モダンデッキガイド: 「青白コントロール」

Jeremy Dezani

Translated by Atsushi Ito

こんにちは、皆さん。

私がモダンをやっているとくれば、「ジャンドかな?」と思うかもしれません。前回のグランプリではジャンドで成功を収めましたからね。ですが、現状のメタゲームでは手に取る気にはなれません。このタイミングで大会に出るとしたら、青白コントロールを選びます(※編注: 原文の掲載日は4月25日)。最近グランプリ・サンアントニオのチームモダンで優勝したデッキですね。私はこのデッキの動きが実に気に入りました。

ここのところ私がプレイしていたリストをお見せしましょう。


Gregory Orange「青白コントロール」
グランプリ・サンアントニオ2017(優勝)

4 《島》
2 《平地》
2 《神聖なる泉》
4 《溢れかえる岸辺》
4 《金属海の沿岸》
3 《天界の列柱》
4 《幽霊街》

-土地 (23)-

3 《瞬唱の魔道士》

-クリーチャー (3)-
4 《祖先の幻視》
4 《血清の幻視》
4 《流刑への道》
3 《糾弾》
2 《呪文嵌め》
2 《マナ漏出》
1 《神聖な協力》
3 《謎めいた命令》
2 《至高の評決》
4 《広がりゆく海》
2 《拘留の宝球》
1 《世界のるつぼ》
1 《思考を築く者、ジェイス》
1 《太陽の勇者、エルズペス》

-呪文 (34)-
3 《コーの火歩き》
2 《ヴェンディリオン三人衆》
2 《否認》
2 《天界の粛清》
2 《斑岩の節》
2 《石のような静寂》
1 《払拭》
1 《安らかなる眠り》

-サイドボード (15)-
hareruya

私の現状のサイドボードはこちらです。

この青白コントロールというデッキは、クリーチャーを《瞬唱の魔道士》《天界の列柱》しか採用していないコントロールデッキなので、対戦相手の除去を完全にもしくはほとんど無駄にさせることができます。

このデッキはただ回すだけならそんなに難しくはないのですが、正しい判断をゲーム中にするためには、メタゲームに関する知識が不可欠です。というのも、どのようにスペルを交換するかこそがこのデッキのうまい操り方を知るために必要なことであり、覚えておくべき重要なことがいくつもあるからです。

プレイする前に情報を得ることこそが成功の秘訣

これは上達のための最も重要なルールの一つで、特にこのデッキを扱うにあたってはなおさら肝要と言えます。このルールは基本的にこのデッキに入っているすべてのドロースペルに当てはまります……主に《血清の幻視》《広がりゆく海》《瞬唱の魔道士》からの《血清の幻視》といったスペルだけでなく、《謎めいた命令》《思考を築く者、ジェイス》についてもです。

これらのドロースペルをプレイしようと思うときには、なるべく他のアクションよりも優先させた方が良いでしょう。なぜなら、ドローしたカードはプランを変えるほどのインパクトを持っているかもしれず、その場合代わりに別のプレイをする決断を下せるからです。

たとえば、3ターン目に《広がりゆく海》《神聖なる泉》が手札にあったとしましょう。このとき、《神聖なる泉》を置く前に《広がりゆく海》をプレイするのが重要です。なぜなら、《血清の幻視》《祖先の幻視》を引き込むかもしれないからです。その場合は、《神聖なる泉》をアンタップインすることになります。

また、ドローで《天界の列柱》を引き込む可能性もあり、その場合は《神聖なる泉》の代わりにそちらを置くことになるでしょう。

《血清の幻視》の占術について

血清の幻視

カードを適切な順番でプレイすることは、《血清の幻視》の占術の効果にも深く関わってきます。

《溢れかえる岸辺》を起動しなければならないほど重いスペルを手札に持っていたり引き込んだりすることも考えられます。なので、《血清の幻視》を打つ前に《溢れかえる岸辺》を起動しておくようにしましょう。

また、もし同一ターンに《血清の幻視》《広がりゆく海》をプレイできる場合には、大抵の場合、2つの理由により《血清の幻視》から先にプレイした方が良いです。

1点目は、先ほど既に述べたとおり、《血清の幻視》で引き込んだスペルがプランを変えうるものであるかもしれないからです。そして2点目は、この順番なら占術でトップに乗せたカードを《広がりゆく海》ですぐに引き込むことができるからです。

《幽霊街》《広がりゆく海》について

幽霊街広がりゆく海

青白の勝ちパターンの一つとして、マナ基盤を攻めるカードで対戦相手を行動不能に追い込むというのがあります。そのため、対戦相手のマナベースがどんな風になっているかを知る必要があります。大抵の場合は、最も供給源が少ないマナを供給している土地を狙うことでしょう。ですが2色が同数の供給源を持っているときは、《幽霊街》《広がりゆく海》のベストな対象を決めるべく、どの色がメインでどの色がサブカラーなのかを知らなければなりません。

もし対戦相手が青いデッキを使っているなら、《広がりゆく海》は相手の土地を《島》にするものですから、青マナの供給源以外の土地を狙った方が良いでしょう。

対戦相手が何枚の基本地形をデッキに入れているのか知ることも、《幽霊街》《露天鉱床》のように使用するためには重要です。《流刑への道》もあるので、そのようなシチュエーションはすぐに訪れます。《世界のるつぼ》は青白においては完全に決定的なロック手段となるでしょう。

たとえ「ストーム」のようなデッキ相手でも、このロックに持ち込むことができます。

以下に最近のメタゲームにおける簡単なまとめを用意したので、これでマナベースについての詳細を得ることができるでしょう。ただしデッキリストは日々進化していくものなので、最新の情報の収集を怠らないようにしましょう。

マッチアップごとの具体的なマナベースの攻め方

対 グリクシスシャドウ

基本地形の枚数: 1 《沼》 & 1 《島》
マナベースを攻める際の優先順位: 白 > 赤 > 黒 > 青 (サイド後の《未練ある魂》《イーオスのレインジャー》のため、白が入っている形もあるのです).

対 アブザンシャドウ

基本地形の枚数: 1 《沼》 & 1 《森》
マナベースを攻める際の優先順位: 白 > 黒 > 緑 (白マナはサイド後の《未練ある魂》《イーオスのレインジャー》のためだけです)

対 発掘

基本地形の枚数: 2 《山》 & たまに 1 《森》
マナベースを攻める際の優先順位: 緑 > 赤 > 黒 > 青

対 アブザン

基本地形の枚数: 1 《沼》 & 1 《平地》 & 《森》
マナベースを攻める際の優先順位: 常にそうというわけではありませんが、《ヴェールのリリアナ》は最も手を焼くカードであり、ダブルシンボルということで、
黒 > 白 > 緑 
また、ミシュラランドを対象にすることも有効です。

対 ジャンド

基本地形の枚数: 2 《沼》 & 1 《森》 & たまに 1 《山》
マナベースを攻める際の優先順位: 同上。
黒 > 赤 > 緑 
また、ミシュラランドを対象にすることも有効です。

対 バーン

基本地形の枚数: 2-4 《山》
マナベースを攻める際の優先順位: 白 > 緑 > 赤

対 親和

基本地形の枚数: 通常は 1 《島》 もしくは 1 《山》
マナベースを攻める際の優先順位: 《ちらつき蛾の生息地》《墨蛾の生息地》

対 アドグレイス

基本地形の枚数: 1 《島》 & たまに 1 《平地》
マナベースを攻める際の優先順位: 黒 > 白 > 青
《宝石鉱山》は、たとえそれがコンボに必要な土地だと思ったとしても、通常は対象にはしません。

対 ストーム

基本地形の枚数: 1 《山》 & 1 《島》
マナベースを攻める際の優先順位: 赤 > 青

対 エルドラージトロン

基本地形の枚数: 2 《荒地》
マナベースを攻める際の優先順位: 《エルドラージの寺院》および相手がサーチしてきて2枚目がないと思われるウルザ地形。

対 タイタンシフト

基本地形の枚数: 3 《森》 & 7 《山》
マナベースを攻める際の優先順位: 《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》 > 緑 > 赤

私がプレイしているリストは、メインはチームモダンのグランプリで勝ったものと同じですが、サイドには若干の変更を施してあります。チーム戦のグランプリは、モダンの通常のメタゲームとは異なると考えたからです。またオンラインではストームが少し多くなり、バーンが非常に多くなると考えています。《神聖の力線》を3枚と《法の定め》1枚を追加したのはこのためです。プレイヤーたちはグランプリのリストしか見ていないでしょうから、これらのエンチャントをサイドインされるとは予想していないことでしょう。

マッチアップ解説

《死の影》

死の影

《タルモゴイフ》《死の影》はそのサイズの巨大さゆえにやっかいなクリーチャーです。ただ青白コントロールには、彼らがどれだけ巨大でも関係がない除去しか入っていません。《流刑への道》《糾弾》《神聖な協力》《至高の評決》《拘留の宝球》はどれも彼らに対して非常に効果的に働きます。

《拘留の宝球》《ヴェールのリリアナ》《最後の望み、リリアナ》も対処することができます。リリアナや《死の影》に対処したいなら、《天界の粛清》を追加することもできます。《神聖な協力》は対戦相手に4点ゲインさせることもできるので、1体もしくは複数体の《死の影》を除去するためにも使用できます。

《死の影》デッキの白マナは強力なサイドカードである《イーオスのレインジャー》《未練ある魂》のためだけのものですが、それでも《広がりゆく海》《幽霊街》で対象にとる意味はあります。また、《安らかなる眠り》《タルモゴイフ》《未練ある魂》、「昂揚」のカードなどに対して非常に効果的です。

対 発掘

ゴルガリの凶漢

こちらの除去はこのマッチにおいても大活躍します。《流刑への道》《糾弾》《拘留の宝球》はいずれも《恐血鬼》《秘蔵の縫合体》を復活を許さずに対処することができます。

カウンター呪文も、《呪文嵌め》は先手後手にかかわらず、《マナ漏出》は先手限定ですが、《安堵の再会》に対抗できます。また《マナ漏出》《謎めいた命令》《燃焼》による突然死を防いでくれます。

また、緑マナの供給源を潰すことで、《壌土からの生命》をプレイできなくさせることができます。

対 バーン

稲妻

そんなに高いライフ水準を保っての勝利は期待できません。できるとすれば、1枚だけの《神聖な協力》を引いて《瞬唱の魔道士》で再利用できたときくらいでしょう。

《糾弾》を自分のクリーチャーに打ってライフを回復することもできますが、《瞬唱の魔道士》はタフネスが1しかなく、《天界の列柱》だと無防備に1ターンパスすることになる上に、そんなに簡単にはそのシチュエーションまでたどり着けません。

なので、2つのステップに分けてプランを立てましょう。まず第一に、可能な限りスペルを交換しましょう。クリーチャーには除去を当て、火力は何であれカウンターします。最も多くのライフが残るように、適切なタイミングでプレイしましょう。いくつかのバーンスペルは通るでしょうが、それによって実質カードアドバンテージをとった状態になります。対戦相手はガス欠に陥るはずです。

第二に、《広がりゆく海》《幽霊街》白マナと緑マナの供給源を潰し《ボロスの魔除け》《稲妻のらせん》《アタルカの命令》を打てなくさせてから、赤マナの供給源を狙いましょう。

サイド後は《払拭》《天界の粛清》が1つ目のステップをやり易くしてくれます。それだけでなく、《コーの火歩き》《神聖の力線》という最強の切り札候補もあります。バーン側はおそらく《神聖の力線》が入ってくるとは思わないでしょうから、向こうはエンチャント対策はサイドインせず、《コーの火歩き》対策にとどまるでしょう。

対 アブザン/ジャンド

ヴェールのリリアナ

これらの2つのデッキはマナベースが非常に弱く、青白側にとってはそこが付け入る隙になります。主に問題となるのは《ヴェールのリリアナ》でしょうが、《突然の衰微》されるとはいえ《拘留の宝球》がありますし、《広がりゆく海》《幽霊街》で黒マナを潰した後に《謎めいた命令》でバウンスすることで対処が可能です。

《祖先の幻視》《思考囲い》《コジレックの審問》対策として最高のカードですし、《血清の幻視》は手札破壊を受けた後に適切なカードを探すのに役立ちます。

サイドボード後は《強迫》《集団的蛮行》といった手札破壊を追加してきますので、《神聖の力線》で手札を守りましょう。《神聖の力線》《ヴェールのリリアナ》の「-6」能力も防ぐことができます。《安らかなる眠り》《タルモゴイフ》《漁る軟泥》を実質的にカウンターすることになるのでジャンド相手にも悪くありませんが、「昂揚」や《未練ある魂》も採用するアブザン相手の方がもっと効果的に働きます。

対 親和

電結の荒廃者

このマッチアップでは、マナベースを攻めるカードは《ちらつき蛾の生息地》《墨蛾の生息地》に対して使用します。クリーチャー除去は山ほどありますし、《刻まれた勇者》《至高の評決》や、ときには《太陽の勇者、エルズペス》《神聖な協力》でも対処できます。

サイド後は《石のような静寂》、それと《斑岩の節》を投入します。このカードはいくつかの理由により素晴らしいカードです。まず、親和は1ターン目から複数のクリーチャーを展開するのが珍しくないこと。このタイミングで出せば相手にとっては厳しい展開になります。《電結の荒廃者》で食べるわけにもいきません。なぜなら《斑岩の節》は対象をとっていないので、生け贄に捧げてもまた別のクリーチャーが破壊されるだけだからです。このカードは厄介な《刻まれた勇者》への解決法にもなります。

対 アドグレイス

むかつき

思うに、これはこのデッキにとって最悪のマッチアップでしょう。たくさんの無意味な除去が入っているだけでなく、相手に一切プレッシャーをかけることができませんし、カウンターの数もそれほど多くはありません。しかもアドグレイスは《五元のプリズム》《睡蓮の花》を採用しているので、マナベースを攻めるのも容易ではありません。

サイド後には《法の定め》《石のような静寂》《神聖の力線》を投入できます。また、1枚ずつの《払拭》《ヴェンディリオン三人衆》も入れましょう。もし大会でアドグレイスに当たると思うなら、この2枚は枚数を増やした方が良いです。

対 ストーム

ぶどう弾

現在、相手のデッキには8枚のクリーチャーが入っているのが通常です。なので、以前の形のストームよりも除去が腐らなくなっています。《糾弾》についてだけは、相手もケアして白マナが立っている状況では殴ってこないだろうから、変わらず悪いカードですが。

《呪文嵌め》《瞬唱の魔道士》の組み合わせはこのマッチで強力です。《広がりゆく海》《幽霊街》で赤マナの供給源を攻めれば、相手の土地はすぐに《島》だけになるでしょう。《巣穴からの総出》についても、《至高の評決》《拘留の宝球》《思考を築く者、ジェイス》と対抗するカードはたくさんあります。

サイド後には《ぶどう弾》を封じる《神聖の力線》が搭載されます。《けちな贈り物》《炎の中の過去》があるので、《安らかなる眠り》も相手にとって悩みの種になります。《法の定め》はこのデッキに対する最高の対抗策になります。とはいえ、サイド後なら1~2枚《残響する真実》を積んでいるかもしれません。

プレイ動画を用意しましたので、参考にしたい方はどうぞご覧ください。

ここまで読んでくれてありがとう。

Jeremy Dezani

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