GPアトランタへの旅路とトップ8レポート

Petr Sochurek

Translated by Daijiro Ueno

原文はこちら
(掲載日 2017/11/22)

みなさん、こんにちは!ペトルです。また会いましたね!今日はグランプリ・アトランタ2017における僕の体験をシェアしようと思います。

数か月前、プロツアー『イクサラン』の後にこの旅に参加することにしました。マーティン・ヘリス/Martin Hrycej、ニールス・モーレ/Niels Molle、そして彼のガールフレンド、ミワ/Miwaと一緒にね。

僕は何に対してもオーケーな人間なのですが、どうでもいい些細なことで延々と議論するのは嫌いなのです。僕にとって重要なことではないですしね。だからグループチャットにはあまり参加しなかったのです。プロツアーの後の日曜日は、チームメートのセス・マンフィールド/Seth Manfieldの応援のために会場に行く予定だったのですが、グループチャットを見ていなかったせいで、起床したときにはあと1時間で出発しなければいけないことに気づかず、空港で車を借りられる所を見つける必要が生じてしまいました。ラッキーだったのはアメリカではどこに行ってもタクシーがあったので、それほど大事には至らなかったことですね。でも僕にとってはちょっと忙しかったかな。

アリゾナ州を通って旅したのですが、道中で無限に続くような素晴らしい場所の数々、とりわけあのグランド・キャニオンを望みました。素晴らしいだろうと思っていましたし、期待もしていました。でも目の前に現れたのは完全に僕の想像を超えたもので、そこはとてつもなく巨大、まさに荘厳で素晴らしい景色の数々でした。

アリゾナ州にて

その他にも目の前の道そのものがとても楽しかったですね。奇妙に聞こえるかもしれませんが、僕のような大きな街から来た人にとっては、周りに一台も車がない砂漠の地を通って旅するということを考えれば自然なことですね。

僕とマーティンは飛行機の予約を取るのが大変遅くなるという大失敗を犯してしまいました。乗り継ぎしてアトランタに朝5時に到着する他ないという結果を招きましたね。僕らのプランは6時までにAirbnbの宿泊先に着いて(ニールスとミワはもうそこにいました)、4時間眠ること(スリープ・イン・スペシャルに感謝!)でした。でもそんな幸運には恵まれていなかった様です。僕らの荷物は届いておらず、実は前の便と一緒に到着していたことにすぐ気づきましたが、貴重な時間を潰してしまい落ち着くのが遅くなってしまいました。しかし、最大の問題は他にありました。

宿泊先に問題があったのです。Wi-Fiは使えず、綺麗とは言えない部屋で、ニールスは憤慨していました。それは間違いなくAirbnbのせいだし、最悪だと思いましたが、同時に僕らは数時間後にはグランプリで試合をしなければいけない状況だったので、彼が次に取った行動は優先度を考えると正しくありませんでした。彼は僕らを早くに起こし、電話で議論を始めたのです。結局彼が別のホテルに移動することに決めたので、僕らは荷物を抱えたまますぐにここを出ていかなければなりませんでした。

会場にはかなり遅れて到着しました。でもグランプリの進行はいつも遅いので、大事には至りませんでしたね。しかし荷物をどうにかしなければなりませんでした。僕らの荷物をホテルに届けてくれたミワとレイチェル(僕の友達です)、本当にありがとう!

グランプリ・アトランタ2017

僕達はトーナメントが始まる週になってもあまり練習はしませんでした。延々とマジックをプレイした月の後だったので、少し疲れていましたね。一息つけて嬉しかったですが、メタゲームとカード選択については頻繁に話し合いました。そしてエネルギーデッキで臨むことになるだろうとは確信していました。他のデッキはとても弱いか、賭けに出るようなものですからね。単純に他のデッキを選択するよりも良いことですし、調整次第でどんなデッキにも勝てますね。僕達が最も議論したことは、《スカラベの神》が黒をタッチするのに値するかということです。

つむじ風の巨匠霊気との調和スカラベの神

共通の考えとしてあったのは、ミラーマッチがたくさん起こることを予想するなら黒をタッチするのは良いことだし、メタゲームがもっと広いと予想したらよりテンポ良く強みを押し付けられるティムールのままが良いということです。このアイデアの根底にあるのは、デッキのカードパワーが対戦相手のそれよりも高く、多数の試合の中でアンタップで土地を置いて、色事故も起こさないことが望ましいということです。それでも、僕は反対でした。ほとんどのプレイヤーが抱える大きな問題は、彼らはいつも1ゲーム目だけを考えているということです。

1つ秘訣を教えましょう。もし勝敗が1ゲームだけで決まるならば、僕は今までグランプリでトップ8を獲得できずにいたでしょう。それは僕が下手だからではなくて、サイドボードを含めて最強になるようにデッキを作り上げているからです。サイドボード後の試合の方が、メインボードのみの試合よりも多いという事実があるので、それを念頭において考えるべきなのです。 相手が同じ概念を持っていたとしても、僕はこの方法で勝負に臨むでしょう。おそらく皆は4色のサイドプランを好み(ゲームの低速化を意味しますね)、自分だけでなく対戦相手も多くの解答を持つことになります。しかし彼らは相手がさらに多くの解答を持っていると予想し、追加で重いカードを入れるでしょう。そしてしばしばロングゲームの激しい戦いになり、その様な状況では《スカラベの神》以上にパワフルなカードは存在しないでしょう。

こちらが僕とマーティン、ニールスが用いたデッキリストです。


ペトル・ソフーレク「4Cエネルギー」
グランプリ・アトランタ2017

3 《森》
2 《山》
1 《島》
1 《沼》
1 《隠れた茂み》
4 《霊気拠点》
4 《植物の聖域》
3 《尖塔断の運河》
3 《根縛りの岩山》

-土地 (22)-

4 《導路の召使い》
3 《牙長獣の仔》
4 《ならず者の精製屋》
4 《つむじ風の巨匠》
2 《逆毛ハイドラ》
2 《栄光をもたらすもの》
2 《スカラベの神》

-クリーチャー (21)-
4 《霊気との調和》
1 《マグマのしぶき》
4 《蓄霊稲妻》
3 《削剥》
1 《領事の旗艦、スカイソブリン》
3 《反逆の先導者、チャンドラ》
1 《秘宝探究者、ヴラスカ》

-呪文 (17)-
2 《否認》
2 《破滅の刻》
2 《自然に仕える者、ニッサ》
1 《貪る死肉あさり》
1 《多面相の侍臣》
1 《チャンドラの敗北》
1 《マグマのしぶき》
1 《削剥》
1 《人工物への興味》
1 《至高の意志》
1 《慮外な押収》
1 《王神、ニコル・ボーラス》

-サイドボード (15)-
hareruya


ならず者の精製屋秘宝探究者、ヴラスカ栄光をもたらすもの

このリストは良かったと思います。でも他のプレイヤー達を少し過小評価していましたね。延々と続くティムールミラーをやりたくない、だからプロツアー決勝ラウンドからデッキをピックアップするという人がたくさんいるだろうと思ったので、《王神の贈り物》デッキとスゥルタイを念頭にデッキを組みました。誤解してほしくないのは、これらのデッキがゴミだと考えているわけではないということです。でも僕は他の人達がこのことに気付いていないだろうと思いました。

削剥

結局《削剥》は1枚余分で、コントロールに対して弱すぎるものでした。完全に間違いでしたね。僕の意見としては、アグロがいるのでコントロールは良い選択ではないと思いました。でもデッキ自体は良いし、エネルギーに続く第二の選択肢だったので、一定数の人が賭けに出てコントロールを選択したのは合点がいきますね。サイドボードに少なくとも1枚はコントロール対策のカードを用意するべきでした(筆頭は《呪文貫き》です)。

破滅の刻

期待以上の効果を発揮したのは《破滅の刻》です。トーナメントに持ち込んだ主な理由はスゥルタイに対して素晴らしいことと、吸血鬼デッキが一定数いるだろうと予想したからです。実際マーティンは6回戦目でそのデッキと当たりました。

これら2つの独創的なデッキが未だに《破滅の刻》をプレイする理由になるかどうかは分かりませんが、結論としてはこのカードはミラーマッチにおけるトップデッキ勝負で輝くと言えます。このカードを想定している人達に対してどれぐらい効果的か確信は得られませんが、おそらく依然素晴らしいでしょう。良い使い方ができないとき(多くの場面で全体除去として使うことを強いられ、ただ単に戦場を空にする結果になる)が依然あるにしてもです。例えば、対戦相手は《逆毛ハイドラ》《牙長獣の仔》をタフネス6にするためにエネルギーを貯められますが、ほとんどのプレイヤーは《つむじ風の巨匠》の飛行機械・トークンのためにエネルギーを使うので、それらを完全に除去することができます。

トーナメントの間、僕はすごくラッキーでした。バケーションが僕を救ったわけではないですよ。他にすること、考えることがあって、そのことが僕の闘志を燃やし勝ちへの欲求を高めました。そしてトーナメント中は素晴らしいプレイができました。ミスも確実にありました(ほとんどはマリガン判断かサイドボーディングですね)。でもめったに咎められることなく、たくさんのゲームで対戦相手は土地事故などと格闘していました。マジックとはそういうものだと思いますが、ベストを尽くすべきですね。だから時が来たら上手くやるだけです(あなたの名前がブラッド・ネルソン/Brad Nelsonやコーリー・バウマイスター/Corey Baumeisterで、すべての大会をぶち壊す存在じゃなければね)。

初日は9-0で終わりました。僕のヨーロッパの友人、オスカー・クリステンセン/Oscar Christensenを破ってね。彼は4色Jaberwockiデッキ(《致命的な一押し》《光袖会の収集者》《ヴラスカの侮辱》、そして《豪華の王、ゴンティ》のために黒を多くしたエネルギーデッキ)を使っていて、2本目で僕はサイドボードミスを犯しました。《破滅の刻》を入れなかったのです。彼は僕がそのカードを持っているのを知っている上に、彼のデッキは通常のエネルギーデッキと比べて持ち直しが容易でした。そして僕はより軽い除去を《光袖会の収集者》に当てたくて、全体除去を入れたくなかったのです。

でもそれはまず間違いでしたね。《破滅の刻》の効果はあらゆるゲームで強力で、プレイする価値があるということが分かったのです。《破滅の刻》があるのが分かっていても、対戦相手が展開を強いられる状況が本当に沢山ありました。僕はこのミスのせいで2本目を落としました(《破滅の刻》に替えるべきだった《栄光をもたらすもの》を手札に抱えたまま)が、3本目で彼はマナスクリューに陥り簡単に勝つことができました。やれやれ。

その後皆でレイチェルの誕生日を祝うために夕食に行きました。そして僕は初日の成績について誇らしく思いましたね。でも同時に次の日は打ちのめされるのではないかと心配になったので、早めに眠ることにしました。 .

2日目の最初の2ラウンドに勝ったため、次の3回戦の内1勝さえすればトップ8を確実なものにできるところまで来ました。しかし続く2回戦は負けたので、ひどく緊張するはめになりました。僕とブラッドとコーリーでうろついていたところ、誰かが「シャヒーン・スーラニ/Shaheen Sooraniが2敗ラインにいて、僕らの内何人かが彼と当たるかもしれない」と言っていたため、彼のプロツアーでのフィーチャーマッチを見ることにしたのです。彼はノア・ウォーカー/Noar Walkerと友達でもあったため、ノアは僕に「シャヒーンはティムールに負けたことがない」と教えてくれました。なので彼とは当たらないようにと願いました。ペアリングが発表されると、案の定僕とシャヒーンはフィーチャーマッチに上がることになりました。

1本目はものすごくフラストレーションが溜まる試合でした。戦場に展開せずに3ターン目を返すと、シャヒーンはターンエンドに青マナを出し、その後そのまま土地を起こしてドローしました。たくさんの人がこれを見逃していたと思いますが、実はこれはとても興味深いことでした。実力のないプレイヤーは彼が《検閲》を「サイクリング」しようとしたと思ったかもしれませんが、僕はシャヒーンがそんな情報をこちらにタダで提供することはないと分かっていました。だから彼は《検閲》が手札に有るかのように振る舞っただけだと思ったのです。

検閲反逆の先導者、チャンドラ

4ターン目、僕の手札は《反逆の先導者、チャンドラ》《栄光をもたらすもの》、そして《スカラベの神》でした。そして《検閲》の前で《チャンドラ》をプレイすべきか決心しなければなりませんでした。もし彼が《天才の片鱗》のためのマナを持っていれば即座にプレイしたでしょう。もちろんまだ手札には2枚もビッグアクションが残っているのは分かっていたのですが、彼のデッキには解答がたくさん有りました。でもプレインズウォーカーに対する解答はそんなになく、待ってから僕の最も大切なカードの内の1つを《検閲》されるのはそんなに良いことだと思いませんでした。彼の《検閲》「サイクリング」のフリがなければ待っていたでしょうが、素直に《チャンドラ》をプレイすることにした結果、彼はオーケーと言ったのです。

その時点で1本目をものにしたと思ったのですが、彼は《チャンドラ》《ヴラスカの侮辱》をプレイしたのです。それから僕は土地をたくさん引いてしまって、彼の方は常に《天才の片鱗》《至高の意志》を解答としてプレイできました。ある時点で、彼は生き残るために2枚目の《ヴラスカの侮辱》が必要な瞬間がありました(プロツアーでは1枚のみプレイしていました)が、それをやってのけました。そして僕は打ちのめされました。2本目は初手をマリガンしました。それを受けて、集中しパニックにならず自分の緊張を抑えなければなりませんでした。幸運なことに2、3本目のドローは素晴らしく、比較的簡単に勝つことができました。

ついに最終ラウンドです。引き分けは僕にとって充分だということは分かっていましたが、対戦相手にとっては不確定でした。他の試合の結果に大きく依存しますからね。彼にはこう説明しました。「もし僕達が戦ったら、あなたは大体45%の確立で決勝ラウンドに進めるでしょう。でも僕達が引き分けたならその確率は上がるはず……」。誰が勝ったとしても、他の卓の勝者は50%の確率で決勝ラウンドに進めるような状況で、僕の対戦相手のライバル達はほぼ確定で決勝進出を決めていました。だからもし希望とは異なる人が勝っても、彼は上に上がれるはずでした。ほとんどの人がそうであるように、彼も最初は戦いたかった様です。自分の運命を自分の手に託して。でも僕はもう一度彼に「順位は数字にすぎない、そしてもしトップ8に進みたければ、引き分けにすべきだ」と説明しました。最終的に彼はトップ8に上がるための最高の機会を得て、そしてそれを成し遂げました。僕は心から安心したのです。

僕が言ったことは自分に都合が良いことだと分かっていますが、同時にそれは本当のことだと言えます。本当にあの対戦相手はあの時点で引き分けを選ぶべきだと思いました。最終的に、タイブレイカーの低いプレイヤーたちが勝利し、僕達は2人ともトップ8に進めることになりました。ほら、正しい決断だったでしょう!

僕はトップ8で速やかに敗れ去りました。マルドゥ機体の対戦相手は神がかった引きで、一方僕は2本目で2枚の呪文と《マグマのしぶき》を含む6枚の手札をキープし、そして2枚目の土地が見つかりませんでした。トップ8の試合では何も間違ったことはしなかったと思っていますが、それがマジックというもので、負けるときは負けるのです。この結果は直近のプロツアーで抱えていた気持ちを楽にしてくれて、今でも満足しています。

今週末はマーティン・ジュザ/Matrin JuzaとHareruya Prosの同僚、グジェゴジュ・コヴァルスキ/Grzegorz Kowalskiと共にグランプリ・リヨン2017に参戦する予定です。

僕たちに幸運を!

ペトル

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