「フロンティア」デッキガイド

高橋 優太





 新フォーマット「フロンティア」発表!

 私はこういった新フォーマットが大好きだ。モダンやレガシー、パウパーやモミールなど、今まで知らなかった世界のデッキを考えるのは非常に楽しい。

 今回の記事では「フロンティア」について考えたことをメモしていこう。



■ 環境定義


・マナベース

 『タルキール覇王譚』からスタンダードをプレイされている方には馴染み深いだろう。

 『タルキール覇王譚』のフェッチランド+『戦乱のゼンディカー』のバトルランドのマナベースのため多色化が容易で、「アブザンブルー」「ダークジェスカイ」「マルドゥグリーン」といった3色+タッチ1色のデッキが活躍していた。


溢れかえる岸辺血染めのぬかるみ窪み渓谷梢の眺望


 基本地形×2→バトルランドという動きのため、多色にありがちな「序盤のタップイン」も少なく、多色の強力カードを存分に使うことができる。


・クリーチャー

 『タルキール覇王譚』は多色なため単体のカードが強く、《カマキリの乗り手》《先頭に立つもの、アナフェンザ》《包囲サイ》などはよく使われるだろう。


カマキリの乗り手先頭に立つもの、アナフェンザ包囲サイ


 特に《先頭に立つもの、アナフェンザ》メインに入る墓地対策として優秀で、後述する「4色《先祖の結集》」によく効く。

 他には《僧院の導師》《ヴリンの神童、ジェイス》も単体でゲームを決める力がある。


僧院の導師ヴリンの神童、ジェイス


 《エルフの神秘家》は貴重なマナクリーチャー。2マナ以下で無条件の《不屈の自然》系の呪文がないため、基本的にマナブーストはクリーチャー頼みになる。

 《ゴブリンの群衆追い》《ゴブリンの熟練扇動者》などでゴブリンデッキが組めるかも?

 《サテュロスの道探し》は墓地デッキのお供だ。


エルフの神秘家ゴブリンの群衆追いサテュロスの道探し



・呪文

 環境のアドバンテージを定義しそうなのは《集合した中隊》《時を越えた探索》《宝船の巡航》《苦い真理》の4枚。


集合した中隊時を越えた探索宝船の巡航苦い真理


 《集合した中隊》は最近までスタンダード最強カードだったが、『タルキール覇王譚』ブロックの多色クリーチャーで更に強化される。

 《再利用の賢者》《配分の領事、カンバール》といったサイドボードで輝くクリーチャーもサーチできるのがいい。


再利用の賢者配分の領事、カンバール


 モダン・レガシーで禁止されている《時を越えた探索》《宝船の巡航》が4枚使えるフォーマットは「フロンティア」だけ!青なら是非使いたい。「探査」を使うときはフェッチランドを8~12枚は入れよう。

 「探査」繋がりだが、《強大化》《ティムールの激闘》コンボがあるのも忘れずに。


強大化ティムールの激闘


 4色環境なので《苦い真理》は3マナ3ドローとして機能する。ただ、フェッチランドでライフを失いやすい+ビートダウンに弱いカードなのでメインに入るとしても2枚だろう。

 クリーチャーのサイズが4/4以上なので、除去はなるべくサイズを選ばない確定除去を使いたい。

 《はじける破滅》《アブザンの魔除け》《闇の掌握》《残忍な切断》などが該当する。


はじける破滅アブザンの魔除け闇の掌握残忍な切断


 クリーチャー除去は強いが、打ち消しや手札破壊は状況を選ぶものが多く、万能ではない。

 実用レベルのものは《払拭》《強迫》《頑固な否認》《軽蔑的な一撃》。特に《軽蔑的な一撃》は「探査」カードと《集合した中隊》に強いので青ならメインから入れたいカード。


払拭強迫頑固な否認軽蔑的な一撃


 《集団的蛮行》は除去兼手札破壊として役立つ。これも「探査」カードと《集合した中隊》を捨てられるので、黒ならメインから入るカードだろう。


集団的蛮行


 《ドロモカの命令》《コラガンの命令》という2種類の命令は汎用性が高く、メインからエンチャント・アーティファクトを対処できる。


ドロモカの命令コラガンの命令


 《アーティファクトの魂込め》は確かに強いカードだが、《ドロモカの命令》《コラガンの命令》の両方で対処可能なので、《頑固な否認》を構えるなど準備が必要。


アーティファクトの魂込め




■ デッキ案


1. 4色《先祖の結集》



「4色《先祖の結集》
サンプルデッキリスト

2 《沼》
1 《森》
1 《島》
1 《平地》
2 《梢の眺望》
1 《大草原の川》
1 《窪み渓谷》
4 《溢れかえる岸辺》
4 《汚染された三角州》
4 《吹きさらしの荒野》
3 《進化する未開地》

-土地(24)-

4 《エルフの神秘家》
4 《ヴリンの神童、ジェイス》
4 《サテュロスの道探し》
4 《ズーラポートの殺し屋》
4 《ナントゥーコの鞘虫》
4 《反射魔道士》
3 《地下墓地の選別者》
1 《不気味な腸卜師》

-クリーチャー(28)-
4 《先祖の結集》
4 《集合した中隊》

-呪文(8)-
3 《払拭》
3 《再利用の賢者》
3 《残忍な切断》
2 《強迫》
2 《苦い真理》
2 《歯牙収集家》

-サイドボード(15)-
hareruya



 半年前のスタンダードで最も強力だったコンボ・ビートダウンだ。

 序盤は《ヴリンの神童、ジェイス》《サテュロスの道探し》で墓地を増やし、中盤は《集合した中隊》《ナントゥーコの鞘虫》《地下墓地の選別者》を調達。


ヴリンの神童、ジェイスサテュロスの道探し集合した中隊


 終盤は《先祖の結集》で複数の《ズーラポートの殺し屋》を出し、《ナントゥーコの鞘虫》とのコンボでライフを一気に吸い尽くす。


先祖の結集ズーラポートの殺し屋ナントゥーコの鞘虫


 クリーチャー除去でコントロールしようとすると《先祖の結集》、打ち消しや手札破壊には緑黒ハスクビートといったように複数の勝ちパターンを持つデッキで、相手にすると非常にやりづらい。

 クリーチャーコンボデッキなので、並べば並ぶほど《ズーラポートの殺し屋》の効果が高まるし、うっかり攻撃を通すと全部生贄→《先祖の結集》で大ダメージを受けて負けてしまう。

 悩んだら《ナントゥーコの鞘虫》をブロックするように心がけよう。

 スタンダード当時はまともな墓地対策が存在しなかったが、フロンティア環境では《トーモッドの墓所》がある。0マナで《先祖の結集》を無効化できる!また《神聖なる月光》もあるので、サイド後は相手の対策を意識して《払拭》《再利用の賢者》などが必要になってくるだろう。


トーモッドの墓所神聖なる月光払拭再利用の賢者



2. ダークジェスカイ



「ダークジェスカイ」
サンプルデッキリスト

2 《山》
1 《島》
1 《平地》
1 《沼》
2 《窪み渓谷》
1 《大草原の川》
1 《燻る湿地》
4 《血染めのぬかるみ》
4 《溢れかえる岸辺》
4 《汚染された三角州》
3 《神秘の僧院》
2 《乱脈な気孔》

-土地(26)-

4 《ヴリンの神童、ジェイス》
3 《魂火の大導師》
4 《カマキリの乗り手》
2 《奔流の機械巨人》

-クリーチャー(13)-
3 《焦熱の衝動》
2 《集団的蛮行》
2 《軽蔑的な一撃》
4 《はじける破滅》
3 《コラガンの命令》
2 《苦い真理》
1 《オジュタイの命令》
4 《時を越えた探索》

-呪文(21)-
3 《焙り焼き》
2 《トーモッドの墓所》
2 《否認》
2 《光輝の炎》
2 《苦い真理》
2 《ゲトの裏切り者、カリタス》
1 《払拭》
1 《集団的蛮行》

-サイドボード(15)-
hareruya



 《時を越えた探索》最も強く使えるデッキは何だろうと考えたとき、真っ先に思い浮かんだのはダークジェスカイだった。


時を越えた探索


 《はじける破滅》《オジュタイの命令》など各色の強力カードを構えて万全の状態を作った上で、相手のエンド時に《時を越えた探索》をプレイ。


はじける破滅オジュタイの命令


 複数のインスタントを構えて相手に合わせて行動するのは大好きで、これを「うまぶり要素」と呼んでいる。カラデシュからは「うまぶり要素」を具現化したクリーチャー《奔流の機械巨人》を採用。《時を越えた探索》で巨人を探し、巨人からまた《時を越えた探索》をプレイする。コントロール好きの願いを具現化したデッキだ。


奔流の機械巨人



3. 青赤《アーティファクトの魂込め》



「青赤《アーティファクトの魂込め》

2 《島》
1 《沼》
1 《燻る湿地》
4 《汚染された三角州》
4 《シヴの浅瀬》
4 《尖塔断の運河》
4 《ダークスティールの城塞》

-土地(20)-

4 《搭載歩行機械》
4 《羽ばたき飛行機械》
4 《ボーマットの急使》
4 《屑鉄場のたかり屋》
4 《鋳造所の隊長》
4 《飛行機械技師》

-クリーチャー(24)-
4 《爆片破》
4 《幽霊火の刃》
4 《アーティファクトの魂込め》
4 《密輸人の回転翼機》

-呪文()-
hareruya



 『基本セット2015』『マジック・オリジン』はアーティファクト押しのカードが多く、カラデシュのカードと組み合わさって驚異的な速度のデッキができる。

 2ターン目《アーティファクトの魂込め》で2回攻撃+《爆片破》で15点!フェッチランドでライフが減りやすい環境なので、15点は十分射程範囲だ。


アーティファクトの魂込め爆片破


 スタンでも大活躍中の《密輸人の回転翼機》フロンティアでも十分通用する強さ。フロンティアでは《幽霊火の刃》によって5/5で攻撃できるし、後半に引いた場合でも《飛行機械技師》で速攻アタックができる。最速のビートダウンを使いたい方におススメのデッキだ。


密輸人の回転翼機幽霊火の刃



4. アタルカレッド



「アタルカレッド」
サンプルデッキリスト

8 《山》
1 《森》
2 《燃えがらの林間地》
4 《血染めのぬかるみ》
4 《樹木茂る山麓》
1 《吹きさらしの荒野》

-土地(20)-

4 《鋳造所通りの住人》
4 《僧院の速槍》
3 《鐘突きのズルゴ》
2 《稲妻の狂戦士》
4 《ケラル砦の修道院長》
4 《無謀な奇襲隊》

-クリーチャー(21)-
3 《乱撃斬》
4 《アタルカの命令》
4 《ドラゴンの餌》
4 《軍族童の突発》
4 《かき立てる炎》

-呪文(19)-
hareruya



 フェッチランドでライフが減りやすい環境なら、ビートダウンが活躍する可能性は大いにある。もうひとつの最速ビートダウンがこのアタルカレッドだ。

 トークン+全体強化による大ダメージが基本戦略で、デッキ名にもなっている《アタルカの命令》は一気に7~8点のダメージを稼ぎ出す。また、《かき立てる炎》はトークン戦略では0マナ4点になる強力な火力だ。


アタルカの命令かき立てる炎



以下、思いついたデッキリストを列挙していこう。


5. 赤緑二段攻撃



「赤緑二段攻撃」
サンプルデッキリスト

5 《森》
4 《山》
1 《燃えがらの林間地》
4 《血染めのぬかるみ》
4 《樹木茂る山麓》
4 《吹きさらしの荒野》

-土地(22)-

4 《エルフの神秘家》
4 《通電の喧嘩屋》
4 《静電気式打撃体》
4 《マナ喰らいのハイドラ》
4 《逆毛ハイドラ》

-クリーチャー(20)-
4 《霊気との調和》
4 《顕在的防御》
4 《気宇壮大》
4 《ティムールの激闘》
4 《強大化》

-呪文(19)-
hareruya



 《静電気式打撃体》《強大化》《気宇壮大》22点トランプル!


静電気式打撃体強大化気宇壮大



6. ゲートウォッチ配備



《ゲートウォッチ配備》
サンプルデッキリスト

2 《平地》
1 《森》
1 《山》
1 《沼》
2 《燃えがらの林間地》
1 《梢の眺望》
1 《燻る湿地》
4 《血染めのぬかるみ》
4 《吹きさらしの荒野》
4 《樹木茂る山麓》
2 《砂草原の城塞》
2 《乱脈な気孔》

-土地(25)-



-クリーチャー(0)-
4 《光輝の炎》
4 《ゲートウォッチ配備》
4 《ニッサの誓い》
4 《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》
4 《反逆の先導者、チャンドラ》
4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》
4 《先駆ける者、ナヒリ》
2 《真面目な訪問者、ソリン》
1 《生命の力、ニッサ》
2 《頂点捕食者、ガラク》
2 《精霊龍、ウギン》

-呪文(35)-
hareruya



 《ゲートウォッチ配備》から《頂点捕食者、ガラク》《精霊龍、ウギン》の夢を見たい!


ゲートウォッチ配備頂点捕食者、ガラク精霊龍、ウギン


 初動が3ターン目のため守りが薄いデッキなので、出したターンに自身を守れるプレインズウォーカーのみ採用。

 《反逆の先導者、チャンドラ》はマナ能力から《ゲートウォッチ配備》につながるため4枚。マナブーストして《精霊龍、ウギン》素出しプランもあり、このデッキの主役といえる。

 後半逆転するためにも《真面目な訪問者、ソリン》《乱脈な気孔》のライフゲイン要素は必要だと思い、黒をタッチした。


7. ティムール《機械医学的召喚》



「青緑《機械医学的召喚》
サンプルデッキリスト

4 《森》
4 《島》
1 《梢の眺望》
1 《大草原の川》
4 《溢れかえる岸辺》
4 《吹きさらしの荒野》
2 《植物の聖域》

-土地(20)-

4 《詮索好きのホムンクルス》
4 《ヴリンの神童、ジェイス》

-クリーチャー(8)-
4 《霊気との調和》
4 《ウルヴェンワルド横断》
2 《途方もない夢》
4 《棚卸し》
4 《ニッサの巡礼》
4 《パズルの欠片》
4 《宝船の巡航》
2 《時間への侵入》
4 《機械医学的召喚》

-呪文(32)-
hareruya



 《機械医学的召喚》から「探査」呪文をプレイすれば巨大なトークンが出る!

 《時間への侵入》追加ターンを得ながら11点!


機械医学的召喚時間への侵入



8. バントイーサーン



「バント《放浪の吟遊詩人、イーサーン》
サンプルデッキリスト

4 《森》
2 《島》
2 《平地》
2 《梢の眺望》
2 《大草原の川》
4 《溢れかえる岸辺》
4 《吹きさらしの荒野》
4 《植物の聖域》

-土地(24)-

4 《エルフの神秘家》
1 《シディシの信者》
4 《エルフの幻想家》
4 《ヴリンの神童、ジェイス》
1 《ファイレクシアの破棄者》
1 《無私の霊魂》
4 《反射魔道士》
4 《放浪の吟遊詩人、イーサーン》
1 《巨森の予見者、ニッサ》
1 《再利用の賢者》
1 《呪文捕らえ》
1 《賢いなりすまし》
1 《大天使アヴァシン》
1 《新緑の機械巨人》

-クリーチャー(29)-
3 《召喚の調べ》
4 《集合した中隊》

-呪文(7)-
hareruya



 『基本セット2015』のリストで目につくのが《召喚の調べ》《放浪の吟遊詩人、イーサーン》。この2種類で《出産の殻》のようなデッキができないだろうかと組んだデッキがこちら。


召喚の調べ放浪の吟遊詩人、イーサーン


 状況に合わせて《シディシの信者》《無私の霊魂》《ファイレクシアの破棄者》を持ってきたり、非常にテクニカルな動きをすることができる。

 《変位エルドラージ》も使いたかったが、無色を含めたマナベースが構築できずに断念。



■ おわりに

 フロンティアはまだまだ未知の環境だ。

 今回挙げたもの以外にも、特に『基本セット2015』にはデッキを作りたくなるカードが多い。


戦列への復帰主任技師練達の変身術士、ジャリラ無駄省き
オナッケの古きもの、クルケッシュ発生器の召使いウルドのオベリスク


 【全国各地で大会が開催される】ほか、月末には晴れる屋で【フロンティアの大会】がある。

 デッキ構築の「開拓者」になるべく、どんどん新しいデッキを組んでいってほしい。

 ではまた。



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