復活した国別選手権を体験して感じたこと

Oliver Polak-Rottmann

Translated by Takuma Kusuzawa

原文はこちら
(掲載日 2017/09/19)

やあ、新しいシーズンにようこそ!色々なことが同時に動いているので、今は今年の中でも特に楽しい時期と言える。

殺戮の暴君Mana Drain

『イクサラン』の恐竜たちがすぐそこまで来ていたり、《Mana Drain》が近く発売される「アイコニック」なセットに入っていたり、プレイヤーたちは各々の国で選手権に出場したり、と目白押しだ。

多くのプレイヤーにとって、国別の選手権に参加できるのは初めてになるわけだが、これは間違いなく国内で最高峰の大会となります。アメリカなど、まだこれからの国もあるが、日本や私の故郷であるオーストリアなどではもう終了している。しかし、この選手権というのはなぜそんなに大事なイベントなのだろうか?

国別選手権がとりわけ良い理由については色々な議論がされている。どの主張も国によっては当てはまらない場合があるとはいえ、大体が納得の行くものだと思う。

最高のプレイヤーたちが一堂に会する!

これは特にアメリカやカナダなどでは当てはまらないのだが、他の国では優秀な選手が全員集まってくる。過去の英雄たちも例外ではなく、彼らもこの大会で成功を収めていたりする。具体的な例を出すと、最盛期から数年経っているにもかかわらず準決勝まで上り詰めているプレイヤーとして、フランスのGabriel Nassif、イギリスのQuentin Martin、ベルギーのMarijn Lybeartなどがあげられるけれども、彼らはほんの一部に過ぎない。

※画像は【Magic: the Gathering 英語公式ウェブサイト】より引用しました。

最高の大会への切符を得られる

ワールド・マジック・カップや過去にあった世界選手権のチーム戦は最高の一言に尽きる。国を代表して良き友となるチームメイトとともに、最高峰の大会で戦うチャンスを得られるのだ。個人で勝つのも素敵なことではあるが、チームとして国として勝利するのは3倍の喜びを得られるわけで、ワールド・マジック・カップは常に思い出深い大会になっていると思う。

国中で通じる名誉を得られる

あなたが心から愛しているゲームで国内選手権を勝ち抜いたと言えるのは、れっきとした実績であり、マジックに触れていない人でもその意味を理解することができるものなのだ。世の中には様々な競技があり、国の頂点に立つというのはどんな競技でも価値あることだ。それだけでなく、選手権で得られる賞金も結構な自慢となる。

古き友と再会し、新たな友を得られる

私の故郷では特に大きなことで、文字通り皆が集まる。前日の夜から当日まで、一緒に話して、飲み食いして、騒ぐ。中には丸一年会わない人たちだっているのだ。

そういうわけで今年は6年ぶりに選手権が開催されたわけだが、過去に比べて悪い形になってしまっていた部分もある。ただこれがまだ試験的な運用で、来年は改善されることを確信している。

ウィザーズ社は新しいことを試し、プレイヤーにとって良い大会になると信じて古い形に戻した。

前向きな意見は一度おいておき、私の正直な意見としては、今回は成功とは呼べなかったと思う。大会の進め方が悪く、プログラムにはいくつか問題があり、事態は想定していたほど分かりやすくはなかった。

昔は、人数の多い大会ではリミテッド6戦を含む14ラウンド、人数が少なければ12ラウンドだった。今年は大きな大会でも12ラウンドで開催されて結果として妙な結果となり、小さい大会だと6~8ラウンドとなった。複数のフォーマットがある大会では、12ラウンドでも不十分なので、小さな大会ではちょっと魅力的なWMCQやPTQ程度の印象になってしまうだろう。

オーストリアでは160人のプレイヤーがいたので8ラウンドで開催され、ドラフトは5ラウンド終わった後に始まることとなった。これではポッド3以降のテーブルに座ってしまうとシングルエリミの舞台には進めないというのが明確なので、ほとんどのプレイヤーにとって、ドラフトというのはどこかおもしろくないものになってしまっていたのだ。

こんなイベントで不戦勝というのはナンセンスだ!

6~8ラウンドの大会で不戦勝があるというのは、とんでもないアドバンテージがあり、二勝あるのはいよいよ不公平で、タイブレーカーがめちゃくちゃになって大会の公平性が保たれなくなってしまう。12ラウンドの大会で不戦勝が1個だけあったとしても不平は言わないだろうが、あえて言うなら個人的には全員が全ラウンド戦うべきだと思う。一年に一度開かれるせっかくの大会で、全力を尽くせるよう皆が調整してくるのに、このお祭りが一日で終わってしまう、というのはいずれなくなると思うし、そうなると願っている。

伝達のミスで間違った情報が伝わっていた。

私たちの大会では予定と違うことが起きていて、将来的にはウィザーズから大会に関する明確なガイドラインが発表されると期待している。初めからして賞金に関しては曖昧にしか伝えられておらず、2ラウンドのスタンダードの後ドラフトをして、また構築をすると聞かされていたり、トライアルで不戦勝を2つ与えられているとも言われていた。これが事実と異なっていて、不戦勝が1つすでにあったプレイヤーが早く到着し、時間を無駄に消費することになったのだ。

そんな失敗もあり、もっと良いものになる余地があったとは思うが、大会自体はとても楽しかったと言える。構築ではマルドゥを使って、接戦を二回落としてしまったので、トップ8は逃してしまった。これがデッキリストだ:


Oliver Polak-Rottmann「マルドゥ機体 (ローテーション前)」
オーストリア選手権

1 《沼》
4 《秘密の中庭》
4 《感動的な眺望所》
1 《乱脈な気孔》
1 《鋭い突端》
4 《産業の塔》
4 《霊気拠点》
2 《ラムナプの遺跡》
2 《シェフェトの砂丘》
1 《イフニルの死界》

-土地 (24)-

3 《歩行バリスタ》
4 《模範的な造り手》
4 《スレイベンの検査官》
4 《屑鉄場のたかり屋》
2 《ピア・ナラー》
4 《難題の予見者》
3 《大天使アヴァシン》

-クリーチャー (24)-
2 《致命的な一押し》
4 《無許可の分解》
1 《木端+微塵》
4 《キランの真意号》
1 《霊気圏の収集艇》

-呪文 (12)-
4 《削剥》
4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》
3 《霊気圏の収集艇》
1 《致命的な一押し》
1 《大災厄》
1 《苦渋の破棄》
1 《先駆ける者、ナヒリ》

-サイドボード (15)-
hareruya

歩行バリスタ屑鉄場のたかり屋ピア・ナラー霊気圏の収集艇

これが一番洒落ているリストではないと分かっていたものの、《キランの真意号》が良い立ち位置にいたので、この大会ではベストだと思ったのだ。また同じデッキでやり直したいと思うし、悪いデッキを選んだと自分を責めようとは思わない。なので、ボロス機体で優勝を勝ち取ったElias Klockerを素直に祝福したいし、WMCで共に戦うことを楽しみしている。

Elias Klocker
※画像は【Magic: the Gathering 英語公式ウェブサイト】より引用しました。

先程言ったとおり、ドラフトが始まる前にトップ8には届いていないのが分かっていたので、ドラフトでは楽しいと思うデッキを組むことにしたのだが、「破滅の刻」リミテッドを締めくくる傑作ができあがった。

今週末からプレビューが始まり、いよいよ『イクサラン』に集中するときがきた。ファラオたちに別れを告げ、この新しい世界へ突入するのが楽しみでならない。プロツアー前のグランプリまで公式戦はないので、プロツアーに向けての準備期間が存分に取れ、良い結果を残せると思う。みんなも『イクサラン』を存分に楽しんで欲しい!

Oliver

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