成功の鍵 -あの予言を覚えているかい?-

Sebastian Pozzo

Sebastian Pozzo

Translated by Daijiro Ueno

皆さんこんにちは。今回はグランプリ・サンティアゴ2018の結果がどうやってもたらされたか、そのあらすじについてお伝えしようと思う。

トロフィーショット

セバスティアン・ポッツォ、ルイス・サルヴァット、ルーカス・エスペル・ベルサウド

僕がマジックを始めてから本当に初めての経験だったから、故郷にトロフィーを持って帰ることができて嬉しかったよ。この記事では試合内容についてそんなに焦点を当てるつもりはないんだ。とても退屈だろうしね。でも僕たちの成功の鍵はどこにあったか、そしていくつか面白い逸話をお伝えするよ。

では、ことの始まりからお話しようか。なぜ僕たち3人でチームを結成したのか? これは、何ヶ月か前に遡る。僕たち3人はプロツアー・チーム・シリーズで同じチーム、Hareruya Latinの一員なんだ。そして、3人チーム構築戦であるマジック25周年記念プロツアーに向けて皆で一緒にプレイしようと決めたんだ(ティアゴ・サポリート/Thiago Saporito、カルロス・ロマオ/Carlos Romao、マルシオ・カルヴァリョ/Marcio Carvalhoの3人が、もう一方のチームだよ)。

ルイス・サルヴァット/Luis Salvattoとは一緒に何度かプレイしたことがあって、僕たちはとても良い友達同士だ。でも僕たちは二人とも、ルーカス・エスペル・ベルサウド/Lucas Esper Berthoudと一緒にプレイしたことはなかったんだ。

そこで、プロツアーの前にいくつかチーム戦のグランプリに出場する方が良いと考えたんだ。プロツアーに向けて自信を持って動き出す上では完璧なタイミングだし、大会中のコミュニケーションに関して快適にできるか確かめることもできるからね。

レベルの高いチームは、大抵の場合マリガンの判断以外のゲーム中の判断についてはお互いに助言したりしない。これは、実際にプレイしていた人でなければ試合中の一連の流れについてしっかりとした情報をほとんど持っていないから、より確実なプレイをすることがとても難しいからだと思っている。もしも対戦相手の手札が枯渇して、ドローしたカードをそのままプレイするような状態ならば、チームメイトの意見を聞く重要性は増すと思うけど、相手がカードを何枚も持っている場合は事情が変わってくることがほとんどさ。僕がチームとして戦うことに関心を持ったのは、チームメイトの誰かが負けても、誰かが勝つことで前に進めて、お互いが仲間の力になれる、なんていう点だったんだ

さて、トーナメントの話を始める前に、「予言」について、そして、試合前のハイライトについて話しておこうか。

Saporito talk

「君と君のチームメートが両方のGPで2位の栄光に輝くように願ってるよq^.^p」

Pozzo talk

「2位なら”本当に”光栄だよ」

僕たちの友達でありチームメイトであるbolov0(ティアゴ・サポリート)が、グランプリを控えた週にちょっとした刺激を与えてきたんだけど、僕はいつもどおり控えめで現実的なスタイルに忠実なままだった。だけど、僕たちは本当に良いチームだと分かっていた。チームメイトのルイスは全盛期を迎えているからね。

Pozzo talk

「これからグランプリ・サンティアゴ2018に向けて出発するところだよ。2人の素晴らしい友人、@LuisSalvatto(ルイス)と@bertuuuu(ルーカス)と一緒に参加するんだ。彼ら二人はプロツアーチャンピオンでもあるから、優勝を逃したら誰を非難すべきか分かるよね?:)」

準備として、3人で特別な練習はしなかったよ。オンラインのシミュレーションプールで何回か、そして紙のカードで少しだけ、という感じだった。プロツアーに向けた準備の中で培ったものを基準に、一般的な「3人組でのセオリー」を適用したんだ。ボムの密度が高い場合、多くのデッキはきれいなマナカーブを描いている、といったことだね。

グランプリ・サンティアゴ2018

1日目

さて、本戦の話だ。僕の感想を述べるならば、1日目に僕たちが引いたのは平均的なパワーのプールだった。赤の良いカードは《砲撃》《無謀な怒り》が1枚ずつでプレイアブルではなかったね(《帝国の先駆け》が1枚あったけれど、良いサーチ先がなかったんだ)。緑も《若葉のドライアド》以外はかなり弱かった。幸運なことにマーフォークが何枚かあったから、青の海賊たちと混ぜることができて、僕はまともな青緑デッキを使うことができたんだ。

Draft Deck 1

セバスティアン・ポッツォ – “青緑” (1日目シールド)

このデッキはよく回ったよ。戦略は明確で、相手に遅れを取らずにプレッシャーをかけ続けること《川守りの先駆け》《大嵐呼び》の組み合わせは感心するほど驚くべきもので、多くの試合で相手が態勢を整えるために立ち止まった瞬間に、多くのゲームを終わらせることができた。

2つ目のデッキは、ルイスにとって完璧なデッキだったよ。

Draft Deck 2

ルイス・サルヴァット – “白青” (1日目シールド)

このデッキは「昇殿」で溢れていた。そして、僕たちはドロー呪文をフル搭載してカードアドバンテージを最大活用することは避けるように決めた(サイドボードに入れた2枚目の《黄金都市の秘密》《クメーナの覚醒》を見逃さないように)。というのも、このデッキはすでに遅いデッキと相性が良いし、それよりもこちらにリソース交換を強いて「昇殿」を達成しづらくさせるような、よりアグレッシブなデッキに苦しむだろうと考えたんだ。このデッキは基本的には”コンボ”デッキで、必要なことは3/3、呪禁、絆魂、アンブロッカブル持ちを作り出して、こいつが仕事をこなすまで生き延びることだけさ。

運が良かったのか、ほとんどの場合、最も経験のあるプレイヤーは真ん中でコントロールっぽいデッキを使っていて、ルイスはこのミラーマッチのような相手に大量のサイドボードを駆使して何度も勝っていた。あるゲームでは、1枚のみならず2枚投入された《若葉のドライアド》のためにに緑を散らした白青昇殿を相手にして、1ゲーム目は打ちのめされてしまったことがあったんだ。そのときはサイドボードの4枚の赤いカードを引き込んで、試合を1-1に戻すことができたんだ。

黄昏の預言者薄暮薔薇、エレンダ

申し訳ないけれど、ルーカスのデッキの写真がないんだ。でも、彼はとても堅実な吸血鬼デッキを1日目に使っていたんだ。吸血鬼シナジーは多くないけれど、黒い除去が山ほどあって、《黄昏の預言者》《薄暮薔薇、エレンダ》 というゴージャスな神話レアもあったよ。

敗北したのは4回戦目と6回戦目だ。5回戦目では、ルーカスが前の試合からサイドボードを適切に戻していなくてゲームロスとなり、2本目ではマナスクリューに陥ってしまった。でもルイスと僕が問題なくやり遂げて、チームメートを支えるために弱さを見せることはしなかったよ。4回戦目ではルイスが、前述した《川守りの先駆け》《大嵐呼び》の「コンボ」を搭載した素晴らしいマーフォークデッキに、その日唯一の負けを喫してしまった。僕は勝っていたから、この敗北はちょっと悔しいものだったね。

川守りの先駆け大嵐呼び

6回戦目ではルーカスと僕が負けてしまった。そして、「負ければ初日敗退」という最後の2戦を戦うことになった。でもその日の終わりに奇妙なことが起こって、「負ければ初日敗退」というわけではなかったことが分かった。2日目進出の基準が次の様なものだと判明したんだ。「18ポイント以上のポイントを保持しているか、40位以上、もしくは同率40位のチーム」とね。

そして全262チームの中で、40位のチームは15ポイントを保持していた。これにより15ポイント以上のすべてのチームが2日目に進出できたんだ。これは今回のGPの運営の大きな過ちだと思う。多くのチームが3敗したあとでドロップしていたし、特に4-3でドロップしたチームは本当に嫌な思いをしただろうね。この基準を大きくアナウンスしなかったし、明確でもなかった。

幸運なことに僕たちは最後の2ラウンドで勝利して、6-2で2日目に進出した。そして同時に、トップ4進出を決めるためには2日目で勝ち続けなければならない、ということも分かっていたよ。

この日最後のハイライト:ルーカスは終盤に強い白赤緑恐竜ランプを相手に戦っていた。

鮮血流

二度の後攻で、相手のデッキは恐竜を展開するためにすべてのリソースを使わなければならないと考えて、《鮮血流》をサイドインした。そしてそのゲームで《鮮血流》 が捨てさせたのは、《焼熱の太陽の化身》《太陽冠のプテロドン》《原初の夜明け、ゼタルパ》、そして《原初の災厄、ザカマ》

焼熱の太陽の化身太陽冠のプテロドン原初の夜明け、ゼタルパ原初の災厄、ザカマ

悪くないね!

2日目

2日目は素晴らしいカードプールを引くことができた。何枚ものボムにお目にかかったよ。《首謀者の収得》のような弱いレアでさえ、ルーカスの白黒に入って《原初の死、テジマク》を探すことができたんだ。『イクサラン』のM10ランドは、ルイスの白青に色を足して《戦場の詩人、ファートリ》を使うためのマナベースを構築してくれた。僕はと言えば、純粋に強いこれを使ったよ。

Draft Deck 3

セバスティアン・ポッツォ – “赤緑” (2日目シールド)

素晴らしいビーストたちだけでなく、カードアドバンテージとテンポというばかげた組み合わせをもたらす2枚の《無謀な怒り》も入っているんだ。

ルイスが2日目に使用したのは、この白青だ。

Draft Deck 4

ルイス・サルヴァット – “白青” (2日目シールド)

このデッキは1日目のものと比べると、かなり良い防御手段を持っていた。あまり噛み合っていないのは《縄張り持ちの槌頭》だけで、多分ルーカスがこのカードを使うべきだったね。

ルーカスのデッキの写真は持っていないんだけど、それはまたしても吸血鬼シナジーをあまり持たない白黒吸血鬼だった。今回は良い除去が山ほど、というわけではなかったから、《原初の死、テジマク》《首謀者の収得》でその穴を埋めたんだ。ルーカス自身、このデッキは1日目のものよりもかなり良いと感じていたみたいだね。

原初の死、テジマク首謀者の収得

2日目のハイライトは序盤のラウンドの3ゲーム目で、後攻のゲームだ。相手のデッキの方がかなり強くて、ルイスはリスクを承知で1枚の土地と3マナ以上のスペルだけのハンドをキープした。ざっと計算したけど、最初の3回のドローで土地を2枚見つけられる確率は35%未満だった。だけど、呪文についてはこのマッチアップにおいて最適のものが揃っていたし、ここまでの2ゲームで、ルイスは相手の強力なボムが詰まったデッキを、6枚の平凡なカードで打ち負かすことはできないだろうとも感じていたんだ。そして無事に土地を引きこみ、僕たちはこの試合をものにしたのさ!

さて、話を「予言」に戻すことにしよう。2日目、僕たちの成績は4-0で期待に満ちていた。一方で、ウィリー・エデル/Willy Edelジュリアーノ・ジョヴァンニ・ソーザ/Juliano Gennari Souzaの2人と組んでいた僕の友達、ティアゴ・サポリートは初日を無敗で終えて、ここまで2-2という成績だった。

ペアリング発表の前にサポリートに話しかけに行って「次のラウンドで僕たちが当たらないように願っているよ」と伝えたんだ。そうしたら彼はこう答えた。

Saporito talk

心配ないよ。僕たち2チームは次のラウンドで勝つ。そして最終ゲームでマッチングして、IDすることになるさ」

僕たちは握手を交わした。そして彼の言ったことは現実になったんだ。

お昼を食べている間に、皆が予想したとおりパウロ・ヴィダー・ダモ・ダ・ロサ/Paulo Vitor Damo da Rosa – カルロス・ロマオ – ギリェルメ・メデイロス・メリアム/Guilherme Medeiros Merjamのチームがスイスラウンドを抜けて、トップ4はものすごく豪華なものになった。僕の代わりに誰かが計算したんだ。Top 4には、プラチナ・レベル・プロが5人、 プロツアー殿堂が2人、ゴールド・レベルが1人、シルバー・レベルが1人。プロツアー優勝の合計は5回、プロツアートップ8は計22回。グランプリ優勝は16回で、 グランプリトップ8は45回さ!

そして、ボリビア勢として初めてチームイベントでトップ4を成し遂げた3人にも祝福を送るよ!

チームHareruya Latinからの参加者5人全員が、それぞれのチームでトップ4に入った。6人目のHareruya Latinであるリミテッド・マスター、マルシオ・カルヴァリョはリミテッドではなく、代わりにグランプリ・マドリード2018で構築フォーマットをプレイすることを決めていたんだ。そこで僕たちは、ちょっとした小気味のいい煽りを思いついたんだ。

もちろん、彼の地元からマドリードはサンティアゴまでよりも10倍近いからね。以上で前座は終わりさ。

決勝へ -あの予言を覚えているかい?-

競技としてチームドラフトに取り組むことは人生で初めてだった。僕は「ボムはカットする。そしてシナジーよりも単純なカードパワーを評価すべき」ということくらいしか知らなかった。あらゆるスルーしたカードを、対戦相手がピックすることになるし、卓で開けられるパックが通常のドラフトよりも6パック分少ないから、シナジーをうまく機能させるのがより難しくなる可能性が高いからね。

さて、ドラフトを始める前、僕の良き友達のサポリートが僕のところに来て言ったんだ。

Saporito talk

あの預言を覚えているかい? もし決勝で戦ったら、僕たちが勝つよ」

そして、僕はこう答えた。

Pozzo talk

「オーケーさ。でももし僕たちが決勝で他のチームと当たったら、そいつらを打ち負かすんだ」

彼はうなずいて、もう一度握手を交わしたよ。

さてドラフトについて。僕のパックには、良い吸血鬼のロード(《軍団の副官》)があった。6人卓だと吸血鬼をピックできるプレイヤーは1人に絞られる、ということは分かっていたんだけど、あえてそれをピックしたんだ。なぜなら、単純に他のどのカードよりも良かったからね。僕はすごくラッキーだったと思っているよ。最終的にこの卓では僕だけが吸血鬼をピックできて、デッキはすごく良い物だったからね。

Draft Deck 5

セバスティアン・ポッツォ – “白黒” (準決勝ドラフト)

でも、僕が当たったのは徹底した青黒コントロールだった。1ゲーム目は勝ったけど、2ゲーム目でマナフラッドを起こしてゲームがとても長くなった。そして結局負けてしまったんだけど、そのときはデッキの中の土地をすべて引ききって、相手のデッキにはもう3、4枚しかカードが残っていない状況だった。そのとき、すでにルーカスも試合に負けてしまっていたけど、ルイスはこのそんなに良くないデッキで勝利を収めていたんだ。

Draft Deck 6

ルイス・サルヴァット – “赤緑” (準決勝ドラフト)

このデッキの好きなところは、良いデッキにはまず入らない《攻撃的衝動》 を上手く活用しているところだ。3マナ域が欠けているのは完全に急所で、良くない装備品が一つあるだけだった。

次は僕のマッチの3ゲーム目の話だ。試合はお互い総力戦になっていた。出だしは好調に2、3、4マナとテンポ良く展開していった。それから相手は《否認》《刺突》をカウンターしてちょっとしたテンポ阻害をしてきたんだけど、すぐに脅威はなくなった。そして僕たちは決勝に進出したんだ!

サポリートと彼の仲間は戦う気満々で、彼は間違いなく僕たちが話したことを思い出していたはずだよ。対面して少し冗談交じりの話はしたけど、心の底では勝ちたくて仕方がなかった。もちろん、準優勝というのも僕にとっては素晴らしい結果だと思っていたけれど、何も失うものなんてない決勝が始まるんだ。付け加えて、今回は生来のチャンピオンであるルイスとルーカスという偉大な仲間がいた。彼らがトップの座に輝く味を忘れることなんてないんだからね。

というわけで、ドラフトは《水結び》のピックから始まった。そして同じパックに《財力ある船乗り》が残っていることが、誰も青をピックしていないというサインだった。僕は良い「昇殿」デッキを作ろうと試みたんだけど、フィニッシャーを取れず、代わりに何枚かアグロ寄りのカードをピックした。その結果デッキはまずまずの完成度だったけど、半分アグロ、半分防御的なカードによる少し中途半端なものになった。アグロカードに関しては、回避能力持ちだったけどね。

Draft Deck 7

セバスティアン・ポッツォ – “青赤” (決勝ドラフト)

今回、ルイスは良いカードに恵まれたんだけど、3色にせざるを得なかった。

Draft Deck 8

ルイス・サルヴァット – “白赤黒” (決勝ドラフト)

そしてルーカスは自分の白緑デッキを低く評価していたけど、幸運なことに彼の相手のサポリートも、より軽い白緑を使っていたんだ。

対戦が始まると、僕はウィリーの早い赤黒海賊デッキに打ちのめされてしまった。チームメイトにウィリーがどんなカードを持っているかもっと良く意見を聞いて、そこから彼のデッキがアグロだと突き止めて、自分のデッキをよりアグロ対策のできたものにすべきだったんだと思うよ。

でも、2ゲーム目はウィリーが何回もマリガンした上で、僕のスタートがまずまずだったから彼に勝ち目はなかった。

僕が2ゲーム目を終わらせたとき、すでにルーカスはサポリートが土地を多く引き過ぎたおかげで勝利していた。そして、ルイスとジュリアーノは3ゲーム目に突入していた。ジュリアーノは土地が詰まってしまって、ウィリーと僕は3本目を始めさえしなかった。なぜなら、ジュリアーノが今すぐに土地を引かなければ、この勝負は終わるからだ。彼は土地を引くのに失敗したあと、ウィリーにどうプレイするべきかを聞いたんだけど、ウィリーはただ握手のジェスチャーをして、そしてすべてが終わったんだ。

今まで経験こそなかったけれど、僕が常に夢見ていたことで、どれほど素晴らしい気分になれるか想像できていた。愛することにたくさんの努力を注ぎ込み、すべてが報われたことは、素晴らしい経験だった。僕を印象づけてやまないのは、国や地域が同じだけなのに、僕を励ましてくれること。そして、良い結果を出すことで皆がこんなに喜んで、讃えてくれることさ。だからもう一度言わせて欲しい。サポートしてくれた皆、本当にありがとう!

Pozzo talk

「へっへっへ……予言は実現しなかったね、ミ・アミーゴ(友よ)」

皆が記事を楽しんでくれたことを願うよ。また次回会おう!

ポッツォ

この記事内で掲載されたカード


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