by Jeremy Dezani
Translated by Daijirou Ueno
(掲載日 2017/09/29)
「プレイヤーフォーカス」へようこそ!
「プレイヤーフォーカス」は、世界に名立たるマジックプレイヤーにインタビューする企画です。日本のみなさん、そして世界中へ彼らの事を広めていきたいと思っています。毎回違うプレイヤーを紹介しますので、楽しみにしてくださいね!
今回お迎えするのはドイツ出身のプロプレイヤー、パトリック・ディックマン (@0fe1ia) です。モダンのスペシャリストとして知られ、同フォーマットのグランプリチャンピオンに輝いたほか、2回のプロツアーベスト8入賞を果たしています。それだけでなく、ディックマンはあの《欠片の双子》コンボデッキの構築に重要な役割を果たしたことでも知られています。
インタビュー
氏名: Patrick Dickmann
年齢: 27
国籍: ドイツ
スポンサー: MTG Mintcard
現在 / 生涯 プロポイント: 171
プロレベル 2017-2018: ゴールド
職業 / マジック以外の趣味:
学生
マジックを始めたのはいつ? どのセット? マジックを知ったきっかけは?
初めて買ったパックは『エクソダス』で、僕が大体9歳のときだった。丁度町中へ引っ越したときで、僕の兄がマジックをプレイしていたんだ。僕にとってマジックのカードはとてもカッコよく思えて、マジックの遊び方を学びたいと思ったんだ。
プロプレイヤーになるまでに、あなたに一番影響与えた有名プレイヤーは?
特に誰というのはいないね。僕はいつもカバレージを読むことはしないでマジックにのめり込むだけさ。
これまでの実績:
プロツアートップ8: 2 (プロツアー『神々の軍勢』3位、プロツアー『ゲートウォッチの誓い』4位)
グランプリトップ8: 1 (グランプリ・アントワープ2013優勝)
その他: ドイツ国内選手権優勝 (2回)
好きな日本人選手とその理由:
お気に入りを一人だけ挙げるのはしたくないんだけど、仲が良いのは齋藤 友晴、津村 健志、森 勝洋だね。
他の日本人プレイヤーも彼らと同じくらいフレンドリーで敬服するけど、この3人とはプロツアーでいつもおしゃべりするんだ。とても楽しいよ。
お気に入りのフォーマットとその理由:
モダン、特に2013-2016期に《欠片の双子》デッキを回していたときだね。このフォーマットは練習と自分のデッキに対する知識が結果に結びつくし、知っておかなきゃいけない細かな相性がいっぱいあるんだ。
現時点のドラフトでお気に入りのアーキタイプとその理由:
現時点ではプレリリースでしかプレイしてないけれど、攻撃するのが好きだから白赤恐竜アグロと青ベースのテンポ重視デッキが今までのところはお気に入りかな。このセットは成立するアーキタイプが結構あるから、もう少しこのフォーマットをプレイしてみたら考えが変わるかもしれないね。
お気に入りのデッキ:
スタンダード: 赤単 (あまりスタンダードは楽しめないな。すぐ環境が変わるからデッキも変えないといけないし)
モダン: 親和
レガシー: グリクシスデルバー、《実物提示教育》 (レガシーはかなり苦手だけどね)
アグレッシブやコントロール、ミッドレンジやコンボなどでお気に入りはありますか? また、それはなぜ?
前のめりなスタイルが好きだね。テンポデッキならなんでも好きだよ。
フォーマットを問わず、今現在、特に気に入っているデッキは何ですか?
今は昔ほどはマジックをプレイしていないんだ。大学があるし、全体的にエキサイティングに感じることが少し少なくなった。前のスタンダードでは赤単が楽しかったけど、ローテーションのせいでこの先スタンダードがどんな環境になるか分からないね。
モダンに関しては、今はストームを使ってるよ。《遵法長、バラル》が加わったことですごく良くなったし、やることが明確で間違いなくTier 1デッキだね。3~4ターンキルは当たり前だし、もつれても《けちな贈り物》1枚でゲームエンドっていうことが良くあるよ。
5 《島》 2 《山》 3 《蒸気孔》 4 《沸騰する小湖》 4 《尖塔断の運河》 -土地 (18)- 4 《遵法長、バラル》 3 《ゴブリンの電術師》 -クリーチャー (7)- |
4 《血清の幻視》 4 《手練》 1 《有毒の蘇生》 4 《差し戻し》 4 《発熱の儀式》 4 《捨て身の儀式》 4 《魔力変》 2 《ぶどう弾》 1 《残響する真実》 4 《けちな贈り物》 2 《炎の中の過去》 1 《巣穴からの総出》 -呪文 (35)- |
3 《稲妻》 3 《血染めの月》 2 《払拭》 2 《破壊放題》 2 《パズルの欠片》 1 《残響する真実》 1 《四肢切断》 1 《巣穴からの総出》 -サイドボード (15)- |
1パック目の1手目、どれをピックしますか?
このパックはかなり弱いし、僕はドラフトの経験があまりないから選ぶのは難しいね。マーフォークや吸血鬼、その他多くの同じクリーチャータイプがあるけど、このアンコモンがプレイアブルであるためには多くの行程が必要だ。このレアは確かに興味深いし、速攻はすごくパワフルなキーワード能力だから真っ当なデッキにはすごく良いと思う。
でも、このレアをピックするとドラフトの最初の段階からすごく限られた方向に追いやられることになるし、対戦相手が自分がコピーしようとしたクリーチャーを除去できるスペルを持っていたら悶絶ものだね。コモンでは、2枚の「探検」持ちカードと《翡翠の守護者》は自分の意見としてはまともだと思う。《ティシャーナの道探し》はこの3枚の中ではベストかな。「探検」はすごく良い能力だし、3マナ3/3と3マナ2/2で土地1枚ドローはどちらも十分だ。それでも、多分僕は《決別の砲撃》をピックすると思う。このパックの中の他のカードのように前提条件を必要としないし、どんな戦略を取っても手堅いスペルだね。
あなたは世界でもっとも有名な《欠片の双子》プレイヤーだ。モダンにおける禁止措置についてどう思う?禁止・禁止解除に対してどんな持論がある?
《欠片の双子》の禁止は全く必要じゃなかったと思うよ。僕の意見としては《出産の殻》が支配的だったのとは全く異なって、プロツアー・アトランタへ向けてメタが推移するように禁止されたようなものだと思う。だからこのカードがいつか禁止解除されるのを望んでいるよ。グリクシスシャドウみたいなマッチアップはかなり不利なマッチアップになるだろうしね。早いクロックと《頑固な否認》みたいな妨害スペル、軽い除去があるからね。なんで《欠片の双子》が禁止され続けているのか分からないけど、多分みんなこのデッキが環境にあるのを心地良く思わないんだろうね。
若くしてプロツアートップ8に二度入賞し、両方ともモダンでした。2度特別な瞬間を味わってどんな気持ちでしたか?トップ8の試合の中で何か悔やむプレイはありましたか?
特別だったのはバルセロナで、僕がまだ全然経験がないときのことだね。僕はそれまでプライベートでとても不幸な経験をしていたから、サミュエル・パーディーにバブルマッチで勝ったときに感極まったし、何かで成功を収めると自分のことについて良く思わせてくれるね。僕は自分のひどいミスプレイに気づいていなかったんだけど、準決勝で負けた後は打ちのめされたね。ひどく機嫌が悪かったよ。
2年後のアトランタでは、前シーズンに僕はポイントが足りなくてゴールドレベルから落ちていたから、これが最後のプロツアーだと思っていたよ。でもモダン部門で9-0-1の成績を残したから準決勝にまた入ったんだ。そこで負けちゃったんだけど、ここまで成し遂げられて嬉しかったし全く後悔を感じなかったよ。
たくさんのプロプレイヤーと対戦してきましたが、誰が最も難しい相手ですか?また、その理由は?
僕には「ライバル」はいないんだけど、ショーン・マクラーレンを打ち負かしたことはないんだ。多分生涯で0-5とかそんなもんじゃないかな。
ショーン・マクラーレンとパトリック・ディックマン
それにしても、なんで彼に勝てないか分からないよ!
あなたは過去3年間ワールド・マジック・カップのドイツ代表キャプテンでした。今回のキャプテンは新しいHareruya Prosのマルク・トビアシュさんですが、昨年Marcさんと一緒に同大会を戦ってきたあなたから、Marcさんについて何か私達に教えていただけることはありますか?
ワールド・マジック・カップでドイツのキャプテンでありたいのは当然なんだけど、マルクはキャプテンにふさわしいね。
マルク・トビアシュ
彼は僕よりも多くマジックをプレイしていて (昨シーズン僕は3つのグランプリしか出場しなかった)、ついにプロツアー『アモンケット』で目を見張るパフォーマンスを発揮できた。だから、才能あるプレイヤーとして彼はキャプテンにふさわしいね。彼がどうチームを引っ張っていくのか興味深いよ。
知らない人もいますが、あなたには『欠片の』双子、ファビアン・ディックマンさんがいますね。彼もグランプリとプロツアーに出場しています。一緒にトーナメントに向けて準備をしたり、マジックについて話したりしますか?プレイヤーとして兄弟で違いはありますか?
普段はトーナメントに持ち込むデッキについて2人で議論しているよ。でも彼は今はそんなにプレイしていないんだ。僕らは似通ったプレイスタイルで同じようなデッキが好みだね。
ファビアンとパトリック
彼は多分僕よりも良いリミテッドプレイヤーだけど、僕は構築に関してもっと経験があるね。彼は練習すればプロツアーの常連になれると僕は確信しているよ。
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