どのエネルギーデッキをプレイすべきだろうか?

Pierre Dagen

Pierre Dagen

Translated by Kenji Tsumura

原文はこちら
(掲載日 2017/11/20)

イントロダクション

やあ、また会ったな。

俺はプロツアー『イクサラン』、そしてその翌週に開催されたグランプリ・ワルシャワ2017というふたつの重要なスタンダードの大会を終えたばかりだ。

もともとグランプリ・ワルシャワに参加する予定はなかったんだが、友人が俺の分の航空券も予約してくれていたらしく、そのうえ今のスタンダードを正しく理解できていると感じていたもんだから、この大会に参加することは魅力的に映ったんだ。

どちらのイベントでもそこそこ上手くやれたよ。プロツアーでは7勝3敗だったものの (これは3回連続となるトップ50入賞に値する十分な成績だった。俺は平凡な成績を象徴する存在ってとこかな) 、グランプリでは11勝4敗だった。

今の特殊なスタンダード環境がどのようなものか、また、変更可能なスロットを使ってどのようにデッキ構築すべきかを粘り強く伝えることもできるが、包括的な内容で読者諸君に退屈な思いをさせるわけにはいかないよな。

そこで本日の記事では、俺がプロツアーで使用したスゥルタイ・エネルギーについてどう感じているかをもとに書いていこうと思う。そうすることで、今のスタンダード環境全体がどのようになっているのかを理解できるだろう。

それじゃあ始めようか。

なぜスゥルタイを選ぶのか?

スゥルタイのリストを作るにあたって理解しておくべきなのは、ティムールを真っ先に意識して構築しなければいけないということだ。今日に至るまで、ティムールは依然として環境を定義する存在であり続けている。ティムールが環境で唯一のデッキというわけではないが、紛れもなく最高のデッキだ。

また、スゥルタイは他のマッチアップではそれほど苦戦することがない。このデッキは序盤のマナカーブがしっかりしているし、おかげで赤単にはダメージレースを繰り広げることができる。そしてコントロールデッキに対しては完璧なサイドボードカード (《強迫》《否認》は凶悪なワン・ツーパンチだ) があり、アブザン・トークンやエスパー・《王神の贈り物》といった横並びのデッキに対しても、十分な積極性をもってしてそれらのデッキを苦戦させることができる。特にサイドボード後にはな。

強迫否認

概して、この記事はエネルギーデッキがいつだってスタンダードで最高のデッキであるという確固たる信念のもとに記している。スタンダードで勝ちたいということは、正しいエネルギーデッキを正しいタイミングで選べるかどうかってことと同義なのさ。

スゥルタイは “対戦相手よりも軽く” という戦略のもとに構築されたエネルギーデッキだ。つまるところ、環境に存在する他のデッキよりも少し軽めのマナカーブで、なおかつ4枚ずつの《牙長獣の仔》《巻きつき蛇》《光袖会の収集者》をもってして爆発的なスタートを切れるようにしておくべきだ。

牙長獣の仔巻きつき蛇光袖会の収集者

ティムールは5マナ域の過剰なまでに強力なカード (言い換えるならば暴力的なやつら) をあてにしているため、それらを複数枚唱えられてしまう前にゲームに勝利するように試みよう。この点において素晴らしいのは、スゥルタイがそれを実行するために信じられないほどよくできたデッキだということだ。

これはスゥルタイの脅威がティムールの除去呪文よりも軽いこと (こちらの “見たら即除去” のクリーチャーが2マナなのに対し、ティムールの除去呪文は2マナ~5マナ) のみならず、《巻きつき蛇》《ピーマの改革派、リシュカー》《牙長獣の仔》の組み合わせによって容易にクリーチャーをタフネス5まで成長させることができるからだ。タフネス5ってのは魔法の数字で、《反逆の先導者、チャンドラ》《栄光をもたらすもの》を無意味なものへと変えてしまう。

さらにスゥルタイは《スカラベの神》《逆毛ハイドラ》、そして《顕在的防御》など、ティムールにとって対処が難しい脅威を大量に擁している

スカラベの神逆毛ハイドラ顕在的防御

少なくとも、これがスゥルタイ本来の狙いだった。だが公正を期して言うならば、これは環境の初期段階において大きな成功を収めるには至らなかった。それはなぜだろうか?その理由としてはティムールがデッキとしてあまりにも秀逸であることが挙げられる。

安定したマナ基盤に最低でも10枚の除去呪文、それに複数の《本質の散乱》がここまでに述べてきた事柄を妨げてしまう。ティムールは概して序盤の攻勢を抑え込むことができ、そしてスゥルタイを打ち負かしてしまうんだ。これから紹介する2つの事象が起こったのはこれが原因さ。

これらふたつは、基本的に同じことを意味している。全てのエネルギーデッキは不安定で重いデッキになり、ミラーマッチで対戦相手より1枚でも多くのフィニッシャーとなる神話レアを唱えるようデザインされているということだ。

これによりアグレッシブなスゥルタイは素晴らしい選択肢へと変化したため、プロツアーではスゥルタイを使用したってわけだ。俺は自分のリストが好きだし結果も良好だったが、セス・マンフィールド/Seth Manfieldがスゥルタイで優勝をかっさらった以上は俺のリストを紹介する理由は見当たらないな。

このリストは重い構成のエネルギーデッキを倒すために最適なバランスと言える。大量の序盤の脅威とそれをバックアップする軽い妨害呪文、さらには対戦相手が序盤をやり過ごして終盤戦に差し掛かってしまった場合の備えも万全だ。

今後に向けてこれが意味するものは?

それにも関わらず、俺はワルシャワでスゥルタイを使用しなかった。なぜかって?それは “どうやって強欲ではない純正3色のティムールを倒すのか” という問題を解決できなかったからだ。おそらく君たちもそうだろう。そして、このマッチアップこそがスゥルタイをスタンダードでナンバー1の座から遠ざけてしまっているんだ。

削剥反逆の先導者、チャンドラ栄光をもたらすもの

先述の通り対戦相手が《削剥》4枚、《反逆の先導者、チャンドラ》3枚、《栄光をもたらすもの》4枚といったリストの場合、攻撃的でシナジーめいた戦略で打ち勝つのは難しい。対戦相手はこちらの攻勢を削ぐに十分な術を手にするだろうし、3色のマナ基盤はそれらをおりよく使用させることを可能にしてこちらの攻撃をシャットアウトしてしまう。

もちろん黙ってそれを受け入れる必要はないし、黒が提供してくれる《スカラベの神》《秘宝探究者、ヴラスカ》といった終盤戦に優れたカードを用いて長期戦で勝利することを目指してもいいだろう。

スカラベの神秘宝探究者、ヴラスカ

ただし、4色ティムールとの疑似ミラーマッチで負ける可能性があり、赤単に弱く、積極性を失ってしまったためにサイドボードに大量の対策カードを用意しない限りコンボデッキにすら負けてしまう可能性のある “劣化版4色ティムール” をプレイしているという事実を除けば、の話だが。

言い換えるならば、 (そしておそらく君が覚えておくべき最も重要な事柄は) スタンダードでプレイできるデッキの中で3色のティムールが群を抜いて強いということだ。もしもティムール討論会が開催され、全てのティムールプレイヤーが永遠に黒を足すこともなく同型をメタったりしないという誓いを立てたのなら、3色のティムールはスタンダードを完全に支配してしまうだろう。対面に座るのは相性の良いデッキか、勝率が50%のミラーマッチしか存在しないんだからな。

ところが、未だこの討論会は開催されていない (それか討論会の面々が俺を招待しなかっただけかもな) 。よってティムールはさらに勝ち続けるだろうし、多くのプレイヤーはミラーマッチを制するために4色のリストをプレイするだろう。すると3色のティムールは良い選択とは言えなくなり、スゥルタイ・エネルギーこそが環境で最高のデッキとなる。以上だ。

なにかとんでもないことでも起こらない限り、 “3つのエネルギーデッキ” によるダンスは新セットがリリースされるまで続くと思う。ひょっとしたら『カラデシュ』がローテーションでスタンダードを去るまで続いちまうかもな。てなわけで、今後どのように踊るべきかを状況別にまとめておこう。

じゃあ、またな。

ピエール・ダジョン

この記事内で掲載されたカード

関連記事