Translated by Daijiro Ueno
(掲載日 2018/04/18)
こんにちは、皆さん。
今日の記事ではレガシーについて話そうと思います。最近行われたグランプリ・シアトル2018レガシーに参加し、決勝戦に進出しました。みなさんにこの経験をお伝えします。
アメリカに行く前、私はスタンダードをかなりやりこんでいて、白単《副陽の接近》を使いこなす能力については自身がありました。
- 2018/04/10
- 白単の接近
- Jeremy Dezani
シアトルではスタンダードのグランプリも併催されました。良い成績を残せる可能性が高いと思い、主にスタンダードに注力していました。レガシーの方にはエントリーせず、スタンダードだけに集中したいと思っていたのです。しかし齋藤 友晴さんに、「それは良くないんじゃない? 挑戦するのはタダなんだから、レガシーの方にも参加したほうが良いよ!」と言われたので、レガシーに関する知識や、メタゲーム、そしてデッキ選択についてまったくアイデアがない状態でエントリーすることにしたのです。
まず、プレイングが簡単で上達しやすいと考えて、赤黒リアニメイトをテストすることから始めました。このデッキのメインボードは1ターン目に勝利できることが何度もありますが、対処されやすいデッキであり、致命的なサイドカードが飛んでくることも知っておかなければいけません。サイド後には勝率がかなり下がり、《外科的摘出》を採用しているデッキを相手に、一日中勝ち続けることは不可能だと感じていました。
その後、「Connected Company」のチームメイトであり、熱狂的なレガシープレイヤーであるアンドレア・メングッチ/Andrea Mengucciのレガシーの動画を見ました。スゥルタイミッドレンジに関するものです。
こちらがデッキリストです。
1 《沼》
3 《Underground Sea》
2 《Tropical Island》
1 《Bayou》
4 《汚染された三角州》
3 《新緑の地下墓地》
3 《霧深い雨林》
3 《不毛の大地》
-土地 (21)- 4 《死儀礼のシャーマン》
4 《悪意の大梟》
1 《瞬唱の魔道士》
2 《真の名の宿敵》
2 《トレストの使者、レオヴォルド》
-クリーチャー (13)-
4 《思案》
3 《致命的な一押し》
2 《思考囲い》
2 《突然の衰微》
4 《トーラックへの賛歌》
1 《悪魔の布告》
4 《意志の力》
1 《最後の望み、リリアナ》
2 《精神を刻む者、ジェイス》
-呪文 (26)-
この記事、そして動画を入念にチェックし、アンドレアとお互いの考え方や、使用感について議論を重ねた結果、いくつかのカードを変更することにしました。
以上のような調整を加えてから練習を始めました。このデッキでMagic Onlineのリーグに4回参加して、17-3という成績を残しました。ANTや《実物提示教育》を倒し、そしてリアニメイト相手に1本目を取ることもできて、このデッキが本当に好きになりました。何度も青白奇跡と対戦しましたが、毎回勝利できました。3敗を喫したのは、《飛行機械の鋳造所》と《弱者の剣》に、《絵描きの召使い》と《丸砥石》の2つのコンボを内蔵したデッキと、リアニメイト、エルフです。
さて、このデッキを使用している多くのプレイヤーは《梅澤の十手》を採用しています。
しかしながら、このカードを活躍させるまでの準備は簡単ではありません。まず第一に、プレイと装備で計4マナがかかり、装備するクリーチャーを展開しておかなければならない、という時点ですでに骨が折れます。その上で、《コラガンの命令》や《再利用の賢者》、そして《突然の衰微》といったカードだけでなく、装備先のクリーチャーに対する除去を回避、もしくは手札破壊で落としておく必要があります(《真の名の宿敵》ならば話は変わってきますが)。エルフに対しては非常に効果的でしたが、《ワイアウッドの共生虫》という対抗手段を彼らは持っています。
これらに加えて、このカードは多くのマッチアップで勝利と関係なく、このデッキにとってそこまで良いカードとは言えないことに気付くでしょう。結論として、代わりに《最後の望み、リリアナ》を採用することにしました。《梅澤の十手》が機能しないコントロールデッキ相手に強く、事前準備がより容易ですからね。
トーナメント
こちらがグランプリ・シアトル2018で用いたデッキリストです。
1 《沼》
3 《Underground Sea》
2 《Tropical Island》
1 《Bayou》
4 《汚染された三角州》
3 《新緑の地下墓地》
3 《霧深い雨林》
3 《不毛の大地》
-土地 (21)- 4 《死儀礼のシャーマン》
4 《悪意の大梟》
1 《瞬唱の魔道士》
2 《真の名の宿敵》
2 《トレストの使者、レオヴォルド》
-クリーチャー (13)-
3 《思案》
3 《致命的な一押し》
2 《思考囲い》
1 《狼狽の嵐》
3 《突然の衰微》
2 《トーラックへの賛歌》
1 《悪魔の布告》
4 《意志の力》
1 《最後の望み、リリアナ》
2 《精神を刻む者、ジェイス》
-呪文 (26)-
1日目:6-2
ラウンド1~3:Bye
ラウンド4:エルドラージアグロ(2-0)
ラウンド5:《実物提示教育》(2-1)
ラウンド6:青白奇跡(2-1)
ラウンド4、5は勝利しました。エルドラージ相手には1ターン目に《虚空の杯》を置かれましたが2ゲームとも制し、青白奇跡相手には《最後の望み、リリアナ》の紋章で勝利しました。
ラウンド7:グリクシス・デルバー(1-2)、ラウンド8:グリクシス・デルバー(1-2)
グリクシス・デルバーに対しての2連戦はかなり惜しかったのですが、相手がかなりうまく立ち回ったこともあって負けてしまいました。このとき、まだ自分のデッキは素晴らしいと信じていましたが、グリクシス・デルバーのスピードに対するケアが構築段階で十分ではなかったと気づきました。
2日目は午前10時に始まるのですが、午後9時に眠ってしまい、目が覚めたのは午前1時でした。
2日目:7-0
すでに2敗していたので、最初の2ラウンドの内どちらかで負けてしまったらドロップして、スタンダードに参加するつもりでした。
ラウンド9、10:グリクシス・デルバー(2-0)、グリクシス・デルバー(2-1)
グリクシス・デルバーと2回対戦し、どちらも私が勝ちました。私のデッキが抱える構築上の弱点はこのマッチアップのみということに気づきました。このことは、残りラウンドを戦う上で大きな希望となり、8-2でレガシーの試合を続ける決心をしました。
ラウンド11:マーベリック(2-1)
3本目、こちらが《トレストの使者、レオヴォルド》をコントロールしているしているのにも関わらず、相手は《森の知恵》の効果で追加の2ドローをしようとしました。これに対する裁定は、ドローステップに引いた1枚を含めた3枚の内、1枚を私が選んで相手の手札に、残り2枚はライブラリーに戻してシャッフルした上で、「4点のライフを支払うか、私が選んだカードをライブラリートップに戻すか選択する」というものでした。ジャッジたちの説明は理解できましたし、この裁定は正しいと考えていましたが、相手にとってはとても目も当てられない状況で、この失敗から巻き返す機会はありませんでした。
ラウンド12:《実物提示教育》(2-0)
このマッチアップはサイド後にすごく有利になります。ただし、メイン戦はあまり良くありません。無駄な除去がデッキにたくさん入っていますからね。幸運なことに、相手は2回マリガンをしてしまいました。それだけでも状況は悪いですが、《トーラックへの賛歌》入りのデッキに対しては、特に最悪です。
ラウンド13:デス&タックス(2-0)
デス&タックス戦は両日通してベストマッチだったと思います。1ゲーム目も2ゲーム目もかなり不利な状態でしたが、持ち直すことができて2-0で勝てました。
ラウンド14:感染(2-0)
最初はお互い順調にゲームを楽しんでいましたが、相手がフェッチランドを起動して《ドライアドの東屋》を探そうとしたのですが、デッキの中に見つけることができませんでした。彼はジャッジを呼び、メインデッキではなくサイドボードに《ドライアドの東屋》が入っていると気づきました。そのかわりに、本来サイドボードにあるべきカードがメインデッキに入っていて、裁定は彼のゲームロスとなってしまいました。そのときは私がかなり押していて、試合に負けるようなことはなさそうな状況でしたけどね。
2本目ではクレイジーな瞬間を味わいました。相手は《墨蛾の生息地》を起動し、《激励》を唱えました。私は《致命的な一押し》で応えたのですが、相手は《目くらまし》で打ち消してきたのです。
打ち消されないために1マナを払うことはできたのですが、《意志の力》を使う、という選択をしました。相手は2枚目の《目くらまし》を使ってきましたが、《狼狽の嵐》が私に勝利をもたらしてくれました。私とジャッジ、対戦相手はこのターンの間中何度もスペルの対象を選び、スタックを正しく積むようにやり取りをしていたので、ゲームが非常に混沌としていて見ている人たちには試合運びがすごく遅く感じられたでしょう。しかし、このゲームは非常に素晴らしいものでしたね。
ラウンド15:黒緑ダークデプス
1ゲーム目はかなり厳しい試合になりました。あまり役に立たない除去を手札にたくさん抱えてしまったのです。こちらのサイドボード後の対抗手段は《外科的摘出》に《壌土からの生命》、 そして《不毛の大地》です。サイド後はとても拮抗していて、3ゲーム目ではすべての《暗黒の深部》を 《外科的摘出》で抜き切ることに成功しました。ですが、相手にとどめを刺せずに時間切れで追加5ターンを戦うことになりました。私は追加2ターン目に《思案》をキャストして《真の名の宿敵》を見つけることはできましたが、ゲームを終わらせるには時間が足りません。相手はもう勝ち手段が何もなく、追加ターンをプレイせずに投了し、私にトップ8行きの切符を手渡してくれました。
彼は言いました。「このマッチで、君のプレイは見事だった。僕が投了する理由としては十分だよ」と。彼のスポーツマンシップに敬意を払わねばなりません。お互いにとって、幸せな結末です。彼はトップ16に入賞を果たしたわけですが、もし引き分けを選んでもその結果は変わらなかったのですから。
ついにやりました。トップ8進出のために必要な唯一の成績である7-0を達成しました。
トップ8:
準々決勝:青白奇跡(2-1)、準決勝:青白奇跡(2-1)
青白奇跡との1ゲーム目はあまり良いものではありませんが、サイド後には劇的に良くなります。
相手は基本的に《狼狽の嵐》や《赤霊破》といったカードをサイドインしてくるでしょうが、 こちらはそれらの影響を受けない追加の《最後の望み、リリアナ》や《苦花》、《森の知恵》といった脅威を追加することができますからね。
立て続けの9連勝は最高ですね!
決勝:グリクシス・デルバー(0-2)
たくさんの人が決勝を見てくれていたようでしたが、私は運に恵まれませんでしたね。 運に見放されていたとしても、グリクシス・デルバーは相手にマナトラブルを起こさせて行動を縛るデッキです。もし、もっと遅いデッキに当たっていれば、勝っていたでしょう。相手は良いスタートを切り、ゲーム全体を通してうまく立ち回っていたので、それが彼に勝利をもたらすことになりました。 彼に対して祝福を!
とにかく、私もトロフィーを獲得できました。東京に持ち帰ることができて、とても幸せです。
トーナメントを通して活躍したトップ5カード
5位 《突然の衰微》
レガシーでは多くのデッキがクリーチャー(《秘密を掘り下げる者》 / 《若き紅蓮術士》 / 《僧院の導師》)やエンチャント(《相殺》 / 《アズカンタの探索》/ 《基本に帰れ》)、さらにそれを守るカウンター呪文をプレイしてきます。《突然の衰微》はこれらに対して最良の解答となるのです。
4位 《森の知恵》
《森の知恵》はフェッチランドと相まるとロングゲームでは特に大きなアドバンテージをもたらします。この状態から負けることはほぼないでしょう。毎ターン最良のカードを見つけることができるのは信じられないほど素晴らしいことなのです。グリクシス・デルバーが下火になれば、このカードをメインデッキでプレイするでしょう。
3位 《トレストの使者、レオヴォルド》
このクリーチャーはたくさんの能力を持っています。相手はこのカードに対して手を焼き、簡単にミスプレイを引き起こすでしょう。レガシーで考えられるマッチアップのほとんどで素晴らしい働きをしますし、クリーチャーでこんなことはあまり考えられませんよね。よく使われる《渦まく知識》や 《思案》だけでなく、《グリセルブランド》や《精神を刻む者、ジェイス》といったカードによるドローを防ぐことができます。
2位 《最後の望み、リリアナ》
この大会を通して、《最後の望み、リリアナ》の「+1」能力を使って数多のクリーチャーを倒し、《渦まく知識》と「-2」能力を組み合わせて活用しながら、紋章を6回獲得しました。このカードは本当にたくさんの仕事をしてくれて、プレイするのが本当に楽しかったです。
1位 《死儀礼のシャーマン》
このカードはおそらくレガシーで最も強力なカードでしょう。1マナのプレインズウォーカーのようなものですからね。マナ加速、墓地対策、ライフを攻めたり逆に回復したりといった具合で、1ターン目からゲームの最後まで試合全体を支配するカードです。
さて、もしもレガシーのトーナメントが目前に迫っているとしたら、まったく同じメインデッキで臨むでしょう。しかしサイドボードについてはグリクシス・デルバーに対して強くなるように少し変えようと思います。トーナメント中に5回対戦して2-3という成績でしたし、他のデッキにはすべて勝ちましたからね。
まとめ
私はこの素晴らしい結果により6点のプロポイントを獲得しました。これにより、残りの4つのグランプリでたった6ポイント獲得するだけでゴールドレベルを維持できるようになりました(実際のグランプリ成績:6/5/3/3)。
時差ボケや睡眠不足もありましたが、それでも私は大会中かなりうまく戦えたと思います。シアトルへの旅はとても楽しく、成功に満ちたものでした。特に2人の素晴らしい友人、齋藤 友晴さんと金川 俊哉さんのおかげです。
みなさんがこれからレガシーの大会へ参加される際には、ぜひスゥルタイを使うことをオススメします。
読んでいただいてありがとうございます。
ジェレミー・デザーニ