みなさんこんにちは。晴れる屋メディアチームの大久保です。このたび、人類史を塗り替える大発見をしてしまったのでみなさんにご報告します。
みなさんはメシウマ……つまり他人の不幸は好きですか?
僕は大好きです。
特に自分よりも立場が上の人間の不幸は本当にいいですよね。僕のようなルサンチマン(弱者が強者に対して抱くフラストレーション)の塊にとって、偉い人の不幸なエピソードはさながら滋養強壮剤のようなものです。人間として終わってるって? それお母さんにも言われました。
でも考えてみてください。現代の世界経済、そして社会はゼロサムゲームを基本として成り立っています。誰かが得をすれば、その分損をする人がいる。つまり、理論上は世界全体の幸福と不幸の総和は釣り合っているはずなんです。
つい世界経済などと風呂敷を広げましたが、ここでは卑近な例をもとにこの事実を図に表してみましょう。
ここまでは非常にシンプルで分かりやすいですね。勝てば嬉しい、負ければ悔しい。そこで生じる幸福と不幸は釣り合っていると言えそうです。
しかし、この図に5人目の人物が登場すると話は変わります。
もうお判りでしょうか? この図の中に隠されたこの世界の“バグ”。
物理法則を逸脱した新たなる幸福の方程式が……
そう。他人の不幸を喜ぶことで幸福が不幸の総和を上回るんです! これは~~~これはこれは~~~~等価交換は錬金術の原則だったはずなのに~~~~~~!!! 無から有を生み出したら“”
さて、法則さえ分かればあとは効率の最大化を図ってナレッジをメソッドへと落とし込み、特許を取得してドラスティックに巨万のベネフィットをクリエイションするだけです。 このちょっぴりアンビバレンスな禁忌の錬金術、「メシウマ」という感情で全世界に幸福をもたらすには誰のどのような不幸がふさわしいでしょうか?
1. 権力者であること
合言葉は「権力を憎む気持ち」です。というのも、メシウマがメシウマたる最大の要因は日ごろ権力に対して抱いていた憎悪にカタルシスがもたらされることにあるからです。
同じくらいの立場の人が不幸な目に遭っていたら気の毒になりますが、それが権力者だったらむしろスカッとしますよね?
つまり上質なメシウマ体験を得るためには自己の中に眠る権力への激しいフラストレーションを開放する必要があります。さらにいえば、二者の間にある立場の差が大きければ大きいほどそこには覆りようのない軋轢が生じ、僕のような末端に蓄積されるルサンチマンは増幅していくのです。つまり、なるべく高い地位にいる人の不幸が望ましいですね。
2. 共感性の高い不幸話
と言ってもピンとこないかもしれませんが、要するに自分の想像力で想像がつくレベルの不幸が良いですね。たとえば15歳のころまで山犬に育てられたとか、ある日突然秘密警察から言われなき罪で追われ、現在も逃亡生活を送っているとか言われても完全に想像を絶するのでメシウマどころではありません。
しかし、幸いにも晴れる屋にはたくさんのマジックプレイヤーが勤めていますし、読者のみなさまにおかれましてもマジックをプレイされている方が多いと思われます。つまり、マジックに関する不幸エピソードであれば共感性の高さに関してはある程度担保されそうです。
とはいえ土地事故や当たり運の話などは巷にありふれていますし、メシウマとしては物足りない。もう少しレアな……たとえば世界選手権にクソデッキを持ち込んで負け散らかした人の話などはすごく貴重な気がしますね。
そういえば晴れる屋にたまたまそういう人がいた気がします。あれはたしか副社長だったような……?
株式会社晴れる屋 COO/CFO・高桑 祥広
人物紹介:高桑 祥広
株式会社晴れる屋COO/CFO(副社長)。晴れる屋で2番目に偉い人であり、日本選手権08準優勝や世界選手権08(チーム戦)トップ4入賞などの戦績を持つ。無類の酒好き。
「というわけで本日は高桑さんの不幸な話を聞きに来ました。具体的には世界選手権08のチーム戦でレガシーラウンドを0-5し、
「藪から棒にすごいこと言ってくるね。なんなの」
「世界をハッピーにするためにひと肌脱いでいただきたく……」
4 《平地》 2 《地平線の梢》 4 《トロウケアの敷石》 1 《古えの居住地》 4 《古えの墳墓》 4 《裏切り者の都》 4 《不毛の大地》 3 《黄塵地帯》 -土地(26)- 3 《幕屋の大魔術師》 -クリーチャー(3)- |
3 《悟りの教示者》 4 《ハルマゲドン》 4 《亡霊の牢獄》 2 《忘却の輪》 4 《虚空の杯》 4 《モックス・ダイアモンド》 4 《世界のるつぼ》 4 《三なる宝球》 2 《煙突》 -呪文(31)- |
4 《賛美されし天使》 3 《トーモッドの墓所》 3 《アメジストのとげ》 2 《沈黙のオーラ》 1 《悟りの教示者》 1 《法の定め》 1 《真髄の針》 -サイドボード(15)- |
「デッキリストだけでも語るに落ちるというか、見るからにヤバいんですけど、なぜこのデッキを使おうと思ったんですか?」
「まず、当時のレガシー環境は『ANT』がめちゃくちゃ強かったんだよね。平均2ターンキルが横行してるような凄い環境だった。で、実際に回してみたら本当にあっさりコンボが決まるんだよね」
「当時は《神秘の教示者》(※現在はレガシーで禁止カード)も使えましたもんね」
「となると選択肢としては『ANTを使う』か『ANTをメタる』かの二択になると思うんだけど、いくらなんでも世界選手権の舞台で不慣れなストームデッキを回せる自信はなかった。だから、後者の『ANTをメタる』方向性でデッキを考えたんだよ」
「なるほど。それで『白スタックス』が誕生してしまったわけですね」
「見ての通り《虚空の杯》や《不毛の大地》はANTに有効なカードだし、実際にチームメイトのナベ(渡辺 雄也)にANTを使ってもらって対戦したときも勝率はよかったから、このデッキならいける!と思ったんだよね」
「しかし、実際にはそううまくことは進まなかったと」
「……スタイフル・ノートがトップメタだった」
「同じ『ANTをメタる』という方向性でも、世界のプロたちは《もみ消し》に目をつけたわけですね」
「これは完全にやられたと思ったよ。こっちは《黄塵地帯》まで採用して多色デッキをガンメタしてるのに相手は《島》しか出してこないし、《幕屋の大魔術師》で《ファイレクシアン・ドレッドノート》と殴り合うとか無理だし」
「チームメイトのナベさんと大礒さんの健闘あってトップ4には残っていましたが、トップ4のレガシー対決でもスタイフル・ノートにシバかれてましたね」
「あれはもう……目の前が真っ暗になったね。しかもこれは『白スタックス』とは関係ない話だけど、この世界選手権のとき空港で荷物を受け取れなくて大会直前にスタンダードのデッキ丸ごと無くなってるし、本当につらかtt……」
「ウ゛ッッッッッッ!!!??!?」
「あまりのメシウマに……俺の肉体がキャパシティを超えたみたいだ……」
「……」
「世界を変える錬金術を編み出したと思ったのに……ここまでか…………!!」
「…………」
「………………」
「……………………」
「本当の幸せっていうのは、誰かが与えてくれるものじゃないんだよな…………」
正しい心と正しい手段で世界をハッピーに
こんな歪んだ幸せではなく、あなたの技術と情熱で世界をハッピーにしませんか?
今回の記事に登場した高桑 祥広がマジックプレイヤーによるマジックプレイヤーのためのIT会社を設立しました。
世界をハッピーにする企業・Sekappy
Sekappyなら仕事にもマジックにも本気で取り組める! 「ボックス支給」や「レンタルデッキ」「マジック勉強会」といった“マジック福利”制度も充実しています。
設立に際して“マジックが好きなエンジニア”を募集中! 無料の見学会も開催されるので、気になる方はぜひ特設サイトをチェックしてみてください!
-完-
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