レベルプロへの道 ~その4・What’s the Play?~

浦瀬 亮佑

 こんにちは。Hopesの浦瀬です。

 先日行われたグランプリ・北京2018にて、幸運にもTop4という成績を残すことができました。今回はそのレポートをお届けしようと思います。

 とはいっても、単純な対戦レポートはそれほど需要がないかと思いますので、印象深かった4シーンを”What’s the Play?” 形式(「プレイングの極み」形式)で紹介していきます。

 どれも「プレイングの極み」ほど深いものではないので、軽めに考えてみてください。

1. 初日シールド

 メインデッキは青緑タッチ白のミッドレンジ。サイドプランに4枚出た《騎兵呼集》を生かした緑白のトークンアグロを用意。同行者の五嶋くんが考えてくれた構成です。単体除去を詰め込んだミッドレンジ/コントロール相手に面白いように勝ってくれました。

騎兵呼集

Case 1

 Round 4。対戦相手はアブザンカラーのずっしりしたミッドレンジデッキ。1本目をなんとか取った2本目、緑白にチェンジ。

 《氷の干渉器》を見ていたため《神聖の発動》もサイドイン。ミッドレンジミラーと見た相手が後手を選択してくれるなどサイドプランがうまくハマって、次のターンには勝てそうな局面。

Case 1

あなたならどうプレイする?

現在:自分の第2メインフェイズ(サイドボード後)

相手

場:土地5枚

《セラの天使》

手札:4枚

ライフ:2

自分

場:土地4枚(すべてアンタップ)

騎士トークン2体

《ラノワールのエルフ》2体(タップ状態)

手札:《神聖の発動》《獣血蝋燭》

ライフ:20

獣血蝋燭神聖の発動
実際のプレイ

 なにも考えずに《獣血蝋燭》をキャスト→相手が《神聖の発動》して4点ゲイン。

 そのまま《セラの天使》に5回殴られて敗北。

解説

 この環境には、白の入ったデッキ相手に詰めろをかけている場面で迂闊にアーティファクト・エンチャントを出してはいけないという定石があります。理由はもちろん《神聖の発動》です。

神聖の発動

 このことは晴れる屋ドラフト練習会で聞いていたのにも拘わらず、すっかり忘れて手なりでキャストしてしまいました。

 さて、この場面では《獣血蝋燭》をあえて出すことで返しに《神聖の発動》を誘い、自分の《神聖の発動》をスタックで撃つことで相手のライフゲインを妨害するのが正着だったと思います。相手は土地をプレイしていたとしても残り3マナで盤面を捌かなければならなくなるので、ほぼ勝ちが決まります。

 実際には《獣血蝋燭》を墓地に置いた瞬間に全てを悟り、完全に手遅れでした。恥ずかしさで死にそうになりました。このあと3本目も敗北し、マッチを落としてしまいます。

Case2

 Round 8。対戦相手は青黒タッチ緑のミッドレンジ~コントロールデッキ。

 メイン戦、先手で調子よく攻めていたものの《ファイレクシア教典》で一気に流され、パワー10の《アーボーグの暴食、ヤーグル》に殴られ敗色濃厚の状況。勝つためにはどのようなプランを描いてどのようにブロックすべきでしょうか?

Case 2

あなたならどうプレイする?

現在:相手のコンバットフェイズ(メインボード戦)

相手

場:《愚蒙の記念像》を含む土地7枚(すべてアンタップ)

《カリゴの皮魔女》

《アーボーグの暴食、ヤーグル》(10/4) アタック状態

手札:3枚

ライフ:11

墓地:《サリッドの予言者》

《ヴォーデイリアの秘儀術師》

アーボーグの暴食、ヤーグル冷水カミツキガメ
実際のプレイ

 《胞子冠サリッド》《アーボーグの暴食、ヤーグル》をチャンプブロック。

 《セラからの翼》をトップデッキして《冷水カミツキガメ》にエンチャント。

 《ラノワールのエルフ》チャンプブロックで次の攻撃も凌いで勝利。

解説

 《アーボーグの暴食、ヤーグル》《冷水カミツキガメ》を交換してしまいそうになりますが、現状リソースで大幅に負けており、普通のゲームを続けても敗色濃厚です。

 となると、普通でない勝ち筋を目指す必要があります。つまり《冷水カミツキガメ》《セラからの翼》です。そのため《冷水カミツキガメ》は絶対に失ってはいけないクリーチャーであることがわかります。

セラからの翼

 本当に《セラからの翼》をトップできたのは出来すぎでしたが、不利な盤面でも勝ちまでのルートを見据えてプレイすることの大切さを改めて感じました。

 初日は7-2にて折り返し。

2. 二日目ドラフト

 1stドラフトでは1-1《黎明をもたらす者ライラ》

黎明をもたらす者ライラ

 2-1《悪魔王ベルゼンロック》

悪魔王ベルゼンロック

 3-1《ランプのジン、ザヒード》を引いて化け物デッキが完成。懸念だった色事故もそれほど起きず、3-0。

ランプのジン、ザヒード

 2ndドラフトでは青黒タッチ白の歴史的デッキを構築。

Case3

 Round 14。ここを勝てばTop8進出が濃厚となる、非常に重要なマッチです。

 対戦相手はグリクシスカラーのコントロールデッキ。《最古再誕》《ウェザーライトの艦長、ジョイラ》といった強力なカードを乗り越え、《ランプのジン、ザヒード》でメインボードを取って迎えた2本目。

 《抜去》《ウェザーライトの艦長、ジョイラ》は抜いたものの、残りのハンドも濃厚でどう攻めていくかといった局面。

Case 3

あなたならどうプレイする?

現在:自分の第2メインフェイズ

ランプのジン、ザヒードクルーグの災い魔、トラクソス通電式召使い
実際のプレイ

 《クルーグの災い魔、トラクソス》をキャストし、エンドフェイズへの移行を宣言。相手が《シヴの火》をキッカーで《通電式召使い》へ。まだ第2メインフェイズのため、2枚目の《通電式召使い》をキャスト。相手は《意趣返し》《クルーグの災い魔、トラクソス》を除去。

 続くターンに《ランプのジン、ザヒード》をキャスト。相手《冷水カミツキガメ》をキャスト。返しに《ミシュラの自己複製機械》をキャスト。相手《スキジック》をキャスト。

 《ミシュラの自己複製機械》を増殖させて地上を固めながら、《ランプのジン、ザヒード》が殴り切って勝利

解説

 《抜去》のおかげで相手の手札をほぼ把握しているため、詰将棋じみてきます。

抜去

 《シヴの火》《ミシュラの自己複製機械》へ、《意趣返し》が大型クリーチャー2種へ睨みを効かせているため展開しにくいですが、こちらは相手クリーチャーへの対処手段を持っていないためあまりゆっくりしている訳にもいきません。

 よって《ランプのジン、ザヒード》《クルーグの災い魔、トラクソス》を囮に使うことになります。

ランプのジン、ザヒードクルーグの災い魔、トラクソス

 ここで相手視点に立つと、

 ことが考えられます。

 そうすると、《クルーグの災い魔、トラクソス》を先に出すことで《意趣返し》のみならず《シヴの火》まで釣れるのではないか?と思い、《クルーグの災い魔、トラクソス》から入ることにしました(あえて「エンドフェイズ入っていいですか?」とまで宣言したのは少しクサかったかもしれません)

 結果的にはほぼ描いた通りにゲームが展開し、勝利することが出来ました。Round15はIDして念願のTop8。

3. Top8ドラフト

 カバレージを取っていただきました。

Case4

 準決勝、行弘 賢さんとのマッチ。

 メイン戦、赤緑カラーのアグロデッキ相手にダブルマリガン。《最古再誕》《ケルドの略奪者》を捌いたものの、5/5の《荒々しいカヴー》を捌く目途が立たず厳しい状況。《要塞の聴罪司祭》で殴るかどうかという場面。

Case 4

あなたならどうプレイする?

現在:自分の第1メインフェイズ

自分

場:土地5枚(フルタップ)

《要塞の聴罪司祭》(3/3)

《最古再誕》カウンター1

ライフ:16

墓地:《密航者、スライムフット》

※手札の枚数と中身は省略。あくまでも盤面の状況と、相手のデッキから飛んでくるであろうカードを想定してプレイを考えてみてください。

荒々しいカヴー要塞の聴罪司祭最古再誕
実際のプレイ

 このターン《荒々しいカヴー》をブロックすることはないので、《要塞の聴罪司祭》でアタック→相手は《ギトゥの溶岩走り》を速攻で走らせてきて、《野生の猛攻》含めて9点。

 そのままライフを詰められて敗北。

解説

 解説が必要とも思えませんが、見た目ブロックに使わないからといってほぼ無意味なアタックをするのは止めましょう。ブロッカーに残しておくのが正解です。

 それにしても《ギトゥの溶岩走り》は青赤ウィザード専用カードだと考えていたので、赤緑デッキに《冒険の衝動》を組み込んで運用していた行弘さんには脱帽です(《ケルドの軍監》がいるのでいずれにしてもブロッカーに残すべきでしたが)

4. おわりに

 いかがだったでしょうか。いままでマジックオンライン上以外で成績らしい成績を残せたことがなかったので、今回のTop8はかなり嬉しかったです。

 現状プロポイント12点まで確定したので、タイトル的にはブロンズレベル・プロ一応達成です。せっかくなのでシルバープロを目指して、プロツアー『ドミナリア』頑張ってきます。

 とはいえ原根健太さんが語っていたように、あまり気負いすぎても逆効果だと思うので、いろいろやってハッピーしつつ進んでいけたらと思います。

 それではまた次回の記事で。

 浦瀬

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