Translated by Takumi Yamasaki
【プロツアー『霊気紛争』】と【グランプリ・ピッツバーグ2017】が終わり、私たちは新しいスタンダードの結果を得たはずなのだが、このフォーマットの解読にはまだ遠い。そして、グランプリ・バンクーバー2017が来週開催される。そう、『霊気紛争』が新たに加わったモダンフォーマットのグランプリだ。その後にはスタンダードで行われるグランプリ・ユトレヒト2017とRPTQなど、色々なトーナメントが間近に迫っている。もちろんあなたの地域でも何らかしらのトーナメントがあるだろう。
これらに向けて各フォーマットの環境を見定め、それに合ったデッキを選択することが重要となるのだ。
プロツアー『霊気紛争』
それではまず、プロツアー『霊気紛争』の話をしよう。最初に私は優勝者であるブラジル人プレイヤー、ルーカス・エスペル・ベルサウドに祝福をしたい。彼は「マルドゥ機体」を使用しこのトーナメントを駆け抜け優勝した。どのチームも「マルドゥ機体」を持ちこんだため、内容に差異はなく彼のリストにも特別取り上げるようなカードもなかった。
それでも彼はスタンダードフォーマットを一度も落とすことなく勝ち続けたのである。
決勝戦の対戦相手マルシオ・カルヴァリョもこの試合までマッチを落としたことがなかったのだ。「マルドゥ機体」は最も高い2日目進出率をほこり、多くのプロがこのデッキを選択したのには納得できる。
では、どうしてこのようなことが起こったのか?
それは、プロツアー『霊気紛争』が開催される前には「黒緑デッキ」がとても人気だったが、その時点では完成度が低く、「サヒーリコンボ」に抑えられていた。そして、みんながこのプロツアー『霊気紛争』において「黒緑デッキ」と「ジェスカイサヒーリコンボ」に勝てるよう約25%がコントロールデッキを持ち込んだのである。
そのため「コントロールデッキ」は「マルドゥ機体」に食い尽くされたというわけだ。さらにこのデッキは「サヒーリコンボ」相手であれ「黒緑デッキ」相手であれ、対戦相手のドローが悪ければ速やかに押し切ってしまえるという大きなアドバンテージを持っていた。
そのほか、はこのフォーマットにおいて最も強いカードでそれは明確にアグロデッキが欲していたものだったのだ。
そしてこのトーナメントでは、「マルドゥ機体」、「黒緑デッキ」、「サヒーリコンボ」そして「コントロール」がそれぞれ約25%で割れていた。もちろん「黒緑デッキ」には異なったアーキタイプや「青赤」や「グリクシス」、「ジェスカイ」などのコントロールもあるが、おおまかなゲーム運びは同じである。これらをもとに私はグランプリ・ピッツバーグ2017で使用するデッキを考えなければならない。
さて、その話をする前に私がプロツアー『霊気紛争』で使用したデッキをシェアしよう。
Oliver Polak-Rottmann「グリクシスコントロール」
プロツアー『霊気紛争』
5
2
1
2
2
3
4
4
3
-土地(26)-
4
-クリーチャー(4)- |
2
4
4
2
3
3
2
2
1
4
3
-呪文(30)- |
3
3
2
2
1
1
1
1
1
-サイドボード(15)- |
まず私たちは「黒緑デッキ」と「ジェスカイサヒーリ」が多いと予想しこれらのマッチアップに備え準備したのである。結局本選ではファーストドラフトも上手くいかず、構築戦では「マルドゥ機体」と「コントロール」にそれぞれ2回ずつあたり、すぐさまこのトーナメントを去ることとなった。環境に「マルドゥ機体」が多くないと予想するのであれば、私は依然として「グリクシスコントロール」がこのフォーマットにおいて正しい選択であると思っている。それからコントロールミラーでは絶対にを使うべきだ。
グランプリ・ピッツバーグ2017
それでは次に、私が「マルドゥ機体」と「黒緑デッキ」が数多くいると予想した、グランプリ・ピッツバーグ2017について話をしよう。プロツアー『霊気紛争』とこの大会ではわずか一週間しかなく、移動するだけに時間を費やすこととなった。そのため、私は確実にこの2つを倒すことのできるデッキを見つけることが出来なかったので「黒緑デッキ」を使用することにしたのだ。したがって黒緑系デッキのスペシャリスト、ブラッド・ネルソンに最新のリストを教えてもらい共にこのトーナメントに参加したのである。
Oliver Polak-Rottmann「黒緑ビートダウン」
グランプリ・ピッツバーグ2017
7
5
4
4
4
-土地(24)-
4
4
4
4
3
2
2
4
-クリーチャー (27)- |
3
3
3
-呪文(9)- |
3
3
2
2
2
1
1
1
-サイドボード(15)- |
そしてプロツアー『霊気紛争』で使用したときとほぼ同じリストのこのデッキを彼は使用し、プロツアー『霊気紛争』と続くグランプリ・ピッツバーグ2017でも見事Top16に入賞したのである。このデッキは「マルドゥ機体」とのマッチアップに対して非常に良く調整されており、同型戦においても勝てるようなツールを内蔵している。しかし「黒緑デッキ」がグランプリで台頭しているということは、これから君はさらにステップアップしなければならない。
「黒緑デッキ」の中でもは強力で処理されにくく優秀だ。も75枚の中でとても重要な存在である。したがっては増量すべきだろう。
はサイドボードの中でもとても優秀で同型戦でもアドバンテージを得られる。やを相手の手札から抜き去ることができればゲームをマナ効率よく運ぶことができるだろう。
私はこのアーキタイプがベストだとは思っていないが、有効なデッキ選択と言えよう。
少し「サヒーリコンボデッキ」と「コントロールデッキ」に弱いためこれからのトーナメントにおいて最善な選択とまでもは言えないがね。
さて、大きな問題として、一体なんのデッキを使うべきなのだろうか?
君は確実に「黒緑デッキ」や「マルドゥ機体」を打ち負かしたいだろう。そして「サヒーリコンボ」に対しても抗いたい。私の直観では「コントロールデッキ」を再び使用し、除去やカウンターの数を調整すべきだろう。とは「黒緑デッキ」において攻め立てることが難しく、あなたは残りのカードをメタゲームの予想によって適応させることができる。
これが正解かは分からないが、をタッチしてみたり、または「グリクシスコントロール」を再度使用し4枚の、をメインデッキで使用するかなどだ。
ただ私は5マナの全体除去をカウンターされるくらいなら、やまたはなどで1対1交換をする方が好きである。
最後に私のアドバイスとして、もし「黒緑デッキ」を使うのであれば同型戦を意識することだ。または、君がを使うこと。そして、どうしても「マルドゥ機体」を使いたかったら「黒緑デッキ」を意識したサイドボードをすることだ。
モダン
さて、次はモダンの話をしよう。私はモダンのエキスパートではないが、これまでは大好きでしかもよく使い慣れたデッキを使うことで、幸運にもなんとか補えていたんだ。だが私の愛用していた「感染」はもはや素晴らしいデッキとは言えない。を失ったことは大きく、このデッキを完全に破壊するわけではない上手く調整の効いた禁止だといえる。それに加えてが環境に現れたことで「感染」クリーチャーたちはこのフォーマットから押し出されることとなった。
そして現在このフォーマットで理解していることは、いくつか新しいデッキが現れたことである。例えば、「純鋼ストーム」や『霊気紛争』で新たに加わったとを使用したアグロデッキや「コンボ」などだ。これら全てのデッキはグランプリ・バンクーバー2017で日の目を見ることだろう。
いま、このフォーマットは「ドレッジ」や「感染」、「アグロ」が隆盛していた時よりも0.5ターンほど遅くなっているのだ。したがって、「トロン」や「スケープシフト」のようなビッグマナ戦略が有効な選択だと思っている。
も環境を遅くさせる原因の一つだ。
私はオンラインでが使用された「黒緑Xデッキ」を数多くみたが、その中でも最新のアイデアデッキはや、を使った「スゥルタイアグロ」だろう。
今週末には、以前からあった「ランタンコントロール」や「親和」の他にもモダンに嗜みのあるプレイヤーが何か新しいデッキを持ってくることが楽しみだ。
モダンはいま完全に新しいフォーマットとなり、まだ誰もこの環境を理解していないようだ。少なくとも表向きにはそうだ。
ウィザーズは禁止改訂という素晴らしい調整を行い、モダンというフォーマットに新たなメタゲームを与えてくれた。私が考えているスパイシーなデッキでこのグランプリ・バンクーバー2017に臨むことをとても楽しみにしてる。
申し訳ないがここではデッキリストは公開しない。この新しいフォーマットのデッキリストはモダンのスペシャリストである友人からもらったのだ。彼は私を応援してくれている。
もしすべて上手くいったときには、次の記事はその新しいデッキについて書くだろう。
今週末に早速プレイする予定だ。
そして最後に声を上げたいのは国別選手権が帰ってきたということだ。どのように事が進むのか最後のアナウンスまで待たねばならないが、おそらくウィザーズは私たちが満足することを形にしてくれるだろう。往時の優勝者たちが言うように、国別選手権は一年で最も素晴らしい大会だったことは間違いないので、きっと君の地域のマジックコミュニティ促進にものすごく貢献することだろう。
Oliver
Oliver Polak-Rottmann
オリヴィエ・ポラック=ロットマン。オーストリア出身。【グランプリ・ユトレヒト2014】では「青単信心」で優勝を果たし、4度のグランプリトップ8入賞を誇るヨーロッパの強豪。
スタンダードに関する造詣が深く、毎シーズンのメタゲームを読み解き、世界を旅して活躍を続ける。
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