先日開催された第7期神挑戦者決定戦のイベントレポートです。今回は【レガシー】・【ヴィンテージ】の2本立てでお送りします。
これまでに参加してきた【神シリーズ】は比較的好調ながらも、挑戦者の座を射止めるには至りませんでした。
残すチャンスはあと2回。”神”を目指して!
■ 【第7期レガシー神挑戦者決定戦】
レガシーをプレイするのは昨年12月の【The Last Sun 2015】以来、約9か月ぶりとなります。ぶっつけ本番のため、Last Sun同様使い慣れたオムニテルを使用することに。
Last Sunの際は《時を越えた探索》の禁止により、アクセス率が低下した《実物提示教育》の入手を安定させるため《燃え立つ願い》を使用しましたが、赤マナを積極的に使う構築はマナベースの問題で2マナランド (《古えの墳墓》・《裏切り者の都》) を満足に採用できなくなる問題点があります。
その結果、《目くらまし》や《不毛の大地》をケアしている間に相手側の備えがより強固なものになってしまったり、相手側のコンボに速度負けしたりと、歯痒い負け方が多発。
コンボデッキのキルターンは各マッチアップの有利不利を定義付けるのに重要な要素です。2マナランドはオムニテルの生命線だと感じました。その反省を活かし、《燃え立つ願い》は諦めて青単+2マナランド構築への回帰を決定。
ただそうなると《実物提示教育》へのアクセスルートが少なくなり、コンボ達成に不安を覚えます。
そのため2マナランドを増やすことでプレイしやすくなった《裂け目の突破》を《狡猾な願い》のサーチ先に用意し、第二の勝ち手段としました。それに合わせてメインボードの《引き裂かれし永劫、エムラクール》を増加。《燃え立つ願い》を外すことで減ってしまった《全知》後の勝ち手段の補填となり、デッキのバランスが保たれます。
最終的なリストは以下。
無色ランドが多めの構成なので、キープ率を上げるために土地の枚数を多めにしています。青マナのない手札は問答無用でマリガンですが、土地の多い手札は《渦まく知識》で改善できますからね。
そして当日の対戦結果は以下の通りです。
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
Round 1 | 赤単ストンピィ | 〇×〇 |
Round 2 | 《食物連鎖》エルドラージ | 〇〇 |
Round 3 | Lands | 〇〇 |
Round 4 | 青赤デルバー 【ビデオマッチ】 | 〇〇 |
Round 5 | エルドラージ | 〇〇 |
Round 6 | 青赤デルバー | 〇〇 |
Round 7 | ドレッジ | ×〇〇 |
Round 8 | ID |
7-0-1で1位通過。
案の定《実物提示教育》の入手には手こずりましたが、《裂け目の突破》が上手く機能し机上の空論の割にはデッキが良く回りました。好相性のマッチアップが多く、全体的に運も良かったと思います。
ストレート勝ちが続き待ち時間が多かったため、会場を歩き回り、11月開催の【グランプリ・千葉2016】で使用候補になりそうなデッキを探索。今回は時間がなかったのでひとまずオムニテルを使用しましたが、グランプリまではまだまだ時間があるので、残りの時間で他の選択肢を検討していきたいです。
さて、1つIDを挟んで迎えた決勝のシングルエリミネーション。
相性の良いデッキが多く残っており、期待の持てるフィールドでしたが結果は……
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
準々決勝 | デスタク | 〇〇 |
準決勝 | オムニテル | ×〇× |
準決勝敗退!
ミラーマッチを想定していなかったため明確なゲームプランがなく、ビジョンを持てないままゲームを進めたのが敗因です。
サイドボードに《計略縛り》や《精神壊しの罠》を用意しておらず、相手の《引き裂かれし永劫、エムラクール》を止めるすべがありませんでした。このあたりのカードは《狡猾な願い》でアクセス可能なので、1枚でもサイドボードに用意していれば4枚入っているのと同義。「有るか無いか」が致命的に影響します。
対戦相手の平木 (孝佳) さんがこの日そのまま優勝を遂げたことからもオムニテルが今後増加する可能性は十分にあり、ミラーマッチを意識する上で上記のようなスペルは絶対に必要ですね。
間に合わせのデッキのつもりでしたが思いのほか戦うことができたので、今後の練習の結果次第ではグランプリでの使用も十分考えられます。見て回ったデッキ含め、色々試して本番に臨みたいところ。
先日開始した【原根 健太のわくわく!MO生活】では【グランプリ・千葉2016】に向けたレガシーも取り扱っていこうと思っていますので、ぜひご覧になってください!
そんなこんなで、この日は3位と言う結果に終わりました。
■ 【第7期ヴィンテージ神挑戦者決定戦】
【第7期レガシー神挑戦者決定戦】から2日。第7期神シリーズを締め括るのは“究極のフォーマット”と名高いヴィンテージです。
東京進出を機に今回から参戦を開始した神シリーズ、1発目の【モダン】の10位を皮切りに、【スタンダード】を5位、【レガシー】を3位と上り調子でした。
勢いのままこの最終戦で挑戦者の座を掴み取ろうと目論みますが、それには1つ大きな問題がありました。
それは僕がヴィンテージをプレイしたことが1度もないことです。久方ぶりだったとはいえ、【グランプリ・京都2015】に向けてやり込んだレガシーとは訳が違いました。
その上で「パワー9」や《Bazaar of Baghdad》のようなヴィンテージ系の資産を一切持ち合わせておらず、このあたりのカードを持て余していそうな知人も見当がつきません。物が物だけにそう易々と拝借をお願いする訳にもいきませんからね……。
諦めがつき、大会前日はフットサルを楽しんだあと飲みに行くなど休日前夜をエンジョイ。
大会の方は昼頃に起きて観戦にでも行こうかと考えていたところ、突如現れた小室神(*1)により事態が一転。
小室 修/こむろ しゅう 日本人として2人目となる【プロツアー優勝】を成し遂げた強豪プレイヤー。それ以外にもグランプリ優勝が2回 (【横浜2003】・【台北2008】) を筆頭に、数々の好成績を残した”華麗なる天才”。 最近の趣味はヴィンテージと【グランプリの食べ歩き】。 |
なんとこのタイミングでデッキを丸ごとお貸しいただけるとのことで、急遽参戦が決定しました。
お貸しいただいたのは「墓荒らし」と言うデッキ。
《闇の腹心》でアドバンテージを得つつ、場のパーマネントには《突然の衰微》、唱えられる呪文にはカウンター呪文で対抗するグッドスタッフの類ですね。デッキ名の由来になっているのは《死儀礼のシャーマン》。もともとあったBUGカラーのコントロールデッキが、《死儀礼のシャーマン》を得たことで強化されたことに由来するそうです。
あまりに急なことだったので記事を読んだりする時間も取れず、その日も帰り次第そのまま寝てしまったので第1回戦の1本目が初プレイという運びになりました。この展開どこかで……。
- 2016/09/01
- 原根健太のGP広州2016レポート
- 原根 健太
何はともあれ、遂に究極のフォーマットへと足を踏み入れることとなりました。ヴィンテージの対戦は他フォーマットにないぶっ飛び具合がただただ楽しいと耳にしており、対戦できると言うだけでもわくわくします。
鬼が出るか蛇が出るか……ヴィンテージ世界に突入!!
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
Round 1 | 青白コントロール | 〇×〇 |
Round 2 | 青赤コントロール | 〇〇 |
《Mana Drain》をプレイされ、「エゲつないカードがあるもんだなぁ」とゲームをしていると、2枚目をプレイされて椅子から転げ落ちそうになりました。
あまりの強さに勝手に制限カードだと思い込んでいたため、思わず対戦相手の方に何枚デッキに入れられるのかを確認。
お手数お掛けしました……。
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
Round 3 | オムニオース 【ビデオマッチ】 | 〇〇 |
《Black Lotus》で1ターン目に《トレストの使者、レオヴォルド》をプレイできると思ったら1つの色マナしか出ないことを知り、伝説のカード過ぎて正確な効果を把握していないという事案が発生。
いくら「パワー9」とは言え、限度は存在する……。
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
Round 4 | 青赤デルバー 【ビデオマッチ・高野 成樹さん】 | ×× |
対戦相手の《秘密を掘り下げる者》が《Ancestral Recall》をめくって変身。そのまま《Time Walk》をプレイして攻撃される。フェアデッキなのに2キルでは……?
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
Round 5 | 青白コントロール | 〇〇 |
圧倒的な戦力差で勝ちを確信していたところに《天秤》。
僕の中では《至高の評決》が最強の全体除去だったので、手札まで吹き飛んでしまう驚異のスペックに愕然。これで2マナだと言うのですから、《Demonic Tutor》に然り、黎明期のカードはとんでもないものばかりですね。
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
Round 6 | アブザンジャンク | 〇〇 |
Round 7 | ドレッジ 【ビデオマッチ】 | 〇〇 |
遂に《Bazaar of Baghdad》を体験。まさにドレッジのために生まれてきた、否、「生まれていた」カード。
既存デッキが新規カードで強化されるのはよくある話ですが、逆パターンと言うのは非常に新鮮。当然その動きも凄まじく、モダンやレガシーのそれとは似ても似つかぬパワフルさでした。
予選7回戦の間でもヴィンテージ世界を満喫。毎試合と言っても過言ではないほどに強烈な展開が訪れるのでハラハラしっ放しです。
そして、終わってみれば6-1の好成績。なんと1位通過でシングルエリミネーションに進出しました!
デッキに関して、難しそうな見た目とは裏腹に、《闇の腹心》や《トレストの使者、レオヴォルド》が分かりやすい形での優位もたらしてくれるので、意外と初心者向けだったのかもしれません。
始まる前井川 (良彦) さんに、「俺達の知ってるマジックをするだけだよ」とのアドバイスをいただいたのですが、まさにそんな感じでした。派手な展開こそあれ、アドバンテージやテンポと言ったマジックの基本的な概念は確かに存在していて、きちんとバランスの取れた環境だと感じました。
そして迎えたシングルエリミネーション。
1位通過のため全マッチを先手でスタートできるのですが、「パワー9」の存在からヴィンテージの先手は非常に強烈で、恐らくどのフォーマットよりも先手の利が大きいものと思われます。
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
準々決勝 | 青赤デルバー (高野 成樹さん) | 〇〇 |
予選ラウンドで敗北を喫した高野さんとリベンジマッチ。その時は上記の通り「パワー9」に蹂躙されて酷い目に合わされたのですが、今度はこちらから「パワー9」を叩き付ける理不尽返し!
先手1ターン目の《秘密を掘り下げる者》に対して、こちらは後手1ターン目Mox絡みの《闇の腹心》。高野さんも「そりゃ1ターン目デルバーより1ターン目ボブの方が強いよな (笑) 」との感想でした。
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
準決勝 | MUD (飯野 彬さん) | 〇〇 |
対戦相手のデッキがMUDだと言うことは知っていたので、可能な限りのパーマネントを展開しようと手札を見ると……
先手1ターン目ジェイス!それどころか「パワー9」が4枚も!
飯野さんも1ターン目《磁石のゴーレム》の初手でしたが、先手の暴力で勝利しました。
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
決勝 | メンター 【テキスト・宮薗 猛さん】 | 〇〇 |
決勝はエターナル環境の達人である宮薗さんがお相手。
プロフィールにもある通り【第6期レガシー神挑戦者決定戦】、【第6期ヴィンテージ神挑戦者決定戦】、【第7期レガシー挑戦者決定戦】、そして今大会と、神シリーズのエターナル部門で4大会連続のトップ8入賞を果たしている強豪中の強豪です。
フェアデッキ同士の緻密なアドバンテージゲームになるも、《闇の腹心》が大活躍して勝利!
優勝!!
なんとも出来過ぎな結果ですが、対戦したデッキのほとんどがフェアデッキの類で、「わからん殺し」の代名詞である「コンボ」や「ロック」デッキとほとんどマッチングしなかったのが幸いしたものと思われます。プレイされるカードの大半はレガシーフォーマットで見たことがあるものばかりでした。
この日1日、たかだか10戦ではありますが、上に記したような“ヴィンテージ感”なるものはたっぷりと味わうことができたように思います。
何もかもが豪快。理不尽の一言に尽き、そういった光景はそこらかしこで広がっていた訳ですが、どんな目に合いながらも楽し気にプレイされる方ばかりだったのが印象的でしたね。
これがある種ヴィンテージの真髄なのかも。
ともあれ、4フォーマットを戦い抜き最後の最後でようやく神への挑戦権を手に入れました。
ラッキーパンチ的な側面が強いですが、折角手にしたチャンスですのでしっかりとものにしていきたいですね。
神・森田 (侑) さんはヴィンテージへの造詣が大変深く、後程視聴させていただいた解説の方も圧巻の一言でした。
しっかりと食らいついていけるように、勉強を積んだ上で「第7期ヴィンテージ神決定戦」に臨みたいと思います。
それではまた次回。
原根
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