チームシールドガイド: 『霊気紛争』編

Michael Bonde

Translated by Atsushi Ito

やあ、今回も僕の記事へようこそ。

僕がシールドについて語る機会を得るのは稀なことなんだが、どういうわけかウィザーズは、リミテッドとチームリミテッドという2つのグランプリをこの時期に開催するスケジュールを立てていた。そんな折、アルゼンチンのルイス・サルバットとセバスチャン・ポッゾからチームに誘われ、ぜひともお願いしたかったくらいで断る理由はもちろんなかったので、アメリカ行きの航空券を予約することにしたんだ。

『霊気紛争』シールドとチームシールドとの違い

まず始めに言っておきたいのは、僕はこの『霊気紛争』『カラデシュ』環境のドラフトが本当に大好きだってことだ。とても多様なデッキを組めるので何度やっても飽きないというだけでなく、好奇心溢れるデッキビルダーやプロではないプレイヤーたちにも優しいフォーマットと言える。なぜなら、単体で強いパワーカードで固めるよりもシナジーで構築されたデッキの方が勝ちやすい環境だからだ。

したがって『霊気紛争』『カラデシュ』ドラフトは楽しいデッキが組めるし、腕の差が出やすい環境と言える……だが、シールドとなるとどうだろう?

【以前の記事】でも述べたことだが、僕はシールドというフォーマットを愛してやまないので、大抵はたくさんプレイしている。だが『カラデシュ』以降は、とりわけ『霊気紛争』が出て以降は、全然やらなくなってしまった。

その理由は簡単で、この環境での正しいシールドのやり方がわからなかったからだ。強すぎるカードがいくつも存在するし、「紛争」はうまくいくときといかないときの振れ幅がデカすぎる。さらに良いデッキとなるかてんでダメなデッキになるかは、アンコモンやマナサポートを引けたかどうかに極端に依存するのだ。

霊気圏の収集艇起伏鱗の大牙獣改革派の地図

雲間から差す希望の光を求めて、何度も挑戦をした……だが勝率はどこまでいっても60%にすら届かない有り様だった。ドラフトの勝率なら75%にも届こうというのにだ!

また、いつもよりマナフラッドで決まるゲームが多いようにも見受けられた。というのも、多くのデッキはマナフラッドに対して、良質でかつボードに干渉できるようなマナの使い道を持ち合わせていないからだ。しかもそのこともあってプレイヤーは土地の枚数を切り詰めざるをえず、それが今度はマナ不足という別のうまくいかないパターンを生み出す原因となる。

ただ、こうしたいくつもの欠陥があるフォーマットであるとしても、面白い展開を見せたり力量差が出たりするようなゲームもたまにはあるので、そのためにMOのシールド大会にジョインし続けようという決意は変わらず僕を燃え立たせているがね。

それに対して!

普通のシールドでは欠けているものがあったとしても、チームシールドになれば確実に埋め合わせられるのだ。その証拠に、チームシールドでデッキを組んでいる最中の人々のなんて楽しそうなことか!

もしチームシールドに向けた準備ややり方について知りたいなら、【以前書いた記事】を参考にしてみて欲しい。

デッキ構築についての話に戻るとしよう。

チームシールドでは普段より多いブースターが配られるので、大抵のプールなら、ドラフトではほとんど有効に使えないような、強力かつ駆け引きが生まれる楽しいメカニズムを運用することができる。『カラデシュ』のカードやそれらが持つユニークな能力を、『霊気紛争』の強力なカードと掛け合わせることで、3つとも実に上質なデッキに仕上げることができるのだ。そこでは、「紛争」を限界まで活用することをコンセプトにしたバカみたいに強い「紛争」デッキや、ありとあらゆる種類のコントロールデッキを目にすることができるだろう。

霊気装置の設計図領事府の砲塔

だが『霊気紛争』にはさらに、デッキさえ許すなら非常によく働くような隠れた財宝が眠っていたりもする。たとえば《霊気装置の設計図》《領事府の砲塔》は、それ単体ではほとんどプレイするに値しないカードだが、12パックも開けるとなればたくさんの新鮮なデッキやアイデアの可能性を切り拓いてくれる。

だから僕はいくつかプールを用意して練習することをお勧めする……その方が楽しいというのもあるが、デッキ構築が信じられないくらい難解だからだ。

『霊気紛争』チームシールドで注目すべきメカニズム

ではいよいよ僕らのチームも探し出そうとしている、このチームシールド環境の正しいやり方についての話に移ろう。

最初の方で述べたように、『カラデシュ』『霊気紛争』の両方のセットの中核となるメカニズムは真っ先に注目すべき対象だ。なので、「紛争」やエネルギー・カウンターを濫用したり、「即席」を使ったコンボを中心としたデッキテーマが眠っていないかどうか、カードプールを読み解く必要がある。

僕が「紛争」に対してここまで敏感なのは、ほんのちょっとの下準備だけで、平均的な強さのコモン・アンコモンを神話レア級にゲームを変えるカードへと変貌させるからだ。大事なことは、すべてのカードがデッキ全体の方向性に沿うようになるか、もしくは相手に解答を強いるような脅威で埋まるようにするために、きちんと毎ターン「紛争」を誘発させて「紛争」持ちのクリーチャーを立て続けに並べられるようなデッキの中核を成す部分を見つけることだ。

一方、「即席」については全く事情が異なる。「即席」持ちのカードはコストの割にハイスペックなので、他のカードではなしえないほどのテンポを生み出すことができるのだ。シールドということを考えると、長期戦になったときに効果を発揮しない「置き物」を入れすぎないようにすることが重要だ。ドラフトとは逆に、青赤は最も高いポテンシャルを持った色の組み合わせだ。他の色よりカードパワーは低いとはいえ、よりシナジーに長けた青いカードを赤の「即席」持ちや除去と組み合わせれば、どんな種類の斧にも勝るようなよく研ぎ澄まされた刃となることだろう。

また、両方のセットからアーティファクトをかき集めることで、また別の作りのデッキを生み出すこともできるということをここで指摘しておこう。

改革派の地図霊気との調和枷はずれな成長予言のプリズム

そのようなことを可能にするカードとしては、《改革派の地図》《予言のプリズム》《霊気との調和》《枷はずれな成長》が挙げられる。これらのカードはコモンスロットから出現し、「即席」、エネルギー・カウンター、「紛争」といったキーワード能力をサポートするだけでなく、緑多色のグッドスタッフを構築する機会をも与えてくれる。エネルギー関係のカードやシナジーカードは大量に存在するが、正しい色と正しいカードを選択するのは容易なことではない。そこで緑が新たな道を開拓してくれるというわけだ。

《つむじ風の巨匠》《雲先案内人》といったカードはもちろん強力だし、長期戦を見据えるならぜひともデッキに入れておきたいことだろう。デッキ内のアーティファクトの量と色拘束には依存するが、デッキ全体の方向性に合致する限り、どんなカードでも入れることが可能となる。ただ「デッキ全体の方向性」ということをさっきから言っているが、デッキが一つの方向性のもとにまとまっているかどうかは重要だ……もしチグハグなカードを入れると、バランス良く組まれたデッキに容易く敗れてしまう。

霊気急襲者抽出機構

この環境のアーティファクトについては様々なものがある。《発火器具》のように割り当てられた色で使うべきカードがあるほか、穴埋め用のカードと、最後にコンボパーツがある。自分のカードプールを見渡し、《霊気急襲者》《抽出機構》のような、素晴らしいシナジーを形成する組み合わせを見逃さないようにしよう。

こういったわずかだが確かな差を積み重ねて、ただ勝ち方が定まっているというだけでなく、対戦相手がこちらのプランを妨害するのも難しくなるような、いくつもの勝ち方を持った40枚デッキ3つがようやく完成する。対戦相手が貴重な除去を、《抽出機構》がゲーム全体を通じて有効活用されてしまうという理由で《霊気急襲者》に打たざるをえなくなる、というようなことが一番の狙いだ。常に対戦相手にゲームプランに沿う形でプレッシャーをかけ、こちらは余計なリソースを吐かないようにすることだ。

今日はこんなところだ。楽しんでくれたなら幸いだし、それ以上に君たちがフィーチャーマッチに呼ばれたり、ツイートの写真に出演させてもらえたり、願わくば優勝トロフィーを獲得できることを祈っているよ。

また次回!

Michael Bonde

この記事内で掲載されたカード

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