Translated by Atsushi Ito
今回も新セット『イクサランの相克』環境のドラフトをやっていきましょう。
ドラフトの最初の8手をシミュレートし、4名のHareruya Prosに何をピックするか答えてもらいます。
本日参加してくださるProsはこちらの方々です!
(彼らのプロフィールや詳細はこちら!)
彼らが同じ選択を行うのか、それとも違った選択なのか、ピックを見るのがとても楽しみですね。
初手
高橋 優太
Pick
非常に悩ましいパック。赤の優秀な2マナが2種類ありどちらも強い。普通は優秀な2マナ域は除去よりも優先するが、パック内に1周しそうな吸血鬼パーツが多いので9手目に期待するのと、最悪でもタッチで使えることを考えて。
マーティン・ミュラー
Pick
2マナ2/1先制攻撃というだけでも既に強力ですが、ETB能力のおかげでゲーム後半においても腐ることがない優秀なカードです。
井川 良彦
Pick
汎用的かつ優秀な除去なのでをピックします。と悩みましたが、「海賊」向けのカードがパック内に多く卓内の複数人が選びそうなので、なるべく赤黒の方向性は避けたいなと。
ピエール・ダジョン
Pick
このパックはたくさんのプレイアブルカードで溢れている (その大半は黒だ) が、ここでの候補はとになるだろう。俺はこの環境では赤より白の方が好みだが、はアグロ/コントロールを問わず活躍する上にタッチも容易で、カードパワーとしてはこちらが勝っている。これを最初にピックしておくことでのようなカードを拾いやすくなって、そうすればこのカードをさらに強く使えるよな。
各プレイヤーの選択
2手目
高橋 優太
Pick
と強力な赤アンコモン2種。早速を流したことを後悔するが、強い赤黒海賊になれる可能性も考えてをピック。マルチカラーのアンコモン、ロード三種類は決断が早ければ早いほど強いデッキになりやすい。流れが悪ければキッパリと諦める。
マーティン・ミュラー
Pick
アンコモン3枚からの3択になることは明らかですね。これほど早くマルチカラーのカードをピックしたくはないのですが、単純にパック内で最も強力ですし、初手のカードとも噛み合っています。
井川 良彦
Pick
1パック目でを選んでいれば悩まずを取っていましたが、ここは住み分けのためにで。2ピック連続で除去を取ったこともあり、ミッドレンジ~コントロール寄りの方向性になりそうですね。
ピエール・ダジョン
Pick
まず、見た目ほどイージーなピックではないということは言っておく。はアグレッシブなマナカーブが形成できたときのみ強いカードで、しかもその上でこれ自体は4マナ域としては少々頼りないサイズとなっている。だが他方で、初手でピックしたとの組み合わせはバケモノじみているし、今後流れてくるがすべて爆弾カードになるって考えられるようになるわけだ。加えて、他の選択肢があるとすればだが (は使いたくないカードだ)、どうせ黒いカードをピックするなら最大値が大きい方をピックしたいね。
各プレイヤーの選択
3手目
高橋 優太
Pick
単純な性能で。「昇殿」すればゲームを決めうるカード。
マーティン・ミュラー
Pick
このパックは最悪ですね。仕方なく2マナ域をピックしておきます、もし赤黒になった場合大量の2マナ域が必要になる一方で、赤黒はまともな2マナ域が集めづらいからです。
井川 良彦
Pick
優秀なフライヤーをここで確保。おそらく下家はを取って赤黒海賊一直線でしょう。
ピエール・ダジョン
Pick
弱いパックで、他の色に行きたいと思えるカードもない。今のところは海賊ベースを維持することにしつつ、汎用性の高い (別に青黒コントロールに入れたって遜色ない) 2マナ域を、より受けが狭いよりも優先してピックしておこう。
各プレイヤーの選択
4手目
高橋 優太
Pick
この順手でコモントップの優秀な2マナ域が取れるなら、白が空いていることに期待できる。次点で。
マーティン・ミュラー
Pick
他にマシな候補があるとすればくらいですが、僕はの方をピックします。
井川 良彦
Pick
守りに長けた、優秀な2マナ域がこの順目で取れて嬉しいです。このまま白黒の方向に進みたいですね。
ピエール・ダジョン
Pick
青のトップコモンの1枚が流れてきたし、赤と黒で目ぼしいカードもないので、ここは手広く構えておこう。
各プレイヤーの選択
5手目
高橋 優太
Pick
5手目で取れると嬉しいカード。も残っており、白と緑が空いているのだろうか。
マーティン・ミュラー
Pick
これまでの流れとは全然違う色だとしても、これほどの強力カードが遅く拾えるのはありがたいものです。という安全な選択肢があるにしても、ここでこのカードを流すのは間違いだと思います。
井川 良彦
Pick
強力なアンコモンであるが流れてきたことにより緑がガラ空きなのがわかりました。ですが、ここは手を出したくなるのをグッとこらえてをピック。デッキの方向性にも合っています。
ピエール・ダジョン
Pick
一番の悩み所が来てしまった。緑が空いていることは明らかで、逆に赤はおそらく混んでいるのだろう。をピックしたいところだが、の方は現状取れば必ずデッキに入るだろう手堅いカードと言える。ここはプレイアブルなカードの最低枚数を確保するために「黒系海賊」という軸は捨てずに、2色目として青と赤を比較してあぶれた方はおそらく宝物・トークンでタッチするような形を模索したい。
各プレイヤーの選択
6手目
高橋 優太
Pick
「チキン」は1枚でゲームを決めうるのに、本当に過小評価されているカード。
これを乗り越えられるクリーチャーはコモンでほとんど居ない。白は確定させよう。同パックに赤の強い2マナ域2種があり下が赤になるため、赤参入は難しそう。
マーティン・ミュラー
Pick
とても強力な2マナ域ですね。先ほどのピックを早速ちょっと後悔しています。3手目と4手目のパックを見た時点では、すんなり赤黒に進んでいいか自信が持てなかったのです。
井川 良彦
Pick
赤もガラ空きで、1-1を少し悔やみたくなりました。ですが、白黒の流れもそこまで悪くありません。吸血鬼の完成形になるのであればの方が良いですが、現状はそうでもないので、受けが広いを取ることにします。
ピエール・ダジョン
Pick
打って変わって潤いに満ちたパックだな、赤系の海賊がガラ空きだ (他方でタフな赤系カードについてはおそらくその限りではないのだが)。ここが分岐点で、俺は初手のを最も強く使える黒赤アグロに進めるという感触を得た。そうした明確な方向性を持って見る限り、カードパワーはより強力とはいえあまり方向性に噛んでいないよりもをピックしようと思う。
各プレイヤーの選択
7手目
高橋 優太
Pick
パックが弱いので、サイドカードをピック。サイドカードとしては非常に優秀。もし君の卓にが合計2枚以上出ているならメインに入れよう。
マーティン・ミュラー
Pick
特に欲しいカードがありませんでした。とはいえこのカードはととても良く噛み合いますし、環境にはかなりタフネス1が多いところ、それらを除去することもできます。
井川 良彦
Pick
コントロール寄りのデッキになりそうなので、喜んでをピック。
ピエール・ダジョン
Pick
最初の方で述べたように、をでサポートしてやることで安定した動きが実現できる。他の選択肢が微妙な中ではまずまず良い拾い物だろう。
各プレイヤーの選択
8手目
高橋 優太
Pick
相手が入りならは欲しいが、正直いつでも取れる。となるとのどちらかだが、緑黒になることはほとんどないし赤をサービスし過ぎることもないのでここは。さて、9手目で吸血鬼パーツが帰ってこなかったらヤバいな。
マーティン・ミュラー
Pick
これは悩む余地がありませんね。以外のカードはどれも全くもって不要ですし、マナカーブを埋めるまずまずのクリーチャーが取れてラッキーです。
井川 良彦
Pick
サイドボード用にを取るか悩みましたが、下家を強くしすぎないために、をカットすることにしました。
ピエール・ダジョン
Pick
が流れてきたことで「あそこでを取っていれば」という思いが頭をよぎるけれども、まあ過ぎたものは仕方がない。は俺が目指している黒赤海賊なら悪くないカードだし、他に別のプランへ渡りを付けられるようなカードも見当たらないしな。
各プレイヤーの選択
それぞれのピックまとめ
高橋 優太
マーティン・ミュラー
井川 良彦
ピエール・ダジョン
まとめ
以前の記事でも述べたように、経験する機会が少なくなりがちなこともあり、レアや神話レアを正しく評価することは時に困難です。もちろんが強力なカードであることは議論の余地がないでしょう。しかし問題は、というトップクラスのコモンと比べてもなお良い選択肢と言えるのかという点にあるのです。
これについては私たちProsと同様、一般的にも意見が割れているようです。
また次の記事で会いましょう。
ジェレミー・デザーニ
Jeremy Dezani
2013-2014年シーズンのプレイヤー・オブ・ザ・イヤー獲得プレイヤー。
プロツアー『テーロス』では、「青単信心」を使いこなし見事優勝の栄冠に輝いた実績を持つ。グランプリのトップ8入賞回数は10回にも上り、優勝2回、準優勝2回を記録している。
海外のプレイヤーとしては初のHareruya Pros加入となる。
デザーニの記事はこちら