みなさんこんにちは。Hareruya Prosの井川 良彦です。
トロンはリアル/Magic Online問わず世界中で安定した成績を残し続けており、今のモダンにおけるベストデッキの一つだと僕は確信しています。
今回の記事では、僕が「グランプリ・オクラホマシティ2017 ~ プロツアー『イクサランの相克』 ~ グランプリ・トロント2018」のモダン3イベントで使用した、トロン(緑単タッチ黒)について解説していきたいと思います。
※誤解を避けるために一応記載しますと、僕はトロンだけを盲目的に調整し続けたわけではなく、11月中旬から2月中旬にかけてモダンのトップメタのデッキをある程度Magic Onlineで実際にプレイして感触を確かめました。全部で350マッチ以上、トロンだけで150マッチ以上プレイした、と書けば伝わりますでしょうか。
トロンの魅力・強さ
相手/手札によって動きが変わる2面性 ~コントロールとビッグマナ~
「トロン」と聞くと「3ターン目に《解放された者、カーン》や《ワームとぐろエンジン》を出すデッキ」というイメージが強いかもしれませんが、それはトロンというデッキの一面でしかありません。
メインボードのトロンは「除去&リセットからフィニッシャーにつなげるコントロールデッキ」という一面と、「3ターン目から大型クリーチャー/プレインズウォーカーを叩きつけるビッグマナデッキ」という2面性を兼ね備えたデッキなのです。
相手が親和や人間のようなデッキの場合は「4ターン目に8マナ揃えて《忘却石》《精霊龍、ウギン》で全体除去」といった動きをすることもありますし、かと思えば「3ターン目《ワームとぐろエンジン》《解放された者、カーン》」で即座に盤面を制圧するケースもあります。
この極端な2つのパターンに対応するのは、どんなデッキでもそう簡単なことではありません。《世界を壊すもの》《絶え間ない飢餓、ウラモグ》のようなカウンターに強いカードも搭載されているため、「重いカードだけカウンターすればいいんだろう」という目論見も通じにくいです。
またサイドボード後は《難題の予見者》《スラーグ牙》といった中型のクリーチャーを投入することにより、対戦相手が意識してくる妨害=ウルザ土地への妨害・《儀礼的拒否》《否認》のようなカウンター呪文をある程度無視して良質なミッドレンジとして振る舞うことができるのも、今のトロンの強さを支えている長所の一つです。
高い安定性 ~モダン随一のキャントリップ陣~
《彩色の星》《彩色の宝球》(+《大祖始の遺産》)という大量のキャントリップ、モダン最高のドロースペルである《古きものの活性》、そして《探検の地図》《森の占術》という2種類のサーチにより、常に安定してデッキが動きます。
4ターン目にはほぼ確実にウルザ土地3枚が揃いますし、3ターン目に揃うことも特別珍しいことではありません。よく「3ターン目に揃うなんてツイてるな」なんて言葉を聞きますが、それは大きな間違いです。そういう風にこのデッキは構成されていますし、それが基本だと考えた方が良いでしょう。「3ターン目《解放された者、カーン》/《ワームとぐろエンジン》」は他のデッキのブン回り、たとえば「1Tハンデス→2T《タルモゴイフ》/《闇の腹心》→3T《ヴェールのリリアナ》」よりも遥かに起こる確率が高いです。
またこれらのキャントリップ/サーチは、ただウルザ土地を揃えるだけでなく、揃ったあとには《ワームとぐろエンジン》や《絶え間ない飢餓、ウラモグ》を始めとしたフィニッシャーを探すのにも役立ちます。《古きものの活性》は序盤から終盤まで常に《思案》《定業》を超えるベストカードですし、《探検の地図》《森の占術》ですら《ウギンの聖域》《幽霊街》を持ってこれるため無駄になることは少ないです。
マリガンに強い ~「土地3枚から7マナ生み出せる」ということ~
普通のデッキだと、ダブルマリガンやトリプルマリガンだとデッキの動きに支障をきたしたり、「呪文の枚数が足りない」or「呪文を唱えるための土地の枚数が足りない」といった風にどちらかのリソースが足りなくなってゲームの敗北につながることが多いと思います。
分かりやすい例としては、バーンや感染のように1枚1枚の積み重ねで勝つデッキや、青白コントロールのように土地と呪文がバランス良く必要になるデッキは、マリガンがそのまま敗因につながることも少なくないですよね。
しかし、その点トロンは違います。ウルザ土地=《ウルザの塔》《ウルザの鉱山》《ウルザの魔力炉》は3枚で7マナを生み出すことができるので、つまり揃いさえすれば普通のデッキ(土地)に比べると4枚分のアドバンテージを取り返すことができるのです!
また、そのマナからプレイする呪文も他のデッキの1枚1枚よりカードパワーが高いので、トリプルマリガンでも《ワームとぐろエンジン》や《解放された者、カーン》といった高マナの呪文を叩きつけることで、マリガン分のリソース差を無視してゲームを引っくり返すことが容易です。
苦手なデッキが少ない ~対応力が高いデッキの強み~
デッキの性質上、当然のように土地破壊カードは厳しいですし、先攻の《石のような静寂》や《虚空の杯》にハマることも確かにあります。ですが青白コントロールのようにクロックがない土地破壊(《広がりゆく海》や《廃墟の地》)はただの時間稼ぎでしかないため、大したダメージはありませんし、《石のような静寂》《虚空の杯》も同様にそれ単体で負けることはかなりレアケースです。
こちらは先日のグランプリ・トロント2018で、実際に青白コントロールと対戦した際の動画です。《広がりゆく海》《廃墟の地》を連打されたため最後までウルザ地形が揃うことはありませんでしたが、淡々と土地を並べて《忘却石》《ワームとぐろエンジン》《解放された者、カーン》《世界を壊すもの》と順々にプレイして勝利することができました。
「トロンには《血染めの月》が効く」という説もありますが、それは少し言葉が足りていないと言えます。赤黒《虚ろな者》のように「減速させている間に速やかに勝利できるデッキの《血染めの月》」は非常に厳しいですが、マルドゥ・パイロマンサーやブルームーンのようにクロックが遅いデッキの《血染めの月》は大して効果的ではなく、単純に土地を並べてから《スラーグ牙》や《ワームとぐろエンジン》を出されたり、《忘却石》でまとめて流されて終わるケースがほとんどです。
このように、タイタンシフトにとっての《血染めの月》やバーンにとっての《神聖の力線》のように1枚で詰むカードがほとんどなく、エルフや感染、グリセルシュートのように「極端に速いデッキ」と、リビングエンドや赤緑土地破壊のように「執拗に土地を破壊してくるデッキ」以外のほとんどのデッキに対して有利に戦えるのが、今のモダン環境におけるトロンの大きな強みと言えるでしょう。
使用したデッキリストについて
先週末にGPトロントで12-3の好成績を残すことができましたし、前週のプロツアー『イクサランの相克』ではデッキをシェアしたナベ(Team Cygames・渡辺 雄也:7勝3敗)とレイ(Hareruya Hopes・佐藤 嶺:6勝4敗)がほぼ同一のリストで好成績を残しました。2週連続で75枚同じデッキを使ったことからも分かる通り、僕は現状このリスト75枚すべてに満足しています。
それでは、各カードの採用理由などを簡単に説明していきます。
《絶え間ない飢餓、ウラモグ》が3枚?
僕のリストの一番の特徴は、この「《絶え間ない飢餓、ウラモグ》3枚」ではないでしょうか。
《絶え間ない飢餓、ウラモグ》は10マナと重いですが、その分強力であり、相性が良い青系の相手に特に強く、また相性が悪い相手にも「上振れ」で勝ちやすくなる良カードです。ですが当然のように初手に2枚引きたくない部類のカードなので、一般的には1~2枚のリストが多いですし、僕もGPオクラホマシティの時点では2枚しか採用していませんでした。
ですが《絶え間ない飢餓、ウラモグ》を試せば試すほど、《ウギンの聖域》でサーチするよりも直接引いていた方が速くて楽であること、10マナ(≒土地5枚)以上あるならほぼ常に一番引きたいカードであること、そしてトロン最強のムーブである「4ターン目《絶え間ない飢餓、ウラモグ》」の確率を上げたいことから、3枚目の投入に至りました。
後述のサイドボーディングガイドの通り、こちらの土地に干渉してくる相手に対しては1~2枚に減らしたりもしますが、基本的には3枚を維持して「土地5枚=10マナから《絶え間ない飢餓、ウラモグ》」をゲームのゴールにするのが一番簡単かつ一番強力です。
この「《ウラモグ》3枚」を最初に提唱してくれたあんちゃん (高橋 優太) に感謝!
《四肢切断》or《致命的な一押し》?
カードの性能としては《致命的な一押し》の方が優れていますが、毎ターン無色土地を置き続けるのが理想のこのデッキにとって「黒マナ」が重くのしかかってきます。
《致命的な一押し》をプレイするために《彩色の宝球》を使うとその分《古きものの活性》や《森の占術》のプレイが遅れますし、同様に《彩色の宝球》をプレイしてからでないと《致命的な一押し》をプレイできないため1ターン対処が遅れることも多々あります。
そのため、4点のライフこそ失うものの、無色1マナだけでプレイできる《四肢切断》の方が総合的に見てトロンには適しているのです。
同じ理由で、サイドボードの追加の除去は《次元の歪曲》にしました。1ターン目に《彩色の宝球》をプレイしていなくても2ターン目に確実にプレイできる除去として重宝します。
緑単 or 緑黒 or 緑赤?
《致命的な一押し》が不要である以上、メインボードについては緑単で十分です。ですが、サイドボード後はどうでしょうか?
それぞれ考えてみると、
タッチ黒では主に《集団的蛮行》、《思考囲い》が使用できます。バーン・《集合した中隊》デッキにかなり強くなり、またコンボデッキやカウンターをプレイしてくる青いデッキへの耐性もあがります。ミラーも《思考囲い》がある分マシです。
タッチ赤では主に《紅蓮地獄》、《血染めの太陽》が使用できます。親和や人間、エルフのような横並びのデッキにかなり強くなり、タイタンシフトにもキラーカードが採用できます。また《燃え柳の木立ち》が《死の影》デッキに強いのも見逃せません。
このようにそれぞれ一長一短ですが、タッチ黒の方が幅広い相手を見れるため、今のモダンのように群雄割拠なメタゲームには適しています。
緑単色のメリットとしては「基本地形の枚数を多く取れる」(《流刑への道》や《廃墟の地》、《血染めの月》に強い)がありますが、その反面でサイドボードが弱くなりトータルの勝率が下がるので、個人的には緑単色を選ぶ理由としては弱いと思っています。
緑黒土地はどれがベスト?
トロンを回し始めたときにたくさんのデッキリストに目を通しましたが、大半のリストは《花盛りの湿地》を採用していました。しかし、トロンのベストムーブであり基本ムーブは1・2・3ターン目にウルザ土地を置くことであり、1~2ターン目に緑マナを設置する頻度は高くありません。また、大量のキャントリップが入っている都合上、1ターン目から6ターン目ぐらいまで常にマナを使い切るデッキなので、4ターン目以降のタップインは致命的!
分かりやすい例を挙げてみると、「3ターン目の《解放された者、カーン》がカウンターされた後、4ターン目に《世界を壊すもの》をプレイしようとしたら緑マナがタップイン」なんて考えるだけで頭が痛くなりますよね。
ということで《花盛りの湿地》は即座に却下され、由緒正しきダメランとギルランに黒マナ源を託すことになりました。これらはどちらも一長一短。基本的にはライフを後払いにできる《ラノワールの荒原》の方がほぼ確定で2点食らう《草むした墓》よりも優れていますが、実際にカウントしてみると1ターン目《古きものの活性》から2ターン目《森の占術》で4ターン目《忘却石》プランの場合など、《ラノワールの荒原》で3点以上食らうケースも頻発しました。
よって複数枚引いたときにリスクを分散できるように、1:1のバランスになりました。
《自然の要求》or《原基の印章》?
1マナ軽いこと、そしてバーン相手に4ゲインできることから、基本的には《自然の要求》の方が優れています。
ただし、《血染めの月》デッキや手札破壊などに対して先置きできる点、また《彩色の宝球》《彩色の星》を自分から積極的に使ってドローを進められる点(《自然の要求》を構えるために《彩色の宝球》を温存するより、ドローを進めてウルザ土地を揃えたい)は《原基の印章》が勝っているので、2:1と散らす形にしてあります。
もしバーンや親和が増えるなら《自然の要求》を3枚に、逆に《血染めの月》デッキが増えるなら《原基の印章》を2枚にといった形で枚数を変えるといいでしょう。
サイドに《沼》?
メインボードの《沼》はほぼ純粋なノイズ=能力のない無色土地のようなものであり、《森》および緑マナの枚数を減らすとマリガン率にも関わってくるので、メインには採用したくありません。
ですが、サイドボードに黒いカードを採用する都合上75枚の中に1枚は《沼》が欲しかったので、貴重なサイドボードの枠を割いて《沼》を採用することにしました。《流刑への道》をプレイしてくるジェスカイや青白コントロール系に対しては、サーチしてきた《沼》から《思考囲い》→ビッグアクションと動くことが多いです。
メインの《森》3枚、そしてサイドボードの《沼》1枚と合計で4枚の基本地形を採用したことにより、青白コントロールの《廃墟の地》《幽霊街》《流刑への道》にも強くなっています。一般的な緑黒トロン/赤緑トロンのリストには基本地形が2~3枚しか入っていないので、このリストの強みの一つでもあります。
マリガンガイド
先述の通りマリガン耐性が高く、ダブルマリガンやトリプルマリガンでも問題なく機能する/ゲームに勝てるトロンにとって、マリガン判断が何より重要になります。
基本的には「3ターン目に7マナ」もしくは「4ターン目に8マナから全体除去」を目指してマリガンを行うことが重要であり、そのため「1) ウルザ地形3種(もしくは2種+《探検の地図》)」「2) ウルザ地形2種+緑マナ+α」「3) ウルザ地形1種+緑マナ+サーチ2種」といった手札を目指してマリガンしていくことになります。もちろん、手札の枚数や先攻or後攻によって多少は緩くなることもありますが、少し厳しくマリガンしたほうが最終的にウルザ地形が早いターンに揃い、勝利につながることが多いです。 いくつか例を見てみましょう。
キープ
この手札は「3) ウルザ地形1種+緑マナ+サーチ2種」に当たります。手札に土地は1枚しかありませんが、1ターン目に《彩色の星》、2ターン目に《彩色の星》で緑マナを生み出して《古きものの活性》を唱えて2枚目以降の土地を探すことになります。また2ターン目のドローステップ&《彩色の星》のドローで足りないウルザ土地を引けた場合、《森の占術》から3ターン目《解放された者、カーン》が確定します。こういった1ランドの手札をキープできるのもトロンの強みの一つと言えるでしょう。
キープ
この手札は「2) ウルザ地形2種+緑マナ+α」と「3) ウルザ地形1種+緑マナ+サーチ2種」を足して2で割ったような手札ですね。この場合、3ターン目に揃えることを狙わず1ターン目に《古きものの活性》から入って足りないウルザ土地or《探検の地図》を探しにいき、4ターン目に8マナから《忘却石》を狙う形になります。
マリガン
この手札は上記のどれにも当てはまらず、基本的にはマリガンを推奨します。緑マナがないため《古きものの活性》《森の占術》といったドローの受けがなく、キャントリップも少なく、完全に《ウルザの魔力炉》《探検の地図》縛りなので揃わない可能性がかなり高いです。6枚なら占術1もあるためキープしても良いですが、7枚でこの手札はマリガンしたほうがよいでしょう。なお、1枚でも《彩色の宝球》《彩色の星》があればキープします。
マリガン
1マリガン後であり、2枚もキャントリップがあるのでキープしたくなりますがグッとこらえてマリガンをしましょう。こういう罠ハンドを振り切って、しっかりとウルザ地形が揃う可能性が高い5枚の手札をキープすることが勝率の向上につながります。トリプルマリガンで初手が4枚だとしても、《ウルザの魔力炉》《ウルザの鉱山》《彩色の宝球》《古きものの活性》のような手札が来て相手を瞬殺する可能性があるのがトロンの強みなのですから。
キープ
上記のどれにも当てはまりませんし賛否両論あるかもしれませんが、こういう手札は僕は例外的にキープすることにしています。サンプルハンド:その3との違いはキャントリップが複数枚あること、そして何より《ウルザの塔》が2枚ある(足りないウルザ地形を引けば、《ウルザの塔》2枚で4ターン目に計10マナ出せる)ことです。 《大祖始の遺産》2枚で無理やりドローしつつ、4ターン目《絶え間ない飢餓、ウラモグ》の上振れを狙いましょう。
サイドボーディングガイド
主要なアーキタイプについて、その基本的なサイドインアウトと考え方を書いていきます。
ただし、相手の構成やサイドボード、先攻/後攻によってある程度変わる可能性があります(というか僕もその時々で変えてます)ので、あくまで参考程度に考えてもらえれば嬉しいです。
親和
対 親和
感触としては五分~微有利。《忘却石》が最も輝くマッチアップの一つ。《忘却石》で流せない、《墨蛾の生息地》での毒殺を常にケアすること。ウルザ土地が揃ったあとは、《幽霊街》をサーチして睨みを効かせよう。
後攻は《鋼の監視者》を打ち漏らさないために、《解放された者、カーン》か《絶え間ない飢餓、ウラモグ》を減らして《集団的蛮行》を入れる。
5色人間
対 5色人間
《スレイベンの守護者、サリア》が勝率に大きく影響するので、先攻6:4、後攻3.5:6.5ぐらいの超先攻偏重かつ微不利なマッチアップ。もしこのマッチアップへの勝率を上げたいなら、《歩行バリスタ》や《全ては塵》の採用をオススメ。
バーン
対 バーン
絶望的なマッチと思われがちだが、1ゲーム目を先攻3ターン目《ワームとぐろエンジン》だけで勝てることも多いので、実はそこまでマッチ勝率は悪くない。
3枚目の《集団的蛮行》はこのマッチのために取っているといっても過言ではないほどに強力。後攻は、仮にウルザ土地が揃っていたとしても《集団的蛮行》も《ワームとぐろエンジン》も《スラーグ牙》もない手札をキープしてはならない。
赤黒《虚ろな者》
対 赤黒《虚ろな者》
とにかく《ワームとぐろエンジン》が輝くマッチ。少し有利だと感じているが、相手が回るかどうか、《燃え立つ調査》のランダムドロー&ディスカードがこちらにどう影響するかなど、かなり運の要素が大きい。
AABとウルザ土地を持っている場合は、相手の《燃え立つ調査》を意識して1枚しか持っていないBから置くように。
ドレッジ
対 ドレッジ
相手が先攻2ターン目に5点以上のクロックを出してくるのが一番の負けパターンだが、メインから《大祖始の遺産》も《精霊龍、ウギン》もあるので基本的には少し有利。
負けパターンが相手のゴリ押しなので、《スラーグ牙》の5点ゲインが嬉しい。
白緑呪禁オーラ
対 白緑呪禁オーラ
《精霊龍、ウギン》《忘却石》が間に合うかどうかが肝になるこのマッチ。《コーの精霊の踊り手》が強く、さらにサイド後は《ガドック・ティーグ》がいる可能性もあるので単体除去は残すべし。
エルドラージ・トロン
対 エルドラージ・トロン
構造的には有利だが、先攻2ターン目の《虚空の杯》だったり、2T《難題の予見者》→3T《現実を砕くもの》+《幽霊街》など明確な負けパターンも存在するのでトータルで微有利程度。
先攻は相手の土地を妨害する必要がないので《幽霊街》を抜き、逆に後攻は《幽霊街》を残して《森》を減らす(もしくは《沼》を入れない)。《沼》は《四肢切断》専用だが、ライフがタイトなマッチアップであり、相手の《幽霊街》でサーチして嬉しい瞬間が多い。
アブザン/ジャンド/黒緑
対 アブザン/ジャンド/黒緑
基本的に有利だが、相手がどれだけこちらを意識しているかで勝率が大きく変わるし、意外と負ける。アブザンは《石のような静寂》の枚数によっては《自然の要求》を入れる。
黒緑は《廃墟の地》まで入っている8ランデス体制なので、もう少し《絶え間ない飢餓、ウラモグ》を減らして、《闇の腹心》を殺せる《集団的蛮行》や追加の基本地形=《沼》を入れた方が良い。
グリクシス・シャドウ
対 グリクシス・シャドウ
《大祖始の遺産》が強く、そして何よりも《絶え間ない飢餓、ウラモグ》が最強なマッチアップがこちら。
《軽蔑的な一撃》《頑固な否認》《儀礼的拒否》すべてに引っかかるので、重いプレインズウォーカーに頼りすぎるのは危険。その反面、こちらの土地には干渉してこないので、しっかりウルザ土地を揃えて最速で《絶え間ない飢餓、ウラモグ》を狙おう。
《ウルヴェンワルド横断》型《死の影》
対 《横断》型《死の影》
グリクシス・シャドウほどカウンターが厚くないリストが多いので、基本的にはメインとほぼ同じ戦略でぶつかることになる。グリクシス・シャドウと違って《グルマグのアンコウ》がいないので、《精霊龍、ウギン》は通ればそのままゲームセット。
ジェスカイ・テンポ
対 ジェスカイ・テンポ
「先攻3ターン目《聖トラフトの霊》」以外でゲームを落としづらく、土地にもほとんど干渉してこないので、マッチとしてはかなり有利だと個人的に思っている。またそのため、後攻は《解放された者、カーン》を減らして《ワームとぐろエンジン》を多めに残すのも一つの手。
《思考囲い》は先攻なら重い呪文をプレイする際のサポートとして、後攻なら相手の3Tトラフトを止めるためにプレイすることが多い。《石のような静寂》の枚数によっては《自然の要求》をサイドインしてもいい。
青白コントロール
対 青白コントロール
《広がりゆく海》《廃墟の地》が4枚ずつ入っているタイプを想定。基本地形の枚数を担保したいので《森》は減らさず、逆にジェスカイトラフトと異なりクロックが低くてライフに余裕がある=《天界の列柱》は脅威にならないので《幽霊街》は不要。
最近はサイドボード後によく《僧院の導師》を出されるので、後攻なら《四肢切断》や《次元の歪曲》、《忘却石》といった対処手段を少量入れた方が良さそう。
マルドゥ・パイロマンサー
対 マルドゥ・パイロマンサー
《血染めの月》だけケアしつつ、基本的な相性は良いはずなので最低限のインアウトに抑える。先攻2ターン目の《若き紅蓮術士》だけは対処した方が良いので、後攻は《四肢切断》残した方が良いかも。
青赤ストーム
対 青赤ストーム
メインから《大祖始の遺産》が3枚あり、サイド後には手札破壊と追加の除去があるため、緑単や赤緑トロンと違ってマッチ相性は有利。
除去/《大祖始の遺産》を構えつつ土地を伸ばし、手札破壊を絡めながら《解放された者、カーン》や《絶え間ない飢餓、ウラモグ》に繋ぐのが基本パターン。
後攻は相手の《ゴブリンの電術師》ケアのためにもう1枚《集団的蛮行》を入れると吉。相手がダメラン型じゃなくてフェッチ型の場合、《血染めの月》を意識してディッチャ系を数枚入れるのもアリ。
ミラーマッチ
対 ミラーマッチ
先攻3ターン目《解放された者、カーン》。これが勝因の(そして敗因の)9割といっても過言ではない。ダイスが勝った方がマッチも勝利するのが常。
後攻は普通にやったら勝てないので、いかに「相手の3T《解放された者、カーン》を止めるか」そして「相手が下振れた/ぬるキープしたときに勝つか」を考えるのが大事。
ランタン・コントロール
対 ランタン・コントロール
間違いなくトロンにとってのベストマッチアップ。土地を揃えることを完全に防ぐのは難しい上に、《解放された者、カーン》、《忘却石》、《精霊龍、ウギン》、《世界を壊すもの》、《絶え間ない飢餓、ウラモグ》といったあらゆる角度から相手の戦略を崩壊させることができる。《真髄の針》が何枚あったって足りやしない。
プレイのポイントとしては、できる限り《彩色の宝球》を温存しておくこと。《彩色の星》と違って《彩色の宝球》はマナ能力の一部としてカードを引く=スタックに乗らないので、相手の《写本裁断機》などを無視してお目当てのカードをライブラリーのトップから引くことができる。相手のクロックは皆無だから、適当に土地を伸ばして、《彩色の宝球》で欲しいカードをゲットしてイージーウィン。
タイタンシフト
対 タイタンシフト
1ゲーム目は先攻3ターン目《解放された者、カーン》や先攻5ターン目《絶え間ない飢餓、ウラモグ》ですら負けることがある、かなり相性の悪いマッチアップ。
サイド後はタッチ黒が生きる。《原始のタイタン》《風景の変容》《約束の刻》《反逆の先導者、チャンドラ》といった致命的なカードのみをピンポイントで落とすこと。《四肢切断》は《不屈の追跡者》用に残しておくと吉。
まとめ
みなさんもご存知の通り2018年2月12日の発表により《精神を刻む者、ジェイス》と《血編み髪のエルフ》の禁止が解除になり、これからモダンはさらに大きく変わっていくことでしょう。
今後どんなデッキが出てくるのか楽しみですし、僕もこの2枚のカードを使ったデッキにこれから着手する予定です。《ヴェールのリリアナ》と《精神を刻む者、ジェイス》が共存した新生フェアリー、思い出深い《血編み髪のエルフ》ジャンド、さらにはこの2枚が共存したネクストレベルブルーみたいなデッキも使ってみたいですね。もちろん、既存の青白コントロールや青赤ブリーチに《精神を刻む者、ジェイス》が採用されることも疑いようがありません。
ただし、トロンにとっては今回の禁止改定が大きなチャンスにもなりえると考えています。《精神を刻む者、ジェイス》を使うような青いコントロールやジャンドのようなミッドレンジは、どちらもトロンのお客様ですからね。メインを大きく変える必要はないでしょうし、《真髄の針》なり《魔術遠眼鏡》を《精神を刻む者、ジェイス》対策としてサイドに採用するだけで十分ではないでしょうか。
《精神を刻む者、ジェイス》と《血編み髪のエルフ》がどれぐらい大暴れするのか、そして最後に笑うのはどのデッキになるのか、新しいモダン環境が本当に楽しみですね!
おまけ・現状と今後の目標について
最後に、僕の現状について簡単に報告させていただきます。
プロツアー『イクサランの相克』こそ不甲斐ないことに初日落ちしてしまいましたが、前述のモダンGP2回で合計5点を獲得できたおかげで、現在のプロポイントは24点になりました。
残りのプロツアー2回も昨年度&今年度のシルバーレベルで出場できる見込み=最低でプロツアー2回分の計6点は計算できるので、目標のゴールドレベルまでは残り5点ということになります。プロツアーでプロポイントを上乗せできるとは限りませんので、積極的にグランプリに遠征しつつ、一歩一歩、堅実に積み重ねていきたいと思っています。
来月のグランプリ・京都2018は、ライザ(石村 信太朗)とつっちー(土屋 洋紀)の2人と出場します!
それぞれスタンダード、レガシーのスペシャリストなので、仮に僕がボコボコに負けたとしても期待ができますね!(ライザはシールドのスペシャリストで名が通っていますが、実はスタンダードの勝率が世界2位なんですよ!凄い!!)
目指せトップ4、そしてこのチームでの25周年プロツアーの出場!!
近いうちに、《精神を刻む者、ジェイス》《血編み髪のエルフ》を使ったデッキの記事も書きたいなーと考えています。
それでは、また次回!
井川