Translated by Kenji Tsumura
(掲載日 2017/08/07)
たとえ私にとってプロツアー『破滅の刻』の結果が成功ではなかったとしても、私はこの大会でベストなデッキをプレイしたと思っていますし、自身の選択に後悔はありません。プロツアーでは「ラムナプ・レッド」と「ゾンビ」が多いと予想していて、私のデッキはそれらのデッキに対して非常に相性が良かったのです。
不幸にも、「ランプ」や「青白モニュメント」といった、勝算こそあれど対「ラムナプ・レッド」ほど相性が良いわけではないデッキと対戦してしまいました。ラファエル・レヴィは同じ75枚をプレイした唯一のプレイヤーで、彼は8勝2敗で大会を終えています。
デッキ名の由来
このデッキを「マルダック」と呼ぶ理由は、古典的に見える「マルドゥ機体」に《光り物集めの鶴》が加わっているからです。では、なぜこのアヒルをプレイするのでしょう?
プロツアーに向けた調整の際に、私にとって《霊気圏の収集艇》が最も優れたカードであること、それに次ぐカードが《歩行バリスタ》であることは明白でした。「ラムナプ・レッド」にはブロックを阻害してくるクリーチャーが大量に含まれていますが、それらの能力解決後に「搭乗」することこそ「ラムナプ・レッド」に打ち勝つ術なのです。また、「ゾンビ」デッキは《致命的な一押し》や《闇の掌握》といったカードでは、少なくとも簡単には《霊気圏の収集艇》を殺すことができません。
私は《霊気圏の収集艇》と《歩行バリスタ》を毎ゲーム引きたいと考えていましたが、《光り物集めの鶴》はそれらのカードを手に入れるチャンスを増加させてくれます。1/3というサイズは「ラムナプ・レッド」や「ゾンビ」のようにパワー2のクリーチャーが多いデッキに対して役立ちますし、《ショック》や《マグマのしぶき》で死ぬこともありません。また、《光り物集めの鶴》は《霊気圏の収集艇》の「搭乗」もととしても最適なクリーチャーですね。最初はこのような「白青タッチ黒」のリストからスタートしました。
6 《平地》 2 《島》 4 《港町》 4 《秘密の中庭》 4 《霊気拠点》 2 《産業の塔》 -土地 (22)- 4 《模範的な造り手》 4 《スレイベンの検査官》 4 《歩行バリスタ》 4 《光り物集めの鶴》 3 《屑鉄場のたかり屋》 1 《金線の使い魔》 -クリーチャー (20)- |
3 《石の宣告》 3 《停滞の罠》 3 《キランの真意号》 4 《霊気圏の収集艇》 1 《領事の旗艦、スカイソブリン》 4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -呪文 (18)- |
しかしながら、このリストはいくつかの問題を抱えていました。まず初めに、あまりにも「機体」カードが多かったため最低でも2枚は削る必要がありました。このデッキは「ラムナプ・レッド」と「ゾンビ」に対して相性が良かったものの、「黒緑」系のデッキには相性が良くありませんでした。その主たる原因は《石の宣告》です。「黒緑」デッキはこちらの軽量クリーチャーを除去し、《手掛かり・トークン》でドローをする十分な時間を確保してアドバンテージで凌駕してくるのです。
また、このリストは対戦相手の「機体」に対して問題を抱えており、とりわけ《霊気圏の収集艇》を打ち破ることは困難でした。
この時点で、我々は《削剥》と《無許可の分解》のために赤を足すことを決めたのです。
マルダック
3 《平地》 4 《尖塔断の運河》 4 《感動的な眺望所》 4 《秘密の中庭》 4 《霊気拠点》 4 《産業の塔》 -土地 (23)- 4 《模範的な造り手》 4 《スレイベンの検査官》 4 《歩行バリスタ》 3 《光り物集めの鶴》 3 《屑鉄場のたかり屋》 1 《金線の使い魔》 -クリーチャー (19)- |
1 《致命的な一押し》 4 《削剥》 3 《無許可の分解》 3 《キランの真意号》 3 《霊気圏の収集艇》 4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -呪文 (18)- |
3 《否認》 2 《領事の権限》 2 《先駆ける者、ナヒリ》 2 《燻蒸》 1 《乱脈な気孔》 1 《致命的な一押し》 1 《本質の散乱》 1 《木端+微塵》 1 《苦い真理》 1 《リリアナの誓い》 -サイドボード (15)- |
マナベース
8枚の土地は好きな色マナを生み出すことができます。《霊気拠点》は一度のみ自由に色マナを使うことができますが、後に《霊気圏の収集艇》を出すことで再び色マナが出せるようになります。《エネルギー》関連のカードがいくつかあるとはいえ、このデッキにおける《削剥》は《蓄霊稲妻》よりも優れていると考えています。4枚の《スレイベンの検査官》、そして10枚の2マナアーティファクトカードにより、《産業の塔》は序盤から色マナを生み出すことができるでしょう。
4枚の《秘密の中庭》に4枚ずつの《尖塔断の運河》と《感動的な眺望所》を加えることは、4ターン目に《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》をキャストするためのアンタップインランドを確保するのが難しくなることを意味します。これがこのデッキに5マナのカードが入っていない理由であり、4ターン目、5ターン目と2ターン連続でアンタップインランドを手にすることは非常に困難です。
機体とクリーチャー
すでに述べた通り、《光り物集めの鶴》はたとえアーティファクトが手に入らずとも優れたサイズを持ったクリーチャーです。とはいえ、十分な数のアーティファクトをデッキに入れて可能な限りアドバンテージが得られるようにしておく方がいいでしょう。このデッキのアーティファクトの最小枚数は14枚です。
3 《キランの真意号》: このカードは「伝説の」カードですし、《光り物集めの鶴》がライブラリーを掘り進め、複数枚手に入れる可能性もあることから4枚目をプレイしようとは思いません。
3 《屑鉄場のたかり屋》: このカードは《模範的な造り手》と共に攻撃的に動くために、《キランの真意号》に「搭乗」するために、さらには十分なアーティファクトを確保するために必要です。ただし、攻撃的なデッキと対峙する際には弱いカードですし、2枚目を引いた際には”戦場に戻る”能力もそれほど良いものではないため、これも4枚目が必要だとは思いません。
3 《霊気圏の収集艇》: 《霊気圏の収集艇》はとても強力なのですが、「機体」がかさばってしまうこと、そして「搭乗」するクリーチャーがいないことはゲームに負ける原因になりえます。
4 《歩行バリスタ》: 「ラムナプ・レッド」に対する完璧な序盤のブロッカーで、土地を引きすぎたときにはフィニッシャーにもなります。
除去呪文
4 《削剥》: このカードは素晴らしいもので、「機体」や各種《機械巨人》、《オケチラの碑》や序盤のクリーチャーに対処したりと、ほぼ全てのことをやってのけます。
1 《致命的な一押し》: 《削剥》ほどではありませんが、優れたカードです。1マナであること、《巻きつき蛇》を殺せる手段であることを加味して1枚だけ採用することにしました。
3 《無許可の分解》: クリーチャーデッキに対してはマナコストが重く、《熱烈の神ハゾレト》を殺せないのでそれほど強いカードではありません。しかしながら、相性の悪いデッキに対して1本目のチャンスを拡大してくれるカードです。
古典的なマルドゥのカード
サイドボーディング
対 ラムナプ・レッド
対 黒単ゾンビ
対 マルドゥ機体
対 黒緑巻きつき蛇
Out
In
対 青赤コントロール
対 赤緑ランプ
対 青白モニュメント
今後に向けた変更
《削剥》1枚を《木端+微塵》に変更するつもりです。なぜならば「ゾンビ」や「黒緑」を使うプレイヤーは、「ラムナプ・レッド」を倒すために《ゲトの裏切り者、カリタス》を増量するでしょうし、それを対処できるカードが必要となるからです。攻撃的なデッキにとって《火の玉》効果は良いものですしね。
もしもプロツアーと同じメタゲームと予想するのであれば、「マルダック」をお勧めします。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
ジェレミー・デザーニ
この記事内で掲載されたカード
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