「やらなければ分からない」のその先へ ~The Last Sun 2016レポート~

原根 健太


12/17-18の2日間、晴れる屋主催の年末イベント【The Last Sun 2016】に参加してきました。

本大会は複合フォーマットにて競われ、今年はスタンダードモダンです。ここ最近は【グランプリ・千葉2016】に向けてレガシーを延々とプレイしていたため、どちらのフォーマットも久方ぶりのプレイとなります。

ただしスタンダードに関しては、カラデシュ後のPPTQに出場していた関係で若干の経験値がありました。



■ 使用デッキ

◆ スタンダード


そのスタンダードの使用デッキは「黒緑昂揚」



原根 健太「黒緑昂揚」
The Last Sun 2016(スタンダード)

7 《森》
7 《沼》
1 《進化する未開地》
4 《風切る泥沼》
4 《花盛りの湿地》
1 《霊気拠点》

-土地 (24)-

4 《残忍な剥ぎ取り》
3 《不屈の追跡者》
1 《巡礼者の目》
1 《ゲトの裏切り者、カリタス》
3 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》
1 《害悪の機械巨人》
1 《約束された終末、エムラクール》

-クリーチャー (14)-
4 《ウルヴェンワルド横断》
4 《闇の掌握》
3 《過去との取り組み》
2 《精神背信》
2 《殺害》
1 《破滅の道》
3 《発生の器》
3 《最後の望み、リリアナ》

-呪文 (22)-
2 《自然のままに》
2 《人工物への興味》
2 《知恵の拝借》
2 《鞭打つ触手》
2 《死の重み》
2 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》
1 《不屈の追跡者》
1 《精神背信》
1 《破滅の道》

-サイドボード (15)-
hareruya



選択理由は「好み」です。

メタゲーム上の読みとかそういった合理性は一切なく、完全な趣味となります。

グランプリなどではプロポイントを追う関係でなかなかこういった選択をしづらいので、このThe Last Sunでは欲望を解き放つことにしました。


ウルヴェンワルド横断


「黒緑昂揚」は僕がスタンダードをプレイしてきた中で1,2を争うほど好きなデッキです。

《ウルヴェンワルド横断》が最高ですね。1枚で動きが何通りにも変化するためプレイを考えるのが楽しく、それに備えた構築を考えるのもワクワクします。

レガシーで「オムニテル」をプレイしていたときも《狡猾な願い》が好きだったので、この手のカードは大好物です。


霊気池の驚異反逆の先導者、チャンドラ墓後家蜘蛛、イシュカナ


また個人的な感想ですが、メタゲーム上の立ち位置もそれほど悪くない印象です。

「黒緑昂揚」をプレイする上では《霊気池の驚異》デッキの存在が気になってくるかと思いますが、ここ最近流行している《反逆の先導者、チャンドラ》《墓後家蜘蛛、イシュカナ》を使うタイプには以前のような相性の悪さを感じません。

デッキに即さない速攻や過剰なハンデスを強いられることが問題だと感じていたので、《絶え間ない飢餓、ウラモグ》が4枚搭載されていた時期に比べれば勝率は遥かに改善されました。



◆ モダン


モダンの使用デッキは「トリコ昇天」



原根 健太「トリコ昇天」
The Last Sun 2016(モダン)

3 《島》
1 《山》
2 《聖なる鋳造所》
1 《神聖なる泉》
1 《蒸気孔》
4 《溢れかえる岸辺》
4 《沸騰する小湖》
1 《乾燥台地》
1 《硫黄の滝》

-土地 (18)-

4 《氷の中の存在》

-クリーチャー (4)-
4 《ギタクシア派の調査》
4 《血清の幻視》
4 《手練》
4 《思考掃き》
4 《稲妻》
3 《信仰無き物あさり》
4 《魔力変》
4 《稲妻のらせん》
3 《差し戻し》
4 《紅蓮術士の昇天》

-呪文 (38)-
3 《血染めの月》
2 《流刑への道》
2 《払拭》
2 《疲弊の休息》
2 《神々の憤怒》
2 《石のような静寂》
1 《摩耗+損耗》
1 《仕組まれた爆薬》

-サイドボード (15)-
hareruya



氷の中の存在紅蓮術士の昇天稲妻のらせん


モダンは全くプレイしていなかったので、これまで使ったことのある「ジャンド」と「感染」の3つで比較を行い、一番好みだったものを持っていくことにしました。

競技シーンを追う上では年間でモダンに触れる機会は極端に少なく、あまり練習時間を取りたくないのが正直なところです。

とはいえ今回のようにちょくちょくプレイするタイミングは訪れるので、いざというときにパッと使えるような「相棒」が欲しいと常々思っています。

構築に関しては以前使ったものをそのまま持っていっただけなので、特に考慮した部分はないです。


情×情とも言えるデッキ選択となりましたが、はたして。



■ 本戦1日目

グランプリ・千葉2016に向けてリアルの大会に沢山参加していた関係で1BYEがありました。The Last Sunは「参加資格を保有している状態でさらに予選大会を勝利するとBYEが与えられる」という仕組みとなっています。

BYEの間会場を歩き回って参加者を確認していたのですが、今大会は非常に面白いメンツが揃っていましたね。国内有数のレベルプロ達他、僕が昔カバレージで見ていたレジェンドな方々も多数参加されていました。



奥から平林 和哉さん、大澤 拓也さん、北山 雅也さん、行弘 賢さん、小室 修さん、藤田 修さん、大塚 高太郎さん。


記事の向こうでしか見たことのなかったプレイヤーたちのプレイを間近で見られるのは本当に嬉しかったですね。初めて参加したプロツアーでも同じように思った記憶があります。新旧プロプレイヤーが入り乱れた大混戦という感じがして、胸が躍るようでした。


そんなこんなでBYEが明け、まずはスタンダードから。デッキは前述の「黒緑昂揚」です。


ラウンド 対戦デッキ 勝敗
Round 1BYE
Round 2マルドゥ機体 ×〇〇
Round 3マルドゥ機体
(松本 郁弥さん・【ビデオカバレージ】)
 〇〇
Round 4マルドゥ機体 〇〇


スタンダードラウンドは全て「マルドゥ機体」とマッチアップ。

相性自体は五分五分ぐらいの認識ですが、ゴールが明確なので大変やりやすい相手です。


1. 《無許可の分解》で負けないようにライフを4以上残し、
2. 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》で場を固め、
3. 《約束された終末、エムラクール》でフィニッシュ



分岐点が少なく、勝つかどうかは別として楽なマッチアップ。

全勝で折り返し地点に到達。ここからは不安なモダンラウンドですが……


ラウンド 対戦デッキ 勝敗
Round 5アブザン《異界の進化》
(吉井 巧さん)
 〇×〇
Round 6バントエルドラージ 〇〇


望外の2連勝

R5は先日のグランプリ・千葉2016のサイドベントである【モダン選手権2016を優勝】した吉井 巧さんの《異界の進化》デッキとマッチアップ。

こちらの勝利手段である《氷の中の存在》《紅蓮術士の昇天》に対処できる《流刑への道》《突然の衰微》があるアブザンカラーは全般的に苦手な相手ですが、特殊なアーキタイプだったため通常のアブザンに比べると《コジレックの審問》《ヴェールのリリアナ》が少なく、そこに助けられた印象です。

ここまでで6-0。例年の傾向で考えれば10-3-1がボーダーとなるので、残る8試合の内半分を勝つことができればトップ8が見えてきます。

俄然調子づきますが……


ラウンド 対戦デッキ 勝敗
Round 7ドレッジ
(清水 直樹さん・【カバレージ】)
 〇××
Round 8ドレッジ ×〇×


収束。

先手3ターン目で昇天クエストを達成できる手札で勝利を確信していたら、2ターン目に24枚「発掘」されて《秘蔵の縫合体》4体と《燃焼》で死んでいました。一体何が……

サクッと転げ落ちて初日は2敗でフィニッシュ。とはいえまだまだ十分トップ8を狙える位置です。


翌日に備えて早めに家に帰り休息……を取るのがいつもの流れですが、この日の夜には関東MTGプレイヤーのためのマジック忘年会的イベントが用意されていました。もちろん参加ですよ。総勢50名近くで大変賑わっておりました。

晴れる屋近くの【卓球酒場 ぽん蔵】で2次会も。卓球にゲーム(Nintendo64・スーパーファミコン)にダーツやらが置いてある居酒屋とちょっと変わった空間ですが、The Last Sunに引き続き年末のお祭り感をエンジョイ。

グランプリなどのイベントでしか顔を合わさない面々も多かったので、ゆっくり時間を取って普段話さないようなことをあれこれ交わすことができ、非常に充実した時間でしたね。

長い一日を終え、2日目へ。



■ 本戦2日目

日を跨ぎ、再びのスタンダードラウンド。モダンラウンドは全く勝てる気がしないのでここでの全勝が最低条件の認識。

デッキには自信があるので十分ありうると張り切ってスタート。


ラウンド 対戦デッキ 勝敗
Round 9黒緑昂揚
(木原 惇希さん)
 ×〇×


からの即没。勝負強さの欠片もない!

お相手は先日の【グランプリ・千葉2016】で準優勝の木原さん。この日も結局トップ8入りと勢いを感じますね。

ゲーム内容的には、こちらの《過去との取り組み》2回と《最後の望み、リリアナ》全て土地とインスタントを捲って《ウルヴェンワルド横断》が「昂揚」を達成できずに押し込まれる無念の試合でした。


ラウンド 対戦デッキ 勝敗
Round 104色《霊気池の驚異》 〇〇
Round 11マルドゥ機体 〇〇


残りの2戦は勝利することができ、スタンダードラウンドは6-1。ゲームカウントも11-3と好調。

マルドゥ機体には1ゲームしか落とさず、サイドボードがよく機能していました。

ちなみに入れ替えは以下の通り。


vs. マルドゥ機体


サイドアウト

不屈の追跡者 不屈の追跡者
精神背信 精神背信
過去との取り組み 過去との取り組み
最後の望み、リリアナ 最後の望み、リリアナ
発生の器


サイドイン

自然のままに 自然のままに
人工物への興味 人工物への興味
鞭打つ触手 鞭打つ触手
死の重み 死の重み
破滅の道


悠長なカードを減らしつつ、ゲームの決定打になりかねない危険なパーマネントへの対処手段を増やします。

アーティファクト破壊を積極的に行うことで《発明者の見習い》を弱体化させ、《鞭打つ触手》の威力を向上させるように努めるのが重要です。


好成績ではあるものの、全勝ならず。

そしてやってきたモダンラウンドは……


ラウンド 対戦デッキ 勝敗
Round 12青単トロン 〇××
Round 13マルドゥ ××
Round 14感染 〇×〇


1-2!

2連敗した後感染に辛勝し、最終成績を9-5の22位で終わりました。



■ まとめ

モダンラウンドは3-4の惨敗でしたが、3ゲーム目の致命的なミスを2試合犯してしまっているので、パーフェクトプレイなら勝ち切れていた可能性があります。どのデッキも使い込みが大切ですね。そういう面で見るとフラフラし続けている今の状態は非常に良くないです。

【グランプリ・広州2016のイベントレポート】「モダンは愛なのかも」的なことを書きましたが、好きになれるデッキは未だ見つからないままです。

年末は特にイベントもなく、新セット前ということで比較的時間を作りやすい時期ですので、MOPTQを目標にモダンをプレイするつもりでいます。もう少し幅広い選択肢に触れてみて肌に合う何かを見つけられれば……


そして今回最も考えさせられたのがスタンダード。

予想以上に勝つことができましたが、事前に使い込んでいただけあり、どのデッキにも明確なゲームプランをもって臨むことができたのが大きかったように思います。その点でやはり僕は練習タイプの人間ですね。やらなければ分からないことばかりです。

ここ最近は「短期間での適応」をテーマにやってきました。


(【前回のブログ】より)

早期にデッキを固めてしまうことが理想ですが、今後目標としていくプロツアーでは新セット発売から2週間しか間がなく、直前での変更もそう珍しいことではないはずです。

「向かないからやらない」ではなく「できるようになる」が引き続きの課題であり、「できるようになるための方法を探す」ことが次への第一歩です。



前回時点ではふんわりとした目標でしたが、今回の経験からより具体的な狙いが定まりました。

それは「吸収効率を上げること」です。

やらなければ分からないのなら、「分かるまでの時間を短縮」するしかありません。

そのためには1回の対戦における「気付き」が重要になりますので、しばらくの間は勝因と敗因の分析を欠かさず行い記録する習慣を付けようと思います。考える癖をつける訓練ですね。


思えば、マジックを始めたてのころは学んだことを逐一付箋に書き出してパソコンに張り付け、ライオンみたいにしていたものです。当時はMagic Onlineで一人黙々とプレイしていた関係で、ただただ成長に繋げたい一心でした。

最近はそういった純粋な熱意が足りていない気がします。大して成長したわけでもないのに慢心のようなものが見られ、良くありません。

2016年ももう間もなく終わりを告げます。2017年は「情熱」をテーマに、当初のガムシャラを取り戻していきたいと思います。

それではまた次回。


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