ屋》
3 《自然の要求》
3 《よじれた映像》
2 《呪文貫き》
2 《墓掘りの檻》
1 《呪文滑り》

-サイドボード (15)-
hareruya



はい、「感染」を使いました^^

トモハル×感染の組み合わせは、モダンのプロツアーで【2回中2回爆死】した経歴があります。

ではなぜ、なぜ感染を選んだのか!?



※画像は【マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト】より引用させていただきました。

きっかけは日本マジック界のイケメン代表、市川 ユウキくんにオススメされたことです!!

「10個ぐらい色々試したけど全部しっくり来なくて、感染はタイミング合っててしっくり来たからオススメ」

ざっくり言うとこんな感じでした。

本人は天気予報みたいなものだと言うけれど、モダンという荒れ狂う大海原で達人の意見を聞かせてもらえるのは大変ありがたい。

これが1週間前で、実際その後自分でも色々試すも全部駄目だったので「入信させてください~><」と連絡。

そこからはシェアしてもらったリストを軸に感染だけ練習、調整しました。

市川先生はリストを変えずに12-3で惜しくも10位というところまで行ってたので、調整結果で少し変えたところが改善になってたのかは分かりませんが^^;

でも今回、モダンの感染デッキについてまた詳しくなったと思うので、折角なので分かっていること、感じていることを皆さんに伝えます☆

同じ週末にフランスで行われた【グランプリ・リール2016】で優勝した要注目のアーキタイプでもありますので☆☆



■ モダンアーキタイプ 感染の解説




Meciek Berger「感染」
グランプリ・リール2016(優勝)

2 《森》
1 《ドライアドの東屋》
2 《繁殖池》
4 《吹きさらしの荒野》
4 《樹木茂る山麓》
1 《霧深い雨林》
2 《ペンデルヘイヴン》
4 《墨蛾の生息地》

-土地 (20)-

4 《ぎらつかせのエルフ》
4 《貴族の教主》
4 《荒廃の工作員》

-クリーチャー (12)-
4 《ギタクシア派の調査》
4 《古きクローサの力》
4 《変異原性の成長》
4 《巨森の蔦》
2 《よじれた映像》
1 《ひずみの一撃》
1 《地うねり》
1 《呪文貫き》
2 《使徒の祝福》
1 《四肢切断》
4 《強大化》

-呪文 (28)-
3 《台所の嫌がらせ屋》
2 《呪文滑り》
2 《自然の要求》
2 《呪文貫き》
2 《四肢切断》
2 《墓掘りの檻》
1 《払拭》
1 《ひずみの一撃》

-サイドボード (15)-
hareruya





市川 ユウキ「感染」
グランプリ・広州2016(10位)

2 《森》
2 《繁殖池》
4 《新緑の地下墓地》
4 《吹きさらしの荒野》
2 《樹木茂る山麓》
2 《ペンデルヘイヴン》
4 《墨蛾の生息地》

-土地 (20)-

4 《ぎらつかせのエルフ》
4 《貴族の教主》
4 《荒廃の工作員》

-クリーチャー (12)-
4 《ギタクシア派の調査》
4 《古きクローサの力》
4 《変異原性の成長》
4 《巨森の蔦》
2 《よじれた映像》
1 《ひずみの一撃》
1 《呪文貫き》
2 《使徒の祝福》
1 《森の占術》
1 《四肢切断》
4 《強大化》

-呪文 (28)-
3 《台所の嫌がらせ屋》
3 《自然の要求》
2 《呪文貫き》
2 《四肢切断》
1 《ドライアドの東屋》
1 《呪文滑り》
1 《払拭》
1 《よじれた映像》
1 《墓掘りの檻》

-サイドボード (15)-
hareruya



僕のもそうですが、これらもまた一般的なリストを細部調整した形といえるものでした。

まず、今回のグランプリのために最新の感染のデッキリストや使われたことがあるカードを見たのですが、感染はアーキタイプの特殊さから固定パーツが多いです。

それはモダンの我が道デッキ全体に当てはまる特徴でもありますが、感染は特に顕著です。

ゲーム勝利へのメイン路線が「感染持ちクリーチャー」「強化」することでの「毒殺」であるためです。

これらの特性を持つカードで実戦級のものがかなり少なく、それ以外はほとんどのカードが確固たる「メイン路線をサポートする役割」という構成です。

また、こういった前提があるため、このデッキの内容は今後も大きく変わりにくいでしょう。

近年での比較的大きな変化は《強大化》の登場ですが、同じ役割の《地うねり》4枚がそのポジションを取られた形に落ち着いています。

なので、使う方にとっても使わない方にとっても、一旦理解した後のリターンが大きいデッキ☆

ってことで気まぐれデッキ解説いってみます!


■ 構成パーツについて

・メイン4枚固定カード


《ぎらつかせのエルフ》

ぎらつかせのエルフ


ザ・2キルメーカー。感染デッキの醍醐味ともいえる2ターン目勝利は、1ターン目に彼をプレイすることによって初めて可能性が生まれます。


《荒廃の工作員》

荒廃の工作員


ザ・除去られなきゃ乱暴。確かに《稲妻》《四肢切断》でやられるとマナ損をします。が、生き延びたときのリターンが大きすぎる。


《貴族の教主》

貴族の教主


ザ・ナイスサポーター。それ自体が感染クリーチャーを強化します。強化スペル連打のマナ量や、色マナの安定を自然に確保してくれます。


《強大化》

強大化


クリーチャーや強化との組み合わせパターン受け入れ最強。数値が高いので当たり前ですが、まず合計値が足りないことには即死させる駆け引きに至りません。


《古きクローサの力》

古きクローサの力


1マナ+4/+4。隙こそ大きいですがバリューは最高、2キルにも強く貢献。確かなこのデッキの軸です。


《変異原性の成長》

変異原性の成長


1ターン目《ぎらつかせのエルフ》の後の2キル第2条件。これが手札になければ2キルはできないし、相手にする場合もされません。


《巨森の蔦》

巨森の蔦


1マナでクリーチャーを守る、2マナで守りながら強化する。両方ともかなり使います。必ず覚えておいてほしいのは対戦相手のクリーチャーにも撃てることで、対戦相手の《強大化》《ティムールの激闘》をかわせます。正直、かなり便利です。


《ギタクシア派の調査》

ギタクシア派の調査


5年連続ベストサポーターコレクション金賞受賞!決めにいって失敗すると致命的になる場合が多いものの、その前にこれを打てば心配しなくて大丈夫。

さらに序盤にプレイすることで、例えば《貴族の教主》《ぎらつかせのエルフ》のどちらから出していくか、《巨森の蔦》を構えつつクリーチャーを出せるのを待つかどうかなどの展開順が決めやすくなったり、《強大化》の探査コストに貢献したり、ドロー付きなのでキーカードを引いてきやすくしてくれたり。


《墨蛾の生息地》

墨蛾の生息地


飛行付きのクリーチャー。ソーサリーの全体除去に耐性があり、マイルドかつ優秀。充分初手キープの理由のひとつになるし、3~4キルも狙えます。


・メイン少数固定カード


《使徒の祝福》

使徒の祝福


4枚じゃ足りない《巨森の蔦》の追加分でありつつ、《墨蛾の生息地》 vs. 《未練ある魂》のスピリットトークン4体みたいな無理場を突破させてくれる強みもあります。


《ペンデルヘイヴン》

ペンデルヘイヴン


ほとんど緑単+青ちょっとのような形の感染において《森》+強化能力は噛み合いすぎ。伝説というデメリットはありますが、感染使用者ほぼ全員が2枚採用しています。

例えばカード10枚目を引いたときまでで2枚揃ってしまう確率がおよそ2.54%しかないので、速いターンにゲームが終わることが多い感染においては1枚目を引く可能性を上げるリターンのほうが大きいのは明白です。


・メイン or サイド少数固定カード


《よじれた映像》

よじれた映像


感染にとって致命傷となる《呪文滑り》《イゼットの静電術師》といった脅威にお得に対抗する術。パワー0が8枚搭載されている「親和」と各種マナクリーチャー入りデッキにも有効です。


《四肢切断》

四肢切断


《シルヴォクののけ者、メリーラ》や上記2種などのメタクリーチャーを対処できるほか、メインの場合は8枚しかない1マナ域の追加として動きの綺麗さを整える存在でもあります。


《呪文貫き》

呪文貫き


同様に1マナ域の追加にもなりつつ、除去やコンボパーツなどを弾けます。あくまでメインラインでなくサポート係なので、本当に致命的なカード相手や悪い展開では強くなく、マリガン率アップにも繋がってしまうため、個人的には《ヴェールのリリアナ》の使用頻度が高まっているときでなければメインには不必要だと考えています。


《呪文滑り》

呪文滑り


ミラーマッチやSuper Crazy Zoo(以下: SCZ)など、これ自体が超効果的な対策となる相手もいる上、除去に対して安心してフィニッシュにいけます。感染とSCZがそれなりに多そうだと思った今回のグランプリでは2枚メイン、1枚サイドに採用しました。


・サイド固定カード



《台所の嫌がらせ屋》

台所の嫌がらせ屋


バーンに有効なのはもちろん、ジャンド、トリコなど除去を打ちまくってくる相手に効果的です。こいつで時間を稼いでいる間にメインラインを揃えて勝ちのパターン、そのまま通常ダメージで押し切るパターンの両方あります。

現状では3枚は必ず採用されていて、人によっては4枚採用されています。


《自然の要求》

自然の要求


採用の主な理由は親和やマナアーティファクト対策兼《呪文滑り》対策で、《ギラプールの霊気格子》《血染めの月》など脅威となるエンチャントも割れますが、サイドインする相手はあまり多くはありません。

特に重要なサイドボード枠を増やすため、通常は3枚採用されているこのカードを2枚に減らした【グランプリ・リール2016】優勝者の勇気ある選択は素晴らしかったと思います。


《墓掘りの檻》

墓掘りの檻


見たまんまの墓地&戦場へのサーチ対策。感染デッキのキルターンが環境最速レベルに速いとはいえ、相対的な速さの期待度をもっと上げたいという相手は複数存在します。

もちろんメタ次第なカードですが、現状は1~2枚固定と考えていいと思います。


・メイン or サイドの代表的なオプションカード


《ドライアドの東屋》

ドライアドの東屋


採用していると《ヴェールのリリアナ》避けが容易になりつつ、突然の通常ダメージWinを演出可能。


《ひずみの一撃》

ひずみの一撃


盤面突破力が《使徒の祝福》よりも高く、更にはパワーが上がったり、2ターン連続使えるおかげで勝つことも。

特に、非アーティファクトで無色クリーチャーがメインのため《使徒の祝福》で突破できないエルドラージデッキ相手には替えが効かない効果です。盤面で長引いたときに特に強い効果かつ、キープ推進はしないので1枚挿しがポピュラー。


《払拭》

払拭


受けは狭いものの、サイドインする相手への効果は高いです。主には除去と強化と《むかつき》対策。


《地うねり》

地うねり


デッキのスピードと、メインラインが揃う可能性をもっと上げたいときにメインに追加します。


《森の占術》

森の占術


基本的に《墨蛾の生息地》《ペンデルヘイヴン》、あるいは《ドライアドの東屋》というマナを出す以外に能がある土地をサーチするためのカードです。

特に疑似的な5枚目の《墨蛾の生息地》であることは優秀ですが、スピード勝負要素が強まっている現メタゲームでは微妙なところです。


感染デッキ主要パーツ: 全23種類(マナ目的のみの土地とフェッチランドを除きます)

主だったものはたったこれだけです。

基本的にはこの中からデッキ構成を選ぶ、相手にする場合はこの範囲内のカードを意識することになります。


■ 感染デッキの長所と短所

構成パーツについて把握してもらったところで、今度はデッキとしての特性です。

モダンが持つ無限大の可能性には触れず、主だったところだけを簡単にまとめます。


長所
・速い
・純粋系コンボデッキに強い
・スロー系コンボデッキに強い
・ド有利な相手が複数種存在する
・ド不利な相手はそれよりずっと少ない
・こちらが対策すべきカードの多くはクリーチャーばかりなので比較的対処しやすい
・モダンの経験値が少ない相手に強い


短所
・脆め
・除去盛りだくさんデッキに弱い
・スピード+除去の相手に弱め
・現状の環境ベストデッキの可能性が高いSCZが一番当たりたくない相手
・メタ上に長くいて構成パーツも種類が少ないため、意識の外は突きにくい
・「ファイレクシア・マナ」多用でライフの減少が激しいパターンがある


現状、こういったことを感じています。


■ まとめ

で、今のモダンで感染はどうなの??

と聞かれれば、トモハル的にはそこそこオススメです(突き抜けると禁止が出るため、超オススメデッキが存在しにくいモダンの中では)。

3ヵ所同時開催のモダングランプリそれぞれの優勝はバーン・感染・グリクシスデルバーでした。

それと、SCZが環境の本命だという声が多いです。

そうなるとメタゲームにはジャンド、トリコなどの苦手な除去祭りデッキが増えるでしょう。しかし、それらのデッキはデッキパワーが低めかつデッキ選択自体で狙われると厳しいので、上位に居続けることはできません。

さらに、デッキ種類が多すぎてメタ依存しにくいモダンでは、天敵をケアするために除去祭り度も全力にはなれないのがほとんどです(当たり運が少ない人気デッキでもあるので一定数は常に存在し続けるでしょうが)。

また、一番苦手なSCZは使用者が増え続けており好成績を残してこそいますが、まだ強く意識されてはいませんでした。これからは今よりも厳しく対策されることを考えると、そこまで多くはならないのかなと考えています。

改めてモダングランプリウィークエンドで勝ったデッキタイプを見てみると……、


・バーンと感染は本当に長い間環境のトップメタのひとつというデッキ
・グリクシスデルバーは完全に大衆の意識の外に出ていた正統派モダンデッキ
・SCZは比較的最近ポピュラーになってきた超新星的なパワーデッキ


と、このようになります。


改めていろんなデッキにチャンスがある環境ですし、特定のデッキはメタりにくくても傾向別に大きく分類した場合のメタゲームは確かに存在します。

最近、前よりももっとモダンの楽しさが分かってきました。

確かに運要素は高めですが、競技性が低いなんてことはないと思います。

デッキ選択パーツ選択プレイ選択において他のどの種目よりも知識と複雑なバランス感覚が問われるからです。

おそらく次は、もっと勝ちやすい選択ができるはず!

と、今からワクワクしているトモハルでした☆


トモハル



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