Translated by Yoshihiko Ikawa
(掲載日 2018/01/02)
こんにちは!
今日は少し前に組んでから調整を続けて、良い結果を残している、素敵なモダンのデッキについて書いていこうと思う。基本的な構造は青黒コントロールデッキで、今はこんなリストになっている。
1 《島》
1 《湿った墓》
1 《神聖なる泉》
1 《神無き祭殿》
1 《草むした墓》
4 《汚染された三角州》
4 《湿地の干潟》
3 《闇滑りの岸》
-土地 (18)- 4 《ヴリンの神童、ジェイス》
1 《幽霊議員オブゼダート》
2 《黄金牙、タシグル》
1 《グルマグのアンコウ》
4 《グリセルブランド》
-クリーチャー (12)-
4 《思考掃き》
4 《致命的な一押し》
4 《思考囲い》
2 《コジレックの審問》
4 《御霊の復讐》
2 《集団的蛮行》
2 《未練ある魂》
4 《ヴェールのリリアナ》
-呪文 (30)-
僕の意見では、コントロールデッキはリソースを交換する手段だけでなく、素早くゲームを終わらせられる手段を必要としている。これはなぜかというと、モダンはとても多様なフォーマットであり、大会で対戦するであろうすべての脅威に対して正しい解答を持たせようとチューンすることはまず不可能だからだ。ここでいう解答とは、特定の種類のカードをプレイするのではなく、どんな脅威に対しても1対1でリソースを交換できるカードのことさ。
一般的なコントロールデッキは除去に偏った構築になりがちで、クリーチャー除去呪文を過剰に積んでいる。これにより、勝ち手段をクリーチャーでの戦闘に依存しないデッキと当たったときには、座ったアヒルのようになってしまうんだ。コントロールデッキの範疇であるため平均的なデッキよりもクロックは低く、もしダメージレースを挑めないなら、対戦相手と効果的な交換ができなければ、まず勝つことはできないだろう。
これが、トロンやタイタンシフトといったビッグマナデッキ、アドグレイスや青赤ストームのようなコンボデッキ、そして呪禁オーラやドレッジのような別軸のデッキが1ゲーム目において基本的に無敵な存在である理由だ。サイドボードのスロットには限りがあるので、これらのマッチアップに対しては、サイドボード後ですら普通のコントロールではなかなか太刀打ちできないだろう。
最も汎用的な解答は打消し呪文だ。序盤から終盤のトップデッキ合戦まで、どんなシチュエーションでも優秀だからね。ただしモダンにおいては、消すべき脅威がとても軽いため着地を防ぐのが難しく、またモダンで使える打消し呪文自体も、対象が狭いかコストが重いかという限られたものしか使えないため問題がある。
次に汎用的なのが手札破壊呪文だ。常にたった1マナという軽さで相手の1枚と交換することができるからさ。ただし、手札破壊は2つの大きな欠点を持っている。
1) 手札破壊呪文は、テンポを損している。もし相手の呪文をカウンターしたいと思っても、先に手札破壊呪文をプレイしないといけないし、もし手札破壊をしたとしても、他の呪文をプレイされてしまうと、手札破壊のためにプレイしたマナ・ターンが無駄になってしまうからね。
2) 手札破壊呪文は、対戦相手がライブラリートップから呪文を唱え始めるとあっという間に死に札になる。これは典型的なコントロールデッキのように長期戦を臨むデッキにとっては特に重要だね。ゲームの流れをコントロールし、自分が優れている長期戦を活用するためにリソースを交換していく、これがコントロールデッキの基本的な勝ち方なんだけど、長期戦で死に札を引きすぎるとその勝ち方がうまくいかなくなるんだ。
手札破壊を活用するためには、テンポの良いアクションをして状況をイーブンに持っていく必要がある。環境の速いデッキの大部分は様々な形ではあれ勝つためにはクリーチャーに依存しているので、大抵は軽量除去がその役目を担うことになる。これはバーンや青赤ストームといったデッキも含む。なので《致命的な一押し》がテンポを取り戻し、2アクション取ることによって手札破壊をプレイした分のテンポロスをリカバーしてくれるんだ。
このアプローチを用いると、先に述べたような、クリーチャーに依存していないデッキに対してはさらに弱くなる。だがそれはそれで機会が生まれることになる。なぜならそういったデッキはシナジーに基づいたデッキ構成になっているため、勝つためには複数枚のカードを組み合わせる必要がある。この場合は手札破壊呪文が対戦相手を十分減速させることができるので、テンポロスがあまり問題にならなくなる。
2番目のポイントはもっと問題だ。これらの問題を解決できているコントロールデッキを組み上げるのは難しい。 なぜなら、死に札を引いても問題ないぐらい十分なアドバンテージを稼いでくれるエンジンを持つ必要があるか、その死に札が影響を及ぼさないほど速く対戦相手を倒す必要があるからだ。しかしながら、これらのアプローチを両立させるのは難しい、なぜなら対戦相手とリソースを交換するためのカードが大量に入っていて、スペースが限られているからね。
今回紹介したデッキリストは、ここまで述べたすべての問題点をクリアと考えているものなんだ!
対戦相手への解答
このカテゴリーは、まさに僕が話したものだね。積極的に対戦相手とリソースを交換できるカードを用いて、対戦相手を勝利から遠ざける。特筆すべきなのは、ここで採用されているカードたちがどれもこのフォーマットにおいて最もマナ効率がよく万能な解答だということだ
また、これらのカードは「エンジンを動かすこと」そして「十分に守りを固めつつ勝利へ向かうこと」という二つの役割を果たしてくれるんだ。
勝ち手段
これらの脅威はとても軽く(《グリセルブランド》と《幽霊議員オブゼダート》はたった2マナで、インスタントタイミングで戦場に出せる)、そして攻めても守っても優秀だ。メインの勝ち手段は、エンジンであると同時に妨害パッケージとも相性が良い。
速度を成立させたり、デッキの潤滑油となるもの
これらのカードは、デッキを掘り、デッキの様々なカードを燃料にすべく墓地にカードを落としてくれる。
どのようにこのデッキが動くのか
このデッキの中心が《ヴリンの神童、ジェイス》と《御霊の復讐》だ。どちらも2マナととても軽いカードだが、強烈なパンチを秘めている。このフォーマットにおいて最速のデッキはどうだい?
《ヴリンの神童、ジェイス》は速ければ3ターン目に変身するし、ルーティング効果はこのデッキにおいて《グリセルブランド》や《幽霊議員オブゼダート》を墓地に送れるという素晴らしいものだから、常に除去の対象となる。なのでもし相手がジェイスを殺せなかったら、通常は即座に、もしくはプレインズウォーカーのアドバンテージによって、どちらにせよゲームに勝利することになる。もし相手がジェイスを殺したとしても、それは相手が除去のためにマナを使っているので最低限の役目は果たしているといえる。
よくあるパターンとしては、ジェイスを2ターン目にプレイして相手が返しに除去。しかしジェイスは伝説のクリーチャーなので《御霊の復讐》で速攻がある状態で戦場に戻ってくるんだ。即座にルーティングして、ファッティを捨てるとともに変身させようじゃないか。
「変身」により追放されても、別の新しいカードとしてみなすので、《御霊の復讐》の遅延誘発型能力で追放されない。なのでプレインズウォーカーを戦場にキープしながら、すぐさま「-3」で同じ《御霊の復讐》を再利用し、ルーティング能力で捨てたばかりのファッティを戦場に戻すことができる。
このシークエンスは、最終的に《グリセルブランド》で7点アタックし、21枚のカードを引くことで、次のターンに対戦相手を確実にズタズタに引き裂く下準備をしてから終了となる。
《幽霊議員オブゼダート》がこのカテゴリーに含まれているのは奇妙に見えるかもしれない。だがこのカードは見た目よりもはるかにパワフルなんだよ。《幽霊議員オブゼダート》はターン終了時の誘発型能力を《御霊の復讐》の遅延誘発型能力より後にスタックに乗せよう。
この方法だと、自身の誘発型能力が《御霊の復讐》の誘発型能力よりも先に解決されて追放される。そして《御霊の復讐》の誘発型能力は立ち消え、次のアップキープの開始時に無事《幽霊議員オブゼダート》が戦場に帰ってくるんだ。2点ドレイン付きのこの5/5速攻クリーチャーは、ソーサリータイミングの除去や《致命的な一押し》が効かないので非常に倒しにくい。また、もし頑張って《幽霊議員オブゼダート》を倒したとしても、同じプロセスでもう一度《幽霊議員オブゼダート》が走ってくるだろう。
《幽霊議員オブゼダート》と《グリセルブランド》はどちらも7点分の打点があるので、3回攻撃するだけでゲームに勝利することができる。基本的にはまず《グリセルブランド》を戦場に出し、その能力で引き増した後、次のターンに《幽霊議員オブゼダート》ともう1枚の《グリセルブランド》が戦場を駆け抜けることになるだろう。
フェッチランド+ギルドランドのマナベースがモダンでは普遍的だから、もともとライフが減っていることが多いし、《グリセルブランド》で「探査」クリーチャーと2枚目の《グリセルブランド》の準備をして次のターンにそれらを出すだけで十分なことも多い。《集団的蛮行》は残り数点のライフを削ることもできる。このように、一度《グリセルブランド》が走れば、通常は2ターン以内に勝利することができるだろう。
この《グリセルブランド》エンジンは、自分の除去呪文が死に札になっているときにゲームを終わらせてくれる「速いクロック」と、例えば《未練ある魂》のようなカードでチャンプブロックするなどして攻勢を耐えようとも、14-21枚のドローにより追加の軽い脅威を引き増すことにより、長期戦を勝ちきってくれるだけの「継続力」の両方を提供してくれる!
このデッキがうまく機能する理由は、偶然も含めてほぼ確実にペイオフカードを墓地に送ることができるからだ。もし《血清の幻視》でトップが知っていれば《思考掃き》で自分のデッキを削ることができるし、《ヴリンの神童、ジェイス》でのルーティングや《ヴェールのリリアナ》《集団的蛮行》といったカードでタダ同然に墓地に送ることができる。ピンチのときには《思考囲い》を自分自身を対象にプレイして捨ててもいい。
《未練ある魂》は一見デッキに合わないように見えるかもしれない。だけどこのカードは、大量に入った墓地肥やしカードによって自動的に墓地に行くので、ほとんどタダ同然にプレイできて、いくつかのマッチアップで時間を稼ぐことができるんだ。 また、サイドボードのスペースを空けた上に、手札破壊・除去・プレインズウォーカー・《黄金牙、タシグル》《グルマグのアンコウ》といった軽い脅威で戦うフェアゲームを行うというセカンドプランへの橋渡し役にもなっている。
サイドボード
サイドボードについて話そうとしたとき、メインボードのマナベースに《草むした墓》が採用されていることに気づくことだろう。これは《突然の衰微》のために採用されている。対戦相手は往々にして《安らかなる眠り》や《大祖始の遺産》といったカードをサイドインしてくるからね。
これらのヘイトカードに対しての解答をサイドインする場合、ただそのヘイトカードに対処できるだけでなく、ヘイトカードに対処する必要がなかったり対戦相手が引いていなかったときに、クリーチャー除去としても機能するカードを僕は好んでいる。これは対戦相手がヘイトカードを引かずに通常のミッドレンジゲームを仕掛けてきたときに、ヘイトカードにしか効かない解答が死に札になるのを好ましく思わないからだ。また、このタッチ緑はそれだけの価値があると個人的に思っている。
今のところのサイドボードは以下のような形だけど、モダンは流動的なフォーマットだし、地域のトレンドなどによってもメタゲームが変わることをお忘れなく。
近い将来、メインかサイドに入れようかと考えている候補たちは以下の通り:《引き裂かれし永劫、エムラクール》、《滅び》、《瞬唱の魔道士》、《アズカンタの探索》、《大渦の脈動》、《儀礼的拒否》、そして《魂の裏切りの夜》。
終わりに
このデッキはとても楽しいし、伝統的に対戦相手を引き離すのが難しいこのフォーマットにおいてコントロールをプレイするチャンスを与えてくれるためプレイしていて面白いので、僕のオススメのデッキだ。このデッキは君が想像する通りとても複雑なデッキだけど、練習すればきっと習得できるだろう。
今のモダンはとても広いので、ぜひ楽しんでください!そして諦めず、新しいことにドンドンチャレンジしてみてださい!
マルク・トビアシュ
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ヨーロッパのプレミア・イベントで活躍を続け、注目を集めるドイツの強豪。デッキ・ビルダーとしての評価も高く、公式カバレージで【逆説的な結果ストーム構築への挑戦】が取り上げられた。
【プロツアー『アモンケット』】ではドラフトラウンドで全勝を果たし、その勢いのままトップ8入賞を果たす。