Translated by Kenji Tsumura
(掲載日 2018/02/10)
【ハレプロ】プロツアー『イクサランの相克』優勝は、#HareruyaPros ルイス・サルヴァット選手!ランタンコントロールを操り、見事なプレイングで栄冠を掴みました!おめでとうございます! #PTRIX #GoSalvatto pic.twitter.com/EiH1EuRhNL
— 晴れる屋 (@hareruya_mtg) 2018年2月4日
俺はプロツアー『イクサランの相克』で優勝したばかりだ。さて、どこから話し始めたらいいだろうか?
なぜランタン・コントロールを選んだのか?
数ヵ月前、アルゼンチンの友人が “多くの可能性を秘めた技術介入要素の多いデッキ” としてランタン・コントロールを紹介してくれた。どの道モダンのプロツアーに向けてモダンをプレイしなければいけなかったし、特定のデッキの経験が豊富ってわけでもなかったから、とりあえずランタン・コントロールを試してみることにしたんだ。実際のメタゲームに慣れ親しんでおくことは重要だしな。
2~3ヵ月の間1日に数時間を費やしたものの、最初のうちは全ラウンドで多くの時間がかかってしまった。ときには5マッチを終えるまでに2日かかったことだってあったな。当時のランタン・コントロールは黒緑バージョンで、kanister (ピオトル・グロゴウスキ/Piotr Glogowski) の配信を見てトリックやサイドボードなどについて学んだ。
《発明品の唸り》型が一般的になるや否やランタン・コントロールは多くの成功を収めるようになり、ブライアン・ブラウン=デュイン/Brian Braun-Duin、サム・ブラック/Sam Blackという2人のプロが現実世界のトーナメントでもこのデッキを使い始めたんだ。
この2人の結果、Magic Onlineでのkanisterの成功、さらにはロックが決まってからゲームが終わるまでの対戦相手の心情を察すると、プロツアーまでにはキーカードが禁止になってしまい、本戦でランタン・コントロールは使用できないだろうと考えるようになっていた。または、新セットで大した代償もなく採用できてしまうとんでもない対策カードがリリースされるかのいずれかだろうと。
そこで青白コントロール、アブザン、青赤ストーム、黒緑といった他のデッキをテストし始め、プロツアー前の最後の数日は8ラックに着手していた。ビルバオにはアブザンを持って行ったものの、到着するころには8ラックを使うことに決めてカードを借りられないかどうかを聞いてまわった。
プロツアー直前の水曜日に、友人2人がランタン・コントロール対青赤ストームをテストしていたんで俺はそのゲームを見ることにした。そのときランタンを使用していたペドロ・カルバーリョ/Pedro Carvalhoが、俺がランタンのゲームを見る様子から俺の中に眠るランタン愛を見出したんだ。
ペドロ・カルバーリョ
そして彼は俺にランタン・コントロールを使うように言ったんだ。数ゲームを終え、ペドロはさらにこう続けた。「ルイスはランタン・コントロールを使うべきだ。8ラックはランタンと比べてかなり弱いし、それにお前はこのデッキを使うのが上手い」ってね。
最後の数分でデッキを変えたものの、現実世界での経験がないデッキをプロツアーで使用することに恐れを抱いていた。プロツアーには経験豊富なプレイヤーばかりいるしな。だがチームメイトは俺を勇気づけてくれたし、俺はこの挑戦を受け入れることにしたんだ。
4 《コジレックの審問》
3 《思考囲い》
1 《突然の衰微》
4 《発明品の唸り》
4 《ミシュラのガラクタ》
4 《オパールのモックス》
4 《洞察のランタン》
4 《写本裁断機》
2 《伏魔殿のピュクシス》
2 《真髄の針》
1 《墓掘りの檻》
1 《黄鉄の呪文爆弾》
3 《罠の橋》
1 《魔女封じの宝珠》
-呪文(42)-
プロツアー『イクサランの相克』・初日
リミテッドについては、Magic Onlineで15~20回程度のドラフトをこなした後に、リアルでピックやデッキに関する議論をしながら6~8回程度のドラフトを行った。俺自身の成績は散々だったが、チームメイトのおかげで多くを学べたと感じていたし、おかげさまでこの環境のスキルに関しては自信を持っていた。
午前9時10分、俺は初手で《打ち壊すブロントドン》をピックした。2手目も同色の《俊敏な番人》を取り、3手目に《怒り狂うレギサウルス》を取ったあとは3枚の青の優良カードを確保したんだが、1パック目の終わりに《太陽冠のプテロドン》というシグナルを受け取ったんだ。1パック目は緑のカードが3枚、青も3枚、白が2枚 (うち1枚は《アゾカンの予見者》) に《怒り狂うレギサウルス》という内容で終えた。
2パック目は《光明の縛め》を開封し、《原初の夜明け、ゼタルパ》が流れてきたことで全力で白に向かうことに決めた。最初の数手を無駄にしたにもかかわらず、2-1かおそらくは3-0も狙えるであろうデッキが完成した。このドラフトで最も難しかったところは、青の誘惑を振り切ったことだ。それにより空いている色をピックできたし、混んだ色に無理やり進まずにすんだ。
ファーストドラフト
赤白恐竜、赤緑恐竜と当たった最初の2ラウンドは勝つことができた。両マッチともサイドインした《古代ブロントドン》が勝利をもたらしてくれたな。
ドラフトラウンド最終戦は、上質な青赤海賊デッキ相手に死ぬまで土地が2~3枚のままで負けちまった。そしていよいよモダンが始まろうかというところで、俺は少し神経質になっていた。とはいえ、最良のプレイができるように願ったんだ。
モダンの最初のラウンドは相性の悪いアブザン・カンパニーとのマッチアップだった。対戦相手は2-0で容易に俺を下し、俺に “上手くプレイできなかった” という感覚を残していった。
続く対戦は青赤ストームが相手で、友人のティアゴ・サポリート/Thiago Saporitoと隣の席だった。このラウンドも対戦相手にとって祭りで、1ゲーム目に彼は3ターン目にコンボを開始し俺はそれを止めることができなかった。2本目は手札破壊から入ったものの、彼の手札は《仕組まれた爆薬》、《破壊放題》、《選択》、《魔力変》と強烈で、なおかつ続くドローは《遵法長、バラル》だったんだ。結局、対戦相手はたくさんの呪文を唱え、《けちな贈り物》こそなかったものの《破壊放題》から《大量のゴブリン・トークン》へとつなげて勝利した。
この時点でモダンでは1ゲームすら取れていなかったため、俺は悲しみに暮れていた……。
だがプロツアーでは、例え最悪のコンディションであっても、例え4ラウンド目にしてすでに敗北を喫していたとしても、常に全力を尽くさねばならない。プロツアーは毎週開催されるわけじゃないし、戦い続けさえすれば悪いスタートを良い最終結果へと変えられるんだ。これは実際にプロツアー『カラデシュ』で起こったことだ。最初のドラフトで0-3してしまったものの、そこから残る13ラウンド中12戦に勝利して15位で大会を終えた。
6ラウンド目ではランタンが輝きを放ち、3ゲームのすえにアブザンを下した。続く7ラウンドでは親和に2-0で勝利したことで、初日落ちのプレッシャーから解放された。初日最終戦では、大量の火力呪文と《聖トラフトの霊》を搭載したジェスカイ・テンポに勝利。1本目はこれらのカードに屈してしまったものの、2本目、3本目を取り返すことができたんだ。
初日の成績 : 5-3
ランタンに良い感触を抱きながらホテルに戻り、セカンドドラフトで良いデッキが作れるように、そして最高のパフォーマンスが維持できるように祈った。2日目を6-2で終えることができれば総合成績は11-5となり、10点のプロポイントと賞金がもらえる素晴らしい結果になる。
プロツアー『イクサランの相克』・2日目
セカンドドラフトは《貪欲なチュパカブラ》からスタートし、《不可解な終焉》がそれに続いた。青は明確に空いていて、最終的に写真のようなデッキを作り上げた。
セカンドドラフト
最初の2戦は吸血鬼に勝った。良いデッキではあったが、俺のデッキほどではなかった。それにサイドボードに吸血鬼用の2枚の良いカードがあったしな。
3戦目は超攻撃的な赤黒海賊と対峙することとなった。1ゲーム目は土地ばかりで何も良いカードが引けずに落としてしまったものの、《海賊のカットラス》用に《否認》を入れたり、トリックを駆使したりして2ゲームを取り返しマッチに勝利した。
この環境で重要なもうひとつの事柄が、サイドボード用のカードを確保することと、どんなときにデッキを変えるべきかを知っておくことだ。どんなときによりディフェンシブにして、どんなときによりアグレッシブにするのか。それによってどれほどマッチアップを改善することができるのか研究しておこう。
《取り消し》、《否認》、《垂直落下》、《帰化》、《船慣れ》、《両手撃ち》、《浄化の光》といったカードはメインボードとしては弱いカードだが、サイドボードとしては良いポテンシャルを秘めている。
これで11-5というゴールに向けてかなり良いポジションに付けることができ、ランタンで残る5戦のうち3つを勝つことができれば目標達成だ。ドラフトと昼食を終えると、サプライズが待っていた。なんとkanisterとマッチアップされたんだ!
ピオトル “kanister” グロゴウスキ
この時点でミラーマッチは1度 (これを入れると2度) しか経験したことがなく、彼を打ち倒すためには完璧なプレイをしたうえで運が必要だとわかっていた。そしてそれは実現し、両ゲームとも俺は彼よりもツイていた。1ゲーム目では良質な呪文をたくさん引けたし、2ゲーム目では《ボーラスの工作員、テゼレット》を引き込んで対面の《真髄の針》にもしっかりと対応できた。このマッチを2-0で終えたことで、11-5以上の成績を残せるんじゃないかと思い始めたんだ。
現在の成績 : 9-3
次のラウンドでは、白緑オーラを駆るクリスティアン・カルカノ/Christian Calcanoとペアリングされた。
クリスティアン・カルカノ
1本目はこちらにとって簡単なマッチで、2本目以降は少しだけ悪くはなるものの総じて相性は良い。1本目は《罠の橋》を設置して即座に勝利した。カルカノは2枚の《神聖の力線》をコントロールしていたが、対象を取らない《伏魔殿のピュクシス》でライブラリーを削りつつ、こちらは彼のライブラリーがなくなるまでアップキープに《アカデミーの廃墟》で《オパールのモックス》を回収し続けたんだ。2本目はカルカノが5枚までマリガンしたため、ゲームにならなかった。
ここまで8連勝、デッキの感触も良好なままだった。ラウンド14では強豪であるジョン・スターン/Jon Sternと、彼の操るバーンデッキと対峙することになった。
ジョン・スターン
1本目はロックを開始し、手札に1枚のカードを抱えた状態で全てのパーツを揃えた。こちらの残りライフは3でターンを返し、スターンは《僧院の速槍》をコントロールしていて手札は俺の知らない1枚だけだった。彼はアンタップして意味のないカードを引くと考え込んだため、そこで俺はゲームに勝ったと気が付いたんだ。スターンの最後の手札は《焼尽の猛火》で、《僧院の速槍》の攻撃後に果敢を誘発させるためにこれを唱えてこちらのライフは残り1点に。数ターン後には《発明博覧会》と《魔女封じの宝珠》を揃えてゲームに勝つことができた。
2本目はワンマリガン後にノーランドの手札をキープした。スターンは《ゴブリンの先達》からいくつもの呪文を連打し、俺は何もできずに負けてしまった。
3本目は《神聖の力線》スタートできたので簡単なゲームになるだろうと予想していたが、マナフラッドに陥ってしまった。スターンが2ターン目に唱えた《大歓楽の幻霊》は俺を奇妙なポジションへと追いやった。こちらの手札は《神聖の力線》、《罠の橋》2枚、《オパールのモックス》と3枚の土地だ。土地を4連続で引いてしまったがゆえに、スターンは《罠の橋》の上から《大歓楽の幻霊》と《僧院の速槍》で攻撃してきた。土地は1ターンに1枚しか置けないからな。
ライフが3点まで落ち込んでしまったことで、こちらが引いて良いカードは《発明品の唸り》 (《洞察のランタン》をサーチし、すでに戦場にあるライブラリーを削るカード2枚と組み合わせて除去呪文を探せる) か除去呪文に限定された。そして《集団的蛮行》を引き当てたことでショーがスタートしたんだ。
俺は《集団的蛮行》を唱え、その後《写本裁断機》のカードを回収する能力と《アカデミーの廃墟》を組み合わせることでこれを繰り返しキャストし続けた。ありがたいことに土地はたくさんあったからな。最初の《集団的蛮行》のあと、スターンは《破壊的な享楽》をトップデッキすればゲームに勝つことができたものの、彼はそれを引くことができなかった。
スターンの勝機を摘み取り、2ターン後にランタン・コントロールでバーンデッキを焼き切ったんだ!
ワオ!9ラウンド連続で勝利したことで総合成績は11-3になり、次のトップ8がけのマッチにも勝てれば最終戦はID (合意のうえでの引き分け) ができるだろうと考えた。スタンディング (順位表) を見てみると、そこには危険な名前があることが分かった。
そのプレイヤーの名はコーリー・バークハート/Corey Burkhart。最高のグリクシス (青黒赤) ・コントロール使いであり、とってもいいやつなんだが、英語で早口で喋るもんだから彼の言ってることは半分くらいしか理解できないんだ (笑)
コーリーとのマッチアップだけは心底やめてほしいと思っていたものの、もちろん俺たちはペアリングされちまった。
コーリー・バークハート
幸運なことに、コーリーはもう《祖先の幻視》をデッキに入れていないため、もしも彼のライブラリートップを操作できるようになればロックに持ち込んで勝利できるだろう。1本目はコーリーのデッキに含まれる除去呪文や《稲妻》といった大量の無駄カードにより、比較的容易にその通りの展開になった。2本目では物事がより厳しいものになっちまう。妨害手段と速やかに現れた《黄金牙、タシグル》に対し、こちらは《ボーラスの工作員、テゼレット》こそ展開できたものの、それでは十分でなくゲームに敗れてしまった。
迎えた3本目、コーリーは土地が1枚の初手をキープし2枚目の土地を見つけることができなかった。こちらはすぐさま《洞察のランタン》+《写本裁断機》を揃え、彼に土地を引かせることなくゲームに勝利することができた。そして俺にとって2回目となるプロツアートップ8が決まったことにかなり気分が高まった!……だが、そのせいでサイドボードを正しく直すことができず、《魔女封じの宝珠》を入れて2枚目の《墓掘りの檻》をサイドボードに戻すのを忘れちまったんだ。
ここまでに12個もの勝利を積み重ねたにもかかわらず、オポーネントマッチパーセンテージが低かったために、友人かつチームメイトであるルーカス・エスペル・ベルサウド/Lucas Esper Berthoudと下当たりするハメになってしまった。
ルーカス・エスペル・ベルサウド
おそらく、この記事を読んでくれている読者諸君は何が起こったか知っているだろう。ロックを完璧なものにするために《魔女封じの宝珠》をサーチしようとしたところ、それがデッキに入っておらずゲームロスをくらってしまったんだ。ゲームロスなんかじゃなく普通に負けてしまったんだと気持ちを落ち着かせ、最善が尽くせるよう自信を保つように心がけた。どんなミスであれ適切なリカバリーを行うことは可能だし、状況を解決することができるうちから悔やみだす必要なんかないってことが改めてわかった。
結果として残り2ゲームに勝利し、2日目を完璧なスコアで終えるとともに予選ラウンドを2位で終えた。これで決勝戦までは全部先手で挑めるってわけだ。もしもパスカル・フィーレン/Pascal Vierenが決勝にきた場合にのみ、彼に選択権がある。
【プロツアー『イクサランの相克』】まもなく日本時間17時より、決勝トーナメント開始! 日本からは行弘賢選手が決勝ラウンド進出しています! みんなで応援しましょう! https://t.co/RlVUcYsWKQ #PTRIX pic.twitter.com/U1lD4zbULy
— マジック:ザ・ギャザリング (@mtgjp) 2018年2月4日
2度目のプロツアートップ8の喜びをかみしめた後、1度目のリベンジができるチャンスだと気が付いた。1回目のトップ8のときは、トップ8の中で俺のデッキがダントツで弱かったんだ。
今回は最高のデッキを使っているし、使い方もちゃんと分かってる!
プロツアー『イクサランの相克』・3日目 -決勝ラウンド-
トップ8以降の状況を垣間見るに、俺にとって最悪のマッチアップは準々決勝で当たるジャン=エマニュエル・ドゥプラ/Jean-Emmanuel Deprazのトラバース・シャドウ (《ウルヴェンワルド横断》型《死の影》) 戦だった。
ジャン=エマニュエル・ドゥプラ
友人のセバスティアン・ポッツォ/Sebastian Pozzoはプロツアーで同アーキタイプを使用していたため、どうすればこの試合に勝てるかテストしようと申し出てくれた。重要なのはサイドボードが使えない最初の2本を取ることで、サイドボード後のいずれか1本で何らかの幸運が訪れれば、といったところだった。俺たちは手札破壊呪文にサイズのでかいクリーチャー、打ち消し呪文にプレインズウォーカー、さらには《古えの遺恨》への解答が見つけられなかったんだ!
また、《洞察のランタン》をプレイしてしまうと相手が非常に有利になることもわかった。向こうには大量のフェッチランドと《通りの悪霊》があり、引かれたらまずいカードも大量にあるからだ。かといって手札に《洞察のランタン》を抱えていようとしても、それはそれで手札破壊呪文の対象となってしまう。
“計画” は順調にスタートし、引きも良く最初の2ゲームを先取した。だが3本目は《神聖の力線》スタートを切ることができたにもかかわらず、ジャンは俺を打ちのめしたんだ。4本目は、ロックが完成するまであとほんの数ターンというところだった。だがジャンのライブラリートップが《古えの遺恨》であることが分かると、彼は2枚の《通りの悪霊》 (1枚は《最後の望み、リリアナ》で回収したもの) のおかげでそれを引くことができたんだ。こちらは《洞察のランタン》まで生け贄に捧げたっていうのにな。
これでゲームカウントは2-2のタイに。トラバース・シャドウをこれ以上ないほど巧みに操るジャンに打ち勝つためには、一体どうすればいいのかを考えた。そこで《最後の望み、リリアナ》、《通りの悪霊》やフェッチランドを封じるために、《真髄の針》が3枚必要だと気付き《突然の衰微》を2枚抜くことにしたんだ。
最終ゲームで、ジャンは強力な呪文ばかりだが土地が1枚の手札をキープした。俺は手始めに彼のライブラリートップを《ミシュラのガラクタ》と《写本裁断機》でロックし、そこから《洞察のランタン》を引き込んで《真髄の針》で彼のフェッチランドを禁止した。ジャンに3枚目の土地を引くことを永遠に許さずロックを完成させ、これにより俺にとってこれまでプレイした中で最も重要なゲームに勝利することができたんだ。
行弘 賢
次の試合はレイド・デューク/Reid Dukeと行弘 賢の試合の勝者と対戦することになっており、賢がデュークを破った。したがって、俺にとって相性の良いマッチアップが訪れた。賢はメインボードで戦場に出てしまった《罠の橋》に触る術を持たず、《罠の橋》を確実に落とせる手札破壊呪文も持ち合わせていないんだ。俺は《罠の橋》を求めて積極的にマリガンして速やかにゲームを終わらせることができるし、実際に1本目と2本目はその通りになった。
サイドボード後には、追加の《墓掘りの檻》と《罠の橋》を守るための《溶接の壺》が加わる。
俺は自信過剰だったのか、ふたつの小さなミスを犯してしまい2ゲームを落としてしまった。ランタン・コントロールを使うにあたり、小さなミスは勝敗を決してしまうことになる。それを良く理解するためにも、このマッチ動画を観ることをお勧めするよ。
3本目では、俺は1ターン目に間違った土地をセットしてしまった。賢が《燃え立つ調査》で3枚のカードをランダムに捨てた後、こちらは3個目の(青)マナを手に入れることがかなわず、《発明品の唸り》を抱えたまま負けてしまった。
4本目では、爆発的な展開を恐れるあまり《思考囲い》で《虚ろな者》を落として《渋面の溶岩使い》を残してしまった。そして《真髄の針》でフェッチランドを指定した。賢の墓地はほとんど空っぽだったし、ライフも十分に余裕があったからだ。だがそこから《古きものの活性》を再利用したり積極的に自分のライブラリーを削っていったものの、時間内に追加の《真髄の針》も《発明品の唸り》も引くことができなかったんだ。
最終的に5本目で良い初手に恵まれて、終始ゲームを支配することができた。
そして完璧な週末の締めくくりに、プロツアー決勝までたどり着くことができた。この日最後の相手は、見事にパスカル・フィーレンを打ち破ったジェリー・トンプソン/Gerry Thompsonだ。
ジェリー・トンプソン
ジェリーには手札破壊呪文と《コラガンの命令》があるため、このマッチはこちらにとって厳しいものだと思っていた。だが実際の試合内容がそうであったように、マルドゥ・パイロマンサーは過度にプレッシャーを与えてくるわけではない。1本目と2本目は《罠の橋》を置いて、ジェリーに《コラガンの命令》を引かせないようにしたことで簡単に勝利できた。ジェリーの引きは少しツイてなかったと思うけど、それを差し引いてもこのマッチは凄まじくこちら側が有利なんだ。
サイドボード後となる3本目は、《罠の橋》こそあったもののそれ以外が弱く《外科的摘出》をケアできない手札をマリガンした。ジェリーにとって最良の勝ち筋は、手札破壊呪文などで《罠の橋》を墓地に落として《外科的摘出》で追放しまうことだ。
ゲームが進み、ついに最後のロックパーツ (このときはライブラリーを削る手段だった) が揃ってゲームを終わらせにかかった。《ミシュラのガラクタ》を起動してしまったせいで、土地を2連続で引くとトークンたちが《罠の橋》をすり抜け負けてしまうところだったが、トップに待ち受けていた《ボーラスの工作員、テゼレット》を唱えるとジェリーは投了し、栄えあるプロツアー『イクサランの相克』の王者になることができたんだ!
【お祝い】ルイス・サルヴァット( @LuisSalvatto )選手、プロツアー『イクサランの相克』優勝おめでとうございます! https://t.co/mHPRy4JEv1 #mtgjp #PTRIX pic.twitter.com/ciqiJwWh77
— マジック:ザ・ギャザリング (@mtgjp) 2018年2月6日
ランタン・コントロールに関して
ランタン・コントロールのリストとサイドボードプランに関しては、すでに多くのプレイヤーが取り組んでいるため、偉大なる彼らの構築と思考を改めて紹介するだけになってしまうだろう。
それとは別に、ランタン・コントロールが嫌いだというみなさんに説明しておきたいことがある。マジックは複雑なゲームで、対戦相手をロックして勝つ術がいくつも存在する。ただし、ランタンと他のデッキの大きな違いは勝つまでに多くの時間がかかることであり、ランタンに “早く勝つ術” は不要でそれを組み込むとデッキが弱くなってしまう。
青赤ストームなんかと別段大きな違いがあるわけじゃない。もしも誰も対策カードを入れないとすれば、ストームデッキはほとんどのデッキに対して干渉することも攻撃することもなく勝利してしまうだろう。これは3ターン目に7マナのプレインズウォーカーをキャストしてくるウルザトロンにも同じことが言えるし、それでもこれらが禁止されていないのは速やかにゲームに勝利するからだ。
ランタン・コントロールはTier1デッキだが、無敵というわけではない。このデッキへの対処法はいくらでもあるんだ。ときには、敗北を悟らなければならないこともある。状況は1ターン毎に悪化するし、一度決まってしまったランタン・ロックはとても強固なんだ。
ランタン・コントロールは禁止カードを受けるに値しない。この先しばらくの間は、ランタン・コントロールを使うプレイヤーにとって厳しい環境になると時間が証明してくれるだろう。そしてモダン環境は循環を続けるんだ。トーナメントを勝ちうるだけの力を持つたくさんの素晴らしいデッキと共にな。
おわりに
全てのジャッジとWizards of the Coast社のスタッフに感謝の意を。友人のマルク・カルデラノ/Marc Calderanoは、土曜日と日曜日の間ずっと話し相手になってくれてサポートしてくれたし、全力で俺の成功を願ってくれた。Brian David-Marshallはこの週末に最善を尽くした。あなたの父親は、間違いなくあなたのことを誇りに思っているだろう。
最後に、プロツアーにきていたアルゼンチンの友人たち、チームメイトのみんな、それに俺を応援してくれていた全てのマジックプレイヤーにも感謝している。みんなの愛情や声援はちゃんと届いていたよ。
この記事を読んでくれてありがとう。プロツアー優勝レポートを書けて最高に嬉しいよ!俺は全ての瞬間と、その時々に抱いた感情を覚えている。この記事を楽しんでもらえたのなら幸いだ。
またすぐにどこかの大会で会おう!そして俺と同じようにこのゲームを楽しんでくれよな。
ルイス・サルヴァット