Translated by Daijiro Ueno
(掲載日 2018/04/25)
やあみんな!
今日はモダンやレガシーで見ることになりそうな『ドミナリア』の新カードをすべてチェックしようと思う。「人間デッキ」を一瞬でTier 1に押し上げた《手付かずの領土》のようなカードは今のところ見つからないが、ユニークなカードたちがいくつかあるし、こいつらの可能性を探っていくのは間違いなく楽しいだろうね。
《黎明をもたらす者ライラ》
モダンで「白青コントロール」から繰り出される《悪斬の天使》には完全にお手上げだった。こいつにモダンプレイアブルだという評価を与えるのはちょっと気前が良すぎるが、《修復の天使》をより強力に育てるという点で《黎明をもたらす者ライラ》は純粋な上位互換のようなものだ。「伝説の」という特殊タイプは《水辺の学舎、水面院》などとシナジーを形成する点にも注目だ。
《ベナリアの軍司令》
マジックは騎士で溢れかえっている!《ベナリアの軍司令》は《幽体の行列》 や《風立ての高地》入りのトークンデッキにその居場所を見出すかもしれない。《稲妻》で死ぬから十分とは言えないかもしれないが、俺は《清浄の名誉》よりも良いカードになり得ると思う。
《豊潤の声、シャライ》
このカード名は最高だね! 《豊潤の声、シャライ》 は主に「《召喚の調べ》デッキ」で見かけるかもしれない。呪禁能力はクリーチャーに干渉されるのを防ぎ、プレイヤーを直接ターゲットに取るカードに対するヘイトカードとして機能するだろう。起動型能力については、マナコストの関係で一見ほとんど意味がないように見えるが、俺は《ガヴォニーの居住区》を内蔵しているような印象を受けた。この二番目の能力のおかげでこいつはプレイアブルになると思う。「《召喚の調べ》デッキ」においてマナフラッド対策になるし、なにより《極楽鳥》のようなマナクリーチャーがいるからね。
《祖神の使徒、テシャール》
《祖神の使徒、テシャール》は無限コンボに活路を見出すだろう。《モックス・アンバー》 や《マイアの回収者》といったたくさんのカードたちがこいつとコンボを形成することになりそうだ。もしかしたら「《献身のドルイド》デッキ」においてサブコンボを成立させるかもしれないな。《潮の虚ろの漕ぎ手》みたいなカードはすでに採用しても良いラインのカードだし、こういったカードが《祖神の使徒、テシャール》の能力を誘発させるんだ。
《カーンの経時隔離》
いつの時代も、《Time Walk》は使われるものだ。こいつは伝説のクリーチャーやプレインズウォーカーなしでは機能しない欠点を持っているが、利点も持ち合わせている。「エターナルブルー」がこいつをキャストする手段を確保できれば、デッキが少し良いものになるかもね。
《アンティキティー戦争》
英雄譚と初顔合わせだ!
《アンティキティー戦争》は《ボーラスの工作員、テゼレット》と多くの類似点を持っているが、相手の攻撃をいなすことができるという利点がこいつにはない。《アンティキティー戦争》 が「ランタンコントロール」における《ボーラスの工作員、テゼレット》に取って代わるとは思わないが、アーティファクトで相手の行動を縛るという似たコンセプトを持ったデッキ(ただし、黒をタッチしていない形)に入るかもしれない。
《反復の学部長、ナバン》
《反復の学部長、ナバン》はとても面白いカードだ。モダンに彼と組ませたいウィザードがたくさんいるわけじゃないが、数少ないプレイアブルなカードはどれもかなり強力だ。使い方としては《瞬唱の魔道士》の能力を二回誘発させる、といった具合だが、スペル重視のデッキにはあまり必要じゃないかもしれない。俺にとっては《反射魔道士》との組み合わせが最も強力に感じるよ。
《反射魔道士》の能力が二度誘発するということは、クリーチャー重視のデッキ同士ではすさまじいインパクトを与える。《教区の勇者》と《サリアの副官》と組み合わせても相性が良いことにも触れておこう。《反射魔道士》や他のウィザードをプレイすれば、《サリアの副官》で+1/+1カウンターが2倍乗り、《教区の勇者》にも2倍のカウンターが乗ることになるんだ。これらの利点は「人間デッキ」に1、2枚採用されて試されるだけの価値があると考えているよ。《翻弄する魔道士》 の能力は誘発型能力じゃないから、こいつが《反復の学部長、ナバン》の恩恵を受けられないのはとても残念だね。
《マーフォークのペテン師》
《マーフォークのペテン師》はマーフォーク軍団への参加を考えている一匹のマーフォークに過ぎない。プレイアブルかもしれないが、モダンやレガシーにおける現在の「マーフォーク」の構成を変えるほどだとは思わないね。
《喪心》
このセットにおける《破滅の刃》だ 。《喪心》は《喉首狙い》 や、ゾンビである《グルマグのアンコウ》に対処できない《夜の犠牲》みたいなカードより良さそうだ。そんなに見かけることにはならないかもしれないけど、これらのカードに取って代わって採用される場面もあるかもしれないね。
《ゴブリンの鎖回し》 と 《ゴブリンの戦長》
この「真っ当なゴブリン」2体がモダンで旋風を巻き起こすとは思えない。両方ともそれなりにプレイアブルなカードとして終わる、という予想だ。だが《ゴブリンの鎖回し》はレガシーの「ゴブリン」で1体ぐらい採用されるかもしれない。必要に応じて《ゴブリンの女看守》から持ってきて、 《若き紅蓮術士》に対抗できるからね。
《不死身、スクイー》
《不死身、スクイー》は「《食物連鎖》」で無限コンボを生み出す新たなクリーチャーだ。最大の利点は、こいつは墓地からもキャストできるということで、《トーラックへの賛歌》などで捨てられても「《食物連鎖》」のコンボを確実に始動できる。《陰謀団式療法》とも相性が良い。フレーバーテキストも好きだ。本当に”不死身”のクリーチャーのように感じられるからね。
《スカークの探鉱者》
おそらく『ドミナリア』の中で、モダンにとって最も重要なゴブリンだろう。単純に様々な面で《スカークの探鉱者》は優れていると思ったんだ。こいつは《ゴブリンの手投げ弾》を採用しているような「超高速ゴブリンデッキ」全般を競技レベルに引き上げる可能性がある。大量の赤マナを生み出せるから、《巣穴からの総出》とも面白いシナジーがあるな。《スカークの探鉱者》は、構築してみるのが楽しみな一枚だ。
《鉄葉のチャンピオン》
グランプリ・ハートフォード2018でマット・グランによってトップ8に送り込まれてから、「エルフ・アグロ」はもう一度考慮すべきデッキになった。《献身のドルイド》を横目に、このデッキは単純にフェアなやり方で相手を打ち負かすんだ。このプランでは、《鉄葉のチャンピオン》は枠を争うだけの十分なポテンシャルを持っている。《グルマグのアンコウ》とやりあうのに十分なサイズを持ち、回避能力も相まってダメージレースで優位に立てる可能性がある。さらにマナコストが3だから《集合した中隊》との相性も抜群だ。モダンにおいて、少なくとも何度かプレイされるのを見ることになると予想しているよ。
《ドミナリアの英雄、テフェリー》
《ドミナリアの英雄、テフェリー》はモダンではちょっと重すぎる印象だ。競争相手は《ギデオン・ジュラ》だが、同じ役割を担わせるなら、結局そちらのほうが良さそうだ。モダン環境がもっと低速化して、じりじりした戦いが多くなるようなら、《ドミナリアの英雄、テフェリー》が「白青コントロール」に居場所を見つけるかもしれない。
《ウェザーライトの艦長、ジョイラ》
《ウェザーライトの艦長、ジョイラ》はコンボカードだ。マナコストの観点では《上級建設官、スラム》ほど効率は良くないが、デッキ構築の話となると彼女はより柔軟だ。彼女のポテンシャルは《モックス・アンバー》が良いか悪いか、といった話と同じような評価のされ方になるだろう。
《モックス・アンバー》
さて、このセットで最も特別なカードの登場だ。マジックにおいてモックスの名が与えられたカードは多くない。それにも関わらず、そのほとんどが様々なフォーマットで禁止され、残っている方が珍しいんだ。だからこいつは明らかに注目に値する。こいつを起動するのは難しいように感じるが、《オパールのモックス》を初めて見たときにも同じことを感じていたよ。俺が思うに《モックス・アンバー》はクリーチャー主体の無限コンボを狙うようなコンボデッキに居場所を見つけると思う。それにもし《ウェザーライトの艦長、ジョイラ》や《ヴィダルケンの大魔道士》を搭載したコンボデッキがあれば、起動も簡単だろう。《祖神の使徒、テシャール》や、《族樹の精霊、アナフェンザ》といったコンボが可能な伝説のカードたちが入ったデッキでも役割を果たすことが想像できるね。
《ウルザの後継、カーン》
《ウルザの後継、カーン》のテキスト欄に書いてあることが強力なのは明白だが、モダンに大きな衝撃をもたらすポテンシャルがあるようには見えないね。問題は、《ウルザの後継、カーン》がすんなり入りそうなデッキがそんなに見当たらないということで、数少ない採用枠のあるデッキには、他にもっと優れた選択肢があるんだ。つまり、このカードはこいつ中心で回るようなデッキ、多分「《罠の橋》デッキ」の亜種みたいなところで活躍すると思う。
一方レガシーでは《ウルザの後継、カーン》が「赤単プリズン」における《反逆の先導者、チャンドラ》の強化版として採用されるのが簡単に予想できる。3種類の能力全てと相性の良いアーティファクトがたくさんあるし、このデッキにとって無色(4)マナは(2)(赤)(赤)よりも出しやすいからね。
《クルーグの災い魔、トラクソス》
《クルーグの災い魔、トラクソス》はかなり強いんじゃないかと考えているよ。欠点をほとんど緩和できる「親和」のようなデッキにも居場所を見つけそうだ。それに、トランプルは《頭蓋囲い》や《電結の荒廃者》の「接合」とも相性が良い。こいつをプレイする頃、手札は空になっているだろうから、もしかしたら最終的にプレイアブルではない、ということになるかもしれない。だが、少なくとも試す価値はあると思うね。
レガシー以下の環境では、《クルーグの災い魔、トラクソス》は《古えの墳墓》や《裏切り者の都》と非常に相性が良い。こいつらのおかげで2ターン目の着地も可能だ。サイズは《グルマグのアンコウ》を圧倒するし、《真の名の宿敵》にも止められない。「MUD」のような、土地以外はすべてアーティファクトみたいなデッキに枠があると思うよ。
《減衰球》
最後になるが、余り物ではない。こいつを絶対に軽んじてはいけない。およそ禁じ手みたいなものだ。《減衰球》はモダンに衝撃をもたらすことがほぼ確定的だ。多くのデッキに対する素晴らしい刺客となるからね。「ストーム」、「トロン」、そして新しい「《クラーク族の鉄工所》コンボ」にとって、ゲームが終わってしまう前に何とかして《減衰球》に対処しなければならない存在なんだ。素晴らしいヘイトカードだよ。コンボデッキがこいつの前で立ち往生しているのを何度目撃することになっても驚かないだろう。無色のカードは《石のような静寂》や《古えの遺恨》のような色つきのカードよりもずっとデッキに入れやすいからね。
今日はこんなところだな!
『ドミナリア』のカードパワーが特に高すぎると思っているわけじゃないんだが、《ウルザの後継、カーン》のようなユニークなカードが刷られ続けているのは非常に嬉しいことだ。カードを見て、「使われるのか? それとも使われないのか?」というのがまだ分からないときの感覚は楽しいよ。そう、新セットのプレビューを見るときはいつだってね。
読んでくれてありがとう!
ハビエル・ドミンゲス