こんにちは、八十岡です。
9月1~4日、シアトルで行われた【世界選手権2016】に出てきました。結果の方は皆さんも知っていると思いますが、4位というまずまずな成績でした。今回はその世界選手権2016のレポートになります。よろしくお願いします。
■ 世界選手権とは?
まず世界選手権とはプロツアー優勝者や、各地域のプロポイント上位者などを合わせた24名しか出られない、最もレベルの高いイベントです。今年の参加者一覧は【こちら】。
【企画記事】今週末は世界選手権!日本から出場する4名の選手をご紹介致します。 『ニコニコ生放送で世界選手権2016を観戦しよう! 日本人参加プレイヤープロフィール』 https://t.co/mupOiVkRvJ #MTGChamp pic.twitter.com/35SjPKZZvG
— マジック:ザ・ギャザリング (@mtgjp) 2016年8月29日
この24名でドラフト3回戦を2回、スタンダード4回戦、モダン4回戦の計14回戦を行います。その後、上位4名によるプレーオフを経て、優勝者を決めます。このトップ4のボーダーが10勝4敗は確定、9勝5敗だとオポ勝負になります。
「9勝5敗」とだけ聞くとそんなに難しくなさそうですが、負けても強い人としか当たらないこの大会ではそう簡単ではありません。
今回僕の目標はドラフトは2回とも2-1、スタンダート3-1、モダン2-2のトータル5敗でオポ勝負で滑り込み、といった感じでした。
ちなみにこの大会に向けてしたことは【こんな感じ】です。
■ 世界選手権レポート
まずはドラフトからスタートです。ピック方針としては3-0を狙うというより、安定して2-1できるデッキを作ることです。
● 1stドラフト
初手《無私の霊魂》、2手目《ぼろぼろの憑依者》、3手目《ぼろぼろの憑依者》で、そのまま青白に一直線。2パック目では《異端聖戦士、サリア》を引き、さらに《無私の霊魂》が回って来るなど、そこそこな「青白飛行」が完成。
9 《平地》 8 《島》 -土地 (17)- 2 《無私の霊魂》 2 《ぼろぼろの憑依者》 1 《単体騎手》 1 《霜歩き》 1 《シガルダ教の僧侶》 1 《異端聖戦士、サリア》 2 《悟った狂人》 1 《薬剤師の霊》 1 《審問官の雄牛》 1 《空翔る月銀の魂刈り》 1 《不憫なグリフ》 1 《ドラグスコルの騎兵》 -クリーチャー (15)- |
1 《取り繕い》 1 《神聖な協力》 1 《遥かなる旅路》 1 《引きずり込み》 1 《行方不明》 1 《月銀の拘束》 2 《信者の杖》 -呪文 (8)- |
相性悪いデッキにはすぐに負けそうですが、当たりによっては3-0いけるかなといった感じです。
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
Round 1 | Luis Scott-Vargas | |
Round 2 | Samuel Pardee | |
Round 3 | Oliver Tiu |
予想通り相性の悪いPardeeの「赤白トークン」を踏んでぼっこぼこに負けましたが、なんとか2-1でスタンダードへ。
● スタンダード
デッキは「バントカンパニー」。【グランプリ・リミニ2016】でも使ったのでそれを少し改良しました。
速いデッキに多少弱くした分、コントロールや同型には少し強い形です。また、この大会は初戦以外はデッキリスト公開なため、それを踏まえての構成です。
個人的には《呪文捕らえ》は0で出たかったのですが、相手にそれがばれるとかなり弱いので、微妙に2枚。そして、1枚見えているとかなり違う《オジュタイの命令》を入れました。
サイドボードに関しても見えていると強そうなカードを入れておきました。「実際サイドインしてなくても、警戒してくれたら」といった感じです。
ちなみに他の候補はこんな感じでした。
これらを採用しなかった理由は
《即時却下》は「青緑赤現出」に強く、《過去に学ぶ》は「ジャンド昂揚」に強い。「ジャンドの方が多い」と予想したため後者を選択。(実際は「青緑赤『現出』」いっぱいでした)
2. 《悲劇的な傲慢》は嫌いなので不採用。
3. 《首絞め》は「白単人間」や「青赤」、「青白スピリット」がいると思うならサイドに入れた方がいいが、持ってくるのを忘れたので不採用。
4. 《石の宣告》の3枚目が欲しいマッチアップはそこそこあるが、持ってくるのを忘れたので《ドロモカの命令》で代用。
ラウンド | 対戦相手 | 勝敗 |
Round 4 | Mike Sigrist (ティムール現出) | |
Round 5 | Andrea Mengucci (バントカンパニー) | |
Round 6 | Oliver Tiu (ターボ・エムラクール) | |
Round 7 | Lukas Blohon (ジャンド昂揚) |
記憶に残っているのは、4回戦のSigrist戦で、2ターン目《森の代言者》、3ターン目《不屈の追跡者》と展開し、手札に《集合した中隊》が2枚あって「良い回り方だ」と思ったら、そのまま土地止まって負けたこと。
カンパニー2枚抱えながら土地3枚で止まったー!
— ヤソ (@yaya3_) 2016年9月1日
あと、7回戦。最初はMarcio Carvalhoが対戦相手で、「バントカンパニー」の同型、ダイス12で先攻をとり、「2マナ、3マナ、《集合した中隊》」という神の初手をキープしたところでリペアリングが行われ、対戦相手がルーカス・ブローンに変更。その結果、ルーカスにダイスで12を出され、2ターン目《焦熱の衝動》、3ターン目に《巡礼者の目》、4ターン目《膨らんだ意識曲げ》で《呪文捕らえ》と《集合した中隊》をディスカード、とまさに先行ゲーをくらって負けた試合ですね。
何はともあれ3-1しなければならなかったスタンダードで2-2してしまったため、次のドラフトでは3-0が必須になってしまいました(モダンは全く自信がないため)。
● 2ndドラフト
初手が《サリアの槍騎兵》と《熱錬金術師》2択で、「3-0するには青赤だろ」と思い後者をピック。《焼夷流》《ぼろぼろの憑依者》《熱錬金術師》と取れて「いい流れかな?」と思ったのに、そこから赤いカードが全く流れてこなくなり、上と被ってることに気が付くも、もう後には引けないためそのまま「青赤」続行。
2パック目初手は何も取るものがなく、仕方ないので《集団的蛮行》のfoilをピック。しかし、2手目に3枚目の《熱錬金術師》が取れてデッキがグッと引き締まる。6手目ぐらいに《呪文捕らえ》が回ってきたのでレア取りをしつつ2パック目終了。
そして3パック目は、予想通り赤いカードが1枚たりとも流れてこないうえに青のカードもろくなものが出なかったので、とりあえずインスタントとソーサリーと書いてあるものをかき集めて終了。
9 《島》 8 《山》 -土地 (17)- 3 《熱錬金術師》 2 《ぼろぼろの憑依者》 1 《薄暮のニブリス》 1 《ガイアー岬の山賊》 1 《縫合の刻み獣》 1 《気紛れな霊》 1 《溺墓の探検者》 1 《ヴィルディン群れの除けもの》 -クリーチャー (11)- |
1 《取り繕い》 1 《ジェイスの精査》 1 《焼夷流》 1 《非実体化》 2 《巻き込み》 1 《目録》 1 《悪戯》 1 《行方不明》 1 《熟読》 1 《研究室の捜索》 1 《爆発性の機器》 -呪文 (12)- |
クリーチャー陣は申し分ないが、スペルがかなりやばめの「青赤」が完成。2マナクリーチャーをきちんと引ければ勝てそうではあるが……
ラウンド | 対戦相手 | 勝敗 |
Round 8 | Paulo Vitor Damo da Rosa | |
Round 9 | Luis Scott-Vargas | |
Round 10 | Oliver Tiu |
いろいろかみ合い3-0。
特に10回戦はかなり絶望的な場で、「奇跡的なトップデッキをしなきゃ負け」というところで引けたのは嬉しかったです。今年一番のトップデッキでした。気になる方は【公式の動画】を見てください(※編集注:動画の8分15秒前後を、ぜひご覧ください)
残るはモダンラウンドです。2-0できればIDで抜けですが、今回はいつも以上に接戦で5敗が残れない可能性が出てきました。
● モダン
みんな大好きモダンです。対戦相手に「今のモダンは好きか?」と聞くとみんな同じ答えが返ってきました。
ぼちぼち楽しいモダンが始まる。ここだけはダイス勝ちたい。
— ヤソ (@yaya3_) 2016年9月3日
デッキは「アブザンカンパニー」。
1 《平地》 1 《沼》 2 《森》 1 《神無き祭殿》 2 《寺院の庭》 2 《草むした墓》 4 《吹きさらしの荒野》 4 《新緑の地下墓地》 2 《地平線の梢》 2 《剃刀境の茂み》 2 《ガヴォニーの居住区》 -土地 (23)- 4 《極楽鳥》 4 《貴族の教主》 3 《臓物の予見者》 3 《シルヴォクののけ者、メリーラ》 2 《根の壁》 1 《族樹の精霊、アナフェンザ》 1 《漁る軟泥》 1 《呪文滑り》 4 《台所の嫌がらせ屋》 3 《永遠の証人》 2 《先頭に立つもの、アナフェンザ》 1 《残忍なレッドキャップ》 -クリーチャー (29)- |
4 《召喚の調べ》 4 《集合した中隊》 -呪文 (8)- |
4 《思考囲い》 3 《流刑への道》 2 《膨らんだ意識曲げ》 2 《突然の衰微》 2 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 1 《クァーサルの群れ魔道士》 1 《先頭に立つもの、アナフェンザ》 -サイドボード (15)- |
特にモダンは触ってないので、最後に使ったデッキで参加。今のモダンは速度勝負なところが大きいのでマナクリーチャー8枚体制に。サイド後は墓地対策される前提でコンボ以外で勝てるように。
ラウンド | 対戦相手 | 勝敗 |
Round 11 | Marcio Carvalho (アブザン) | |
Round 12 | Brian Braun-Duin (バントエルドラージ) | |
Round 13 | Lukas Blohon (白日スケープシフト) | |
Round 14 | Seth Manfield (アブザン) |
Marcio戦はリストが公開になってないためサイドプランがきれいにはまり、《漁る軟泥》と《墓掘りの檻》でキープしてきたところを、《貴族の教主》→《先頭に立つもの、アナフェンザ》→《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》で瞬殺。
Brian Braun-Duin(BBD)との試合は、相手だけ毎回マナクリーチャースタートで負け。ルーカスとの試合はダブルマリガン2回で何もできずに負け。Sethとの試合は相性差で勝ち。
【世界選手権16】 勝ちが前提の最終戦、対戦相手は現世界王者…しかし八十岡選手は電撃的な速度と驚異的な正確さで、わずかなチャンスをものにしました。https://t.co/yqmAa8QYdj #mtgjp #MTGChamp pic.twitter.com/LMQ0DqNWMd
— マジック:ザ・ギャザリング (@mtgjp) 2016年9月4日
なんとか2-2。トータル9-5で終了。この時点ではまだトップ4に残れるかはわからなく、上位2卓の結果待ちでしたが、BBDが頑張ってくれたおかげで5敗のオポトップでプレーオフに。
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● 準決勝
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— マジック:ザ・ギャザリング (@mtgjp) 2016年9月4日
BBDの「バント人間」とのマッチアップです。後手というのもありメインは不利ですが、サイド後はそこそこ有利になるので、先攻になる2本目をとって1-1で迎えられればかなり勝ちが見えてくる、といった感じでしたが、結果は……
ラウンド | 対戦相手 | 勝敗 |
SF | Brian Braun-Duin(バント人間) |
特にいいところもなく一瞬で0-3!最後の《集合した中隊》で出たのが《ヴリンの神童、ジェイス》1枚というのが、その日の運気を現していたかと思います。
前回の雪辱を晴らしに来た世界選手権でしたが、残念ながら4位で終了してしまいました。
前回出たときも思いましたが、やはりこのレベルの人間が集まってやる大会は面白いですね。勝っても、負けてもトッププレイヤーと当たるので一瞬も気が抜けませんし、試合を見ているだけでも楽しめます。
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— マジック:ザ・ギャザリング (@mtgjp) 2016年9月5日
来年も出られるかわかりませんが、またこの地に戻ってきたいと思います。
そして願わくば、次はトロフィーを持って帰りたいですね。
ではまた
ヤソ
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