Translated by Kenji Tsumura
こんにちは、皆さん。
今週末にはグランプリ・神戸2017、グランプリ・コペンハーゲン2017が、来月にはグランプリ・ラスベガス2017の開催が予定されており、世界中のプレイヤーが近いうちにモダンのグランプリをプレイできるでしょう。(編注 : この記事の原文はグランプリ・神戸2017前、5月24日にアップされました)
そういったわけで、今日は再びモダンについてお話したいと思います。先月は青白コントロールについて記事を書き、それに関するビデオも用意しました。
本日は、各種黒緑デッキに焦点を当てていきたいと思います。
ジャンド (黒緑赤) なのかアブザン (黒緑白) なのか、それとも純正の黒緑にすべきなのか。これら3つの違いは一体何なのでしょうか?
メタゲーム
まず初めに、モダンのメタゲームはどのようなものでしょうか?
モダンには25個以上のデッキが存在するものの、下記8つのデッキは明確に他のデッキよりも数が多いです。もしモダンで成功を収めたいのであれば、各デッキについて知識を養うべきです。対戦する可能性が高いであろうこれら8つのデッキについては、なおのことです。
メインボードの違い
除去呪文
歴史的に、ジャンドは長きに渡ってモダンにおける黒緑系デッキの中で最良の選択とされていました。これは主に《稲妻》があるためです。《稲妻》は《流刑への道》とは違い、対戦相手にアドバンテージを提供することなく《死儀礼のシャーマン》、《ゴブリンの先達》や《鋼の監視者》といった序盤の脅威に対処することができます。
しかし、それはあくまで《致命的な一押し》が登場するまでの話です。《致命的な一押し》はどんなサイズのクリーチャーであれ、0~2マナのクリーチャーを除去することができます。これは《タルモゴイフ》や《死の影》が氾濫するフォーマットにおいて非常に重要なことです。また、《致命的な一押し》は《天界の列柱》のようなミシュラランドにも対処可能です。
フェッチランドと併用することで、《致命的な一押し》をとても簡単に《終止》へとアップグレードさせることもできますね。モダン環境には《黄金牙、タシグル》、《現実を砕くもの》、《原始のタイタン》といった《致命的な一押し》で殺せないクリーチャーがわずかに存在しますが、直近のメタゲームでそれほど数多くプレイされているわけではありません。
それらのクリーチャーに対しては、《流刑への道》や《終止》が最良の解答となります。《喉首狙い》にもその可能性があるものの、親和デッキに対して何もしないため、採用するには大きなリスクが伴います。
いずれにせよ、5マナ以上のクリーチャーに対しては《ヴェールのリリアナ》や《大渦の脈動》が解答となってくれます。
そのため、私にとって白や赤は除去呪文のために必要な色ではありません。
2マナクリーチャー
全てのバージョンで4枚の《タルモゴイフ》と2~3枚の《漁る軟泥》は採用されているものの、最後の2マナクリーチャーは異なります。それは《残忍な剥ぎ取り》か《闇の腹心》のいずれかです。
《残忍な剥ぎ取り》はサイズに長け、自身の能力によりドローの質を高めたり、《未練ある魂》を墓地に落としたりもできます。《残忍な剥ぎ取り》は黒緑のカードではありますが、アブザンでしか使用できません。デッキ内のスロットの多くを「昂揚」を達成するために割かなければならず、それらのスロットは《残忍な剥ぎ取り》に依存するからです。
《闇の腹心》は他のカードの助けを必要としません (このカードの生みの親である殿堂顕彰者、ボブ・メイヤーに感謝を)。手札破壊からの《闇の腹心》は、あなたが持ち得る中で最高のアクションです。
デッキ構築の際にかかる唯一の制限は、《闇の腹心》の能力で罰せられることのないよう、重い呪文を入れ過ぎないようにするだけです。《残忍な切断》や《黄金牙、タシグル》といった「探査」呪文と《闇の腹心》を併用しない方が良いとされているのは、これが理由です。
私にとって、《闇の腹心》は《残忍な剥ぎ取り》よりも優れた選択です。
3マナのカード
《未練ある魂》は親和や黒緑系のミラーマッチで素晴らしい一方で、その他の青赤ストーム、エルドラージ、発掘、バーン、各種カンパニー、ウルザトロン、ヴァラクートなどのマッチアップにおいてひどいカードです。
《コラガンの命令》も同様に親和に強く、消耗戦に優れたカードではあるものの、2点のダメージは《タルモゴイフ》や《死の影》に対して良い物とは言えません。
《不屈の追跡者》は土地、とりわけフェッチランドと組み合わせることでアドバンテージを得ることができますが、このカードはあまりにも遅すぎますし、真価を発揮するのは消耗戦のみです。
《永遠の証人》はどんなマッチアップであれ、ゲーム中のどの瞬間においても素晴らしいカードです。対戦相手が3枚目の《タルモゴイフ》を唱えてきた?《致命的な一押し》を回収しましょう。対戦相手が青赤ストームを使っている?再び《思考囲い》しましょう。また、《永遠の証人》はサイドボードのカードとも素晴らしく良く噛み合います。
この項目においても、私は白と赤が必要なのか確信が持てません。
4マナのカード
《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》、《反逆の先導者、チャンドラ》、《高原の狩りの達人》、《包囲サイ》に《ゲトの裏切り者、カリタス》。
率直に言って、私はこれらのカードがとても好きです。黒緑系のデッキには大量の手札破壊呪文と除去呪文があるため、上記重めのカードを良い状態でプレイしやすいのです。
《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》と《反逆の先導者、チャンドラ》はリードしているときはとても強力ですが、押されている盤面では弱いカードになり得ます。個人的に4マナのカードはどんな状況であれ強力であってほしいと思っています。
《高原の狩りの達人》、《包囲サイ》、そして《ゲトの裏切り者、カリタス》はライフ回復能力を持っていますが、これは《闇の腹心》を使う際にとても重要となります。
対戦相手が即座に除去してきた場合に、上記3種の中で最も弱いカードは《ゲトの裏切り者、カリタス》です。しかしながら、対戦相手が除去呪文を持っていなかった場合に最高のカードとなるのもまた《ゲトの裏切り者、カリタス》なのです。
黒緑系のデッキには手札破壊呪文が大量に搭載されているので、《ゲトの裏切り者、カリタス》を出すまでに他のクリーチャーに除去呪文を使わせるように仕向けたり、そもそも《突然の衰微》、「紛争」していない《致命的な一押し》、《稲妻》といったカードでは《ゲトの裏切り者、カリタス》を除去することができません。
以上の理由から、私はおそらく《ゲトの裏切り者、カリタス》が無難であると考えます。《ゲトの裏切り者、カリタス》は《電結の荒廃者》の「接合」を無効化したり、《復活の声》、《台所の嫌がらせ屋》、《作り変えるもの》、《恐血鬼》と《秘蔵の縫合体》といった厄介なクリーチャーへの解答にもなります。
土地
純正2色の黒緑ならば、《幽霊街》を使うことができます。このカードはウルザトロンやヴァラクートなど重要な土地を含むデッキ、または基本地形が少ないデッキや《ちらつき蛾の生息地》、《天界の列柱》といったミシュラランドと対峙する際に大きな助けとなります。《地盤の際》もひとつの選択肢になりえるものの、こちらは対戦相手が3枚でウルザランドを揃えてしまった場合に役に立ちません。
《風切る泥沼》と《樹上の村》は甲乙つけがたいです。《風切る泥沼》は《タルモゴイフ》や《死の影》と相打ちできるのでクリーチャー戦に強いですが、一方の《樹上の村》は3点の打点を誇りクリーチャー化に2マナしかかかりません。しかしながら、《風切る泥沼》は黒マナを供給してくれるため、より多くの《幽霊街》を使うことを許容してくれます。
サイドボードの違い
黒緑2色の欠点は、サイドボード用の白や赤のカードを使えないことです。
白と赤のサイドカード | 黒と緑のサイドカード |
《古えの遺恨》 | |
《塵への崩壊》 | |
《苦い真理》 | 《不屈の追跡者》 |
《粉砕の嵐》 | 《忍び寄る腐食》 |
《殺戮遊戯》 | 《外科的摘出》 |
《石のような静寂》 | 該当なし |
この中で私が真に恋しく思うであろうカードは《石のような静寂》のみです。
このカードは親和とウルザトロンに対して完璧なカードですし、黒と緑には《石のような静寂》ほど良いカードは存在しません。他のカードに関しては、十分な代用品を用意できるでしょう。
デッキリスト
大会に出るにあたって、実際のリストは少し変わるでしょう。良きサイドボードカードはいついかなるときでも役に立つものの、何をサイドアウトするか、特定のサイドボードカードを本当に全てサイドインするかどうかは自分自身の判断を信じなければいけません。
(編注 : お時間のある方は、下記動画も合わせてご覧ください。)
読んでくれてありがとう。
ジェレミー・デザーニ
この記事内で掲載されたカード
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