Translated by Junya Takahashi
こんにちは!また会えたな、僕の記事までようこそ!
先週末の出来事にワクワクしたのは、きっと僕だけではなかったはずだ。レガシーのグランプリ、スーパーサンデーシリーズ、『霊気紛争』のフルスポイラー。あとは、もちろん、スタンダードとモダンの両方で禁止カードが出たことだ。
僕はレガシーのグランプリには参加しなかった。その一番の理由はルイヴィルで開催されたからだが、それだけでなく、僕は幸運にも【スーパーサンデーシリーズ・チャンピオンシップ】の参加権利を持っていたからだ。これは僕にとって2回目のスーパーサンデーシリーズだったが、今回の冒険はトップ8で 永井 守 に負けて、突然の幕切れとなってしまった。
優勝したのはを使ったリアニメーターをドラフトした 斎藤 慎也 だ。決勝戦では Jason Chung を破り、スーパーサンデーシリーズのチャンピオンに輝いた。トーナメントを通して素晴らしいプレイを見せた2人はおめでとう!
■ スーパーサンデーシリーズってどんな大会?
スーパーサンデーシリーズに参加して良かったと思えたのは、そこには僕がマジックを愛する理由と、「敬意を払い感謝する」のを忘れていた多くのこと、そのすべてがあったからだ。
トーナメント本戦は たった46人の参加者で7回戦 という、とても小規模なものだった。この7回戦の内訳は、3回戦の『カラデシュ』ブースタードラフトのあとに4回戦のモダン、そして極めつけとしてトップ8は『エターナルマスターズ』ブースタードラフトで行なわれた。
※画像は【Magic: the Gathering 英語公式ウェブサイト】より引用させていただきました。
このような変則的なトーナメント形式には賛否両論あるが、僕にとっては、これこそがマジックの原点だ。ありとあらゆるマジックをプレイし、様々なフォーマットで異なるマジックの技術を身に着けた人々を相手にするにあたって、頼りになるのは 自分の基礎力 だ。それでどのように適応するかにかかっている。
なぜなら単純なことに、短時間でたくさんのフォーマットをテストしマスターすることはできないからだ。これは人々に諦念を覚えさせるが、それと同時にチャンスが残されていると知ることになる。たとえ彼らが最強のドラフタ―やモダンプレイヤーじゃなくても、様々なフォーマットで戦うがゆえに、 ベストを尽くせば勝機は残されている 、ということでもあるのだ。
このような話が続くと会場がピリピリした競技的な緊張感に包まれていたように感じるかもしれないが、そんなことはなかった。19か国からマジックを愛する46人が集まったのだ。食べて、飲んで、話して。 皆が楽しい時間を過ごしていた。
しかも、ウィザーズはとてつもなく気前のいいことに、 いくつものドラフトセットを毎日配ってくれた のだ。だからチームドラフト、ロチェスター、普通の8人ドラフトでも、誰もが好きなリミテッドで楽しめた。
まとめると、スーパーサンデーシリーズは、僕にとってかけがえなく、ただただ素晴らしい体験だったのだ。
■ 忘れていた「敬意と感謝」
さきほど「敬意と感謝」という言葉を使ったと思う。
このスーパーサンデーシリーズは、シアトルにあるWotCの本社で開催された。だから、すべての参加者はゲームデザイナー、テスター、プロモーションマネージャー、リーダー、オーガナイザー、カバレージ関係者たちと自然に出会うことになる。しかも彼らは私たちを大歓迎で迎えてくれたのだ。
彼らは素晴らしい人々だった。日々マジックがより良いゲームになるようにと、ありとあらゆることに取り組んでいる。彼らと関わり、彼らの仕事を知れたことは、本当にハッとさせられる光栄な出来事だった。
ここで僕がハッとさせられたと感じたのは、 彼らの仕事が素晴らしくも、とてつもなく困難なものだからだ。 彼らはすべてのマジックプレイヤーを――競技かカジュアルか問わず、楽しませなければいけない。しかも、それだけでなく超すごいストーリー、デザイン、アートといったあらゆるものを用意するのだ。
しかし、残念なことにも我々は、下らないことで文句を言い過ぎている。また、彼らの激務のおかげで、プレイしても、考えていても、話していても果てしなく面白いマジックで遊べていることへの「敬意と感謝」をよく忘れてしまっている。
もちろん、彼らの措置に対して、我々が受けた不快感を伝えることは問題ないが、WotCが素晴らしいことをしたときに、それへの感謝を伝えることも我々は覚えておくべきだろう。 これはしょっちゅうあることだしな。これはまったく予想だにしなかった禁止制限告知の話題にも関わってくる。
■ 禁止制限は突然に
との2枚がモダンで禁止された。これでいくつかのデッキが使い物にならなくなるが、この禁止改定の狙いは 環境の寿命 を延ばすことにあるだろう。
一方のスタンダードでは、、が禁止された。
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彼女は現在のスタンダードでちょっと強すぎる存在だった。 たとえば「黒緑昂揚」では、相手のクリーチャーを倒すことに集中して、に守ってもらい、とにかく生き残りさえすれば最終的にはだけで勝ててしまうのだ。またあるときはを悪用して相手のターンを奪い取り、彼らのリソースを消費し尽くしてしまうのだ。
干渉する方法がとても少ない環境において、このカードは単純に面白いカードではなかった。
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このカードは環境最初期のトーナメントから、 トップ8で32枚も使われたり と、とても抑圧的な存在だった。こんな話を最後に聞いたのは、レガシーのトーナメントですべてのデッキに4枚のが入っていたときか、がトップ32のデッキに1つを除くすべてで4枚使われていて、残りの1つのデッキで4枚入っていなかった理由すら「4枚目が手に入らなかった」だったときだろうか。
これらのように支配的なカードがあると、多くのデッキの構築は、その特定のカードを中心に行なわれるようになる。 も同レベルのカードで、「デッキ」と「アンチデッキ」という環境にしてしまう。
僕はまだ研究されていない面白そうなデッキがある中で、たった1枚のカードを使うか対策するかを考える環境は、つまらないし、良くもない、と考えている。 これの禁止に踏み切ったのは、WotCが寄せられた否定的なフィードバックを受け入れた結果であり、僕は好ましい変更だと思っている。
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やが飛び交っていた頃のスタンダードから悪名高きカードだ。今回の禁止制定で改めてその評価が知れ渡ったのではないだろうか。ただこれが禁止されたことは議論を呼ぶものかもしれない。なぜなら現在のスタンダード環境のはあくまでもサブドミナント(準支配的)な立場にあったからだ。
僕の見解では、とを禁止するにあたって、Tier1にいる3・4番手のデッキからキーカードを奪う必要があったのではないかと思う。「白青フラッシュ」はを失うけれど、それでも彼らのテンポ・エンジンは依然として強く、その2色ならではのものだ。
これはあくまでも僕の意見であって、禁止された主なる理由ではない。きっとWotCが禁止後のスタンダードの姿を水晶玉越しに占ってみたら、またがとても抑圧的な存在になっていた、ということなのだろう。
を禁止することによって インスタントの駆け引きの重要度が下がり 、これからのスタンダード環境は 強力なプレインズウォーカー、クリーチャー、ソーサリーが使われるようになる。 すると、そこは「青白人間」のようなデッキにとって素晴らしい状況になるはずだ。
そうした青白の2色に赤を加えると、との無限コンボが手に入る。これはかつてスタンダードとモダンを席巻したに酷似したコンボで、近い将来、絶対に警戒しなければならなくなる。とはいえ、そこまで悪質なものにはならないだろう。
もしこれを見越した禁止制限ならば、 僕はスタンダードでは珍しくも3枚を禁止制限リストに加えたことを100%支持する。 今からテストプレイが楽しみだ。 プロツアー『霊気紛争』に向けて、なんかいいデッキを見つけたいな。
今週末にプレリリースがあって、来週は趣を変えて、「カードの違いが及ぼす影響と、異なるフォーマットでどちらのカードが使われるか」について話すつもりだ。
それでは、君が今週末を楽しめることを祈っている。たくさんの『霊気紛争』のレアたちが手に入るといいな!
Michael Bonde
Michael Bonde Pilgaard
マイケル・ボンデ。【グランプリ・ストラスブール2013】、【グランプリ・マドリード2015】ではTop4に入賞。さらに【グランプリ・サンパウロ2016】では齋藤 友晴、Thiago Rodriguesと共に5位入賞を果たすなど、輝かしい戦績を数多く持つ。
盤面をコントロールして、複雑なロングゲームを制して勝利を掴む実力者。
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