By Atsushi Ito
『イクサラン』、発売!
それと同時にスタンダードで久しぶりのローテーションが行われ、環境は一変しました。
『カラデシュ』ブロック、『アモンケット』ブロックのカードに『イクサラン』の「恐竜」や「海賊」といった新カードが入り混じった環境で活躍するのは、はたしてどのようなカード、どのようなデッキとなるのでしょうか?
さて、今回はつい先週末、『イクサラン』発売直後のSCGOでトップ8に入賞した新環境対応の「エスパー王神」をご紹介します。
エスパー王神とは
6 《島》 3 《沼》 1 《異臭の池》 4 《秘密の中庭》 4 《水没した地下墓地》 1 《氷河の城砦》 4 《霊気拠点》 -土地 (23)- 4 《歩行バリスタ》 4 《査問長官》 4 《探求者の従者》 4 《機知の勇者》 4 《人質取り》 4 《発明の天使》 2 《マガーンの鏖殺者、ヴォーナ》 -クリーチャー (26)- |
3 《致命的な一押し》 2 《航路の作成》 4 《来世への門》 2 《王神の贈り物》 -呪文 (11)- |
4 《強迫》 3 《ヴラスカの侮辱》 3 《否認》 2 《激変の機械巨人》 2 《スカラベの神》 1 《致命的な一押し》 -サイドボード (15)- |
「エスパー王神」は前環境から存在していた「ジェスカイ王神」のコンセプトをローテーション後のカードプールに合わせた形で再現したものです。
かつて大きな役割を果たしていた《傲慢な新生子》がローテーション落ちしたために赤の役割が薄くなったところで、ちょうど黒に《人質取り》という強力な新戦力が加わり、青に次ぐ2色目として代わりに収まったようです。
ただ《王神の贈り物》というデッキタイプは前の環境からレシピが固まりきらない、デッキ構築が難しいタイプのデッキだったこともあり、ここで挙げたレシピが完成形とは限らず、まだまだ研究の余地がありそうなデッキタイプと言えるでしょう。
注目カード3選
《人質取り》
昨日紹介した「スゥルタイ・エネルギー」に引き続き、こちらのデッキでも4枚採用されています。
《王神の贈り物》デッキの場合は、2マナ域に《帆凧の掠め盗り》を採用しているバージョンもありますが、基本的には《顕在的防御》のようなカードでこのカードを守ることは考えず、むしろ一度除去されても《王神の贈り物》で墓地から追放して何度も《人質取り》を出していくことを想定しています。
《発明の天使》や《来世への門》のプレイ即起動もあり、5マナ目がキーになりやすいこのデッキにとって、4マナ域が確定で相手の対処を要求するカードになっているのは、露払いとしても優秀です。
また、《王神の贈り物》で追放した場合はマナがかかっていないので、インスタントタイミングで戦闘中に処理されない限り、第2メインに人質にしたカードをすぐにプレイできるのは利点と言えます。
《航路の作成》
《王神の贈り物》デッキから赤が抜けたもう一つの理由としては、このカードの加入が挙げられます。
重めのクリーチャーのマナコストを踏み倒して戦場に出す「リアニメイト」デッキとしての性質を有する《王神の贈り物》デッキの場合は、手札にその重いクリーチャーが固まってきてしまうドローのムラを解消する役割のカードが必要となります。ローテーション前は《安堵の再会》がその役割を果たしていましたが、今回この《航路の作成》が加わったことで、赤を入れなくても手札の整理が可能となりました。
不要なカードがあるときは第1メインにプレイ、手札を捨てる必要がないときはクリーチャーで攻撃してから第2メインにプレイという風に、状況によって使い分けられるのが強みです。
《探求者の従者》
『イクサラン』の新キーワード能力、「探検」を持ったクリーチャーも採用されています。
《王神の贈り物》デッキの場合、「低マナ域のクリーチャーを一定数確保したい」上に「土地を5マナまで安定して伸ばしたい」という需要があることに加え、「ライブラリーから墓地に直接カードを落とす」という行動はかなりのメリットになるものなので、「探検」の結果すべてがデッキに噛み合っていると言えます。
サイドボード・ピックアップ!
《強迫》
コンボデッキの性質を持つ《王神の贈り物》デッキの場合、1マナの手札破壊は喉から手が出るほど欲しかった1枚と言えます。その点でも、黒を2色目にした価値があったと言えるでしょう。
4ターン目に《強迫》でカウンター呪文を釣りだしてから《来世への門》を設置したり、仕掛ける直前に構えられた《削剥》をピンポイントで抜いたりと、サイドボード後もこれまでにない器用な動きができるようになっています。
《ヴラスカの侮辱》
墓地を使う《王神の贈り物》デッキの場合、対戦相手が出してきた《スカラベの神》を対処することは必須です。
追放除去としては《排斥》との2択になりますが、白マナが9枚で供給が多少怪しいことを考えると、ダブルシンボルでも《ヴラスカの侮辱》の方が打ちやすいでしょう。
《スカラベの神》
《削剥》などでアーティファクトは触られやすいため、サイド後は《王神の贈り物》に頼りきらないプランも必要です。
《スカラベの神》はマナこそかかりますが《王神の贈り物》に近い役割を果たせますし、生き残れば単体で盤面を制圧できるので、サイドからの追加のフィニッシャーにうってつけと言えるでしょう。
まだまだ環境初期!
今回ご紹介したのは、ローテーション前のデッキに『イクサラン』からの新戦力を搭載して進化させた「エスパーギフト」でした。今週末の大会では、さらに洗練されたデッキが世界の大会で活躍するはずです。
既存のアーキタイプに新カードを足したもの。これまで見たこともないようなコンセプトで組み上げられたもの。そういった様々なデッキに出会えるのも、環境初期の魅力です。その中から、のちにトップメタに君臨するデッキが現れるかもしれません。
それでは、次回をお楽しみに!
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