津村健志のアブザン・コントロールガイド

津村 健志



こんにちは!

【前回のブログ】では「アブザン・コントロール」の細部に触れることができなかったので、今回はサイドイン・アウトや、個々のカード選択をお届けしたいと思います。

まずは、デッキリストをご覧ください。



津村 健志「アブザン・コントロール」
プロツアー『タルキール龍紀伝』

2 《森》
2 《平地》
4 《吹きさらしの荒野》
4 《砂草原の城塞》
4 《疾病の神殿》
4 《静寂の神殿》
3 《ラノワールの荒原》
2 《コイロスの洞窟》
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》

-土地(26)-

4 《羊毛鬣のライオン》
4 《クルフィックスの狩猟者》
4 《包囲サイ》
2 《黄金牙、タシグル》

-クリーチャー(14)-
4 《思考囲い》
2 《胆汁病》
1 《ドロモカの命令》
1 《究極の価格》
4 《アブザンの魔除け》
4 《英雄の破滅》
1 《真面目な訪問者、ソリン》
3 《太陽の勇者、エルズペス》

-呪文(20)-
4 《悲哀まみれ》
3 《強迫》
2 《骨読み》
2 《対立の終結》
1 《ドロモカの命令》
1 《真面目な訪問者、ソリン》
1 《世界を目覚めさせる者、ニッサ》
1 《精霊龍、ウギン》

-サイドボード(15)-
hareruya



このデッキは緑系のデッキに相性が良く、それ以外のデッキとも互角以上に渡り合うことができます。デッキの長所としては、苦手なデッキが少ないことでしょうか。

ここからは個々のカード選択と、各デッキ用のサイドボーディングプランをご覧いただきましょう。



■ 個々のカード選択



《羊毛鬣のライオン》 (メインボード×4)

羊毛鬣のライオン


2マナ域を何枚入れるか。これは調整中に最も頭を悩ませた部分でしたが、「赤単」系のデッキが幅を利かせていることもあり、メインボードに少なくとも6枚の2マナ域を入れることが確定していました。最初は《羊毛鬣のライオン》はなしで、《胆汁病》4枚、《究極の価格》2枚の形で試していましたが、それだと「青黒コントロール」系のデッキに弱くなりすぎていたので、最終的に《羊毛鬣のライオン》はメインから4枚採用になりました。

《羊毛鬣のライオン》を入れるとクリーチャーの数が増えるので、環境を代表する1枚である<ドロモカの命令>や、ビートダウンデッキに強い<真面目な訪問者、ソリン>を採用できる点も加点対象でした。


《黄金牙、タシグル》 (メインボード×2)

黄金牙、タシグル


調整中はずっと1枚でしたが、後述の《ドロモカの命令》《真面目な訪問者、ソリン》の関係もあって、クリーチャーの数を増やしたかったので2枚に増量。サイドボード後には《強迫》のおかげで2ターン目までに取れるアクションが増えるので、《吹きさらしの荒野》も絡めば3ターン目に着地することが多かったのも増量の要因です。


《胆汁病》 (メインボード×2) ・《究極の価格》 (メインボード×1)

胆汁病究極の価格


2マナのカードは《羊毛鬣のライオン》だけでは当然足りないので、除去カードは必須です。ここは想定するメタゲーム次第で枚数が変わる枠ですね。

「赤単」、「ジェスカイ・トークンズ」、「ジェスカイ・アグロ」、「アブザン・アグロ」が多いのなら《胆汁病》を、「緑信心」や「赤緑ドラゴン」を意識するのなら《究極の価格》を優先します。今回は環境初期でメタゲームが読みづらかったので、単純に効果的な相手が多い《胆汁病》を優先しました。「緑信心」や「赤緑ドラゴン」に対しては、《アブザンの魔除け》《英雄の破滅》で間に合うことが多いので、それもまた《胆汁病》を優先する理由になりました。


《ドロモカの命令》 (メインボード×1、サイドボード×1)

ドロモカの命令


《羊毛鬣のライオン》の採用に伴い採用可能になった1枚。クリーチャーをコントロールしていないと少しさみしいですが、対戦相手の《クルフィックスの狩猟者》に「+1/+1カウンターを置く」+「エンチャントを生け贄に捧げる」効果を選べば、こちらがクリーチャーをコントロールしていなくとも《クルフィックスの狩猟者》を除去することが可能です。

キャストに黒マナを必要としないので、4~5ターン目に急に手数が増えたりもしますし、なんといっても効果が非常に強力なので、メインボードとサイドボードに合わせて2枚は取りたいカードですね。サイドボード後ならば、こちらに干渉してこないデッキや、火力が入っている相手に投入することで、期待通りの活躍が見込めます。


《アブザンの魔除け》 (メインボード×4)

アブザンの魔除け


個人的にこのカードを減らすことはありません。このカードの持つ多様性がこのデッキの強みですし、このカードの良し悪しで「アブザン・コントロール」の立ち位置が分かると思っています。もしも「赤単」などが多くてこのカードを減らしたい、と思うのであれば、全く違うアプローチを試すなり、「アブザン・コントロール」以外のデッキを使う方がいいと思います。

最近では《精霊龍の安息地》が流行っているので、「パワー3以上のクリーチャーを『追放』する」モードが、これまで以上に心強い場面が目立ちます。


《真面目な訪問者、ソリン》 (メインボード×1、サイドボード×1)

真面目な訪問者、ソリン


現環境で最高のライフ回復手段。クリーチャー連打からの《真面目な訪問者、ソリン》は、攻めるデッキ全般に対して強いです。「青黒コントロール」系のデッキに対しても「吸血鬼・トークン」を出す能力が強いので、ほとんどのデッキに対して強いカードです。

戦場にクリーチャーがいないときに何もしないこと、「緑信心」系のデッキに弱いことを理由にメインボードとサイドボードに1枚ずつにしていますが、メタゲーム次第ではメインボードに2枚でもいいでしょう。逆にメインボードになくてもいい環境もあるでしょうが、少なくとも75枚中に2枚は採用した方がいいカードだと思います。


《太陽の勇者、エルズペス》 (メインボード×3)



この枠は《龍王ドロモカ》なんかも試しましたが、やはり<太陽の勇者、エルズペス>に勝る6マナ域はないと結論付けました。どんどん活躍の場を広げていっている《龍王オジュタイ》を除去できる点も評価できますし、メインボードから減ることはないでしょう。


《骨読み》 (サイドボード×2)

骨読み


ミラーマッチや「青黒コントロール」を意識するのならば、3枚は欲しかったカードですが、残念ながら枠が確保できなかったので2枚に。余程メタゲームが偏らない限りは、2枚未満にすることはないですね。


《対立の終結》 (サイドボード×2) ・《精霊龍、ウギン》 (サイドボード×1)

対立の終結精霊龍、ウギン


「緑信心」用の枠。特に《対立の終結》の有無はこのマッチアップの結末を左右するので、個人的に2枚は必須だと思います。どちらも「《魂剥ぎ》」デッキに強いという嬉しい誤算があったり。

また、このデッキにとって《漂う死、シルムガル》は致命的なので、《漂う死、シルムガル》を採用した「青黒コントロール」と当たった場合にはどちらもサイドインします。なお、<精霊龍、ウギン>の枠に関しては再考の余地があり、ミラーマッチや中長期戦に強いカードがあれば、それに変更してもいいと思います。



■ その他の候補



《自傷疵》《異端の輝き》

自傷疵異端の輝き


前者は「怪物化」した《羊毛鬣のライオン》《龍王オジュタイ》に強い点が評価でき、後者は《ジェスカイの隆盛》に強い点が評価できました。ただしこれらのカードは特定のマッチアップで強力なものの、用途が狭いので結局は没になりました。

《龍王オジュタイ》【増加傾向にある】ので、今ならば《自傷疵》は採用してもいいかもしれません。


《完全なる終わり》

完全なる終わり


万能 of 万能。このカードの唯一の欠点は4マナと重いことだけです。このカードの主な用途は「エンチャント」対策だったので、調整中に<ドロモカの命令>を発見したことで解雇に。


《悪性の疫病》

悪性の疫病


究極の「トークン」対策。「赤単」や「ジェスカイ・トークンズ」に強いものの、<悲哀まみれ>の方が初手にあったときにプランを立てやすいこと、<荒野の後継者>や<ゴブリンの熟練扇動者>を採用した「赤緑アグロ」に<悲哀まみれ>が劇的に強かったことを受け、結局は<悲哀まみれ>4枚に落ち着きました。


ここからは、各マッチアップのサイドボーディングをご覧ください。



■ サイドボーディング




■ 対「赤単」 (タッチ緑含む) (Mono Red including splash green)



対「赤単」で重要視すべきは、いかにして序盤を凌ぐかです。サイドボード後には《思考囲い》《アブザンの魔除け》が抜けるので、メインボード戦よりも遥かにライフを守りやすくなります。

また、対戦相手が《焙り焼き》を入れてくれると、こちらが何もせずとも展開速度が鈍ることがあるので、サイド後は大幅に相性が改善されます。クリーチャーをこまめに除去してライフを守ることを徹底しましょう。


■ 対「青黒・エスパー(青白黒)・ドラゴンコントロール」 (Dragon Control)



「青黒」系のデッキに出されて1番嫌なカードは《漂う死、シルムガル》です。デッキ内の<太陽の勇者、エルズペス>3枚全てを無効化されるとゲームにならないので、もしも対戦相手のデッキに《漂う死、シルムガル》が入っていることが分かっているのならば、サイドから《対立の終結》をサイドインすべきだと思います。


■ 対「緑信心」 (Green Devotion)



このマッチは比較的相性が良いです。対戦相手のマナクリーチャーは全て無視して、《クルフィックスの狩猟者》《世界を喰らう者、ポルクラノス》《囁きの森の精霊》に除去を使うようにしましょう。

時間さえ稼いで《対立の終結》《精霊龍、ウギン》に繋ぐことができれば勝利は目前。とにかく盤面を落ち着かせることに注力しましょう。


■ 対「赤緑ドラゴン」 (RG Dragons)



このマッチは対戦相手のデッキリスト次第で、サイドボーディングが異なります。対戦相手が《ゴブリンの熟練扇動者》を入れているなら《悲哀まみれ》を入れたり、《クルフィックスの狩猟者》が入っているなら《ドロモカの命令》を入れたり、柔軟にサイドボーディングしましょう。

先手の場合はゲーム速度をコントロールしやすいので、《ドロモカの命令》の代わりに《思考囲い》2枚をサイドアウトして、追加の《ドロモカの命令》を入れても良いです。


■ 対「アブザン・コントロール」 (Abzan Control)



ミラーマッチは、本音を言えばもう少し枚数がほしいです。具体的には追加の《骨読み》《頂点捕食者、ガラク》を入れる枠があるのなら入れたいですね。

ミラーマッチはカードを引いた枚数がゲームの行方を左右するので、《アブザンの魔除け》は可能な限り「2枚のカードを引く」モードでプレイしたいところ。
また、<クルフィックスの狩猟者>は3ターン目に唱えるよりも、プレイ直後に土地が置ける4ターン目以降にキャストしましょう。


■ 対「アブザン・アグロ」 (Abzan Aggro)



このマッチは序盤さえ凌げば長期戦でトップデッキ対決になります。そのため、《思考囲い》を減らしてもいいですが、対戦相手のカードは序盤から終盤にかけて強いものばかりなので、ゲーム速度をこちらの望む展開にするためにも、最低でも3枚は維持したいですね。


■ 対「ジェスカイ・トークンズ」 (Jeskai Tokens)



この対戦で気を付けることは、「トークン」対策をし過ぎないことです。なぜならば、対戦相手はサイド後に《急報》《軍族童の突発》、または《ジェスカイの隆盛》を減らし、単体でゲームに勝てる《龍王オジュタイ》《太陽の勇者、エルズペス》を投入してくるためです。

もしもそういった対戦相手のプランが分かっているのであれば、《悲哀まみれ》はもっと減らして、《骨読み》などをサイドインするといいでしょう。





いかがでしたか?「アブザン・コントロール」を使用している方や、どのデッキを使おうか悩んでいらっしゃる方の参考になれば幸いです。

本日の【津村健志のゴキゲン!MO生活】でもスタンダードをプレイする予定ですので、スタンダード好きの方はぜひご覧ください!

今日は【グランプリ・クラクフ2015】で大暴れ(トップ8に5名!)だった「エスパー・ドラゴンコントロール」を使用予定です(*^_^*)


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それでは、また次回のブログで!


コガモ