今週末にはいよいよ京都の地でプロツアー『破滅の刻』が開催される。Hareruya Pros/Hareruya Hopesも多数参加する、今シーズン最後のプロツアー。当日はニコニコ生放送/LINE Live/Twitchでの実況中継配信も予定されているそうなので、ぜひみんなで観戦しよう!
さて、本記事ではプロツアーを直前に控えた今、『破滅の刻』リリース以降に台頭してきたスタンダードで注目すべき3つのデッキについてご紹介したいと思う。プロツアーを観戦するうえで、より楽しんでいただける一助となれば幸いだ。
白青《王神の贈り物》
5 《平地》 4 《島》 4 《大草原の川》 2 《灌漑農地》 4 《港町》 4 《イプヌの細流》 -土地(23)- 4 《査問長官》 4 《スレイベンの検査官》 3 《霊廟の放浪者》 4 《機知の勇者》 4 《発明の天使》 3 《激変の機械巨人》 -クリーチャー(22)- |
4 《巧みな軍略》 4 《復元》 4 《来世への門》 3 《王神の贈り物》 -呪文(15)- |
4 《払拭》 3 《虚空の選別者》 3 《石の宣告》 2 《断片化》 2 《没収の曲杖》 1 《保護者、リンヴァーラ》 -サイドボード(15)- |
Magic Onlineで開催されたスタンダードのPTQで彗星のごとく現れたデッキが「白青《王神の贈り物》」だ。その名を冠する《王神の贈り物》をはじめ、《復元》や《発明の天使》、《激変の機械巨人》などこれまでスタンダードではあまり見られなかったカードがふんだんに採用されたリアニメイトデッキである。
一見しただけでは強さが分かりにくく、ファンデッキのようにも思えるリストだが、大量に採用された墓地肥やしカード+《復元》によって最速で4ターン目に《王神の贈り物》が着地するこのデッキの爆発力は侮れない。ひとたびこのアーティファクトが戦場に現れれば、タダで出てくる《激変の機械巨人》が盤面をコントロールし、《発明の天使》は6/6飛行・絆魂・警戒としてフィニッシャーを務め、《霊廟の放浪者》などは飛行クロックとして対戦相手を攻めながら、起動型能力で牽制してゲームに蓋をする。
《王神の贈り物》をサポートする《来世への門》も4枚採用されており、仮に《王神の贈り物》を破壊されても即座にリカバリーができる。最終的に2枚、3枚と《王神の贈り物》を重ねて設置できればもうゲームに負けることはないだろう。
《霊気池の驚異》無き今、新たなアンフェアデッキとして台頭してきた「白青《王神の贈り物》」。ひとたび動き出せば並のデッキでは太刀打ちできないだろう。プロツアーでの活躍にも期待が高まる。
注目カード
《王神の贈り物》はもちろん、機械巨人シリーズの中でこれまで日の目を浴びてこなかった《激変の機械巨人》や新たな墓地肥やし兼アドバンテージ源である《機知の勇者》などもこのデッキを語るうえで欠かせない存在だ。
すでに各所で話題沸騰中のデッキであり、これらのキーカードも徐々に入手が困難になってきている。もしこのデッキを組んでみたいという方がいれば、早めに確保しておいたほうがよさそうだ。
赤単アグロ
13 《山》 4 《ラムナプの遺跡》 4 《陽焼けした砂漠》 -土地(21)- 4 《ボーマットの急使》 4 《ファルケンラスの過食者》 4 《村の伝書士》 4 《地揺すりのケンラ》 2 《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》 4 《アン一門の壊し屋》 2 《無謀な奇襲隊》 2 《熱烈の神ハゾレト》 -クリーチャー(26)- |
2 《ショック》 4 《焼夷流》 1 《削剥》 2 《集団的抵抗》 4 《激情のカルトーシュ》 -呪文(13)- |
3 《削剥》 2 《カーリ・ゼヴの巧技》 2 《アクームの火の鳥》 2 《栄光をもたらすもの》 2 《マグマのしぶき》 1 《山》 1 《チャンドラの敗北》 1 《ショック》 1 《反逆の先導者、チャンドラ》 -サイドボード(15)- |
『戦乱のゼンディカー』~『アモンケット』ブロックに渡る8つのエキスパンションから選りすぐりの火力呪文と軽量クリーチャーを採用した赤単アグロが、環境最速のデッキとして久方ぶりにメタゲーム上に帰ってきた。
《熱烈の神ハゾレト》や《アン一門の壊し屋》といった速攻持ちかつ本体へのダメージを通しやすいクリーチャー群に加え、『破滅の刻』からは《ラムナプの遺跡》が搭載されている。これにより最後の一押しの場面で土地を引いてしまったときもマナを有効活用でき、ダメージソースでありながら《ラムナプの遺跡》の
《地揺すりのケンラ》も非常に強力なカードで、2マナ2/1速攻という十分なスペックに加えてETB能力によるブロック制限と「永遠」の2つの噛み合ったメリット能力を持ち、序盤~終盤にかけて隙のない1枚だ。本来この手のアグロデッキは初動を抑え込まれると息切れしやすかったり、ミッドレンジデッキがブロッカーを立たせてくると攻め手が止まるという弱点があったが、このカードはその弱点を見事に払しょくしている。
これは完全に余談だが、カード名が「地揺すり/Earthshaker」なのに飛行クリーチャーにもブロック制限を与えることができる。赤と言えば飛行を持たないクリーチャーへのメタカードが多いので、案外見落とされがちかもしれない(?)。
注目カード
『アモンケット』ブロックの攻撃的なこれらのカードはプロツアーでも見かける機会が多そうだ。
特に《ラムナプの遺跡》は無色マナの供給源としても使われるので、プロツアーではこの記事でも紹介されていたようなエルドラージクリーチャーと組み合わせたデッキも見られるかもしれない。
赤黒ミッドレンジ
5 《沼》 4 《山》 4 《燻る湿地》 4 《泥濘の峡谷》 4 《凶兆の廃墟》 4 《霊気拠点》 1 《荒廃した湿原》 -土地(26)- 4 《光袖会の収集者》 3 《ゲトの裏切り者、カリタス》 3 《ゴブリンの闇住まい》 1 《栄光をもたらすもの》 1 《陰謀の悪魔》 -クリーチャー(12)- |
4 《削剥》 2 《蓄霊稲妻》 1 《集団的蛮行》 4 《大災厄》 3 《放埒》 1 《破滅の道》 4 《最後の望み、リリアナ》 3 《反逆の先導者、チャンドラ》 -呪文(13)- |
4 《精神背信》 2 《スカラベの饗宴》 2 《チャンドラの敗北》 2 《致命的な一押し》 2 《不帰+回帰》 1 《本質の摘出》 1 《焼けつく双陽》 1 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》 -サイドボード(15)- |
《削剥》や《大災厄》といった“痒いところに手が届く”カードが増えた赤黒ミッドレンジも台頭してきている。このカラーリングには元々《ゲトの裏切り者、カリタス》や《ゴブリンの闇住まい》、《栄光をもたらすもの》といった制圧力の高いクリーチャーが多かったが、より盤面を捌く能力が高まったことで攻防にわたってさらなるパワーアップを果たした。
対戦相手のデッキやゲーム展開によってビートダウン戦略とコントロール戦略をスイッチできるフレキシビリティがこのデッキの最大の魅力で、大量に採用された除去呪文はどちらの立ち回りでも有効に働く。また、1対2交換以上の役割を果たすカードも多数入っているため、一度消耗戦に突入すればあれよあれよという間に優位に立つことができるだろう。
特に冒頭で名前を挙げた《削剥》の加入は非常に大きく、このデッキリストではこれまで黒いミッドレンジデッキで必ずと言っていいほど見られた《致命的な一押し》や《闇の掌握》といった軽量除去呪文をおして4枚搭載されている。
注目カード
グッドスタッフデッキということで特定のキーカードがあるわけではないが、特に注目すべきカードはこれらだろう。前項で紹介した《機知の勇者》や《地揺すりのケンラ》といった「永遠」持ちのクリーチャーに対して有効な《ゲトの裏切り者、カリタス》や、裏目の少ない除去呪文である《削剥》と《大災厄》はプロツアーでも多数使用されることだろう。
プロツアーに出場する強豪プレイヤーたちであれば、本記事でご紹介したデッキについては既知のことだろう。はたしてこれらのデッキがさらに最適化されたうえで勝ち上がるのか、はたまたまったく新しいアーキタイプが出てくるのか? 今週末のプロツアー『破滅の刻』から目が離せなくなりそうだ。
晴れる屋メディアチームは今回もプロツアー現地取材を行う予定なので、当日はぜひ晴れる屋メディアの記事もチェックしてみてほしい。