Translated by Jun’ya Takahashi
読者の皆さん、こんにちは。私の最新記事へようこそ!
今回は、何かしらのデッキやフォーマットからは離れて、 ”プロのマジックプレイヤー”として向き合うべき課題 について話すつもりだ。 この話題について話そうと思いたったのは、8週間以上に渡って7つのメジャートーナメントに参加する、という遠征日程を終えたときだった。 これは単純に長い旅行だったとか、たくさんマジックをしたってだけではない。 ヨーロッパ、日本、アメリカと世界各国の開催地を移動しながら、ありとあらゆるフォーマットを旅行中も練習しなければならなかったのだ。
ドラフト、スタンダード、チームリミテッド、モダン、レガシー、そしてまたスタンダード。 ここまで多種多様に渡るフォーマットの練習をして、それぞれにおいて正しいデッキ選択をすることは、本当に難しい課題だった。 このような状況はこれまでもあり、私がプロのマジックプレイヤーのキャリアを終えても起こるはずである。 そこで 膨大な数のトーナメントのために正しく準備する方法 を皆さんに伝えておこうと思ったんだ。
1.) 前もって余裕のある旅程を組むこと
これは私が思うにもっとも重要なことだ。 いいフライト、いいホテルかAirBnBsを確保するには、前もって動いておくべきなのだ。 基本的にはずっと移動しているので、気に入った場所や手段で過ごしたいはずだ。 もしそれを前もって準備しておけば安く確保できるので、お金をたくさん節約できるのである。 しかもそれがフライトやAirBnBsならば特に効果的で、通常のお値段の50%で確保できたりするのだ。
もちろん、これがマジックの成績に直接的には関係しないことはわかっていて、時間を食う作業だとも知っている。 ただ、フライトやホテルの手配ができることは、自分たちで旅行にいけたりと、マジック以外の生活でも役に立つ良いスキルだ。 特に長旅では、フライトの合間に一息ついて休める時間が必要になる。 だから、しっかりと前もって準備しておかないと、慌ただしい旅に面倒くさくなったり退屈してしまうだろう。
2.) すべてのトーナメントで勝てると思ったり、悪い結果に苛ついてはいけない
もし君が歴史上で一番強いプレイヤーだったとしても、地元で一番上手なプレイヤーだったとしてもだ。 常に勝てるとは思わない方がいい。 メタゲームの想定を間違えて負けることがあれば、プレイミスをして負けることだってある。 また、プレイミスをしなくても不運や分散によって負けてしまうことさえあるのだ。 だから君は常に勝つことはできない。
たとえ君がすごく集中していて最高のパフォーマンスを発揮できる状態であっても、運をどうこうすることはできない。 だから、悪いパフォーマンスだったからといって、自分の不運のせいにして嘆かないほうがいい。 上で話したように、もしかしたら時差ボケや旅行の準備不足が原因で週末がめちゃくちゃになってしまったのかもしれない。 もし君がこのような状況に陥ったら、それを素直に受け入れて、上手く経験にして活かしていくべきだ。
GPワルシャワで私は、アメリカからハワイの移動による時差ボケが残るなか、土曜日の午前3時にワルシャワ市内に到着した。 そして君が予想したように、私は当前ながらマッチの途中で眠くなり、ゲームに集中することができずにトーナメントを敗退した。 私は夜に宿に戻るとそのまま寝て、次の日は会場でいくつかのカオスドラフトを勝ったのだった。 (カオスドラフトは、ハイランダーと並んで、私が大好きなカジュアルフォーマットなんだ!)
3.) デッキは一番好きで使い慣れているデッキを選ぶこと
たくさんのトーナメントに参加すると、いつか一度は、悪いデッキを選択することになる。 あるいは、使い慣れていないデッキを選んでしまい、トーナメントの最中に何回もミスすることがあるはずだ。 これらはすごくもったいないことだ。 もちろんすべてのトーナメントのために練習することはできない。 特に毎週のようにフォーマットが変われば難しいし、旅行や日常生活を送るためのあれこれが練習時間を奪うこともあるからだ。
私なりの解決方法は、 今まで使ったことのあるデッキを使うこと だ。それがたとえ現在の環境においてベストデッキたり得なくても、である。私にとっては、「感染」がレガシーとモダンにおける候補になる。(偶然にもモダンではベストなデッキだった) 「感染」の基本的な動きは両フォーマットとも変わらないんだ。
これが私が 【ワールド・マジック・カップ 2016】 で使ったモダンのデッキリストだ。
Oliver Polak-Rottmann「感染」
ワールド・マジック・カップ 2016
2
3
3
3
3
2
4
-土地 (20)-
4
4
4
1
-クリーチャー (13)- |
4
4
4
4
2
2
2
2
3
-呪文 (27)- |
3
2
2
2
2
2
2
-サイドボード (15)- |
フォーマットはチームモダンだったので、いくつかのカードが抜けて、枚数が変わっている箇所がある。 もし私が個人戦のモダンで使うとするならば、上のリストに以下のような変更を加えるだろう。
個人戦のモダン大会に出る場合の変更点
In(メイン)
Out(メイン)
今年のはじめの3月にあったGPボローニャ以来、私は1ゲームもモダンをプレイしないままワールド・マジック・カップに参加することになった。 (プレイテスト以外ではね) 私は古いデッキリストにを加えてみた。 しかし、いざ触ってみると、正直な話、「感染」にいれるには力不足だと感じた。 他のを入れたリストも試してみたが、私の感想は変わらなかった。 額面通り+2の修正では十分なダメージがでないのでよくないと感じたのだ。 そこで代わりにを戻すことになった。
私たちはチームモダンのトーナメントにおいていいデッキの組み合わせを探さなければならなかったため、したがって他のデッキをテストする必要があり、これ以上「感染」のデッキを正しく組むために時間を割くことはできなかった。
たとえ現在の「感染」 「SCZ」 「発掘」がとても支配的な環境から変わっていたとしても、私は調整した「感染」で次のトーナメントに参加するつもりだ。 「SCZ」はワールド・マジック・カップでは滅多にプレイされないデッキだった。 チームモダンというフォーマットにおいて、「SCZ」はあまりにも多くのカードを必要とするからだ。 よりよい3つのデッキの組み合わせがあったということである。
今週末はGP千葉に参加するつもりだ。 おそらく参加するデッキリストは以下のようなものになるだろう。
Oliver Polak-Rottmann「感染」
4
1
3
3
2
1
4
1
-土地 (20)-
4
4
4
-クリーチャー (12)- |
4
4
3
2
2
1
1
3
4
3
1
1
-呪文 (28)- |
3
2
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
-サイドボード (15)- |
このリストで最も面白いことは、 数枚のサイドボードカードのために白をタッチしている ことだ。 これらは必要不可欠というわけではないかもしれないが、とという最高クラスのカードをいれておくことをオススメしよう。 この2枚はレガシーの「感染」のサイドボードではあまり見ないカードだ。 だからこそ油断している対戦相手に突き刺さる。 あと、私はこうした想像以上の驚きをもたらす要素が大好きなんだ。
メインデッキで特徴的なのは4枚目のを採用していることだ。 私は常に4枚使っているのだが、なぜ多くの人々が3枚しか使っていないのか本当にわからない。 の燃料にできるし、相手が何を持っているかを知ることで、より簡単に相手を倒しにいける。 私がこれを4枚から減らすことはほぼないだろう。 もし君が4枚でなく3枚の方がいい理由を知っているなら、気軽に 【Twitter】 か 【Facebook】 で教えてほしい。
4.) 健康的なものを食べて、水分補給をすること
これは母親から言われたことに似ているかもしれないが、母親は子供のためになることを知っているものだ! トーナメントの最中にはたくさんの水分補給が必要だ。 さもなければ、すぐに、あるいは後々に頭痛に苛まれるはずだ。 また、ハンバーガーや油っこいピザは食べてはいけない。 これを消化するためにはたくさんのエネルギーが必要なので、疲れやすくなり、とても早く集中力を欠くようになる。 それよりはバナナやりんご、チョコレートバーで血糖値を維持するべきだ。
何を食べるべきかや水分補給については、他にも意見があるかもしれないが、これは人によって味覚が違うようなものだ。 大事なのは、自分自身にとって完璧な体調管理の方法を見つけることである。 週末の長いGPを戦うにあたって、君が想像している以上に役に立つはずだ。 それでは次のTIPSが最後だ。
5.) 一緒に楽しく旅できる友達を探すこと
もし君が長期間あるいは1週間に何回も旅行するようなら、ルームメイトを変える必要はないけれど、代わりに1人の気の置けない友人を大切にしたほうがいい。 誰かと一緒に旅をすることは1人で旅するよりもずっと楽だ。 個人の好み、ホテルの値段、食事の好き嫌いなど、ひとつひとつについて自分で検討する必要がなくなるのである。
素晴らしい旅の友を見つけることはとても難しい。 ただ、一度それを見つければ、自分が旅程を組む前に誘うことができるようになる。 誰かとの旅は確実に君の経験を豊かにするはずだ!
さて、私については、今年のマジックはあと ”たった2つ” のイベントを残すばかりだ。 今週末に美しい日本で開催されるGP千葉と、来週のスペインで開催されるGPマドリッドである。悲しいことに「緑黒昂揚」ばかりのスタンダードは少しばかり退屈だが、まだ私しか知らないテクニックによって環境を変えるチャンスも残されている、ということでもあるはずだ。
もし君がこれらのイベントに参加して私を見かけたなら、気軽に声をかけてほしい!
さあ、今回の記事はここまでである。 きっと、近いうちに新しいコンテンツをお届けできるはずだ。
Oliver Polak-Rottmann
Oliver Polak-Rottmann
オーストリア出身。【グランプリ・ユトレヒト2014】では「青単信心」で優勝を果たし、4度のグランプリトップ8入賞を誇るヨーロッパの強豪。
スタンダードに関する造詣が深く、毎シーズンのメタゲームを読み解き、世界を旅して活躍を続ける。
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