目次
■ 上手くなりたいならば……
■ マジックの基礎力 -正気と狂気-
■ マジック基礎力養成講座、開講!
■ シールドのルール -3分で分かるデッキ構築-
■ リミテッドのクリーチャーと戦闘
■ 『霊気紛争』で巻き起こる”紛争”
■ 上手くなりたいならば……
■ マジックの基礎力 -正気と狂気-
■ マジック基礎力養成講座、開講!
■ シールドのルール -3分で分かるデッキ構築-
■ リミテッドのクリーチャーと戦闘
■ 『霊気紛争』で巻き起こる”紛争”
■ 上手くなりたいならば……
「マジックが上手くなりたいならば、リミテッドをやるべき」
そんな言葉を聞いたことがないだろうか?
とは言え、リミテッド(シールドとドラフト)のハードルというものは、初心者にとってかなり高い。なんとなく参加してみたドラフトで、とりあえず目についたレアをかき集めて紙束を作り、惨敗をした人も多いのではないだろうか。何を隠そう、筆者もその一人だ。
「構築の大会に参加したことはあるけれど……」
「ドラフトやシールドもやってみたいけど、何をやれば良いのか分からない」
そんな声も聞く。これは、ある種の「食わず嫌い」のようなものだ。
対して、プロプレイヤーを始めとするマジック狂たちは、日夜シールドやドラフトなどのリミテッドを楽しんでいる。誰ともなく「ドラフトやらない?」とSNSで発言され、ワラワラと晴れる屋に集い、ゲットパッカーズに千円札を突っ込むものたちの姿を、筆者はよく見ている。
構築の場合「デッキを構築する」という部分は自宅でじっくりと時間をかけることが可能であり、レシピをネットで漁ってコピーで済ませる人も多いだろうが、リミテッドの場合は事情が変わってくる。
シールドならば自分のカードプールを、そしてドラフトならば流れてくるパックの中身を的確に判断し、限られた時間でデッキを構築しなければならない。
“的確に判断し”と簡単に書いたが、これがとにかく難しい。たとえば、以下のカードの強さを、みなさんは即座に判断できるだろうか?
左から、「強い、ギリギリデッキに入りうる、弱い」という評価が一般的かと思うが、これをわずかな時間の中で判断し、デッキに採用するかどうかを決めねばならないわけだ。
リミテッドのデッキ構築には、”基本的な考え方”がある。必要なパーツをドラフトではピックでかき集め、シールドでは自分のカードプールから見出す、という違いはあれども、その基本的な考え方は似ている部分が多い。
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— 晴れる屋 (@hareruya_mtg) 2017年1月13日
特にシールドは、グランプリなどの競技イベントのみならず、新セット発売直前のプレリリースで触れる機会がある。そして、ドラフトと違い、パックが手元にあれば一人で「構築の練習」をすることも可能だ。
使用するエキスパンションごとに細かな違いはあるが、基本となるルールや思考方法はいつの時代も一緒。一度覚えてしまえば、一生使えるものだ。ここで「シールドとは何か?」の“本当の基礎”を覚えておこう。
■ マジックの基礎力 -正気と狂気-
さて、具体的な話を始める前に、“マジックの基礎力”について触れておきたい。
みなさんは、「『カラデシュ』ドラフトの極意(?) ~白赤マンモス~」は読んだだろうか?
- 2017/01/04
- 『カラデシュ』ドラフトの極意(?) ~白赤マンモス~
- 伊藤 敦
マンモス・ドラフトには、多くの人の腹筋を持っていくレベルの狂気が詰まっていた。しかし、その狂気を本当に理解するためには、”ある程度の基礎力”を持っている必要がある。マンモスとラクダが轢殺された事実を目の当たりにしているから「狂気だ」と理解できるが、その轢殺体を目にする前に「これは狂気だ」と判断できるだろうか?
リミテッドの基礎を知らずにデッキを組むと“マンモスっぽい何か”を作ってしまいがちだ。そして、“マンモスっぽさ”を理解できないまま負けてしまうのである。
白赤マンモスを「狂気」と言うことはできるが、「正気」のデッキを作り、それを「狂気ではない」と判断するためには、それ相応の知識が必要だ。「マンモスが死んだ」という事実はさておき、「何故マンモスは死んだのか」を理解できれば……マジックの基礎力が少し向上している証拠でもある。
そして、マジックにおいて「正気と狂気」はある程度の指針でしかない。勝利することができるのならば、正気だろうと狂気だろうと肯定される。今回のマンモスは残念ながら勝利を掴めなかったようだが、リミテッドならば【青黒ジャッカル】、構築ならば【Super Crazy Zoo】という“肯定された狂気”を我々は知っているのだから。
基礎力を身につければ、応用ができる。そうすれば、まつがんさんのようにマンモスを駆ることも可能だ!(多分)
■ マジック基礎力養成講座、開講!
さて、前置きはこれくらいにして、そろそろ本題に入ろう。
この記事はシールドで使うパックを渡されて、
「はいはい。この色を使って、こう組み合わせて、土地は9:8……いや、10:7だな!」
と即断できるような豪の者は対象外である。
対象は、シールドで使うパックの数が分からないレベル。そして、パックを渡されてとりあえず勢いに乗って剥いてみたは良いものの、
「……で?」
という人を対象としている。豪の者が読んでも暇を持て余すに違いないので、そういう人たちは己のマンモスを見つける旅に出て欲しい。
シールドに関するすべてを網羅することは不可能だが、この記事を読めば、ある程度の指針を持ってデッキを組むことができるようになり、「食わず嫌い」はなくなるはずだ。
それでは、マジック基礎力養成講座 -シールドの基本編-を始めよう!
■ シールドのルール -3分で分かるデッキ構築-
シールドでは、6パックを使用してデッキを作成する。デッキの枚数は、構築では60枚が一般的だが、シールドでは40枚で組むことがほとんどだ。この数を多いと思うか、少ないと思うかは人それぞれであろうが、限られた中から最良のカードを選び出し、デッキを組み上げていこう。
40枚の内訳だが、「土地:17枚、クリーチャー:15枚、その他の呪文:8枚」が理想と言われている。もちろん数枚の増減はあるのでこの数字は目安だが、まずはこの「理想の枚数」を目指して組んでみよう。
また、色は2色でまとめることがほとんどである。1色ではカードの枚数が確保できないであろうし、3色以上では、土地事故の危険性が高くなるため、2色の組み合わせを見つけてみよう。
その使用する色を決める際に注目するのは、「クリーチャーの枚数」と「レアカード」。
まずはクリーチャーの数をある程度確保できる色を探すのが第一歩だ。また「構築でも出番のある強いレア」はシールドでも頼りになることが多いので、そのカードの色は候補に入れておくと良い。
特に、無色のアーティファクトは何色のデッキでも使用できる。クリーチャーの数を確保する助けともなるので、覚えておこう。
土地の配分は、比較的シンプルに決められる。「使用するマナシンボルの数を合計し、比率を計算」で問題ない。
- 2016/10/01
- 晴れるーむ合宿『カラデシュ』カバレージ
過去の晴れるーむ合宿のカバレージを見れば、ドラフトではあるが、サンプルデッキリストがたくさん載っている。それらを参考に計算をしてみると、すぐに身につくはずである。
というのも、ここまで述べた基礎はシールドでもドラフトでも共通するものである。デッキの枚数やカードの内訳、土地の配分などは、ドラフトでもまったく同じ考えである。
これは【プロツアー『カラデシュ』】で優勝を果たした、八十岡 翔太さんのドラフトデッキだ。このデッキを使用して、八十岡さんは初日のドラフトを見事に全勝で終えているが、上記のセオリーに沿っていることがお分かりいただけるだろう。
■ リミテッドのクリーチャーと戦闘
先ほど「クリーチャーの数をある程度確保できる」と述べた。それに付随するのだが、リミテッドでは、構築では見向きもされないようなクリーチャーが大活躍する。正確には、そういったクリーチャーを活用しないと、デッキを組むことすらままならない。
構築では見かけないクリーチャーが戦線を支えてくれる。例えば、《歯車襲いの海蛇》がフィニッシャーとしてゲームを決めてくれることもあるだろう。
《改革派の貨物車》が超弩級のフィニッシャーとなるなど、普段の構築とはまったく異なったゲームが展開されるため、手元に存在するカードを正しく評価できるかが鍵となる。
余談だが、筆者がこの記事を執筆するためにシールド構築の練習をしていた際、上記の《改革派の貨物車》を「んー、まあ使わないよね」と脇に除けたところ、それを見た殿堂・津村 健志さんが血色を変えて教えてくれた。曰く「これが抜けることは200回やって1回あるかないか」だそうである。カードを正しく評価できるかが鍵となる!(二回目)
シールドは「プロでも正解を出すことが難しい」と言われる。それだけ奥が深いわけだが、同時に「何でもできる難しさ」が存在する。与えられたカードプールから正しい40枚を選び出せるか。その前提としてベストな2色を選び出せるかどうかも難しいのだ。
しかし、ある程度のセオリーが存在するのは、ここまでお読みいただければ分かるだろう。そして「絶対にダメでしょ」という構築も存在する。
たとえば、素直に土地を並べて《破砕踏歩機》に《成し遂げた自動機械》で「搭乗」する、という狂気に塗れたデッキを組むのは自由だが、「この2体を並べる前にライフを削りきられる」という未来は想像に難くない。
これは極端な例だが、リミテッドでは大技よりも細かな戦闘の積み重ねが重要である。
リミテッドにおける戦闘は、正直に言って別の記事を作らねばならないくらい複雑であり、そもそも言語化が難しい。ここでは簡単に構築の戦闘との違いを述べておこう。
基本的に、構築とリミテッドのデッキの間には、越えられない壁が存在する。とにかく、リミテッドのデッキは弱い。相手のデッキも弱いため、ゲームの進行はじわりじわりと進むような展開になりやすく、あっという間に膠着する。
これが構築ならば、「強力なクリーチャーで打開する」「強力な呪文で相手の盤面を処理する」といったことができるのだが、リミテッドでそういったデッキを組める可能性は皆無に等しい。
リミテッドで採用されるクリーチャーは、構築でお目にかかるような強力なものではない、ということは既に述べた。
そして、デッキの理想的な枚数で「その他の呪文を8枚」と述べたように、デッキに採用できる呪文は決して潤沢ではない。盤面を「呪文によって」有利にできる状況は限られている。
結果、リミテッドで有利を得るためには、戦闘が鍵となる。
「今は攻撃をするべきなのか」
「攻撃をするならば、どのクリーチャーを残すのか」
「相手が攻撃してきたけど、これはブロックするべきか」
そして、「相手が持っている呪文はなんだろう」と予測する、など、とにかくリミテッドの戦闘は複雑である。この企画が好評であったら、プロプレイヤーに話を伺うような形で言語化したいとは思っているが……。
いずれにせよ、こういった感覚が構築にも通ずることは確かである。冒頭に述べた「マジックが上手くなりたいならば、リミテッドをやるべき」という言葉において、「リミテッドの戦闘」が占める割合は非常に多い。マジックが上手い人は、とにかく戦闘が上手い。的確なタイミングで、的確なクリーチャーを指定して戦闘を挑み、的確にブロックする能力は、スタンダードに限らず、モダン、レガシーをプレイしている人にも重要である。「カードを正しく評価すること」も含めて、ぜひ身につけて欲しい。
■ 『霊気紛争』で巻き起こる”紛争”
さて、時節柄、明日から始まるプレリリースについて触れておこう。と言っても、筆者もカードリストを眺めた程度なのでアドバイスのようなものは限られている。ひとまず、シールドに慣れていない人は、「理想の枚数」を覚えておいて欲しい。
ひとつ、『霊気紛争』に関して言及をしておくならば、「リミテッドにおける戦闘」に少し違った味わいが加わることになる。
貧弱な《霊気装置トークン》が、どう考えても不利な状況でふらっと殴って来たとしよう。「?」と思いながら、ブロックをすると……、
「あ! やりやがったな! よろしい、ならば『紛争』だ!」
となる可能性がある(このマッチポンプ感が、人間社会の闇っぽくて個人的には好きだ)。相手の攻撃に対する対処に、いつも以上に気をつけよう。
さて、少し長くなってしまったので、シールドのデッキ構築についてまとめておこう。
・デッキの理想の枚数は、「土地:17枚、クリーチャー:15枚、その他の呪文:8枚」。
・この数字は、1つの基準。多少の増減もありうる。
・2色でまとめるようにしてみよう。
・クリーチャーの数をしっかりと確保できる色を見つけよう。
・プロでも正解を見つけるのは難しい。何度でも挑戦すべし!
・この数字は、1つの基準。多少の増減もありうる。
・2色でまとめるようにしてみよう。
・クリーチャーの数をしっかりと確保できる色を見つけよう。
・プロでも正解を見つけるのは難しい。何度でも挑戦すべし!
この記事によって、みなさんのマジック基礎力がわずかでも向上してくれたら幸いである。
それでは次回まで、ごきげんよう。
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