Translated by Kenji Tsumura
キューブドラフトとは?
とある著名なプレイヤーがドラフトのために生み出したフォーマットが “キューブドラフト” です。キューブドラフトの構造は一般的なドラフトと似通っていますが、ドラフトにはランダムなパックではなく事前に選択したカードを使用します。
キューブドラフトは構築戦とリミテッドの要素を合わせ持ち、カードプールを揃える楽しみや友達と遊んだりと、マジックの面白さの多くを内包しています。
このフォーマットを準備するにあたって、1人のプレイヤーは (もしくは友達と共有で) 、最低でも異なる360種のカードから成る “キューブプール” を用意する必要があります。 (8人のプレイヤー×15枚のパック3つ=360)
多くのキューブプールは、ドラフトに深みを出すために720枚のカードを含んでいます。個人的には720枚のプールはカードパワーがあまりにも下がりすぎてしまいますし、逆に360枚のプールはコンボデッキの完成度が高くなりすぎてしまいます。特に全てのカードプールを使い切る8人でのドラフトだとそれが顕著です。そのため、私は400枚のカードプールが良いと思います。
キューブドラフトはマジックオンラインでも人気のあるフォーマットです。2007年のインビテーショナルでもフォーマットのひとつに選ばれましたし、2012マジック・プレイヤー選手権でも最もよくプレイされているフォーマットとして採用されました。
様々なキューブドラフトの楽しみ方
一度キューブのプールが完成したならば、そのプールを他のドラフトフォーマットに使用することができます。最も一般的な選択肢は、キューブプールの中から適当な15枚のカードで間に合わせの “ブースターパック” を作り、それでドラフトをするというものです。このフォーマットは6~8人で遊ぶことができますが、もし6人しかいないのであればチームドラフトが最適です。
チームドラフト
プレイヤーはふたつのチームに分かれ、下記のように座ります。
プレイヤーはデッキ構築や試合中にアドバイスをすることが可能です。
または
(2) 3人全員と対戦して、5回勝ったチームの勝利
もしも6人未満のプレイヤーしかいないのであれば、他にもこんなフォーマットにキューブのプールを使用することができます。
ロチェスタードラフト (4人~8人向け)
全てのプレイヤーは15枚のカードから成るパックを3つ用意します。
分かりやすく説明するために、8人のプレイヤーがいると仮定しましましょう。
プレイヤー#1 (ランダムに選択) は最初のパックを開封します。それらのカードは全て表向きでテーブルに並べられます。プレイヤー#1はその中から1枚をピックし、その次にプレイヤー#2がピック、という流れをプレイヤー#8がピックするまで続けます。プレイヤー#8がカードをピックしたら、プレイヤー#8は2枚目のカードをピックし、続いてプレイヤー#7がカードを取ってこれをブースター内のカードがなくなるまで繰り返します。
次にこの手順をプレイヤー#2がパックを開封し、ピックを開始するところから始めます。
プレイヤー#8の最初のパックが終わったら、プレイヤー#8は2パック目を開封します。2週目は最初の8パックとは逆周りでピックを行います。2週目をプレイヤー#1まで開封し終えたならば、3週目は1パック目と同様に再び順回りでピックします。
ウィンストンドラフト (2人向け)
ウィンストンドラフトは、プレイヤーに変化するカードの束からカードを選ぶことを強いるフォーマットです。
ウィンストンドラフトは6パックを開封し、合計で90枚のカードを裏向きにシャッフルして2人で使用します。これらのカードは “メインスタック” と呼ばれる場所に置かれます。
まず “メインスタック” の上から3枚を1枚ずつ別々に配置します。ダイスロールで先攻のプレイヤーを決めたら、そのプレイヤーは最初の1枚を見ます。もしそのカードをピックすると決めたのであれば、ピックした後に “メインスタック” からカードを1枚置きます。
もしもピックしないことを選んだならば、 “メインスタック” からカードを1枚加えて2枚のパイルを作ります。この工程を2つ目のパイルでも同様に行い、2つ目のパイルもピックされなかったのなら3つ目のパイルに移ります。もし3つ目のパイルもピックしないことを選んだのであれば、そのプレイヤーは “メインスタック” の1番上のカードを見ることなく直接カードプールに加えます。
両プレイヤーは “メインスタック” のカードがなくなるまで交代でこれを繰り返していきます。ドラフトを後手番で始めたプレイヤーは、試合を先手で開始しても構いません。
ソロモンドラフト (2人向け)
それぞれのプレイヤーは15枚から成る3つのパックを用意します。使用する6パックのカードをシャッフルし、90枚のプールを作成します。次にランダムな方法で “プレイヤーA” と “プレイヤーB” を決めます。プレイヤーAはドラフトで先行を、プレイヤーBは試合で先手か後手かを選ぶことができます。
ドラフトをするにあたり、プレイヤーAは8枚のカードをめくり、それらのカードを2つのパイルに分けます。それらのカードは均等に4枚ずつの束であれ、不均等な5枚と3枚、6枚と2枚、7枚と1枚でも構いません。
プレイヤーAがカードを2つの束に分け終えたなら、プレイヤーBはそのうちの1つを選んで自分のプールに加えます。残ったもう1つのパイルは、プレイヤーAのプールに加わります。この工程を続けることになりますが、次はプレイヤーBが8枚のカードを2つのパイルに分け、プレイヤーAがどちらかのパイルを選んでピックします。これを全てのカードがなくなるまで交互に繰り返していきます。(最後は8枚ではなく10枚になるでしょう)
ソロモンドラフト (4人向け)
ソロモンドラフトには4人で遊べるものもあります。ここではカードプールを混ぜたりはせず、個々人のパックを別々に扱います。
パックを開封するプレイヤーは、カードを同じくらいの強さになるよう4つのパイルに分けます。(1パックは16枚です) あらかじめ決めておいた順番にパイルをピックしていき、パックを開封したプレイヤーは最後に残ったパイルを手にします。プレイヤーたちは順番にパックを開封し、カードがなくなるまでこれを繰り返します。
オークションドラフト (4人向け)
このゲームを遊ぶには、それぞれのプレイヤーに15枚から成る3つのパックを用意する必要があります。4人のプレイヤーはランダムで決めた席順に、円を描くように座ります。
全てのプレイヤーはカードを入札するための200個のコイン、または疑似的なお金を受け取ります。(ただ単に紙とペンを使用して、各プレイヤーがどれだけの持ち点を持っているかをメモするだけでも問題ありません) 各プレイヤーは最低でも1つのコインを支払わない限り、カードを手に入れることができません。もし誰も入札しないカードがあった場合、そのカードはドラフトから除外されます。
ドラフトを開始するにあたり、プレイヤー#1はパックを開封して1枚のカードを全員に見えるように表向きに置きます。プレイヤー#2はそのカードにいくら払うかを宣言し、プレイヤー#3はそれと同じかそれよりも大きな値を付けることができます。プレイヤー#4もそれに倣い、最後にプレイヤー#1が宣言します。
プレイヤーは1枚のカードに対して1度しか入札できないため、最後に入札するプレイヤーは必ずそのカードを勝ち取ることができます。これが意味するところ、各プレイヤーは自分が開封するカードを全て手にすることができるというわけです。
プレイヤー#1は1パック目のカードが尽きるまでこれを繰り返し、プレイヤー#2~4も同様の手順を行います。プレイヤー#4は1パック目が終わったら2パック目を開封しますが、2パック目は入札を逆回りに行います。 (入札順はプレイヤー#3→#2→#1→#4となります)
逆回りでプレイヤー#1まで順番が戻ったら、プレイヤー#1が3パック目を開封し、再び順回りで入札をします。 (入札順は1パック目と同じくプレイヤー#2→#3→#4→#1です)
コインを使い果たしてしまったプレイヤーは、ドラフトが終わるまで2度と入札することができません。
パイルロチェスター (4人向け)
パイルロチェスターをするには、キューブドラフト内の200枚のカードが必要です。プレイヤーは30枚から成る5つのパイルと、50枚のパイル1つを作ります。30枚の5つパイルのトップにあるカードは公開されます。
ランダムな方法で最初にドラフトするプレイヤー (プレイヤー#1) を決定します。プレイヤー#1は、公開された5枚のカードから1枚を選ぶことができます。もしもいずれかのカードをピックしたのであれば、そのパイルの次のカードを公開します。プレイヤーにはもうひとつの選択肢があります。非公開のパイルのトップを見て、そのカードをピックするか、そのカードをパイルの底に送って次のカードを引くか、です。
非公開のパイルからピックしたカードは裏向きのままで、その他のプレイヤーには非公開です。非公開のパイルからカードをピックしたプレイヤーは、再びそのパイルからカードをピックする前に2度、公開領域からピックを行う必要があります。
プレイヤーは200枚のカード全てがなくなるまでこれを繰り返します。
カスケード (続唱) ドラフト
カスケードドラフトには全てのキューブのカードを使用します。パイルロチェスターと同様に、トップのカードを公開したパイルを5つ作ります。およそキューブドラフトの10%は、非公開の “ランダムパイル” に使用します。
まずはランダムな方法で先行のプレイヤーを決定します。プレイヤー#1は公開された5枚の中から1枚を選ぶことができます。もしもいずれかの公開されたカードを選んだならば、そのプレイヤーはトップにある次のカードを公開し、どのパイルで「カスケード (続唱)」するかを決めます。そのプレイヤーは直前に選んだカードと共通の色を持つカードが捲れるまで「カスケード」を行い、共通の色を持つカードが捲れたらそのカードをピックします。
「カスケード」の際に捲れたその他のカードは、「カスケード」が解決した後に “ランダムパイル” に加えられます。もし “ランダムパイル” が大きくなりすぎてしまったら、数枚のカードを5つのパイルに分配します。
プレイヤーが無色のカードで「カスケード」し、なおかつ土地以外のカードが捲れた場合には、そのカードをピックします。もしも土地カードが捲れた場合には、ダイスを振ります。偶数=その土地カードをピック。奇数= “ランダムパイル” で再び「カスケード」。ただし、今回は共通の色ではなく、同じマナコストのカードが出るまで「カスケード」します。 (土地カードで「カスケード」する場合は、6面ダイスを振ってマナコストを決定します)
なかなか起こりえないことではありますが、パイル内に共通の色を持つカードがなく「カスケード」に失敗してしまったときは、「カスケード」前に選んでいたカードをピックします。
全てのプレイヤーが45枚のカードをピックしたらドラフトは終了です。
ジェレミー・デザーニ流キューブカードリスト
キューブカードリストはこちらでもご覧いただけます。
アーキタイプ例
これまでにキューブドラフトをプレイしたことがないプレイヤーにとって、各アーキタイプの知識がない状態で正しいピックを行うのは難しいと思います。ここではキューブにおける主要アーキタイプと、それらのアーキタイプで核となるカードをご紹介します。
白黒ミッドレンジ:
赤黒サクリファイス:
青赤双子:
青赤リセットコントロール:
青赤アグロ:
青白奇跡:
黒単信心:
青黒リアニメイト:
黒緑《適者生存》:
緑ランプ:
この記事を通じて、本日紹介したドラフトに興味を持っていただければ幸いです。
読んでくれてありがとう。
ジェレミー・デザーニ
この記事内で掲載されたカード
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