(前編は↓こちらをご覧ください)
- 2017/02/16
- なかしゅー世界一周 プロツアー『霊気紛争』準備編
- 中村 修平
ここからは楽しい楽しいプロツアー。
……と行きたかったのですが、今回のプロツアーはデッキ調整の上でもそれはもう苦難の連続でした。
少しだけ時間を戻して、合宿初日あたりから進めていきます。
グランプリ前の火曜日~金曜日
プラハ到着初日は即ベットとお友達となっていた私が見た合宿2日目の光景は……
大時代。
それも3色のバージョンではなく4色フェリダー系。どれだけニッチやねんと思いましたが、確かに前回のホノルルでも青緑赤「現出」を延々と回していたマニア集団が我が調整グループです。
青緑赤 (おまけに白) ベース、クリーチャー主体、なんかカチャカチャするとなればもちろん首ったけ。初期リストから始まって徐々に進化なのか深化なのか、あるいはただの劣化なのか解らない改造の数々を世に送り出していました。
記憶の限りでジェイコブ・ウィルソン、ヘインちゃんあたりが気に入った発言をした作品を紹介すると……
◆ エントリーナンバー1番
「4色フェリダー、ソースに深きタコを添えて」
初期の4色フェリダーデッキはほとんどとのハイブリットだったと記憶しているのですが、そこで問題になったのは「素ではが出せない」という点。そのくせウラモグがなければの大当たりが少なくなってそもそも存在意義が問われる……といったジレンマに一挙に解決を図った意欲作。
生け贄要員なら事欠かないこのデッキならを出すのにも最適。相手の妨害を土地を強制的に倒すことにより無効化と、方向性的には合っている。おまけに相手のアップキープにを起動するという玄人っぽいギミックまで搭載。ただ問題はスロットが圧迫されすぎて、相手への介入手段がメインは2枚しか採れないこと。
さらっと流しましたが重要なのでより簡潔に表現しましょう。
結論: 速さがないのに実質マグロ
ネクスト
◆ エントリーナンバー2番
「4色フェリダー、サヒーリとタミヨウのPWミルフィーユ仕立て」
ほのぼのファミリーに突如現れた、我々の秘密デッキスレッドに無限コンボアイデアを延々と上げてくるたぶんマッドなジョエル・ラーションが送り出した怪作。
新要素が既存のスロットを圧迫するっていうなら、それが複数の役割を兼ねれば問題なかろうというコンセプトの元に、相手の減速、ドローソース、もしかすれば決め手ともなりうるを投入した逸品。「-2」能力からで再利用へと繋げるパターンで相手主力戦力を凍らせる。コントロール相手には「+1」連打のモードにより圧倒的なアドバンテージを創出。つまり理論上最強。
問題は色々できるように見えてもやっぱりマグロなこと。サヒーリフェリダーされたらどうしようもありません。
結論: 色々やっても実質マグロ
ネクスト
◆ エントリーナンバー3番
「4色フェリダー、驚異的でタコにダブルPWなクアトロ・フォルマージュ」
何かがスパークしてしまって生まれたハイブリット生命体。もはや何がなんだか、ちなみに相手のアップキープにを起動してさんが悲しくこんにちはして撃沈を目撃する事例多数。そりゃ、タコさんに比べてプレインズウォーカーは2倍入ってるからね!
結論: つまりマグロどころか形容し難いなにか
もうそろそろいいかな?
◆ エントリーナンバー4番
「4色フェリダー、ええい、殴ればええんやろ殴れば。」
と軽快に殴ってるところにという、ブン廻ったところで……となるラインナップに何を語れば良いのやら。ちなみに仮想敵の黒緑はからにより、2マナと3マナでそれぞれ4/4以上の生物が出てきます。
「ええい、殴ればええんやろ殴れば。」
5
4
4
4
4
2
1
-土地 (24)-
4
4
4
4
-クリーチャー (16)- |
4
4
4
4
4
-呪文 (20)- |
終了。ここでグランプリ・プラハのためにスタンダード練習の一時休止が入りますが、見てのとおりの大迷走。進捗、駄目です。
そろそろ余裕がなくなってきた月曜日
とりあえずこの時点での私の感想としては、「贅沢は言わないのでとりあえずメタゲームで中心となるであろう黒緑ビートダウンとジェスカイ・サヒーリに勝てればなんでもいい」でしょうか。
ではその主役たる黒緑かジェスカイ・サヒーリはというと、可能な限り使いたくないですね。誰もが意識するであろうメタの中心のデッキは持って行きたくないという心理がありますし、黒緑系デッキに関してはそもそも既存のリストに全く魅力を感じませんでした。
△ 黒緑の欠点その1
完成度はもとよりデッキの速度帯が狭すぎるのです。
というパワーカードがあるがゆえに逆説的になりますが、デッキの方向性がなくなってしまっていて、決して最速ではないけれども2マナからスタートする中サイズクリーチャー、縦軸のデッキ。
もう一方のサヒーリコンボが小さなアドバンテージを重ねるプレインズウォーカーというシステムを否定する方向に環境を規定しているのは事実ですが、そもそもがある以上、黒緑は自分から以外のプレインズウォーカーを否定してしまっているのです。
△ 黒緑の欠点その2
さらにこの拒否感を突き詰めるともう1つ、というカードの過大評価にも行き着きます。
色々できるのは認めますが、所詮は2マナ1/1か4マナ2/2換算です。はたしてこんなにもマナ効率が悪いクリーチャーが使われるのが許されるほどスタンダードは低速化するものなのかどうか、むしろ私にとってははがあって辛うじてスタンダードレベル程度のカードであり、そんなとても狭くて拙い2枚コンボがデッキに内包されているビートダウンというのは、リスク以外の何物でもないように感じられました。
△ 黒緑の欠点その3
その上でメタゲーム上の位置も最悪。を殺せる除去が8枚、例えば黒だととを積んだデッキなんてそこら中に溢れかえっており、しかもよりにもよって黒緑自身がそうなってしまっています。
もちろん黒緑がある程度強いからこそそうなってしまうのですが、環境のデッキたちが除去を大量に積むことで利益を得るのが純正コントロール。ということで現状では一番まともなコントロールデッキであるジェスカイ、さらに進めてコントロール対決に微有利がつくを入れられるジェスカイ・サヒーリが今のところの勝者だろう……
そんな予測を立てていたらそのまま直前週のスターシティーオープンで現実になってしまい、「使いたいデッキがない」というのはより強固なものになってしまいました。
とに関してもと同じく、使いたくないカードだと感じました。があれば違ったかもしれませんが、この組み合わせは決してとではないのです。
黒緑はメタゲームを跳ね返せるほど強いとは思えず、ジェスカイ・サヒーリはメタゲーム上、現在は優位にいるだけ、両者ともただ立ち位置により勝ち負けをしているという印象なのです。
ともあれ、それで私としてはです。使いたいデッキの最低条件として、
・単体で弱いカードは入れたくない
・ビートダウンであれば除去を多く積みたくない
をクリアしておきたくあります。
とは言ってもビートダウン系のデッキであれば黒緑との対峙を想定する以上、除去8枚という先程のルールが自分も相手も縛ってくるのは致し方なく。
そこを回避しようとするのであれば、パウロがちょっと手を出していた青赤ゾンビのような別軸で枚数損を回避するのがベターだろうか、しかしパウロも再度チャレンジするとは言っているものの一度は投げ出したところからみると怪しい。あるいはがより有効に使えるようだし、手数も増えているのでもしかすれば黒緑エネルギーを研究するべきかも……?
そんな中、ヘインが作成していたグリクシスはかなり私の条件を満たせるものではないかと思えるものではありました。
アレクサンダー・ヘイン「グリクシス」
4
2
2
4
4
4
4
2
-土地 (26)-
4
-クリーチャー (4)- |
3
2
4
3
2
4
3
2
4
3
-呪文 (30)- |
4
3
3
2
2
1
-サイドボード (15)- |
黒緑系に対しては除去の多さで対応し、ジェスカイ・サヒーリについては自分がノンクリーチャーデッキとして振る舞う。理論上は悪くなさそうです。
ちなみにそのころ、ジョエル・ラーションが「閃いた」と言って作成してたのはこんなデッキ。
ジョエル・ラーション「」
3
2
4
4
3
4
3
1
-土地 (24)-
1
4
-クリーチャー (5)- |
4
3
2
4
4
2
4
4
2
2
-呪文 (31)- |
3
3
3
2
2
1
1
-サイドボード (15)- |
一応はさっきの条件を満たしている……のか?まあ彼には好きにやってもらいましょう。
ここで時間がないということで、コントロールグループ、ゾンビグループ、コンボグループの3チームに分かれ、それぞれが比較調整、性能評価、サイドボード試験をするということになり、私はイヴァンやヘイン、ペトルと同じくコントロールグループ担当になったのが月曜日。デッキ提出日まであと3日……。
で、火曜日
残念ながらグリクシスは廃案に。
理由はサイドボードの柔軟性を欠いていたこと。メインボードでは前述の優位性がそれなりに機能するのですが、サイドボード後についてはジェスカイ・コントロールとの優劣をあまり付けることができず。むしろ問題はのような墓地から戻ってくる系統。この時の仮想敵は主に各種ゾンビデッキではありましたが、これらの処理がに頼り切っていて読まれやすく、簡単に対処されるところから、総合してジェスカイ・サヒーリの方が良いということになりました。
イヴァンはこれをもってジェスカイ・サヒーリを使うと言い出しましたし、同部屋のペトル君も同上。私も渋々同意、かなり消極的ながらとりあえずは現時点での使用候補にせざるを……うーん……
ちなみにヘインちゃんは……気がつけば巨像に興味を示している!?教は疑わしいながら何故か信者を増やしています。ちなみにもしかしたら食わず嫌いで実は凄いのかも、ものは試しと私もちょっとだけ回してみましたが、序盤があまりに無抵抗ですし、サイドボード後に至ってはもはや何デッキがわからない様態になってます。少なくとも私としては選択肢に入れるべきデッキではないという結論。ついでにジョエルはマッド。これも結論。
それでも前述のようにジェスカイ・サヒーリに良い印象がない私としては、もう1度足掻くことにしてみます。まずは黒赤ゾンビ……は、ジェスカイ・サヒーリの前に撃沈。除去でピンポイントに起点を潰され、は。おまけにうっかりコンボが決められやすいと散々。
気がつけばもう夕方、残り時間もわずかだしこれが最後かな、と最後の最後に用意したのが、藤沢のPPTQで優勝していたものを私がスパーリング用としてコピーしていたマルドゥ「機体」でした。
マルドゥ「機体」
正直これまでのマルドゥ「機体」への印象はとても芳しくないものでした。理由は簡単で、ビートダウンにしてはあまりにマナベースに負担をかけすぎているのです。1~3ターン目までほぼ特定の色マナを要求するデッキなのに、使い捨て色マナのを4枚入れないと成立しないデッキ。それが私の認識するマルドゥ「機体」であり、前環境でも存在していたデッキだけにかつて対戦したことのあるチームメンバー全員が考える、マルドゥ「機体」の致命的な欠点でした。
そこに相変わらずを4枚搭載したリストを見せてもあまり良い反応を得られず、スパーリング用デッキの域から昇格できなかったのも仕方がないところ。しかし回している側としては、ハマったときの展開力の凄まじさにこれはと思うものがありました。
あとから少し考えれば当たり前ですね。黒緑 vs サヒーリコンボの構図で環境がより低速化しているのに対して、このデッキだけはのおかげで、が健在であったころよりもさらに一回りサイズが大きくなっているのです。環境の標準より2段階上の速さというのはほとんど暴力。モダンのデッキを見てもらえれば、いかに親和が他のビートダウンを駆逐しているかが解るでしょう。
ただし安定感のなさも暴力的です。があったころですら色事故が多発していたのに、そのバックアップがなくなっているのですからこちらも当たり前と言えば当たり前。
とはいえ、信頼がおけるかはやや怪しいものの、それでもよりは格段に違うの参入でなんとか折り合いをつけることができれば、もしかすればギリギリでモノになるかもしれない。というか現状私には選択肢がないのです。やるだけやってみて駄目ならジェスカイ・サヒーリ。盛大な爆死とブン回りを繰り返しながらそう考えたのは夕食後。
私が回しているのに興味を持ってくれたサム・パーディやパウロたちと相談し、デッキの気に食わないところ、主にマナベースとメインに入れる除去の枚数を調整したところでいつもの眠気が襲ってきたのでギブアップ、デッキを食堂に置いてベットへと向かったところで火曜日は終了してしまい、翌日は移動日。
この時点でのリストはたしかこんな感じでした。
「マルドゥ『機体』」
4
4
3
4
4
4
-土地 (23)-
4
4
4
4
3
2
-クリーチャー (21)- |
2
4
4
2
4
-呪文 (16)- |
できることならを0枚にしたいですが、そうするとデッキが回らなくなるのは目に見えていたのでまずは3枚に、も引くと暴れたくなったのでとりあえずに。色マナはあればあるほど助かるので3マナの乗り物はに。4枚は譲れません。はなんとも微妙な立ち位置。つよわい。
相変わらず教の辻説法会が続いているようですが、決めました。私はチームとは距離を置いて、マルドゥ『機体』を使うことにします。
いや、正確には7割マルドゥ、3割ジェスカイ・サヒーリ。デッキ提出日まであと2日……
水曜日、そして木曜日へ
午前4時起床、航空券の都合で私だけが早朝便なのでのそのそ起き出し、ペトル君に別れを告げて下の食堂へ。食堂しかWi-Fiが繋げないのでデッキの回収がてらタクシーの呼びつけを。カフェインが欲しかったのですが残念ながらいつもの通り食物は食べつくされた後、おばちゃんの朝ごはんももう食べることができないのかと思うとちょっと感慨深くなってしまいます。荷造りは昨夜の内にやっておいてあるのでそのまま空港、そしてドイツはフランクフルトまで。
フランクフルトで3時間ほど乗り継ぎ時間があったので、自分の思考を整理します。
まず黒緑とジェスカイ・サヒーリがメタゲームの中心。その中で黒緑の選択肢はなし。ジェスカイ・サヒーリはなんだかんだで安定感があるので本当にデッキがないときの保険として確保。
現状ではマルドゥ「機体」が使用デッキ。ただしプロツアーに持ち込むためには、
・マナベースの修正
はできる限り削りたい
・メインボード
土地を23枚として、20枚のクリーチャー、6枚の「機体」、4枚のと4枚の、計57枚までは納得できるが、残り1スロットはどうしても弱いカードを入れなければならなそう。具体的にはか
・サイドボード
全く手が付けられていない
この3点を解決できなければ、タイムアップでジェスカイ・サヒーリ。
……なんてことを考えていたらダブリン行きの便で野生のあんちゃん (高橋 優太) に遭遇したではないですか!
あんちゃんが「機体」を使っていることは日本の誰かしらのツイートで知っていたので、私自身はチームデッキを使わずマルドゥ「機体」を使うことにしそうという話をし、ここで聞ける範囲の「機体」のことを聞けたのは本当に助かりました。
ついでにTL上でマルドゥ「機体」について教えてくれた高尾 (翔太) くんにも感謝。
これで「機体」使う率が90%くらいに。目下の悩みはメインボードにある。3枚の弱いカードスロット中では最もマシに見えるという、立ち位置としては物凄く微妙なカード。大半のリストではにしている箇所ですが、前提として環境に黒緑デッキがあることを考えると、を殺せない軽量除去というのは軽量除去の要件を満たしていません。
ましてやあんちゃんからは同型にすらもサイドボードにあればと入れ替える枠だと聞いて、をに差し替えるようなサイドボードの無駄使い (通称Hanoiサイド) をとにかく嫌う私としては、ますますを使う気がなくなります。
とは言いつつもこの環境でがコントロール相手にはとにかく役にたたないのも事実。2枚手札に腐るとそれだけで負けに向けて致命的な一押し。一方現状で候補が見当たらないとはいえ、2マナまでのクリーチャーが16枚というのも1種類追加してもよい数字ではありますし、どうしたものか……とスタンダードにあるカードリストと格闘していたら、いつの間にか他の面々もホテルに到着してきたようです。
これからブランチに行くようですし、いったんシグリスト部屋に集合のようですから向かってみると……
「ようこそマルドゥ『機体』部屋へ」
????
昨日はせいぜい2人が興味を示していたくらいだったのに、今日は9人!? てか乗り継ぎ先で遅延してまだ到着していないオンドレイとペトルがいないからほぼ全員やん!?
詳しく話を聞いてみると、前日の夜にマルドゥ見て化学反応がチーム内で起こったとのこと。そういえばスパーリング用のデッキが必要ならここに置いとくよと食堂に置いて寝た記憶があります。あと、寝てる最中にオンドレイがサイドボードはどこにあるのー?って私を叩き起こしに来た記憶があるようなないような……
ともあれ、気がつけば結構な数がマルドゥ「機体」を回しだしたのはかなりの予想外。教・教主のジョエル・ラーションですら、デッキを回しながらマルドゥを組みだしています。
しかも緊急事態ゆえの特例なのか、普段では情報を漏らすわけにはいかないからと絶対NGのMOまで使って調整している始末。そんな中ベンスタが、
「今、ティアゴ・サポーリト (bolov) とリーグであたったのだけど、あいつもマルドゥ『機体』使ってる」
このとき、私の中である真理に到達しました。
(あ、これプロツアーで結構な数のプレイヤーがマルドゥ「機体」使ってきそうだわ)
ソースはうちのチーム。みんな困ったらマルドゥに駆け込んできそう。
と、まあそんなこんなで気がつけばチームのほぼ全員 (ペトル君以外) がマルドゥ「機体」になったのですが、内実はこんなものでした。
ここからチームの動きとしては、純正3色→4色に戻るなどの揺り戻しが発生したりで、チーム内でメインボードの合意ができたのが木曜日昼過ぎくらい。サイドボードに至ってはデッキ登録締め切りの木曜日23:59の2時間前からスタートして登録時間ギリギリで慌てて解散といった始末。本当にてんやわんや。
そんなうちの調整チームからトップ8が輩出されるとは、つくづくこのチームの面々のプレイングスキルの高さに脱帽です。まさか以外はあんなに適当なサイドボードであそこまで勝てるとは夢にも思いませんでした。その分日曜日に準決勝でのパウロのマッチアップ研究をしていたサムが頭を抱えていましたけど。
一方私の方はというと、ここに至るまでで想定したリストからマルドゥ「機体」のどの部分が気に入らないか、それをどう解消するかに焦点を絞っていたので、そもそも一からマルドゥのリストを作っていこうとした他の面々と意見が平行線になりやすく、かなり独自色を出したものになってしまってました。
中村 修平「マルドゥ『機体』」
プロツアー『霊気紛争』
4
4
2
4
4
4
1
-土地 (23)-
4
4
4
4
2
2
-クリーチャー (20)- |
2
4
4
3
4
-呪文 (17)- |
3
2
2
2
2
2
2
-サイドボード (15)- |
具体的には、主にとサイドボードまわりですね。私以外全員がを激推ししてくる中、メインボードの最後のスロットは結局黒緑と同型に強いにして、サイドボード後はより重いカードを出す兼ね合いで3枚目のを採用。どのみちデッキの弱い部分なのでそれならばマナフラッドする方がマシだから、というかなり消極的な判断ではありますが、妥協策としてはわりかし良い選択だったと思います。マナが多めなのでサイドボードの5マナ圏も抵抗なく入れることができます。
また、3枚目のを削除することは既定路線だったのですが、皆が、私がである以上、より強い土地であるは諦めざるをえず、へ。からにしたのはジェスカイ・サヒーリへの形ばかりの抵抗。とはいえ、そもそもかなり相性が良いので問題はないという認識ではあります。
サイドボードは主にコントロール、黒緑、同型をターゲットに絞っています。とは対コントロール、とは対黒緑、同型に対してはを抜き、機体をひたすら壊しつつにも強い5マナ圏で戦うというゲームプラン。
最後の最後でスティーブ・ルービンの「だけは絶対入れた方が良い」という忠告に従って入れたことも含め、今回は我を通した上でとても満足のいくサイドボードに仕上がりました。
個人的には、デッキの完成度とはサイドボードの完成度に比例するものだと思っています。そういう意味では波乱ずくめでデッキ製作に苦労したプロツアー前に比べ、こうしてプロツアー後にはデッキについて良かったと感じるのは、この部分での満足感が大きいのではないかと感じてます。
プロツアー結果
構築ラウンド結果は8勝2敗。勝ちがジェスカイ・サヒーリ×2、グリクシスコントロール、黒緑×3、マルドゥ「機体」×2。負けが同型にマナフラッド負け1回、井上 (徹) くんの青赤に1回。あれだけ頭を抱えた割にはかなり良い成績と言えるでしょう。問題はリミテッドです。
2勝4敗……3勝3敗までなら覚えはありますが、このシステムになってから2勝4敗は初めてかも。理由は解っています。
※画像は【Magic: the Gathering 英語公式ウェブサイト】より引用させていただきました。
この男 (マルシオ・カルバルホ) に良いようにやられてしまったこと。実際のゲームでというよりドラフト上で、ですね。毎回2つ右の席に座られた上で環境最強色の赤を封鎖され、返しの2パック目で苦虫を噛み締めながら赤いカードをひたすら献上するという役回りをさせられた上に、2戦目にきっちりと屠られるというのを2回で2敗。
ついでにドラフトラウンド最終戦3本目をなんていうスーパーコンボからになったのワンショットキルなんてものを決められて撃沈。もちろん精神衛生にとてつもない悪影響を与えられて、本当に散々でした。
そんなこんなの10勝6敗。絶不調だった一時期に比べて追加のプロポイントも貰ってますし、決して悪い結果というわけではないのですが、デッキ選択で盛大にやらかした上に風邪でくらくらしてた【前回】と同じ結果というのはなんだかなあ。といった気になってしまうのもまた事実。あ、賞金が獲れたのだけは良かったです。前回のホノルルは1位の賞金を増額するためにカットされた順位枠に入ってしまい、つまりは実質賞金をヤソに奪われてしまったのですから。
ま、こうやって終わってしまえばパウロにベネズエラ国旗と評されたアレすらも全てはラム・シャンクの前に許されるのでしょう。お疲れ様でした。
これで私の四半期マジックは終了、春までは休養予定です。ちょっと体調がよろしくないのが続いているので人間ドックにでも行ってこようかと考えていたりしているところですが、トップ8に入ってマジックやる気になった某チェコ人にアメリカのチームGPに誘われてたりでどうなることやら。
それではまた次回でお会いしましょう。
中村 修平
中村 修平
愛称は“なかしゅー”。
グランプリでの優勝回数は7回にも上り、Kai Budde、渡辺 雄也に並ぶ歴代最多タイの記録を持つ。プロツアーサンデーにも6回進出しており、津村 健志、大磯 正嗣と並んで日本人最多タイ。世界中のトーナメントを渡り歩き、「Play the game, See the World.」の体現者として2011年度マジック・プロツアー殿堂に選出された。
一見シニカルなキャラに見えるが、本人曰く「面倒見はいい方」とのことで、国内プロのメンターとして多くのプロプレイヤーを導く。
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