Translated by Tsubasa Tomita
挨拶と『カラデシュ』
やぁ読者諸君、世界選手権も終わり、我々の次なる視線は新たに発売された新セット、『カラデシュ』に向いていると思う。俺みたいなMTGファンなら、プレビューカードを毎日見ていろんなデッキのイメージができているのではないだろうか?
今日はそんな自分で試したかった新たなカードを使った、新たなデッキをいくつか紹介させてほしい。詳しく話す前に『カラデシュ』の個人的な分析した内容を話したい。俺の中では二種類のセットの形式がある。
まずは『ラヴニカへの回帰』などが当てはまる“パワー”を代表とするセットだ。続いてテーロスなどが当てはまる“シナジー”を代表するセットだ。
“パワー”セットは単体で強いカードが色さえ合えばどこでも活躍できるようなセットだと思う。そのカードを中心にカードを選ぶ必要が薄い。などが主な例となるカードだ。これらのためにデッキを組む必要性がとても少ない。
そして“シナジー”セットは基本的に単体ではあまり強くない。だがそのカードを中心にデッキを組むと環境を制することのできる凄まじいデッキができる。などがスタンダードに居た時はかなり大きな存在だったが、それはそれらのカードを生かすためにデッキがデザインされていたからである。
『カラデシュ』は俺から見たら確実に”シナジー”セットだ。いくつか個々で動けるカード良いカード(基本的に機械巨人やプレインズウォーカー)がある。だが多くのメカニックが知れ渡り、超革新的なデッキが登場し、スタンダードを席巻するかもしれない。この記事で俺は二つのメカニックを体験してみたい。
デッキ1: UW
今回収録されている4マナのレアアーティファクトたち(とその類)はとても興味深い。すべてスタンダードで大きな波を起こせるかもしれない(に関してはあまり個人的に期待はしていない)。だが実現させるためには努力は必要だ。
Pierre Dagen – 青白 パンハモニコン
テストデッキ
4
4
2
4
3
5
1
1
2
-土地 (26)-
3
4
4
4
4
2
3
-クリーチャー (30)- |
4
4
2
-呪文 (4)- |
このデッキはを使い倒すために最初に実行したデッキである。このカードを評価する際に問題となるのは、「このカードを使うだけの価値を見出すためには、このカードを出した後にはたして何回のETB能力を、しかものものを除いて、発動させないといけないのか」ということだ。
一回だと元は取れないね(現スタンダードでは一回で4マナ投資して元の取れるETB効果を持つカードは存在しないと思っている、まぁ機械巨人たちならかなり元を取る位置に近い)、2回ならまぁ妥協点辺りか、でもこの動きをするためにテンポを失ってる可能性があり、あまり結果に興奮はしない。3回でやっと納得のいく見返りが膨らんでくるところだと思う。基本的にの内、三つのETB能力を合わせて使えれば4マナ投資した元以上は確実に戻ってくるだろう。
まず軸となる部分を把握したところで、次はゲームプランをまとめなきゃならない。個人的に一番大きな問題点は4マナの自ら何もしないアーティファクトを唱える際、手札に複数のカードを持ってないといけないことだ。別の言い方をすれば、をゲームに影響させるためには3か4ターン目に置かなければならないだろう。これを置くことで間違いなくテンポで相手に劣ると思う。そのために共にする色を青と白を選んだのは必然である。1枚がETBを2回使い始めたら最悪な事態になることは間違いない。さらに失っていたテンポも1枚で劇的に解決するのではないか?
残りのデッキは説明は必要ないと思う。だが多くのとても良いシナジーを提供してくれる。なんてもう大好きだ。を探す手助けをしてくれる。さらにを既に持っていても別の物を選べる可能性もあり、今後のゲームプランも左右できる。
それとは別に、青白テンポみたいな動きもできる。空中からやで制し、で陸を制す。はこの組み合わせでとても良い。ETBがで反応するだけでなく、を引けない場合でも多くのクリーチャー、とくにその辺に転がっている末裔トークンに影響を与え、劇的とは言わないまでも堅実なテンポゲームで制することもできる。もまたこのデッキで輝くカードでもある。デッキ内の大抵のカードとはシナジーがあり、ロングゲームを見た時このカードで多くの価値をゲーム中見出せると思う。
最後に、もし気づいてないのであれば、このデッキはとてもパワフルなコンボフィニッシュが用意されてる。テストの時こういう組み合わせを試すんだ。、、をもしコントロールしているのであれば、無限にをでブリンクすることができ、無限のマナを産みながら、無限の末裔トークンを作り、無限にブリンクもできる!
これが可能ならもう相手のクリーチャーを全部タップでき、で相手のクリーチャー全部バウンスもできるし、もしかしたらもっとすごいこともできるのかもしれない。をブリンクしてを見つけにいったりさらにキャストして搭乗クルーが用意できるまでブリンクし続けること(末裔トークンは無限に作れるから無限の搭乗を用意することも可能)もできる。
こんなことができるならこのデッキは良い感じだと認めてもいいかもしれない。まだ実験段階でいくつか修正点はあると思うが、とても良いデッキの軸ができたと思っている。もっとこのデッキのことを話すなら、はがいる環境では使いたくない。そして全体除去はクリーチャー同士のシナジーを組み上げるこのデッキにとっては大問題だ。それでも多くのシナジーを実現しながら大半が一定の役割が持てる良いカードを使えていることに満足してるよ。他にも2マナクリーチャーも試してみたい、もしかしたら5枚目のの役割が持てるかもしれないをアグロマッチングに使えるかもしれない。ちょっと変わったプランとして使って赤も入れてしまえばも使えてETB効果はさらに強化できる上に除去にも怖くない。選択肢が多くて悩ましい限りだね。
デッキ2: 赤緑エネルギー
エネルギーカウンターはマジックにおいて6番目の色になりうる存在だろう。これはとても楽しみなメカニックだ。エネルギーを軸としたデッキを作るのも楽しそうだが、今回の目的はエネルギーがマジック最古の戦略デッキ、赤緑ビートとどれほど共存できるメカニックか見てみよう。
Pierre Dagen – 赤緑エネルギー
テストデッキ
4
2
4
4
10
-土地 (24)-
4
4
4
4
4
4
4
-クリーチャー (28)- |
4
4
-呪文 (8)- |
ここはシンプルに始めよう。最も良いアグレッシブなクリーチャーを束ね、ゲームを速やかに終わらせてみたい。とが良さそうだ。彼らをマナカーブ順に置くと、3ターン目に8点叩き出すことができる。とても早く、簡単に実現できる。両クリーチャーがエネルギーがあるとより良く動くことができるからもう少しエネルギー寄りに思考してエネルギーをもっと使うカードを選んでみた。
そんな中見つけたはとても素晴らしい結果を残してくれている。2マナクリーチャーとしてではなく、序盤に相手はゲームで早めのクリーチャーを殺しに来るからそういった展開上、大半がエネルギーを消費せずに残っているからだ。逆にこの2マナクリーチャーを6ターン目に引いて来たら(本来この段階の2マナクリーチャーは輝かないが)4/4または5/5で出すこともできる。とてもアグレッシブなってイメージすればどれだけの高い評価か分かるであろう。
一つ知ってほしいことがある。火力系の呪文は本体に当てることが多いと思う。は説明不要だと思うが、はパンプ呪文としても使える。簡単なことだ、呪文を打ち、その呪文にエネルギーを使わなければエネルギーは溜まるだけ、あとはにエネルギーを使わせるか、にもう1ターン生き延びらせることもできる。
最後はこのデッキのカーブの頂点、ここには着地時、ゲームに大きなインパクトを与えられ、自身でゲームを制する力があるものが良い。なんかどうだろうか。膠着した盤面に大きな影響を与え(4つのカウンターをに乗せると強いと思う)ならコントロール相手に脅威となるだろう。呪禁があるだけで相手はとても嫌がるだろう。そしてがあればこの脅威をインスタントのように付けることができる。これで相手は頭を抱えるだろう。
結局どれぐらい良いデッキなのか?って聞くなら、第一段階でこの出来ならとても良いデッキと言えるだろう。そのうちメタはこれに対応できるようになると思うが、新環境の1週目にはこういったデッキが輝くことが多いだろう。ぜひ皆さんにこの時期だからこそこのデッキたちを試してもらいたい!
ではまた次回!
Pierre Dagen
Pierre Dagen
フランス出身。ヨーロッパを代表するプレイヤーの1人。
【プロツアー『テーロス』】で、親友であるJeremy Dezaniと共に”Les Bleus”と名付けた「青単信心」を持ち込み、決勝のミラーマッチを戦った姿が印象的。
3度のグランプリでトップ8を飾り、【ワールド・マジック・カップ2015】ではフランス代表のキャプテンとして3位に入賞し、 【プロツアー『カラデシュ』2016】では2度目のプロツアートップ8を経験した。
Pierre Dagenの記事はこちら