By Atsushi Ito
『イクサラン』、発売!
それと同時にスタンダードで久しぶりのローテーションが行われ、環境は一変しました。
『カラデシュ』ブロック、『アモンケット』ブロックのカードに『イクサラン』の「恐竜」や「海賊」といった新カードが入り混じった環境で活躍するのは、はたしてどのようなカード、どのようなデッキとなるのでしょうか?
さて、今回はつい先週末、『イクサラン』発売直後のSCGOで優勝した新環境対応の「スゥルタイ・エネルギー」をご紹介します。
スゥルタイ・エネルギーとは
4 《森》 2 《沼》 1 《島》 2 《異臭の池》 4 《植物の聖域》 4 《花盛りの湿地》 4 《霊気拠点》 -土地 (21)- 4 《歩行バリスタ》 4 《牙長獣の仔》 4 《光袖会の収集者》 4 《巻きつき蛇》 4 《ならず者の精製屋》 2 《ピーマの改革派、リシュカー》 4 《人質取り》 1 《スカラベの神》 -クリーチャー (27)- |
4 《霊気との調和》 4 《致命的な一押し》 4 《顕在的防御》 -呪文 (12)- |
4 《貪る死肉あさり》 4 《強迫》 2 《否認》 2 《ヴラスカの侮辱》 1 《スカラベの神》 1 《呪文貫き》 1 《秘宝探究者、ヴラスカ》 -サイドボード (15)- |
「スゥルタイ・エネルギー」はローテーション前から存在していたエネルギー型の黒緑アグロ (《光袖会の収集者》がメインに入っているのが特徴) に青をタッチしたものです。
もともと《霊気拠点》《霊気との調和》が入っていたことに加え、緑を軸とした対抗3色なので、《植物の聖域》も入れて3色デッキにもかかわらず3ターン目までの土地をほぼすべてアンタップインで置くことができるのが強みで、ローテーションにより《風切る泥沼》を失ったことによるデッキパワーの低下を無理なく補うことに成功しています。
また、青をタッチすることでサイドに《否認》をとれるようになっているのも明確な利点の一つと言えるでしょう。
注目カード3選
《人質取り》
『イクサラン』からの新戦力として、このデッキにおいて最も特徴的な部分となっているのが《人質取り》。
カードリストが出た時点では「何となく強い」といった評価でしかありませんでしたが、今回の活躍でもはや『イクサラン』のカードでも頭一つ抜けて強いという評価を確固たるものにしました。その名の通り相手のクリーチャーやアーティファクトを人質とし、すぐに対処しないと文字通り「取り返しのつかない」事態になってしまうくらいの強力なカードです。青をタッチしているのは実質このカードのためと言っても過言ではありません。
ですが、もともと《新緑の機械巨人》が入っていたスロットにそれを押しのけてこのカードが収まっているのは、単純なカードパワーはもちろん、《闇の掌握》を失ったことによる《熱烈の神ハゾレト》耐性の低下という理由も大きいでしょう。
「ラムナプ・レッド」はローテーションで失ったカードが少なく、依然としてスタンダード環境のトップメタに君臨しているからです。
また《人質取り》はアーティファクトも追放できるので、《キランの真意号》や《霊気圏の収集艇》などの「機体」や、《王神の贈り物》に対しても有効であり、幅広いデッキに対して機能するカードであることが4枚という思い切った枚数の採用を後押ししています。
《顕在的防御》
いかに《人質取り》が強力なカードでも、《稲妻の一撃》を構えられたり、返しのターンに《栄光をもたらすもの》に「督励」されてすぐに除去されてしまうようではその強みを発揮することができません。
ですが逆に言えば相手は「必ず《人質取り》に除去を当てなくてはならない」ので、そこに《顕在的防御》を構えてさえいれば、人質となったカードごと莫大なテンポを獲得することができるわけです。この組み合わせはプチコンボとして、今後目にする機会が増えていきそうです。
《ならず者の精製屋》
「ティムール・エネルギー」でもお馴染みの《ならず者の精製屋》はここでも採用されています。これ単体では青をタッチするほどのインパクトはありませんでしたが、《人質取り》の採用によりどうせ青を採用しているということで、安定の3マナ域として収まっています。
《不屈の追跡者》がローテーション落ちした今、緑のクリーチャーでアドバンテージがとれるカードはますます貴重な存在になっています。
サイドボード・ピックアップ!
《貪る死肉あさり》
『イクサラン』から新加入した「ラムナプ・レッド」対策として注目を浴びているのが《貪る死肉あさり》。互いに除去とクリーチャーを交換し合った後に出せば、放っておくと2点、4点、6点と毎ターンライフを回復していくので、相手としても除去を当てざるをえません。が、そうするとクリーチャーの展開が遅れたり、《人質取り》に当てる除去を温存できなくなってしまいます。
また墓地対策にもなるので、《王神の贈り物》デッキ相手にもサイドインできることを考えると、今後は緑のデッキの定番サイドカードとして定着していくことになりそうです。
《ヴラスカの侮辱》
プレインズウォーカー対策という点では《不帰+回帰》の方が1マナ軽くはありますが、《熱烈の神ハゾレト》や《スカラベの神》を意識するなら追放除去である点で埋められないほどの効果の差があります。
また、地味に2点ゲインも勝敗に大きく関わってきそうです。
《秘宝探究者、ヴラスカ》
『イクサラン』の新プレインズウォーカーもサイドに搭載されています。《秘宝探究者、ヴラスカ》は相手の残りライフを無視して勝ちにいけるカードのため、《副陽の接近》コントロールなどの《人質取り》の効かないデッキに対して、《強迫》や《否認》とセットでサイドインすることになりそうです。
まだまだ環境初期!
今回ご紹介したのは、ローテーション前のデッキに『イクサラン』からの新戦力を搭載して進化させた「スゥルタイ・エネルギー」でした。今週末の大会では、さらに洗練されたデッキが世界の大会で活躍するはずです。
既存のアーキタイプに新カードを足したもの。これまで見たこともないようなコンセプトで組み上げられたもの。そういった様々なデッキに出会えるのも、環境初期の魅力です。その中から、のちにトップメタに君臨するデッキが現れるかもしれません。
それでは、次回をお楽しみに!
この記事内で掲載されたカード
Twitterでつぶやく
Facebookでシェアする