いよいよ来週末に迫ったグランプリ名古屋。
不戦勝の数は今さらどうしようもできないが、シールドの技術はまだまだ磨くことができる。
グランプリの直前に1つでも多くシールドプールを見て自分で構築する経験を積むことで、本番では新たな選択肢が見えるようになるかもしれない。
それでは、今回のプールを見ていこう。
1.Wandering in the Sealed Labyrinth
2 《忠実なペガサス》 1 《アクロスの空護衛》 1 《密集軍の指揮者》 1 《ラゴンナ団の長老》 1 《定命の者の熱意》 1 《今わの際》 1 《くぎ付け》 1 《侍祭の報賞》 1 《エファラの輝き》 -白(10)- 1 《蒸気の精》 1 《閃足の幻霊》 1 《雨雲のナイアード》 1 《潮流の合唱者》 2 《氾濫潮の海蛇》 1 《先見のキマイラ》 1 《トロモクラティス》 1 《無効》 1 《迷宮での迷子》 2 《トリトンの戦術》 1 《航海の終わり》 1 《保護色》 1 《無効化》 1 《豚の呪い》 2 《捕海》 1 《一過性の知力》 1 《予記された運命》 -青(19)- |
2 《アスフォデルの放浪者》 1 《蘇りし者の密集軍》 1 《血集りのハーピー》 1 《モーギスの匪賊》 1 《フィナックスの信奉者》 1 《見捨てられし流れ者》 1 《決断の元型》 2 《目抉り》 1 《闇の裏切り》 2 《屍噛み》 1 《蘇りし者の行進》 1 《金箔付け》 1 《鞭の一振り》 1 《死の国からの救出》 1 《エレボスの催促》 1 《忌まわしい変身》 -黒(19)- 1 《アクロスの十字軍》 1 《性急な太陽追い》 1 《ミノタウルスの頭蓋断ち》 1 《攻撃の元型》 1 《不機嫌なサイクロプス》 1 《一つ目峠のサイクロプス》 1 《ファラガックスの巨人》 1 《火花の衝撃》 1 《洗い流す砂》 1 《ケラノスの稲妻》 1 《稲妻の流弾》 2 《ドラゴンのマントル》 -赤(13)- |
1 《突進するアナグマ》 1 《レイナ塔の英雄》 1 《ケンタウルスの武芸者》 1 《サテュロスの道探し》 1 《サテュロスの笛吹き》 1 《ナイレアの信奉者》 1 《セテッサの星砕き》 1 《ネシアンのアスプ》 1 《ネシアンのデモロク》 2 《ハイドラの血》 1 《拠点防衛》 1 《古代への衰退》 1 《切り裂く風》 2 《ナイレアの試練》 -緑(16)- 1 《ゼナゴスの狂信者》 1 《憤怒売り》 1 《荒野の収穫者》 1 《ファリカの癒し人》 1 《エファラの啓蒙》 1 《メレティスの守護者》 1 《神秘の神殿》 -多色・アーティファクト・土地(7)- |
ややもすると拍子抜けと思われるかもしれない。
強力なレアがいくつもあり、それらは何となく一定の色に固まっているからだ。
これなら改めて問題に出すまでもないのではないか。そう見えてしまうのも無理はない。
だが、もちろんこのプールを選んだのには理由がある。
だからひとまず浮かんだ疑問はおいて、目の前のシールドプールに専念して欲しい。
自分の中に「これが正解だ!」という40枚を思い描いていただけただろうか。
では、今回のゲスト2名の回答へと移ろう。
2.Tsumura’s Answer
4月1日、晴れる屋に新たなレジェンドが舞い降りた。
プロツアートップ8、6回。グランプリトップ8、13回。日本にいまだ4人しかいない「殿堂入り」の称号を持つスーパースター。
津村 健志(東京)。
マジックジャンキーと呼ぶにふさわしい人生を送ってきた彼が、“How do you build?”に挑戦する。
--「まず、この環境でのシールド経験はどれくらいありますか?」
津村 「テーロスだけのときはまあまあやりましたけど、軍勢入ってからは初めてですね」
--「それを踏まえて、このカードプールは100点満点で何点くらいでしょうか」
津村 「65点くらいですね。カードプール的にあまり色の選択肢がないですし」
--「それでは、どのようにデッキを構築したのかをお聞かせいただけますでしょうか」
津村 「まず強いカードはあるけど枚数が足りない白を切りました。続いて赤も、使えるカードの枚数もそうですが、生物の線も細くて質が悪いし、除去も少なくて、あえて使う色じゃないなと思いました」
--「まあそうですよね」
津村 「で、緑黒の強力なマルチカードが2枚あったので緑黒で組んでみたんですが、思ったほど生物の質も良くないし除去もやっぱり強くないなーと。それで青に手を出してみると、スペルがとても強いし、フィニッシャーもいる。というわけで消去法的に青緑タッチ黒になりました」
8 《森》 6 《島》 3 《沼》 1 《神秘の神殿》 -土地(18)- 1 《蒸気の精》 1 《ケンタウルスの武芸者》 1 《サテュロスの道探し》 1 《雨雲のナイアード》 1 《メレティスの守護者》 1 《潮流の合唱者》 1 《ナイレアの信奉者》 1 《セテッサの星砕き》 1 《荒野の収穫者》 1 《先見のキマイラ》 1 《ネシアンのアスプ》 1 《ネシアンのデモロク》 1 《ファリカの癒し人》 1 《トロモクラティス》 -クリーチャー(14)- |
1 《無効》 1 《トリトンの戦術》 1 《航海の終わり》 1 《豚の呪い》 1 《古代への衰退》 2 《捕海》 1 《金箔付け》 -呪文(8)- | -サイドボード(0)- |
津村 「もうちょっと黒を濃くしても良かったのかもしれませんが、出来るだけ安定させたかったのでタッチは最小限にしました」
--「割と素直な構築ですよね。ちなみに今までの“rizer’s answer”は読まれました?」
津村 「読んでますけど、実践するのはやっぱり難しいですね。僕の場合はそもそもどうしても2色にまとめようとしてしまうので。それでもサイド後にあれだけフレキシブルに相手に対応できるのはやっぱりすごいと思います」
--「この青緑タッチ黒にサイドプランがもしあるとすればどのような感じでしょうか」
津村 「うーん……カードを数枚入れ替える程度はともかく、思い切って色を変えるとかが果たしてあるのだろうか、って感じですね」
--「最後に、グランプリ名古屋に出場する方に向けて何かアドバイスがあれば」
津村 「そうですね……僕はこの環境だと《帰化》系スペルの枚数は割とたくさん入れる派なので、《セテッサの星砕き》が過小評価されているかなーと思いますね。このカードはもっとどんどんメインに入れていいと思います。それからありきたりですが、シールドとドラフトはゲーム展開がやっぱり違うので、感覚のズレを補正するために、最低でも1度は実際にシールドの練習をしておいた方が良いかと。あとはやっぱりクリーチャーのサイズはしっかりしてた方がいいよとか、ゲームが長引いたときに勝ちやすいプランやデッキを選んだ方がいいよとか、そんな感じですかね」
--「ありがとうございました」
津村の人柄が表れているような真っ直ぐな構築で、これから“rizer’s answer”で全部引っくり返すのかと思うとちょっと心苦しくなるほどであった。
3.Ikawa’s Answer
冒頭でこのプールを選んだのには理由がある……と述べた。
そう、このプール。実は実際にとある人物がPTQで直面したプールだったのだ。
その人物の名は。
井川 良彦(東京)。
PTトップ8経験もある彼だが、PTQでは残念ながら3-0から2連敗してしまったとのこと。そのときに組んだデッキとは。
--「まずこの環境のシールド経験を教えてください」
井川 「このプールをもらったときはMOで5~6回やった程度でしたね」
--「その経験に照らして、このプールは100点満点で何点くらいでしょうか?」
井川 「70点ですね。レアもあるしバウンスもマナサポート(2色ランド)もあるし」
--「それではどのようにデッキを組んだかお聞かせください」
井川 「まず白と赤は最初から眼中になかったですね。白はさすがにカードが少ないし、赤は特に見るべきカードがない。そんなわけで青緑と緑黒と青黒で見比べてみた結果、どの組み合わせでも低マナ域が少ないですけど、青黒の方が《蘇りし者の密集軍》と《無効化》分マシかなーという結論に至りました。《屍噛み》の対象に最適な《アスフォデルの放浪者》もあって、飛行で殴りながらバウンスするっていう勝つためのプランが組立やすかったですし」
7 《島》 7 《沼》 2 《森》 1 《神秘の神殿》 -土地(17)- 1 《アスフォデルの放浪者》 1 《蒸気の精》 1 《蘇りし者の密集軍》 1 《雨雲のナイアード》 1 《血集りのハーピー》 1 《メレティスの守護者》 1 《潮流の合唱者》 1 《フィナックスの信奉者》 1 《荒野の収穫者》 1 《先見のキマイラ》 1 《ネシアンのアスプ》 1 《ファリカの癒し人》 1 《決断の元型》 1 《トロモクラティス》 -クリーチャー(14)- |
1 《トリトンの戦術》 1 《航海の終わり》 1 《豚の呪い》 1 《無効化》 1 《屍噛み》 2 《捕海》 1 《金箔付け》 1 《鞭の一振り》 -呪文(9)- | -サイドボード(0)- |
--「かなりコントロール気味の青黒タッチ緑ですね。何かサイドプランなどはありましたか?」
井川 「サイドプランとしては、《予知するスフィンクス》があるなど自分よりも上位互換な相手、そのままだと勝てない相手などには、赤緑のクソビートプランだけ組んでいましたね」
--「今までのrizer’s answerを読んでどう思いましたか?」
井川 「とても勉強になってます。けど僕のスキルでは彼と全く同じことはできないので、自分が理解できることだけエッセンスとして取り入れるようにしています。半端な理解で100%彼の真似をしようとすると、逆に失敗してしまうこともありますしね」
--「グランプリ名古屋に出る人に向けて何か」
井川 「シールドはデッキを組む練習だけじゃなく、プレイまで合わせた練習をした方が良いと思います。意外なカードやコンバットトリックが自分の予想より強かったりするので、たくさん数をこなしてプレイするのが良いんじゃないでしょうか」
--「ありがとうございました」
4.and yours?
いかがだっただろうか。
普通に組んだらどうやっても津村や井川のようなデッキになるであろうプールで、何がやりたいのかと思われるかもしれない。
だが、今回のテーマはrizer’s answer -Theros Sealed- Part4のヒキで予告したように、「ミッドレンジを疑う」である。
同じシールドでも、使うパックによって環境は大きく変わる。それを最も色濃く表しているのが、「テーロス×6」と「テーロス×3&神々の軍勢×3」かもしれない。
十分に選択肢を吟味した上で、改めて自分なりの結論を導いて欲しい。
そして、この記事への感想、自分ならばこう組んだというアイディア、津村や井川の構築についての意見などがもしあれば。
例によってこの記事へのコメントに寄せてくれると嬉しい。
さて、次回はまた間が空くことになるだろう。
そのときまで、シールドの研鑽を続け、地力を育んで欲しい。
それと、ここまで読んでくれた方がグランプリ名古屋で無事初日突破を果たせることを願っている。
See you!
5.rizer’s answer -Theros Sealed- Part5
こちらをご覧ください!
さらに。
ここでお知らせがある。
2014年4月30日までの間、晴れる屋トーナメントセンターでは例によって。
今回の記事で題材となったシールドプールの店内貸し出しを行っている。※終了しました
これであなたが考えたデッキの一人回しが可能になる。
友達と一緒に借りて、どのような構築が良いか議論するのもオススメだ。
「神々の軍勢シールドの練習がしたい」「実物のカードを並べて考えてみたい」「作ったデッキを実際に回してみたい」といった方は。
トーナメントセンターにご来店の際、大会受付カウンターにてスタッフにお気軽にお尋ねください。